年末年始の仕事を終え、ひと段落した先日の早朝、加須市大利根と北川辺を結ぶ埼玉大橋の日の出を見に行きました。
見に行ったといっても日々の通勤で渡る橋です。童謡のふるさと大利根の道の駅に車を停めて、極寒の橋の上を目指して一人歩きます。
毎日通る見慣れた風景も歩くとまた違った景色が見えるものです。まず何よりその寒さ。季節はまさに寒中の候ですので、手も足も凍えます。また普段車から降りて歩くことも少ないため、手袋やマフラーといった防寒具を持ち合わせていませんでした。『「富士と筑波の峰清く」高校の校歌の歌いだしは、富士とともに東に見える紫峰筑波山でした。忍領より東に来ると筑波山の雄姿がはっきりと見えます。マジックアワーと呼ばれる日の出前の時刻にはより一層その光は幻想的なものです。
日の出のスポットということもあって本格的なカメラを持った人も見受けられます。元日の初日の出の時には橋の欄干は人だかりができたそうです。日の出を待つ間にいろいろと教えてもらいました。日の出は6時53分。ちょうど利根川の川幅の真ん中から上がるとのことで、凍えながら約20分ほど待ちました。おそらく一人では日の出前の景色を目にしただけで、太陽を拝むことはできなかったと思います。
わずかな時間の差で光を映す川面の様子が違って見えます。
川も空も景色も皆生きている。しかも刻一刻とその姿を変えてゆく。そう無常の世界。ゆえに哀れと感じてしまうのでしょう。哀れとは同情を引くことに限らず、人の心を強く打つ感情。生きてしか感じることのない深い感情のことです。
一説に感動して発する「あ、はれ」から出た言葉ともされます。
見たい聴きたい話したい。そう言った気持ちを抑えなければならない今だからこそ、できうることを今しよう。そんな年頭の願いをかなえてくれた景色でした。