酔いどれ堕天使の映画日記

劇場やテレビでみた映画の鑑賞記。原則ネタばれなし!

『ツォツィ』(2005・英=南ア)

2009年07月15日 16時24分05秒 | TV鑑賞作品
第78回米アカデミー外国語映画賞を受賞したという本作。
昨夜、期待しながらBSジャパンの放送でみました。

南アフリカの首都、ヨハネスブルグのスラム街が舞台
ただ道を歩くことさえ命の危険が伴うほど暴力が日常化しているこのまちで
小遣い欲しさにいとも簡単に殺人を犯す少年たち。
“ツォツィ”と呼ばれる“チンピラ”のリーダー格の少年がこの映画の主人公です。

経済的急成長を遂げる世界の新興国
その影には凄まじいまでの格差や貧困が存在することは頭では理解しているつもりでも
やはりドラマとはいえ映像がもつ力には圧倒されます。

ある夜、ツォツィは仲間との諍いから一人郊外の高級住宅街に赴き住人の女性から車を略奪します。
彼がその未熟な運転で暴走事故を起こし乗り捨てようとしたその車の後部座席からは赤ちゃんの泣き声が・・・。

米国向け興業をはじめから意識していたのでしょうか?
素人っぽい俳優たちの風貌やさまざまな言語がいりまじった会話のやりとりにもかかわらず
少々背伸びした感じのスタイリッシュな演出に
最初こそ違和感を覚えましたが
これもこのギャヴィン・フッドという監督のれっきとした作風なのだと気づきます。

ツォツィから赤ちゃんに乳を与えるよう強要される女性を演じる女優もよかった。

うまくまとめてしまった印象は否めまない娯楽作ですが
今後が楽しみな新鋭監督の登場には違いありません。

☆☆☆

『博士の愛した数式』(2005・日)

2009年07月15日 14時08分23秒 | TV鑑賞作品
月曜夜のNHKのハイヴィジョン放送でみました。

じつは前回どこかの民放で放送していたのを
なぜか波長が合わず最後までみることができなかったので再挑戦しました。

監督は黒澤明の薫陶をうけた小泉堯史。

事故で記憶が80分しかもたない数学博士と家政婦母子の心の交流を描いた
小山洋子の原作小説の映画化です。

長野などの自然をとらえた映像のまさに心を洗われるようなその広がりにくらべ
肝心の作劇のほうは小さくまとまりすぎて
テレビドラマをみているような印象というのが正直な感想です。

期待がおおきい監督さんということもあると思いますが・・・。

☆☆

『若親分喧嘩状』(1966・日)

2009年07月15日 13時48分03秒 | TV鑑賞作品
BSイレブン“市川雷蔵没後40年若親分特集”のシリーズ第3作
こ日曜の午後放送していました。

今回は大正初期、年の瀬の横浜が舞台です。
前作で日本を離れ上海に潜伏していたという設定の若親分、南条武(市川雷蔵)。
冒頭、彼の地で蒙古正統の王女(江波杏子)を助け帰国した武は
木島という国士に王女を預けるとともに客分として横浜の高遠組に迎えられます。
この横浜には利権を狙う外国人に手を貸す見返りにアヘン密売で儲ける
猪原という新興やくざがのさばっていた。

最後はお決まりの決闘とあいなるわけですが
陸軍一派に利用されようとする姫君を助けるくだりもあって
今回は憂国の士という面が強調されているような気がします。

武にほのかなおもいをよせる女優も今回は
芸妓に扮する小山明子と救世軍に奉仕する純な娘役の高田美和
硬軟とりまぜています。

単身陸軍に乗り込んでいくというお馴染みのパターンにもかかわらず
海軍士官の軍服に身をつつんだ雷蔵にはやはりほれぼれいたします・・・。

☆☆☆