酔いどれ堕天使の映画日記

劇場やテレビでみた映画の鑑賞記。原則ネタばれなし!

笑っちゃうほど?素晴らしい『悩む力』 姜 尚中著―Books―

2009年04月01日 09時43分37秒 | Books
テレビのコメンテーターとして静かな語り口がとても素敵な著者による
ベストセラー新書です。

氏の敬愛するマックス・ウェーバーと夏目漱石を引き合いに
現代人が直面するさまざまな“悩み”

①自我 ②お金 ③知性 ④青春 ⑤信仰 ⑥働くこと ⑦愛 ⑧死 ⑨老い について

それぞれ9つの章にわけ“まじめ”にわかりやすく論考した好著です。

ここのところ遊民的な生活に堕している小生には
⑥はまさに耳の痛いお話。

大学の著名な先生に対して失礼ですが
思わずひき込まれるような平易にして簡潔な文章が素晴らしいです。

しかし文字どおり最強なのは最終章、“老いて「最強」たれ”

第二の人生の目標として自ら役者になって映画をつくる!との驚きの宣言。

小生、先生のように役者にはなろうとは思いませんが
映画についてはまさに同じ夢。

何故か思わず笑っちゃうほどうれしかったです。

そして、ウェーバーはともかくも
若い頃苦手だった漱石を再び読み返したくなりました・・・。

『悼む人』天童 荒太著-Books-

2009年03月30日 15時27分52秒 | Books
このところ小説というものをほとんど読まなくなってしまいましたが
すてきな表紙に惹かれたこともあり
妻が読み終えたこの本を手にしこの週末よみました。

直木賞を受賞し
テレビや新聞などメディアに取り上げられることが多い本の内容については
いまさらふれません。

ある意味重苦しいテーマに対して丹念な取材が実を結んだ労作だと思います。

ちなみに表紙にあるのは著者自ら撮影し使用を切望した
船越桂という彫刻家の「スフィンクスの話」という彫刻作品の写真だそうです。

著者の天童荒太がこの彫刻について
「その姿は清新かつ妖しく、寛容なのに気品があり、無垢でいて謎に満ちている<悼む人>の精神的な象徴」
と謝辞ななかで述べているとおりです。

やがて“悼む”理由が主人公の坂築静人によって語られるまでもなく
読みすすむうちに
著者自身自ら“悼む人”としてこの数年間生きいていたことを気づかされ
思わず心を動かされます。

静謐な語り口の作品でありながら
むしろ滲み出るような“生”への情感こそが印象にのこる小説でした。


大前研一『「知の衰退」からいかに脱出するか?』―Books―

2009年03月23日 19時21分02秒 | Books

まずは本日のWBC米国戦

先発の松坂から9回のダルまで
まさに一世一代それぞれの力をみせつけた豪華な投手リレー
そして見事につなげる打線が爆発
これまでのベスト、見ごたえのある素晴らしい試合でした。

おめでとう!
そして、ありがとう!


さて、久々に手にとった大前研一氏の本です。

閉塞感溢れる日本の現状を独特な視点で分析
かつて栄華をほこるも完全に衰退してしまった“ポルトガル”にならないために
解決策は“教育”以外になく
一人でも多くの日本人が目覚めることが重要であると説きます。

提言のひとつひとつまさしく正論ですし反論の余地はありません。
ただし、いずれもこれまでの経済システムの肯定が前提ではありますが・・・。

米国人が48歳で所有する資産がピークとなるのに対し
日本人は死ぬ間際がピークで平均3500万円も残す
などのトピックも面白い本ですが

現在の世界共通の“教養”とは
“地球市民として何をしているか?”であるというくだり
これがいちばん勉強になりました。

『30日で夢をかなえる脳』石浦章一―Books―

2009年03月05日 07時58分51秒 | Books
出版社の商業的な意図でつけられた
“はやり”の表題に惑わされがちですが
東大の先生が理学的見地から我々の脳について書いた真面目な?本です。

そして「30日で夢をかなえる」は
我々の脳は30日で“つくり”そのものが変わってしまうので
あらたなチャレンジが可能になるというくらいの意味。

1時間ほどで読めてしまう軽い読みものですが
薬や食事、睡眠など脳にかかわる有益な情報も少なくありません。

今深刻な“うつ”の問題への著者の見解もわかりやすく
とても興味深かったです。

あの自信は何処へ?『「依存症」の日本経済』上野泰也著―Books―

2009年03月02日 09時56分30秒 | Books
かつてマーケット予想的中度総合1位(2005年度)
TVのコメンテーターとしても御馴染みだった著者による
一般読者向け日本経済考察。

経済危機のなか“平易な事例やエピソードを交えながら「未来図」を考えるような本”
という編集からのオファーから書いたというだけあって
内容的にもきわめて平易です。

しかしながら、扱うテーマは巷で喧伝されているものばかり
内容的にも本著に共感もしくはインスパイアされるとまではいきませんでした。
秋田県を引き合いに出しての“提言”?も踏込み不足の感が否めなかった。

著者の提言が彼が身を置いてきた市場経済
その延長線上での発想に過ぎないからいたしかたないというのが小生の感想です。

“構造改革路線の片棒をかついだ”?大学教授が“懺悔本”をだすような昨今の風潮
あのときの彼らの“自信”は一体何処へ行ってしまったのでしょう。

こんな時期だからこそもっと元気を出してもらいたいものです・・・。

『第三次世界大戦』田原総一郎&佐藤優著―Books―

2009年02月05日 12時52分17秒 | Books
こちらが左巻です!


テレビの司会でおなじみ田原総一郎氏と
“外務省のラスプーチン”こと佐藤優氏
上下巻ならぬ左巻、右巻からなる両氏の対談です。

『第三次世界大戦』なるタイトルにひかれて全くの興味本位で読みました。

左巻は米中ロ中心に各国の政治状況と国際動向を詳らかにしたうえで
皇室問題など日本の思想的背景を俯瞰しながら日本の進むべき外交路線を提示しています。

右巻はずばり現在の貧困問題をとりあげています。
その原因としての“新自由主義”を解き明かす作業としてマルクスまで持ち出します。
おもに精神面から日本人が今後どう変わらねばならないかの処方箋をしめすという内容です。

外交はもっとも重要な関心事ですが
やはり今回は喫緊のテーマである右巻の貧困問題でしょう。

“ノーブレス・オブリージェ”
日本人にかけているエリートのモラルとして本書でも変革が求められています。

小生は“施し”や“ボランティア”という扶助の精神はもちろん素晴らしいのですが
それをより現実的なシステムとして有効に機能させる方法論も大切と考えます。

1月22日の当ブログでは、
共鳴する処方箋のひとつとして“社会的ビジネス”を取り上げていますので
ご参考までにお目汚しいただければ幸いです。

さて、ちょっと横道にそれます。

だいぶ以前から不思議に思っていたことなのですが
非正規労働者ばかりでなく正社員のリストラも増え、多くが格差や貧困にあえいでいる今
大企業や公務員の優遇された労働組合の代弁者である民主党よりも
企業から見放された人々の代弁者であるはずの社会主義政党こそ
もっと政治的発言力を強くしてしかるべきではないかという疑問です。

本書でもそれについて触れています。
「若い連中がもっと『共産党宣言』にいってもちっとも不思議はないのになぜ行かないんですかね?」
本来貧困層の受け皿となるべき政党の支持率が逆に減少している現状に対するこの田原氏の質問に
「社民党の先生って、みなさんはものすごくお金持ち・・・億単位のお金を持っている人が何人もいる」
「共産党だって平均的なサラリーマンより収入がいいし・・・誰もついていかないでしょう」
と佐藤氏は答えています。
さらに別頁では社会民主的な発言が目立つ森本卓郎氏について
「(森本氏は)むしろビジネスマンですから。だから『年収300万円時代を生き抜く経済学』を書いた人がなんで3億円もとっているんだという話になりかねない(笑)」
(佐藤氏)と揶揄しています。

昔、大学の講義で日本思想史の教授が
「社会主義を標榜するものほどその実、利己的な輩ばかりである」と強弁していたことを思い出しました。

ちなみに、小生は特定の思想、政党に与するものではありません。
悪しからず・・・。

とにかく、両氏の博識を競うような多岐にわたる討論にもかかわらず
「核武装に反対の人は、もっと原発を普及させろと叫んだほうがいい。」(佐藤氏)
など目からウロコのおはなしも少なくなく
一晩であっという間に読んでしまうほどなかなか面白く勉強になりました。

『10年後あなたの書棚に残るビジネス書100』―Books―

2009年01月25日 15時16分49秒 | Books
今のビジネス書はこの2人の推薦文があれば売れるのだから
いっそのこと推薦文で本をつくってそれ自体を売ってしまおうという
編集者のアイデアと商魂にまず敬服します。

もはや古典ともいうべき有名な書籍のオンパレード。
神田氏推薦の『ナニワ金融道』!含め
小生にとっても御馴染みの愛読書が多かったです。

映画などと違い
人に本を推薦するのって
その人の生き方や人生に対する考え方はもとより
インテリジェンスの違いが如実にあらわれて
彼らでなくてはできない所業?です。

本書でも確か触れていたと思いますが
こうしたビジネス本との出会いはこれまでの人生“経験”と
出会ったあとどう行動したかが重要なのでしょう。

そういう意味で彼ら自身が各年齢で何を読んできたかの
年表がついているのは面白かった。

もちろん若い人向けの“ガイド本”なのでしょうが
むしろ自らの経験になぞらえ得る大人にこそオススメかな・・・。

“ソーシャルビジネス”新しき資本主義への共鳴!『貧困のない世界を創る』

2009年01月22日 11時37分14秒 | Books


ここのところずっと“熱”にうかされています。

去年の年末このムハマド・ユヌスの著書にであってからは・・・。

“ソーシャルビジネス”
“ソーシャルエンタープライズ ”
“社会的企業”
これまで言葉だけで理解したようになっていましたが
遅まきながら本著を読んで
この考えかたの本質を知ることができたような気がしました。

そして、雷にうたれたように深く共鳴するにいたっています。

以前から
格差や貧困、地球破壊の現状を見過ごし
既得権をもった人間や競争に勝ったものだけ潤えばいいという
身勝手きわまりない現“経済システム”に強い疑問をもちながらも

一方、携わる人々は立派だが
残念ながら根本的な問題解決までにはいたらない
“慈善事業”という考え方にもしっくりこなかった。

“CSR”(企業の社会的責任)もまたしかり!
いみじくもユヌス氏は本書の中でCSRについてこう言及しています。
「CSRはあくまで企業が利益を上げるために行われているものであって“責任”の履き違えである。」

ちょうどそんな時本書に出会いました。


さて、“ソーシャルビジネス”とは?
その特徴の一端をごく簡単に箇条書きしますと・・・。

・ソーシャルビジネスは現行の“資本主義”を否定するものではありません。

・慈善事業ではありません

・一般企業と同じく利益を追求します。
 ただ目的が株主への利益還元ではなく
 かかわった人々と地域に社会的恩恵を生み出すことです。

・出資者には元本のみ返済されます。

・出資者は社会貢献という満足感を得ることができます。

・利益は長期的な視点たってさらなる社会的目標のために再投資されます。

・失業や貧困問題の解決策になります。

・民間企業にくらべ給与が安いわけではありません
 むしろ労働者の意欲が高い分一般企業より生産性は高いという人もいます。

本書をお読みいただければわかる
ユヌス氏の活動の原点であるバングラデシュでの革命的な実績
一昨日の日経朝刊「経済教室」によれば
全企業従業員数の5%がすでに“社会的企業”の従事者という英国の例からもわかるとおり
この“新しい資本主義”はすでに成果をあけています。

そしてこれからも確実に“ソーシャルビジネス”は世界中に広がっていくことでしょう。


小生もそうでしたが
提唱者であり実践者であるユヌス氏の活動の足跡を知らずして
真にこの新しいシステムを理解することは困難だと思います。

もしかしたら小生にとって本書との出会いは人生の転機になるかもしれません。

まさに “拓” を今年の漢字としたとおり(12月27日当ブログ)

あらたな目標がきまった瞬間でもあるからです。

『クルマは家電量販店で買え!』吉本佳生著―Books―

2009年01月19日 13時18分55秒 | Books

1年前のベストセラー『スタバではグランデを買え!』の続編です。

今回のテーマは「裁定」について。

「取引コスト」の問題に重きを置いていた前著もそうでしたが
目を引く明らかに売らんかなの題名に反して
取り扱うテーマはかなり硬派なのです。

そこで
題名に騙されて?本書を購入された方には
まず“あとがき”からお読みになることをおすすめします。

あとがきには著者がこの本を書いた真意?が語られており
そのことを念頭にいれて各章を読んだほうが
著者が言わんとしていることがより明確になるのではないでしょうか。

さて、小生
同じく子育て中の著者と共通の認識なのは

「学歴と大学教育のコスト」の問題。

これについて取り扱った章だけでも
読む価値はありです・・・。

『起きていることはすべて正しい』勝間和代著 ―Books―

2009年01月15日 16時21分17秒 | Books

副題は「運を戦略的につかむ勝間式4つの技術」

所謂「勝間本」との出会いはちょうど1年ほど前
『お金は銀行に預けるな』(光文社新書)でした。

小生の5冊目になる読書雑記には
「評判のベストセラーだけに期待はしなかったがきわめてマットーな内容である。
“分散投資”は小生の投資スタイルとは異なるが特に資産運用をはじめる若い人には必読の良書である。」
と絶賛しています。

かれこれ20年以上も
「投資用ならともかく住宅ローンを組んでまで自ら住む家は買わないほうがいい」
と周囲に言い続け実践?してきた小生
仕事でも遊びでもどこへ行くにも自転車
過剰な生命保険の現状の見直しをすすめ自ら実践してきた者にとって
まさに我が意を得たり。
妻にむかって
「この本読んでみて、学校の後輩らしいんだけど凄い人がいるよ!」
と思わず叫んでしまっていました。

それから欠かさず彼女の著書には目をとおすことにしています。

さて、本書
「メンタルなことが能力を発揮するカギだと考えています。」
との著者の言葉どおりの内容。

“セレンディピティ”、“ソシオパス”など普段耳慣れない言葉が登場し
一見、近年のこのジャンルの著書をピックアップした内容のようでありながら
“勝間和代”というフィルターをとおし実践されることによって
完全に独自の理論まで昇華されていることに驚きを禁じえませんでした。

しかし、真に及びがたいと感じるのは著者の可視化能力とでもいうのでしょうか。
本来つたえにくい概念がまるで絵本でも読んでいるようにスンナリつたわってきます。
まさに“デープスマート力”

難しい話ばかりではありません。
子育てに関し「頭ごなしに怒るのは天につばをはく行為だ」の一節、まさに溜飲がさがる思い
本書でも勝間節は全開なのです。

そのうえ、飲酒と節酒を行きつ戻りつの小生には耳の痛いおはなしも登場します・・・。

いつも傍らに置いて参考書のように読み返したい一冊です。

『さらば財務省!』高橋洋一著 ―Books―

2009年01月14日 12時21分34秒 | Books

副題は「官僚すべてを敵にした男の告白」

当時の大蔵省にあって東大理学部数学科という異色の出自もあってか
リスク管理のソリューションである
ATL(Asset Liability Management=資産・負債の総合管理)を導入し
“大蔵省「中興の祖」と呼ばれた”人物による著書です。

小泉構造改革の最中にあって
竹中平蔵大臣のブレーンとしてまさに八面六臂の活躍をすることになり
やがて副題にあるように官僚を敵にまわす?ことにもなる
自称“コンテンツ・クリエータ”の
「回想録」であり

内向きで保身はかりの“官僚”の本質をわかりやすく解説し
そうした官僚に従属させられている政治家の実情なども盛り込みながら
著者が暴露した所謂“埋蔵金”の全貌などにも言及した
「財政入門書」でもあります。

著者の理路整然としたその語り口に思わず引き込まれ
「何をいまさら、そんなこと周知のことじゃないか」
などという先入観はどこかに吹き飛びます。

そのうえ一晩で一気に読めてしまう読みやすさも魅力です。
さすがはあの竹中平蔵氏が頼りにした人物だけのことはあります!

じつは日経新聞の昨年末の2008年を総括する書評欄
某氏のベスト書籍として取り上げられていたことが読むきっかけだったのですが

その書評にもあるように
“日本は財政危機ではない”という事実を知りえるだけでも
おおきな収穫です。

オススメです。

『竹中式 マトリクス勉強法』竹中平蔵著―Books―

2009年01月03日 13時32分20秒 | Books


竹中平蔵氏のベストセラー

「バカは何人寄ってもバカである」などと辛らつな表現もとびだす本書

“実践者”である氏の示唆にとんだ語り口にはいつもながら感心させられます。

本書が単なるノウハウ本と違うのは
氏が自ら影響を受けた人々について折に触れて文章をさいているところ。

出会いや人生の転機をいつも前向きにとらえ
常に感謝の気持ちを忘れることのない氏の姿勢がすばらしいです。

1~2時間程度で読めてしまう
軽い読み物ですが

内容的にはとても充実しており

老若男女、学業職業を問わずオススメします。



『赤めだか』 立川談春 ―Books―

2008年12月25日 10時03分29秒 | Books

毎月1回、「Niles NILE」という雑誌が小生のところに送られてきます。
所謂“生活スタイルマガジン”の体裁をとっていますが分厚い中身は広告がほとんど
そのなかにほんの数ページですが諸氏によるエッセイコーナーがあり、たまに目をとおします。

雑誌そのものは毎回すぐ処分してしまうので氏は不明ですが
本書は、そのエッセイの中で2008年のベストの一冊だと褒めちぎっていたものです。


著者は立川談志の弟子で平成9年に真打昇進した落語家、立川談春

競争厳しい立川一門で頭角をあらわしてきた人物だけにさすがの話術
競輪の選手になりたかったという中学時代のはなしから思わず引き込まれます。

全編をとおしてひしひしとつたわる師匠、立川談志への変わらぬ熱きまなざし
後輩の志らくに対するあからさまな嫉妬心
まさに映像を見ているかのような立川一門の日常の描写
実にうまいです。

一方で談志(イエモト)に対し“揺らぐ人”と評するあたり
そういえば以前BSハイヴィジョンで立川談志の特集をみましたが
実に的を射た表現だと思います。
憧れであるはずの談志(イエモト)に対する評価も実に冷静そのもの
著者の鋭い観察眼を感じずにはいられません。
ちなみに最近はその“揺らぎ”が左右から前後にかわってきたとのことですが・・・。

落語と師匠への“愛”に突き進むあまり
読み手が置いていかれるのかなと心配するまもなく
あっという間に読めてしまう
硬軟の按配も実に見事で、飽きさせません。

この年末年始の手ごろな読み物としてオススメの一冊です。

慶応義塾と創価学会!?-Books-

2008年12月10日 17時42分16秒 | Books
『創立150年記念パーフェクトガイド 慶応義塾』

『創価学会公明党「カネと品位」』福本潤一著


今年、創立150年という記念すべき年を迎えた母校、慶応義塾
125周年というの節目の年に在学していましたから
あれからすでに四半世紀以上が経過したということですか。

著名塾員へのインタヴュー
福澤先生の教えから歴代塾長のプロフィールまでの塾の歴史
キャンパスガイド、三田会紹介、データなど
さまざま網羅した雑誌感覚のカラーガイド本です。

SFC(湘南藤沢キャンパス)開設やニューヨーク学院の開校をへて
より学際的かつ国際的に様変わりする塾の姿が印象的でした。

国立附属に通う中1の長男に読むよう勧めたところ
わずか30分でかえしてきました・・・。





2冊目は、3期目の立候補で党の推薦をうけらえず脱党し落選
創価学会を脱会した元国会議員による公明党、学会の告発本です。

特定の宗教や政治団体に与しない小生ですが

この本に書かれている内容が事実かどうかはともかく
もともと宗教や政治に“カネ”はつきもののはず
いまさら驚くほどのことはありませんでした。

さらに“世襲”問題を取り上げ批判していますがそれもまた同様です。

なお、その世襲問題の槍玉にあがったのは、わが慶應義塾

2世がたまたま塾員であったことから
学会内で慶應出身者の力が強くなったということですが
塾生、塾員同士の結束がつよいのは事実だとしても
そもそもどこの組織にもその程度の変化は起こりうるのが常なのでは?

理想と現実のギャップに夢破れた東大卒学会エリートの恨み節
決して耳ざわりよいものではありませんでした・・・。


『時計じかけのハリウッド映画』~Books~

2008年11月24日 20時32分10秒 | Books
久しぶりに先週末日帰りで出張しました。
電車のなかで読むのに気軽なものをと思い手にしたのが本書です。

副題は“脚本に隠された黄金法則を探る”
随分と仰々しいですが

アメリカで脚本学を学んだ著者が
ハリウッド映画の脚本の典型的なパターンなどについて
最近作を交え一般向けに解説した新書です。

脚本のタイムテーブルの法則とフォーマット崩し
“ハリウッドスタイル”からインディージョーンズの第4作のシナリオを予想
日本映画『リング』がいかに翻訳され『The Ring』となったか
アカデミー賞をとりやすい?脚本
脚本家のサクセスストーリー、などなど
かなり広範囲で雑学的です。

一般向けとしてはタイムテーブルの解説は長くてちょっと退屈ですし
熱心な映画ファンにとってはもう少し掘り下げた記述が欲しかったところです。

現在のハリウッドが注目し次々と映画化がひかえる“アトム”をはじめとする日本のコミック
わが国にとっては大変結構なことですが
脚本まで金儲けの“理屈”で成り立っているハリウッドだとすれば
出来上がる作品に元来の作家性やオリジナリティまで求めるのはやはり無理なんでしょうね・・・。