酔いどれ堕天使の映画日記

劇場やテレビでみた映画の鑑賞記。原則ネタばれなし!

『ウィッチマウンテン/地図から消された山』(2009・米)

2009年07月09日 14時49分12秒 | 劇場鑑賞作品
原題は“Race to Witch Mountain”

1975年のディズニーのSFファンタジー
『星の国から来た仲間』“Escape to Witch Mountain”をもとに
同じディズニーが現代的なモチーフとスピード感あふれる迫力の映像を加えたリメイク作
昨日みてきました。

やくざ稼業から足を洗いタクシー運転手として生計をたてるジャック(ドウェイン・ジョンソン)の夢は
映画『ブリット』に出てくる1968 年型フォード・マスタング・ファストバック 390 GT
通称“ブリット・マスタング”を乗り回すこと。
ある日、自らセスとサラと名乗るまだ幼さが残る面立ちの兄妹が
彼のタクシーに乗り込んできてすぐ車を出すよう懇願します。

かつてのボスからみこまれたドライブテクニックで追っ手から彼らを守るジャック
やがてセスとサラの特別な能力を目にすることになるのです。

以前目をとおした本
『時計じかけのハリウッド映画』(11月28日記事)
のとおり解釈すれば
まさに起承転結のタイムテーブルが一分のすきもなく計算され
ハリウッドの映画作法に忠実な教科書的な作品でもあります。

30数年前の作品のリメイクというより
むしろこの作品から影響をうけたであろう後の『未知との遭遇』や『E.T.』をメインに
『ターミネーター』『宇宙戦争』など数多のSF映画のストーリーを入力し
このハリウッド流タイムテーブルにしたがって自動出力したような印象の脚本です。

この映画に登場するラスベガスのホテルの“オタク”イベントに象徴される
これは紛れもなく“パロディー”映画?

いえいえ、過去の名作へのオマージュだと好意的に解釈しましょう。

だってジャックの夢は“ブリット・マスタング”…。

☆☆☆

『腰抜け二挺拳銃』(1948・米)

2009年07月09日 09時45分04秒 | 名作・映画作家探訪
アメリカの国民的喜劇人ボブ・ホープ主演の
当時の日本でも大ヒットした懐かしい西部劇コメディーの登場です。
BS2の月曜お昼の放送を録画してみました。

世代が違う小生が懐かしいというのは
子供のころ、高島忠夫氏がナビゲーターをつとめていた
フジTV「ゴールデン洋画劇場」で楽しんだ思い出があるからです。

そればかりか放送をそのままカセットテープに全編“録音”し
繰り返し聞いていたくらい熱心でした。

理由は名声優、広川太一郎氏の吹き替えが絶妙でおおいに堪能させてくれたからです。

惜しくも昨年お亡くなりになった広川氏ですが
この字幕版をみると氏のアドリブ的な演出がいかに大きかったかが理解できます。
いまでも吹き替えの台詞はよく覚えていますので
時おり反芻し思い出しては懐かしく笑い転げてみました。

“ペインレス”ピーター・ポッター(ボブ・ホープ)という
これまた人を食ったような名前のヘボ歯科医が主人公。
実刑を免れる引き換えにインディアンに武器を密売する陰謀団を突き止める命をうけた
カラミティー・ジェーン(ジェーン・ラッセル)は
このとぼけた男ピーターを隠れ蓑にして陰謀団を突き止めようとします。

まあ、そんなおはなしはともかく
ボブ・ホープが“バッテンボー~♪”と歌う名曲?「ボタンとリボン」に懐かしく耳を傾け
不世出の声優に思いをはせた1時間30分でした。

☆☆☆

『ボンベール<帰郷>』(2006・スペイン)

2009年07月09日 09時02分06秒 | TV鑑賞作品

数々の映画賞の常連としてもお馴染み
スペインのペドロ・アルモドバル監督の近作が早くもテレビに。
月曜日のBSジャパンの放送でみました。

三世代にわたる女性たちの家族をめぐる愛憎のおはなしです。
バルセロナに住む姉妹が妹の娘をつれ故郷ラ・マンチャの両親の墓参りをするシーンからはじまります。

亡くなったはずの母親(カルメン・マウラ)の影によって
現在進行形で起きる事件と交差して解き明かされる家族の過去。
冒頭から引き込まれる脚本も演出も実に見事です。

娘を守り抜こうと逞しく生きる母親を演じながらも色香にあふれ
みるものを惹きつけ酔わせるペネロペ・クルスが最高です。

対する個性的な女優陣が負けず劣らずのいぶし銀の演技を披露して唸らせます。

この絶妙なバランス感覚こそがみせる映画づくりにたけたこの映画監督の真骨頂なのでしょう。

娯楽作としても優れた一品。
十分堪能させていただきました…。

☆☆☆☆