酔いどれ堕天使の映画日記

劇場やテレビでみた映画の鑑賞記。原則ネタばれなし!

『赤めだか』 立川談春 ―Books―

2008年12月25日 10時03分29秒 | Books

毎月1回、「Niles NILE」という雑誌が小生のところに送られてきます。
所謂“生活スタイルマガジン”の体裁をとっていますが分厚い中身は広告がほとんど
そのなかにほんの数ページですが諸氏によるエッセイコーナーがあり、たまに目をとおします。

雑誌そのものは毎回すぐ処分してしまうので氏は不明ですが
本書は、そのエッセイの中で2008年のベストの一冊だと褒めちぎっていたものです。


著者は立川談志の弟子で平成9年に真打昇進した落語家、立川談春

競争厳しい立川一門で頭角をあらわしてきた人物だけにさすがの話術
競輪の選手になりたかったという中学時代のはなしから思わず引き込まれます。

全編をとおしてひしひしとつたわる師匠、立川談志への変わらぬ熱きまなざし
後輩の志らくに対するあからさまな嫉妬心
まさに映像を見ているかのような立川一門の日常の描写
実にうまいです。

一方で談志(イエモト)に対し“揺らぐ人”と評するあたり
そういえば以前BSハイヴィジョンで立川談志の特集をみましたが
実に的を射た表現だと思います。
憧れであるはずの談志(イエモト)に対する評価も実に冷静そのもの
著者の鋭い観察眼を感じずにはいられません。
ちなみに最近はその“揺らぎ”が左右から前後にかわってきたとのことですが・・・。

落語と師匠への“愛”に突き進むあまり
読み手が置いていかれるのかなと心配するまもなく
あっという間に読めてしまう
硬軟の按配も実に見事で、飽きさせません。

この年末年始の手ごろな読み物としてオススメの一冊です。