4月7日(木)
3月市議会の報告です。
3月27日の本会議で、維新、自民、公明、政友の多数で「箕面市立病院に指定管理者制度を導入する条例改正案」を可決しました。
日本共産党と市民派クラブの5人は反対しました。
名手宏樹が行った反対討論をお知らせします。
日本共産党の名手宏樹でございます。
第34号議案「箕面市病院事業の設置等に関する 条例改正の件」に反対し、以下、その理由を述べます。
地方自治体の役割は、国の圧力に負けず、地域の医療体制を拡充すること
本条例改正は、箕面市立病院の運営に指定管理者 制度を導入し、他の民間病院と統廃合させ、公設置 民運営にするというものです。 政府・国は、地域医療構想の名で公立公的病院の統廃合、病床削減を進めてきました。その一方でコ ロナ禍の下で公立公的病院の果たす重要な役割が指摘され、一部では一律な統廃合ではなく、病床連携での経営強化の選択肢も示されるようになりました。 住民福祉の増進を進める地方自治体の役割は、公立病院の統廃合による病床削減の撤回を求め、国のこうした圧力に負けず、地域の医療体制を拡充することにあります。
地域医療構想に基づき、箕面市立病院の民 間運営の誘導
しかし、大阪府と箕面市では、国のこの地域医療構想の方針を進んで進めようとしています。 2022年1月の第4回審議会では、2025年 に必要な病床数は、急性期、回復期リハ、慢性期ともに不足、急性期も219床不足と赤枠で示していました。しかし、その後、2023年2月の基本構 想では、急性期は24床の過剰と修正しました。しかし、箕面市の基本構想でも、府の医療計画の変更 は2017年6月、5年前に行われていたとしています。報告病床数も21年7月には既に変更されていました。直近の報告数が反映されていなかったとしましたが、新市立病院の病床の規模を大きくするときには不足とし、規模を350床と決めてからは 再編統合するために今度は過剰としていたのではな いかと考えられます。特別委員会で審議会の委員に説明したのかという質問に対しては、「特別説明はしていない、議論の根幹に関わるものではない」との答弁をされました。病床が不足か過剰か、本当に過剰かのこの議論は、病院建設の根幹に当たる議論だと考えます。 また、市立病院の移転建て替えを決めた2017 年12月議会でも、病床数は現行の317床を想定し、「現地建て替え、移転建て替えともにコスト面等において差がない」としていたのに、船場東への移転を決めた後、2021年6月の第3回審議会では、「移転建て替えではリハビリ病床の50床はつくれない、267床にならざるを得ない」として、22年1月、市議会の特別委員会では、私たちの追求で「現地建て替えなら317床が維持できた」ことも明らかになりましたが、「既に決めたからと、その選択肢はない」と再検討さえしませんでした。 この間の流れは、船場東への移転と民間病院との統廃合で、指定管理者制度の導入へ、国の病床削減 に沿った地域医療構想に基づき、箕面市立病院の民 間運営の誘導と言わざるを得ません。
医療圏では病床は削減、指定管理者制度の導入で運営は民間運営に
地域医療構想 に基づく箕面市立病院での民間病院との統廃合では、たとえ箕面市では病床数が増えたとしても、豊能医療圏では病床削減が進むことになります。豊能医療圏全体は、病床数も医療の体制もそのものが縮小していくということです。 市立病院の民間法人との統廃合と指定管理者制度の導入の方針について、今議会にも様々な市民から 要望書や意見書が出されてきました。公立病院として整備としていますけれども、指定管理者制度の導入では運営は民間運営になることもはっきりしました。
不採算の医療が縮小され、切り捨てられないのか
約3億円の国の交付金は盛り込まれますが、民間運営では難病、障害、小児、救急医療など不採算の医療が縮小され、切り捨てられないのか、不安の声が引き続き寄せられています。今、市立病院で治療されている難病の方は主張されていました。「難病患者の医療が断られることが多い中、箕面市立病院の障害者医療で、産婦人科、骨粗鬆症外来などで常にお世話になっている。公立病 院の役割は、どんな状態の人にも等しく医療を提供 し、医療を行うこと、これはゆるがせにはできない」と。「市の中心にそんな病院があることで障害や難病 の市民も安心して生活ができるのです。その病院の運営が効率化、合理化が重視されれば、民間病院の 運営の効率とは真逆にいる難病患者の障害のある人が適切に治療が受けられることができるのだろうかと、とても危惧しています。不安な気持ちしかありません」と。「どんな人でも治療が受けられる権利を確保するためには、開かれた運営の公立直営の病院でないと厳しいのではないかと思っています」と。こうした患者さんの医療をしっかりと市立病院で将来にわたって守っていただきたいと思います。
5年、6年で指定管理者は変質、管理統制が働くのか
市立病院の整備審議会の複数の審議委員の意見でも、「5年、6年で指定管理者は変質、管理統制が働くのか」、「命を守る理念や担保の確立が必要である」こと、「指定管理者制度はベストな選択肢ではない」など 様々な意見が出されてきました。また、第三者評価 委員会について、「頻回に第三者評価を入れて財政面、 医療の質、職員の働きやすい職場など監視すべき」、「 働きやすい職場でこそ患者さんのためになる」などの 意見が述べられています。年2回程度の評価委員会では頻回とは言えません。
現地建て替えなら現在の317床で建て替えができる
民間運営には反対が多数の声
私たち日本共産党市会議員団は、現地建て替えな ら現在の317床で建て替えができることを示して、 国が新たに示した病床連携で市直営の現地建て替えでの建設と運営を求めてきました。昨年12月のタウンミーティング、今年1月23日まで取り組まれたパブリックコメントの賛否の声では、特別委員会の答弁でも、「指定管理に反対が4割、現地建て替えを求めるものが4割」など、ほとんどが指定管 理者制度の導入、民間運営には反対であるという意見の中身でした。 また、市民団体が独自に行ったアンケートでも委託すべきではないという声が87%と多数で、現在の職員が分限解雇扱いになり、民間職員に変わることを知らない方も半分もいらっしゃいます。公設公営、市直営の市立病院を守ってほしいとの思いが切々とアンケートには書かれていました。 また、新たな市立病院は民間の運営で、職員は民間職員になることも市民の多くには理解されていません。
現職員なくして医療の維持向上はできない
最善の方法は指定管理者制度を回避すること
さらに、今議会には様々な陳情も寄せられ、 様々な団体から公営、直営を守ってほしいとの要望が寄せられました。「移転後の医療機関を維持向上させるためには現職員なくして達成はできません。」「現職員の技術と継承、新たな医療への対応のモチベー ションは箕面市の財産です。」「災害、新感染症に行政と連携して迅速に対応するために公設公営であるべきだ」と、「住民の安心・安全を維持するための最善の方法は指定管理者制度を回避することである」とまで要望されています。 市立病院の職員組合との協議は継続中です。今も市立病院職員は指定管理者制度に対して不安を抱えたまま医療に従事されています。指定管理者制度の導入を中止して、引き続き市民にも職員にも丁寧な説明を行い、要望に応えるべきです。さもなければ 職員の離職が増え、医療機能が維持できるのかが懸念されています。
よって、指定管理者制度の導入を決める本条例は撤回すべきだと考えます。その上で採決を進めるというなら反対であると意見を表明して、本条例改正 への反対討論、反対意見とさせていただきます。