30年ほど前まで天体望遠鏡用の接眼鏡(アイピース)は、鏡胴の直径が24.5mmのいわゆるツァイスサイズが主流でした。
1990年台ごろから、徐々に鏡胴の直径が31.75mm(=1.25インチ)のアメリカンサイズと呼ばれる接眼鏡が多くなり、最近ではツァイスサイズの接眼鏡をほとんど見かけなくなりました。
新旧の接眼鏡です。

前列の左から。1964年(昭和39年)に100円で買ったプリンス光学ラムスデン20mm(略号R20mm)。その隣は五藤光学オルソ12.5mm(略号Or12.5mm)、高橋製作所オルソ18mm(略号Or18mm)、以上の3本は鏡胴径が24.5mmのツァイスサイズ。
前列右の太い接眼鏡は、五藤光学ケルナー40mm(略号K40mm、ネジ径36.5mmピッチ0.75mm)、高橋製作所オルソ40mm(略号Or40mm、ネジ径43.0mmピッチ0.75mm)です。
後列の左は鏡胴径が31.75mm(アメリカンサイズ)のペンタックスXW10mm、後列の右は鏡胴径50.75mm(2インチサイズ)のナグラー22mmです。
マイクロメーターでツァイスサイズの鏡胴径を測定すると、五藤光学は24.48mm、高橋製作所は24.43mmでした。(焦点距離が異なる複数の鏡胴径を測定しても同じ値でした)
ツァイスサイズの接眼鏡が徐々に使われなくなった理由は、次の2点でしょうか。
① 接眼鏡を覗く際の眼球位置から接眼レンズまでの距離(アイレリーフ)が短い設計で、覗きにくいこと。
ツァイスサイズのオルソ接眼鏡のアイレリーフは焦点距離の半分70%〜80%ほど。Or12.5mmだとアイレリーフは僅か6mm9mmほどです。眼を接眼レンズから9mm以上離すと視野周辺部が見られなくなります。
ペンタックスXW10mmのアイレリーフは20mmもあり、眼鏡を使用しても視野全体が見られます。
② 見える視界が狭いこと。
ツァイスサイズのオルソ接眼鏡の見かけ視界は40度〜50度。
ペンタックスXW10mmでは70度、ナグラー22mmでは82度です。つまり、同じ倍率(同じ焦点距離)であってもオルソタイプの接眼鏡に比べ、ナグラーでは視野の約2倍、面積でいうと約4倍の視野の広さが得られます。
とは、いいながらも、最近の接眼鏡は重く、構成レンズ枚数も多いことから高価です。
また、火星・木星・土星などの惑星を詳しく観察する場合は、広い視界である必要はなく、中心部の像のシャープさやコントラストがいいことが重視されます。
そこで、軽くて安価なツァイスサイズの古い接眼鏡が再評価され始め、一部の望遠鏡販売店ではいまだに販売され続けています。
アメリカンサイズとツァイスサイズの変換アダプターは1500円ほどで市販されていますが、双眼装置にも使えるように接眼鏡位置を微調整できるアダプターを自作することにしました。

材料は、手持ちのアルミパイプに適当な部材がなかったことから、 MCナイロン901という材質の外径51.7mm、内径22.6mmの青いパイプをジャンク箱から取り出して旋盤加工します。

完成した2個の変換アダプターです。3本のネジは双眼視の平行度微調整用。
望遠鏡への差し込み径は31.75mmのいわゆるアメリカンサイズです。

双眼装置に取り付け、土星を観察中です。
変換アダプターが完成したのは9月21日(水)。
その日の夜、保有している10数本のツァイスサイズの接眼鏡を取っ替え引っ替えし、口径15cm屈折で土星・木星・火星を詳しく観察し、視野中心部の見え味を確認してみました。
レンズコーティングしていないプリンス光学R20mmの見え味が意外といいことに驚きました。
古典的な接眼鏡とされるミッテンズェーハイゲン9mm(略号MH9mmあるいはHM9mm)もいい見え味です。
高級とされるオルソタイプの接眼鏡よりもK12mmの方がコントラストがやや高いことも驚きでした。
双眼視用には同じ接眼鏡が2個必要なのですが、ツァイスサイズの同じ種類の接眼鏡を2個所有しているのはOr18mmだけなのが残念。高倍率用の6mm~9mm程度のツァイスサイズ接眼鏡を2個だけ購入しようかどうか思案中です。(笑)
9月21日は大気の揺らぎが少なめで、ツァイスサイズの接眼鏡を再評価できるいいコンデションでした。
気がつけば、自宅屋上で21日19時過ぎから翌22日3時まで長時間の星見をしていました。
驚くほど木星や火星の表面模様が見えて眼視は楽しいです。
1990年台ごろから、徐々に鏡胴の直径が31.75mm(=1.25インチ)のアメリカンサイズと呼ばれる接眼鏡が多くなり、最近ではツァイスサイズの接眼鏡をほとんど見かけなくなりました。
新旧の接眼鏡です。

前列の左から。1964年(昭和39年)に100円で買ったプリンス光学ラムスデン20mm(略号R20mm)。その隣は五藤光学オルソ12.5mm(略号Or12.5mm)、高橋製作所オルソ18mm(略号Or18mm)、以上の3本は鏡胴径が24.5mmのツァイスサイズ。
前列右の太い接眼鏡は、五藤光学ケルナー40mm(略号K40mm、ネジ径36.5mmピッチ0.75mm)、高橋製作所オルソ40mm(略号Or40mm、ネジ径43.0mmピッチ0.75mm)です。
後列の左は鏡胴径が31.75mm(アメリカンサイズ)のペンタックスXW10mm、後列の右は鏡胴径50.75mm(2インチサイズ)のナグラー22mmです。
マイクロメーターでツァイスサイズの鏡胴径を測定すると、五藤光学は24.48mm、高橋製作所は24.43mmでした。(焦点距離が異なる複数の鏡胴径を測定しても同じ値でした)
ツァイスサイズの接眼鏡が徐々に使われなくなった理由は、次の2点でしょうか。
① 接眼鏡を覗く際の眼球位置から接眼レンズまでの距離(アイレリーフ)が短い設計で、覗きにくいこと。
ツァイスサイズのオルソ接眼鏡のアイレリーフは焦点距離の
ペンタックスXW10mmのアイレリーフは20mmもあり、眼鏡を使用しても視野全体が見られます。
② 見える視界が狭いこと。
ツァイスサイズのオルソ接眼鏡の見かけ視界は40度〜50度。
ペンタックスXW10mmでは70度、ナグラー22mmでは82度です。つまり、同じ倍率(同じ焦点距離)であってもオルソタイプの接眼鏡に比べ、ナグラーでは視野の約2倍、面積でいうと約4倍の視野の広さが得られます。
とは、いいながらも、最近の接眼鏡は重く、構成レンズ枚数も多いことから高価です。
また、火星・木星・土星などの惑星を詳しく観察する場合は、広い視界である必要はなく、中心部の像のシャープさやコントラストがいいことが重視されます。
そこで、軽くて安価なツァイスサイズの古い接眼鏡が再評価され始め、一部の望遠鏡販売店ではいまだに販売され続けています。
アメリカンサイズとツァイスサイズの変換アダプターは1500円ほどで市販されていますが、双眼装置にも使えるように接眼鏡位置を微調整できるアダプターを自作することにしました。

材料は、手持ちのアルミパイプに適当な部材がなかったことから、 MCナイロン901という材質の外径51.7mm、内径22.6mmの青いパイプをジャンク箱から取り出して旋盤加工します。

完成した2個の変換アダプターです。3本のネジは双眼視の平行度微調整用。
望遠鏡への差し込み径は31.75mmのいわゆるアメリカンサイズです。

双眼装置に取り付け、土星を観察中です。
変換アダプターが完成したのは9月21日(水)。
その日の夜、保有している10数本のツァイスサイズの接眼鏡を取っ替え引っ替えし、口径15cm屈折で土星・木星・火星を詳しく観察し、視野中心部の見え味を確認してみました。
レンズコーティングしていないプリンス光学R20mmの見え味が意外といいことに驚きました。
古典的な接眼鏡とされるミッテンズェーハイゲン9mm(略号MH9mmあるいはHM9mm)もいい見え味です。
高級とされるオルソタイプの接眼鏡よりもK12mmの方がコントラストがやや高いことも驚きでした。
双眼視用には同じ接眼鏡が2個必要なのですが、ツァイスサイズの同じ種類の接眼鏡を2個所有しているのはOr18mmだけなのが残念。高倍率用の6mm~9mm程度のツァイスサイズ接眼鏡を2個だけ購入しようかどうか思案中です。(笑)
9月21日は大気の揺らぎが少なめで、ツァイスサイズの接眼鏡を再評価できるいいコンデションでした。
気がつけば、自宅屋上で21日19時過ぎから翌22日3時まで長時間の星見をしていました。
驚くほど木星や火星の表面模様が見えて眼視は楽しいです。
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