★星空日記コリメート風goo★

星や旅などの話題を「ひらい」が札幌から発信。2010年開設。2022年7月にteacupからgooへ引越しました。

スピカ望遠鏡の双眼計画(太陽フィルター)

2023-07-31 06:00:00 | 双眼鏡・双眼望遠鏡
 2023年6月27日のブログ記事 【 スピカ望遠鏡の双眼計画その2 】からの続きです。

 6月下旬に完成した双眼スピカ望遠鏡を横山さんへ引き渡す際、太陽専用の減光フィルターを使い、太陽を見てもらいました。

 双眼スピカ望遠鏡の先端に、減光フィルターをマスキングテープ(マステ)で仮止めしています。
 この減光フィルターは口径10cm屈折望遠鏡用です。私が常時使っていることからお貸しする訳にもいかず、スピカ専用太陽フィルター部品の製作を引き受けました。

 スピカ望遠鏡の筒先の直径は45mm。そこに被せる何か適当なものがないかと探してみると、市販の缶コーヒーが寸法的に合うようです。


 90円の缶コーヒーを2本買い、飲み干してから筒先に直径42mm、筒底に46mmの穴を開けます。
 左の缶コーヒーは、ソーラーフィルムを貼る筒先部分に直径42mmの穴を開けるためのヤスリがけ前の状態です。
 右の缶コーヒーは、スピカ望遠鏡の筒先より1mm大きめの直径46mmになるようヤスリで仕上げ済みです。

 所定の穴が開け終わったら、スペーサーをコーヒー缶の内部に貼り、鏡筒外径に合うようにします。


 7月上旬、加工済みの缶コーヒーを依頼主の横山さんに手渡しました。
 横山さんがソーラーフィルムをマステで貼り付けて完成です。ちょっとシワシワですねー。(笑)


 さっそく、双眼スピカちゃんにソーラーフィルターを装着し太陽観望。

 双眼視するための必須作業「鏡筒の平行調整」は、XYの2軸方式でとても調整しやすいですと横山さんは語っていました。
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スピカ望遠鏡の双眼計画その2

2023-06-27 06:00:00 | 双眼鏡・双眼望遠鏡
 前回のブログ記事 【 スピカ望遠鏡の双眼計画その1 】からの続きです。


 スピカ望遠鏡を双眼にするための部品が6月下旬に完成しました。

 金色の金属片6枚は、鏡筒補強用の0.5mm厚の真鍮板で、ボール紙製の鏡筒の平行調整ネジが当たる部分に貼ります。
 下のカラフルな4枚のプラスチック板は目幅微調整用のシムです。詳細は後述。
 


 双眼部品を組み立てました。持ち運びしやすいよう取っ手を付けています。
 左目の鏡筒を固定式に、右目の鏡筒を平行調整できるように対物レンズ側はオーソドックスな120度おきの3点支持、接眼レンズ側は調整がしやすいようバネを使ったXY調整方式(2点調整方式)にしてあります。


 これまで平行度や目幅が合っていない多くの双眼望遠鏡を見てきたことから、双眼スタイルを希望した横山さんには、
 ①目幅の合わせ方 ②平行度の合わせ方 ③像の傾きの合わせ方 についてアドバイスしました。

 ①の目幅調整については、目幅固定方式を採用したので本来は調整が不要なのですが、遠方瞳孔間隔(PD)の測定誤差や、人間が誰でも持っている多少の斜視の影響などを考慮し、目幅を微調整できるシムを用意しました。双眼視に慣れてくると、目幅の僅かなズレが気になってくるはずです。
 初期値は眼鏡店が測定したYさんのPDになるよう3mm厚のアルミ板を介していますが、0.5mm単位で変更できるように厚さ0.5mmシム(黒色)・厚さ1.0mmシム(水色)・厚さ1.5mmシム(黄色)・厚さ2.0mmシム(緑色)の4枚を用意しました。このシムは住宅建設用の万能パッキンを流用しています。

 ②の平行度調整については、特徴のある対象物をスピカ双眼鏡の視野内に導入し、平行視に慣れていない初心者は接眼鏡の見口から20cm以上目を離して覗きます。遠方を見るような感じで覗くと左右の像が一致しないことが殆どなので、右眼の平行調整ネジで一致するよう調整します。平行視に慣れてくると、接眼鏡の見口から目を離さずに調整できるようになります。
 なお、上下の調整は比較的簡単です。左右の目は上下の像のズレに敏感だからです。それに対し、左右のズレには鈍感です。なぜなら、目には輻輳という自然な動きがあり、近いものを見るときには自然に左右の目が寄り目になるからです。見口を遠くから見るようにすると輻輳が防げます。

 ③の像の倒れ調整については、天頂ミラーを併用するため、左右の天頂ミラーが同一平面上でないと、左右で像が傾く現象が発生します。そこで遠方の建物壁タイルやアンテナなどを覗き左右の傾きがないよう調整します。

 再度②と③の調整を繰り返して調整完了です。このように書くと難しいように感じるかもしれませんが、慣れると数分で調整が完了します。
 これくらいしないと、双眼鏡を長時間見るのは目に無理な緊張を強いてしまい、頭痛の原因になります。
 なお、①と②と③の調整は連動し、より正確な調整には時間と習熟が必要ですが、まずは試してみることが大事です。


 完成した双眼スピカ望遠鏡です。
 きちんと調整された双眼望遠鏡は、単眼よりも良く見えます。人間が眼球を2個持っていることの生理的なものが影響しているのでしょうね。
 特に、月や土星などは立体的に感じます。錯覚とはわかっていてもそう見えてしまうのが不思議です。横山さん、双眼ライフを楽しんでくださいね。


◆ 参 考 ◆
 日本産業規格(旧日本工業規格→2019年7月の法令改正で名称が変更)JIS B7121:2007 により、双眼鏡の平行度許容値が定められています。
 上下(光軸の上下発散)は角度の30分角、左右の寄り眼(光軸の左右収束)は角度の90分角、左右の開き眼(光軸の左右発散)は角度の30分角となっていて、これを使用倍率で割った直が許容値です。
 市販されている安価な双眼鏡を販売店で実際に覗いてみたところ、許容値どころか大幅にズレている製品が結構あることに驚かされます。よく調整された安価な双眼鏡は稀です。

 スピカ望遠鏡に付属している接眼鏡の12mmだと倍率は35倍を得られるので、上下の開き具合の許容誤差は僅か1分角以内(左右は3分角以内)という厳しい値となります。
 調整ベース長が80mmなので角度の1分角は約0.00029mmに相当します。この光軸調整をM3ネジ(ピッチ0.5mm)で行うため、
 360度×(0.00029/0.5)=0.2度 つまり、1分角の微調整だとM3ネジを0.2度ほどの微小角を回す繊細さが必要になります。調整ベース長をもっと長く取れば調整が楽なのですが、スピカ望遠鏡のシンプルさを優先させました。微調整、ちょっと難しいかもしれません。
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スピカ望遠鏡の双眼計画その1

2023-06-25 06:00:00 | 双眼鏡・双眼望遠鏡
 スピカ望遠鏡というのは「小学校高学年であれば失敗なしで工作することができます」と宣伝されている子供向け自作望遠鏡キットです。

 鏡筒はボール紙製ですが、対物レンズは口径40mm焦点距離420mmの2枚合わせアクロマートという無理のない設計の本格的なレンズなので、とても良く見えます。付属しているK12mmという接眼鏡で35倍が得られます。

 そんなスピカ望遠鏡を愛用している星仲間の横山さんから、双眼仕様にしたいという希望が2022年暮れごろ私に寄せられ、双眼スピカ計画がスタート。


 2セット購入したスピカ望遠鏡を持ってきてもらい、組み立てをしてもらいながらどのような双眼仕様にするか相談しました。

 スピカ望遠鏡のシンプルさを生かした双眼にしたいという横山さんの意向で、目幅変更機能を省き、横山さんの瞳孔間隔に合わせた固定方式で製作します。
 検討の結果、事前に用意していた4種類の設計プランのうち、双眼の平行調整方法が簡単でスピカ望遠鏡の外観を損ねないような設計案に決定。

 双眼化にあたり、厄介なのは2本の望遠鏡同士の平行調整機能です。少しでもずれると天体が二重に見えてしまいます。
 市販の安価な双眼鏡の一部に平行度がズレているものが散見されますが、少しでもズレた双眼鏡で長時間覗くと目や脳のほうで無理に左右の像を合致させてしまうので、頭痛がしたり最悪の場合は斜視の原因になります。

 スピカ望遠鏡の鏡筒はボール紙製で光軸が狂いやすいはず。使用の都度、平行調整機能が簡単にできる機能が必須と考えました。


 横山さんが鏡筒2本を組み立てるのに2時間半ほどかかりました。居間に同席していた母とお喋りしながらの組み立てだったので、時間が多目にかかったようです。私はその間、工作室で加工を開始。
 なお、天頂ミラーと鏡筒下に置いてある接眼鏡(Or7mm)2個は組立キットに入っておらず別売です。


 横山さんが組み立てたスピカ望遠鏡を預かり、工作室で金属加工を続けました。
 これから数日間はDIYが楽しめます。(笑)

 この続きは、次回のブログ記事 【 スピカ望遠鏡の双眼計画その2 】で。
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双眼で星空散歩2

2014-10-19 07:00:00 | 双眼鏡・双眼望遠鏡
 10月15日(水)に続き、10月18日(土)も双眼望遠鏡を持って新篠津村まで遠征してきました。

 前回は林さんが不在でした。今回はどうでしょうか。
 20時に林さんの観測所に到着すると、林さんは観測所に到着済みでした。

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 口径10cm双眼望遠鏡で星空散歩する様子を記念撮影。
 奥のほうにある観測所で林さんは撮影準備をしています。 

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 前回は対空型の広角ファインダーの取付金具が見当たらなかったため、ファインダーがない状態で10cm双眼望遠鏡を使用しましたが、取付金具が見つかったので、無事ファインダーの取り付けができました。

 様々な星雲星団を観望後、例によって固定コリメート撮影をしてみました。

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 アンドロメダ座の大星雲です。
 露出15秒、絞りF1.6、感度ISO3200、合成焦点距離560mm、22時19分に撮影。
 左側に線状のゴミみたいなものが写ってしまったので、もう一枚撮影しました。

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 1分後の22時20分に撮影。
 今度は中央やや下に写りました。軌道が大きい(遠い)人工衛星か地球に近づき高速で移動する小惑星ではないでしょうか。

 気温はちょうど0℃でした。


【10月19日10時:記事追加】
 18日の午後に東区の地区センターでバイオリンの合奏をしました。
 演奏曲は 「キラキラ星変奏曲」。文字通り、昼も夜もキラキラ星状態でした。(笑)
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双眼で星空散歩♪

2014-10-17 07:00:00 | 双眼鏡・双眼望遠鏡
 10月15日(水)の札幌は空がすっきりと晴れ上がり、夜になっても透明度抜群の星空が広がっていました。
 そこで、久し振りに双眼望遠鏡を持って郊外へ遠征することにしました。

 最近、実家屋上の15cm屈折望遠鏡を多用していましたが、【9月26日の新篠津村遠征】で林さん愛用の口径15cm双眼望遠鏡を見せてもらい、暗い空で双眼視をしたくなったのです。

 一緒に2台の双眼望遠鏡で星空散歩できたらと思い、林さんに連絡を取ると出張中との返事。
 しかたありません。単独で日高の山奥に行こうとしましたが、月が22時過ぎに昇ってくることがわかり、日高までの遠出を断念。林さんの観測所近くで見ることにしました。

 夕飯を食べてから自宅を出発し、機材が置いてある実家に到着したのが19時。
 機材を積み込むうち、ファインダーの取付金具がどうしても見つかりません。早く出発しないと月出の時刻になってしまいます。金具が見つからないまま実家を出発したのが20時少し前でした。

 15日20時40分に新篠津村に到着。
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 1996年に自作した10cmF6.4双眼望遠鏡を組み立て、道路わきで星空観望を開始。

 40年ほど前に購入したジッツオ三脚+マンフロットビデオ雲台に双眼望遠鏡を載せています。
 エレベーション機能付き三脚に対空型の接眼部を使用しているため、楽な姿勢で星空散歩ができます。
 上の画像は網状星雲を見ているところで、ナグラー22mm29倍2.8度が一番よく見えました。

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 網状星雲です。
 中央やや右側に写っている大きく淡い半円形の綿毛のようなものが網状星雲です。眼視でも明瞭に確認できます。
 上の画像は双眼望遠鏡にコンデジを取り付けてのコリメート固定撮影なので、10秒露出の間に日周運動で星が流れました。
 絞りF1.6、感度ISO3200、合成焦点距離800mm、21時43分に撮影。コントラストをかなり強めに画像補整済み。

 双眼望遠鏡は調整が難しい反面、単眼以上に星空の素晴らしさを満喫できます。

 著名な星雲星団を見ているうち、あっという間に1時間半が経過。気温は+1℃と冷え込みましたが、双眼視での星空散歩は実に楽しい!

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 22時20分ごろ、東の地平線から赤い下弦の月が顔を出しました。
 久しぶりの双眼観望を22時40分に終了。

 おまけの画像です。
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 10cm双眼望遠鏡本体(右上)と双眼望遠鏡用に作った【口径26mm・倍率3.3倍・視野19度の対空式ファインダー】(左下)です。
 ファインダーを双眼望遠鏡に取り付けるための金具、どこに仕舞ったか思い出せません。
コメント (2)
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