★星空日記コリメート風goo★

星や旅などの話題を「ひらい」が札幌から発信。2010年開設。2022年7月にteacupからgooへ引越しました。

自宅屋上に設置した観測室18年の歩み

2022-01-27 06:00:00 | 観測室の改修
 2004年に自宅を新築した際、屋上に観測室を作りました。

 なお、1985年に札幌市南区の郊外に建設した 【 滝野観測所 】は、自宅屋上に観測室を作った2004年に知人へ無償譲渡しています。

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 2004年6月、外壁が張られていない状態の建築中の観測室です。数日後に外壁としてガリバリウム鋼板を張っています。
 外壁を張るところまでは住宅工事を依頼した工務店の仕事で、観測室の屋根は別に発注していました。

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 2004年6月19日、別発注していた観測室の屋根が到着。
 画像の左下に美唄市の工場で作ってもらった開閉式屋根(スライディングルーフ)が小さく写っています。
 これから大型クレーンで観測室屋根を吊り上げます。右上が建設中の自宅です。

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 クレーンで屋根を吊り上げ、ゆっくり建物へ。
 半そでの後姿は、このスライディングルーフを設計し施工してくれたSさんです。Sさんは2020年9月に星の世界へ旅立たれました。ご冥福をお祈りします。

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 1時間後、屋根を建物の躯体に固定し観測室が完成。
 木造2階建ての屋根の上に作った南北2.7m×東西2.0m(壁の内寸は2.56m×1.84m)という3畳間ほどの狭い観測室です。
 屋根は2分割で東西方向に開きます。


 2012年ごろまでビクセン製アトラクス赤道儀に搭載した口径10cm屈折望遠鏡を観測室内部に置き、星を見ていました。
 木造住宅の床上に三脚を直接置いただけなので、観測室内を歩くと望遠鏡が揺れます。観測室を作って8年ほどこのスタイルで星見をしていました。
 望遠鏡の下には将来設置予定の支柱を覆う蓋が写っています。三脚の石突きの下は灰皿です。(笑)


 観測室内部からだと、スライディングルーフを開けても地平線近くの視界が妨げられるため、望遠鏡を屋上デッキに持ち出し使うこともありました。
 なお、デッキは住宅新築時に工務店に作ってもらっています。


 2012年3月、観測室手直しの第一弾として、床を25cm高くする嵩上げ工事を行いました。

 2012年9月、タカハシ製TOA150B屈折望遠鏡の鏡筒を購入。

 2012年10月、宇治天体精機製の中古赤道儀30D型を購入。

 2013年3月、口径40cmカセグレン式反射望遠鏡の光学系研磨を知人の夢作さんに依頼。

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 2013年9月、地下埋設のコンクリート基礎から鉄管を5本繋いで望遠鏡用の支柱を設置。
 コンクリート基礎は住宅新築の際、将来のために敷設しておいたものです。
 鉄管1本の長さは1.1mで総延長は5.5mです。

 2014年8月、 【 全自作の昇降式支柱 】を設置しました。
   
 一番縮めて撮影 31230700RS    最大限伸ばして撮影 3120699RS
 可動距離は60cmです。
 これで、開閉式屋根による望遠鏡の死角をかなり減らせることになりました。

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 2014年8月22日、昇降式支柱に宇治天体精機製の30D赤道儀を載せ、タカハシ製TOA150B屈折望遠鏡を同架。

 2014年8月、口径40cmカセグレン光学系一式を夢作さんから受領。
 以降、口径40cm反射鏡筒の設計と加工を開始。

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 2019年8月、住宅外壁を再塗装した際、劣化した屋上デッキを取り去り、人工木材で屋上デッキを自作しました。


 2020年7月5日、光学系以外を全て自作した口径40cm反射望遠鏡を30D赤道儀に同架。

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 2022年1月18日、口径40cm反射望遠鏡の改良作業が終わりました。

 18年に及んだ観測室の大規模改良はこれで多分(?)終了です。


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観測室内で痛い思いをしないために

2019-07-28 06:00:00 | 観測室の改修
 自宅屋上に設置した観測室の壁や床には、ちょっとした突起物があり、たまに頭や足をぶつけるなど痛い思いをすることがあります。

 安全にするための改善を7月27日(土)に行いました。

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 まず、観測室から屋上デッキへの出入り口ドアの上部に、黄色のクッション材2本を張り付けました。
 開口部の高さは90cm、幅は55cmと狭く、時々頭をぶつけていました。


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 居間から観測室へ昇る階段の天井には、2分割の開閉式天板(観測室からみると開閉式の床)があり、観測室に入ることができます。

 なお、天板の大きさは68cm×95cmで、開口部の大きさは62cm×184cmです。
 画像中央に写っている北東の天板は、通常閉めたままです。大きなものを搬入するときだけ開けるようにしています。

 星見をする場合は、跳ね上げたままの南東の天板 (画像右下) の開口部から入室し、入室後は天板を閉めて下の階段への落下を防ぎます。

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 危険なのは東側の壁に取り付けた2個のフック (画像の左と右) です。壁から4.5cmほど出っ張っています。

 このフックは2分割した天板を跳ね上げて固定するときに使いますが、これまで何回か体をフックに引っかけたことがありました。

 なお、奥のフックは、額縁に入った絵を掲げるフックとしても使っています。


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 フックの周囲をクッション材で覆うため、額縁を観測室下の階段踊り場へ移動させました。

 観測室の屋根を開けた際、風が強い日は額縁が揺れたりぶつかる音が気になっていましたが、額縁を階段側へ移すことで揺れなくなります。

 また、太陽や金星観望をする際、絵に直射日光が当たり日焼けが気になっていましたが、それも解消する一石二鳥の移動です。

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 額縁には当時小学校2年生のSちゃんから戴いた絵を入れています。

 絵には、木星・天の川・火星・ふたご座・土星が描かれています。
 上段には 「平井さんへ いつもありがとう」 と色鉛筆で書いてくれました。
 下段には、私とSちゃんと望遠鏡が描かれています。

 私の宝物です。屋上に行く際は、絵を見てから昇ることができます。


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 新たにフックの周囲に張ったクッション材です。


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 天板を開閉するための蝶番です。
 床から2.5cmも飛び出ていて、暗闇で足をぶつけると痛いの何のって。

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 天板の開閉に支障がない位置にクッション材を張り付けました。

 まだ他にもクッション材を考慮する箇所がありますが、7月27日(土)の作業はこれで終了です。
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至福のひとときをDENで

2017-09-21 06:00:00 | 観測室の改修
 実家の屋上にスライディングルーフ (屋根が開閉可能な小部屋) を作った際、実家新築の設計と施工管理をお願いしたデザイナーさんから 「ひらいさんのDENですね。」 と言われ、初めてDENという言葉を知りました。

 DENというのは、本来は野獣のねぐらを指す言葉らしいのですが、建設業界では趣味を楽しむための小部屋、小さな書斎などを指すようです。

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 昼間に屋根を開け、好きな音楽を聞き、コーヒーを嗜み、読書を楽しんだり、至福のひとときが過ごせます。

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 昼間は金星を見ながらコーヒー。夜はお酒を飲みながら星見三昧もできます。
 なお、お酒を飲み過ぎると星を見ながら寝てしまうので注意が必要です。(笑)
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観測室の気流改善2

2015-04-01 07:00:00 | 観測室の改修
 望遠鏡の支柱を昇降式にする前は、屋根を閉じたままの観測室内の気温は外気温よりも平均して4℃ほど高い状態でした。

 望遠鏡と外気温がほぼ同じでないと見え味が悪くなります。
 4℃程度の温度差であれば、屋根を開け口径15cmの望遠鏡を外気温に30分ほど馴染ませれば、望遠鏡本来の性能が発揮できていました。

 ところが、2014年9月に昇降式支柱を完成させてからは、温度差が平均して9℃ほど高い状態になってしまいました。
 必然的に望遠鏡が外気温近くなるまで時間がかかるようになってしまったのです。

 また、支柱の隙間から昇る気流が対物レンズ前を通るようで、星像に悪影響を及ぼしていました。

 観測室の下から漏れてくる暖気上昇気流を防止するため、支柱開口部を塞いだのは3月16日。
 その様子は【 観測室の気流改善1 】 に書きました。

 開口部を塞いだ3日後の3月19日の夜、開口部を塞いだ効果を検証してみると、屋根を締めきったままの室内温度は外気温よりも4℃高いだけでした。

 さらに観測室内気流の低減を図るため、3月30日に支柱外筒と内筒の隙間を布切れで覆うことにしました。

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 隙間を覆う前です。

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 黒い布切れで外筒と内筒の隙間を覆いました。
 当初は板で覆う予定でしたが、製作が難しかったので取り合えず簡単な方法にしました。

 これで以前とほぼ同様の穏やかな室内気流に戻りました。
 一般木造住宅の屋上に設置した望遠鏡なので、階下の人間の動きや風の影響で多少の微振動がありますが、お気軽に星見ができる環境を大事にしたいと思います。
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観測室の気流改善1

2015-03-17 07:00:00 | 観測室の改修
 2015年3月14日に開催された平成26年度天文指導員閉講式と懇親会が終わってから実家に行くと、木星が綺麗に見え始めました。

 実家屋上の望遠鏡でしばらく木星を眼視で楽しんでから撮影もしてみました。
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 2015年3月15日0時43分から49分までに撮影した静止画19枚をコンポジット(スタック)後にアンシャープマスク処理+RGB補整。右端は衛星のイオ。
 口径15cmF7.3屈折、ED1.5×エクステンダー、5mm接眼鏡、コンデジLX7によるコリメート撮影。

 扇風機を使い赤道儀の下部に風を当てても、階下から立ち昇る気流の影響が残り、やや甘い木星像になりました。
 2015年3月9日のブログ記事 【 扇風機と望遠鏡 】 に書いたように、階下の暖気が昇降式支柱の隙間を通り、望遠鏡の見え味を悪くしているのです。


 そこで、観測室下からの上昇気流を少なくするため、3月16日に改善を行いました。

 まず、支柱下側の開口部を塞ぎます。
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 改善前の様子です。
 開口部の下から立ち昇る微弱な気流が感じられます。
 なお、支柱は外径216.3mm、厚さ5.8mmの構造用鋼管を15mm厚鉄板に溶接したものです。点検用横窓の蓋を取り去って撮影。

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 断熱材の下地として薄い木板を固定。
 
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 断熱用のグラスウールを敷き、階下から立ち昇る気流をシャットアウト。
 なお、撮影後に点検用の蓋を閉めたので、他から空気の流入はありません。


 次に、支柱と観測室床の隙間をなくしました。
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 改善前です。

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 改善後。
 少し分かりにくいですが、小さく切ったカーペットを隙間に挟みました。

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 最後は、昇降式支柱の外筒と内筒の隙間を覆います。

 隙間の形状が複雑なうえに、内筒が上下動するので、覆う板の製作には時間がかかります。
 この続きは近日中にブログアップする 【 観測室の気流改善2 】 に書く予定です。
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