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★星空日記コリメート風goo★

星や旅などの話題を「ひらい」が札幌から発信。2010年開設。2025年7月に「はてなブログ」へ引越し予定。

口径25cmドールキルハム望遠鏡(光軸修正の準備)

2024-12-26 06:00:00 | 25cmドールキルハム望遠鏡
 12月5日のブログ記事 【 口径25cmドールキルハム望遠鏡(全体組立て) 】からの続きです。

 副鏡(凸面鏡)と斜鏡に光軸修正用のマーキングシールを貼ります。


 副鏡と副鏡セルの構成部品です。高校後輩の三浦さんの協力で1979年に加工した部品です。
 副鏡は直径74mm、厚さ13mm、有効径72mm、球面曲率半径600mm、1975年に知人の田口さんが光学研磨したもの。右端はM42ヘリコイドリングで焦点位置の大幅な変更に用います。


 グラフ用紙の中心に10mm角の穴を開けたものを利用し、外径8.5mm内径4.5mmの黒いパッチを副鏡の中心に貼ります。このパッチはシステム手帳用の透明パッチを自分で黒く塗ったものを使用。
 非球面度が強いカセグレン式の副鏡に比べ、ドールキルハム式の副鏡は球面なので、中心位置の精度は比較的に寛容です。1mmぐらいズレても問題ありませんが、なるべく中心に貼ります。


 斜鏡セルは副鏡セルと同様に三浦さんの協力で加工した部品です。斜鏡の短径は53mm、厚さ9mm、田口さんによる研磨です。

 主鏡・副鏡・斜鏡のアルミ蒸着メッキを当時の松崎真空皮膜(現在はジオマテック)に依頼したのは1975年7月のことでした。保護コートのお陰でメッキの劣化は肉眼だと殆ど感じられません。(機械で反射率を測定すると結構落ちているのかもしれませんが)


 グラフ用紙を楕円形に切り、中心部にパッチを貼ります。

 次に光軸調整用ネジを加工します。

 引きネジ(左)のキャップ下部を斜めに削り、押しネジの先端を球面に削りました。


 副鏡セルの光軸調整には当初、引きネジ3本と押しネジ3本を組み込む予定で加工していました。

 光軸修正後の狂いを軽減するため押しネジ3本を6本に変更します。

 M8タップで押しネジ用のネジ切りしています。部材は万力で固定しています。

 次回のブログ記事 【 口径25cmドールキルハム望遠鏡(副鏡と斜鏡の光軸修正) 】に続きます。

口径25cmドールキルハム望遠鏡(全体組立て)

2024-12-05 02:00:00 | 25cmドールキルハム望遠鏡
 前回のブログ記事 【 口径25cmドールキルハム望遠鏡(主鏡セル取付け時の安全部品) 】からの続きです。

 鏡筒部がほぼ完成し11月24日(日)に車庫で組立てをしました。その際、知人のNさんが組立ての様子を見学したいと来宅。


 2016年4月に購入したAZEQ6赤道儀を組立てし、経緯台モードにします。この赤道儀は8年間使用しないまま車庫で眠っていました。
 なお、掲載した画像は全てNさん提供です。上の画像は床に置いていた重さが5kgのバランスウェイトをよっこらしょと持つ際に激写?されました。


 口径25cm鏡筒を載せています。主鏡セル・接眼部・ファインダーを付けていない鏡筒の重量は約7kgです。鏡筒に付けた取っ手を持って架台のアリミゾに入れます。


 車載ベッド作成時に使ったコンパネ材の端材で作った保管ケースから主鏡セルを取り出します。


 主鏡を含めた重さ6.7kgの主鏡セルを鏡筒に取り付ける際、安全部品2個の隙間に主鏡セルの鍔を差し込むようにして落下を防いでいます。安全部品が功を奏し1人でも安全に取り付けできました。
 主鏡セルの取付け後に接眼部とファインダーを取付けします。


 防寒着を脱ぎ記念撮影してもらいました。
 天頂方向に望遠鏡を向けても椅子に座ったまま楽な姿勢で接眼鏡が覗け、対空正立ファインダーも顔を少し動かすだけで覗けます。左下に写っているのは主鏡セルの保管ケース。
 鏡筒全体の重量は約16kg、AZEQ6赤道儀本体は15.4kg、バランスウェイト5kg×2個、三脚7.5kg、総重量50kgほどです。


 取扱説明書を読みながらコントローラーを使い電動駆動できることも確認。8年前に赤道儀を購入し初めて通電しました。(笑)
 左下に写っているAZEQ6赤道儀格納ケースは赤道儀モードの極軸緯度が40度ぐらいの状態で収納できるようクッション材の型取りがされています。
 私は経緯台モードでしか使用しないため、経緯台のままケースに収められるようクッション材の一部をナイフで削ってしまいました。

 過去の製作メモから鏡面と鏡筒の製作過程を抜粋して書いておきます。
1974.08.25 近所に住む田口さんに口径25cm〜30cmクラスの望遠鏡について相談
1974.09.23 ドールキルハム光学系の望遠鏡に決定
1974.10.22 光洋に注文していたパイレックス材(直径253mm厚さ45mm)が届く
1974.10.23 田口さんにパイレックス材を届け研磨を依頼
1975.01.01 80番砂ずり完了
1975.01.18 ピッチ磨き開始(途中でピッチ盤の腰折れやクラック発生で砂ズリに戻る)
1975.04.16 艶出し完了し最終整形を開始
1975.06.08 主鏡・副鏡・斜鏡が完成し田口さんから受領
1975.07.09 松崎真空皮膜(現在はジオマテック)からアルミメッキされた鏡面を受領
      (鏡筒設計に難儀し3年半が経過)
1979.01.07 三浦さんの協力により北海道大学工学部で斜鏡セルの旋盤加工(3月11日にも旋盤加工)
1979.01.13 鏡筒補強リング用のアルミ鋳物を北海道機械整備から受領(鋳物製作は品田砲金)
1979.02.15 札幌市南区にある機械整備工場の協力により鏡筒補強リングを旋盤加工
1979.03.07 町田鉄工所に鏡筒用1.5mm厚のアルミ板を円筒加工してもらい受領
1979    アルミ溶接講師をしていた80歳台の職人さんに鏡筒のアルゴンガス溶接を依頼
1979    福屋塗装店で鏡筒のメラミン焼き付け塗装
1980    鏡筒部が完成したものの架台の製作に苦悩し製作中断

2011    ミード製フォーク架台に鏡筒を載せることを検討したが途中で断念

2024.11.24 AZEQ6赤道儀を経緯台モードで鏡筒を載せ望遠鏡の組立て完了

 光学系の完成から実に49年もの歳月が経ってしまいましたが、ようやく完成しました。完成した翌日の11月25日(月)に研磨していただいた田口さんに電話し、完成の報告と遅くなったお詫びをお伝えしました。


  2024年11月24日(日)にようやく完成したものの、札幌は冬型の気圧配置が続き天候が思わしくありません。光軸修正や実視テストはアラスカから帰国後にします。

 2024年12月26日の記事 【 口径25cmドールキルハム望遠鏡(光軸修正の準備) 】に続きます。

口径25cmドールキルハム望遠鏡(主鏡セル取付け時の安全部品)

2024-12-03 06:00:00 | 25cmドールキルハム望遠鏡
 前回のブログ記事 【 口径25cmドールキルハム望遠鏡(ファインダーの鏡筒取り付け) 】からの続きです。

 ドールキルハム・ニュートニアンともいうべき自作中の望遠鏡は、運搬時の振動で鏡筒下部から手を入れ斜鏡の光軸を微調整する場合が時々必要になりそうなので、遠征時は鏡筒と主鏡を分離して運搬する予定です。

 口径25cm主鏡は重さが4.5kg、主鏡セルの重さは2.2kg、合計6.7kgと結構重く、遠征場所で主鏡を鏡筒に取付けする際に手を滑らせたりすると主鏡セルもろとも落下する恐れがあります。

 落下防止用の安全部品を作ります。使う部材は40mmと20mmのアルミアングルです。2組作ります。


 それぞれのアングル材を電動バンドソーで長さ30mmに切断。撮影後にアングル材に穴あけをしました。


 20mmアングル材を鏡筒下部に固定するネジ穴を作ります。穴あけ時のキリコが筒内に入るのを防ぐためチラシを切り筒底に貼ってからの作業です。
 ドリルで穴あけ後、ハンドタップでM6ネジ切りをしています。


 安全部品が完成。上の画像は筒底を上にして撮影しましたが、実際の組立て時には逆さまになります。
 40mmアングルには家具スベールを貼り、主鏡セルのフランジを2組の安全部品の間に入るように滑らせ主鏡セルの引きネジ3本で鏡筒に固定します。
 なお、引きネジ1本と押しネジ1本の組み合わせの3組で主鏡の光軸調整をしますが、振動による光軸の狂いの軽減を図り押しネジをもう1本追加します。



 主鏡セルから主鏡を取り外し、光軸調整用押しネジの追加ネジ切り作業をしています。なお、主鏡セル運搬用のハンドルも付けておきました。


 安全部品と追加工が終わった主鏡セルです。
 主鏡は直径253mm厚さ43mmのパイレックス材で、有効径246mm焦点距離787mm口径比3.2の楕円鏡(放物面の70%相当)。知人の田口さんが1975年に光学研磨してくれた主鏡です。

 研磨時の様子は2011年4月のブログ記事 【 25cmDK鏡の砂ズリ 】に書いておきました。

 次回のブログ記事 【 口径25cmドールキルハム望遠鏡(全体組立て) 】に続きます。

口径25cmドールキルハム望遠鏡(ファインダーの鏡筒取り付け)

2024-12-01 06:00:00 | 25cmドールキルハム望遠鏡
 前回のブログ記事 【 口径25cmドールキルハム望遠鏡(ファインダーの製作) 】からの続きです。

 ファインダーを鏡筒に取り付けるため以前に使っていた小型アリミゾを使います。ペアになるアリガタを持っていないので10mm厚アルミ板をフライス盤で削って作ります。


 アリガタの加工準備中です。アルミ板を60度に傾けバイス(万力)に固定。端面を削ります。


 既製品のアリミゾ(左)と自作したアリガタ(右)です。


 完成アリガタをプリズムケースに固定するため、プリズムケースを分解しダハプリズムを取り出しました。右に写っているのはプリズムのダハ(屋根)部分の破損防止用の発泡クッションです。


 プリズムケースにアリガタの取付けが完了。



 次に、ジャンク箱にあった厚さ10mm幅30mmのアルミ板を長さ75mmに切断。平面の板なので鏡筒に固定するため断面を鏡筒径に合うよう削る必要があります。


 工作室に置いてある吸引掃除機の外周が鏡筒外径とちょうど同じだったので掃除機の外周にサンドペーパーを貼り、アルミ板の裏側を摺り合わせています。


 鏡筒に取り付け用の穴を開けています。


 鏡筒にファインダーの取り付けが完了しました。

 私は効き眼が右眼で顔を右側にずらせば楽な姿勢でファインダーが覗けます。ファインダーの覗き口は私の額がギリギリ当たらない位置で配置しています。

 口径25cmF9.6ドールキルハム反射望遠鏡の最低使用倍率はXW40mm接眼鏡を使い60倍、視野は約1.2度です。ファインダーの視野は約18度です。

 次回のブログ記事 【 口径25cmドールキルハム望遠鏡(主鏡セル取付け時の安全部品) 】に続きます。

口径25cmドールキルハム望遠鏡(ファインダーの製作)

2024-11-29 06:00:00 | 25cmドールキルハム望遠鏡
 前回のブログ記事 【 口径25cmドールキルハム望遠鏡(鏡筒の取っ手) 】からの続きです。

 口径25cmドールキルハム望遠鏡のファインダーは正立対空型とし、広い視界を確保するため自作することにしました。

 用意したファインダー用の部品です。

 左)部品取りの双眼鏡から取り出した口径30mmの対物レンズ
 中)2004年ごろに開催された双眼鏡・望遠鏡サミットのフリマ会場で買った正立対空プリズム
 右)今回新たに購入した十字線付きSWA32mm接眼鏡


 双眼鏡の対物セルをそのまま使うとプリズムにぶつかってしまうため、対物セルの後端を10mmほど旋盤で削ります。


 対物セルをプリズムケースに取り付けできるような黒いパイプをジャンク箱から見つけたので、少しだけ加工します。 


 対物レンズをプリズムケースの鏡胴の内部に固定しました。黒いパイプの外径が鏡胴内径より少し小さかったため、1mm厚の水色スペーサー3枚を隙間に入れ圧入しています。


 口径30mm・3.8倍・視野18度の対空正立ファインダーが完成しました。
 現在の私の暗夜最大瞳径が6mmなので口径を23mm程度(≒6mm×3.8)に絞ってもいいかなと思います。暗視野照明も付けてあります。

 次回のブログ記事 【 口径25cmドールキルハム望遠鏡(ファインダーの鏡筒取り付け) 】に続きます。