ヤフオクの国産鉱物を眺めていたら(まだやってるのかよw)、「何じゃこりゃ」というのがあって、つい血迷ってポチってしまいました。(血迷うなよw)
「銀黒」。鹿児島県いちき串木野市下名金山串木野鉱山産。
こんなん初めて見ました。銀黒という銀鉱石があるということはおぼろげに知っていましたけど、こんなグニャグニャ模様のものがあるとは驚き。ちょっとグロテスクとも言えるけどとても面白い姿ではないですか。いや、美しい。
銀黒とは何か。
「鉱石中の金銀の賦存状態について」(松隈寿紀:資源処理技術研究会、1966)より。
《II 浅熱水性金銀鉱床中の金銀
この型式の鉱床は新第三紀の火山活動に伴つて生成された幼脈と呼ばれる鉱床であつて、日本の有名な金銀鉱山の大半が含まれ、鴻の舞、千歳、高玉、清越、佐渡、鯛生、大口、串木野の諸鉱山がこれに属し、その鉱石は通常銀黒と呼ばれる皮殻状~縞状構造の発達した鉱石が鉱脈中の高品位部を構成する。
……金銀のほか各種の金属鉱物が含まれ、鉱化溶液からそれぞれの鉱物が晶出する際にその量や結晶の粒度を異にしつつリズミカルに沈澱するために特徴的な皮殻状の縞が形成される。……銀黒鉱石の色の濃淡が黄鉄鉱のみによつて生ずる時は金銀の品位がつかないbarrenoreとなり、俗に"ニタリ"と呼ばれる鉱石になる。》
串木野鉱山はウィキによると、
《いちき串木野市街地北部に広がる山地は中新世後期から鮮新世前期に活動した北薩火山群に属する火山の名残であり、北薩安山岩類と呼ばれるプロピライト化作用を受けた輝石安山岩から成っている、その中に浅熱水性含金銀石英-方解石脈が胚胎している。400万年前に高温の地下水によってつくられた熱水鉱床であり、石英や方解石からなる鉱脈に金や銀がエレクトラムやテルル化金として含まれている。鉱石は主に「銀黒鉱」と「オシロイ鉱」が産出され、金銀比は約1:10であった。》
これが正真正銘の串木野鉱山産銀黒であるかどうかは、あちきには確言できないですけれど、そうだとするとえらく貴重な標本なのではないかと。正直言うと、こんな値段でいいのかしら、競争入札者がたまたまいなかった幸運かしら、とも思うのです。
ただ、銀黒にしては縞目の部分があまり黒くない。銀の純度が低いのかもしれない。「ちいとこれはな」と放り出された石?
けどあちきは銀を採るために買ったわけではないから、別に構わない。優良なものはもっと真っ黒だったのだろうなと想像すればいい。
しかしこれも「水成鉱物」ですぜ。金・銀鉱山もまた水が作った。そう思うと実に不思議ですね。
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