移籍してからも雅博の芝居への情熱は変わらなかった。ただ、舞台以外の仕事が入るようになった。テレビのエキストラに毛の生えたような端役もあれば、テーマパークでのアトラクションでの小芝居なんていうのもあった。
「なんでも屋だね。」
雅博はそういって笑っていたが、決して満足している訳ではないのはわかっていた。舞台が好きなのだ。牧子にもそれが痛いほど伝わってきた。しかしなかなかチャンスはめぐってこなかった。
「舞台、どうよ。」
久々に翔子から電話が入った。知り合いの脚本家から翔子に問い合わせがあったらしい。翔子は劇団を辞めた後、フリーの脚本家として活躍していた。
「前の舞台をたまたま観に来てたんだって。それで今度の新作に雅博を起用したいんだけど連絡とってよ・・・って、頼まれた。雅、する?」
「勿論!!」
雅博は受話器を持ちながら小躍りせんばかりに喜んだ。
その脚本家が率いる劇団の公演に客演という形で雅博は出演した。久しぶりの舞台という事もあり、雅博のここしばらくの欲求不満を全部爆発させて昇華させたような舞台だった。
牧子は公演の間中、毎日のように劇場に足を運び、千秋楽には涙を浮かべる雅博をみて貰い泣きをした。観客の拍手が心地よかった。
舞台は客の入りもまずまずで、新聞や演劇雑誌には好意的な記事が載った。その記事の中には「山本雅博の若手ながらもベテランに引けをとらぬ演技が、物語の展開を引き締めていた。今後の活躍に期待したい。」というような短いけれど絶賛するようなものもあった。牧子は思わずその記事をスクラップした。
この舞台が転機となり、事務所から持ち込まれる仕事は徐々に質が上がっていった。テレビの仕事も、最後のタイトルロールに役名と名前が載るようになってきた。全てが軌道に乗った。牧子はそう思った。
「映画?」
雅博からその話を聞いたのはそれから半年ほどしてからだった。
「そう。映画。それもかなりデカイ話なんだけど・・・。」
雅博はスタッフと主なキャストの名を挙げていく。牧子でも知っているような著名な面々だった。
「台本をもらったんだけど、凄く目立つ役なんだよね・・・。」
「すごいじゃない!良かったね!」
思わず歓声を上げる。しかし雅博の表情は冴えなかった。窓のカーテンを開け、暗くなった外に目をやる。
「なんで?素直に喜べない?」
「そういう訳じゃないよ。嬉しいんだけど。」
わざと少しおどけた調子で牧子は雅博の顔を覗き込んだ。雅博は遠くを見つめていた。
「どうしたの?ちょっとビビってますかぁ?」
雅博は不意に牧子を抱きしめた。思った以上に強い力に牧子は戸惑う。
「茶化すなよ。・・・本当にビビってるんだから。」
耳元で溜息まじりのかすれた声が響いた。力のない声だった。
「順調すぎて怖いんだよ。凄い勢いで、知らない世界へ踏み込んでいくようで。」
「・・・大丈夫だよ。」
牧子はそっと背中に手を回した。軽くポンポンと叩く。
「時々、夢を見る。山を登っているんだ。一人で延々と。道は険しくて、先は霧がかかっていて見えない。でも昇らなきゃ・・・そう思って歩き続ける。そしたら急に崖から落っこちて、目が醒める。」
雅博は牧子の身体を離すと、その場にゆっくりと座り込んだ。膝を抱えて腕の中に顔をうずめた。
「自分でも情けないんだけどね。不安だけが膨らんでいく・・・。」
牧子もその傍らに座り込み、肩に手を回した。
「大丈夫。大丈夫だよ。雅博はきっと成功する。保証するよ。」
再び牧子を抱き寄せ、その場に覆いかぶさるように押し倒す。
「前、僕に投資する、みたいな事言ったろ?」
牧子の首筋に顔を埋めてきた。吐息を感じ牧子は首をすくめる。本当に不安でしょうがないのだ。確かなものにすがりつきたい、そんな勢いで牧子を愛撫する。
「・・・そんなくだらない事、忘れてよ。」
「僕に投資して失敗だったとか、思ってる?」
「思ってないわよ。そんな事。絶対思ってないから。」
雅博を抱きしめながら大丈夫、大丈夫とおまじないのように牧子は言葉を口にする。何があってもあなたは大丈夫。
そしてゆっくりと甘美な刺激の波間に引きずり込まれていった。
クランクインしてから雅博は家を空けがちになった。ロケで地方に出かける事が多くなったからだ。最初の頃はメールが日に何度か届いたが、だんだん回数も減っていき日に一度あるか無いかの状態になった。
寂しくは思ったが、牧子は心配はしていなかった。彼の事だ。現場の雰囲気にも馴染み、芝居に没頭しているのだろう。便りのないのは元気な証拠だった。
牧子の推測通り、ロケを終えて帰ってきた雅博は活き活きした表情で現場での色々な話をしてくれた。牧子は話の内容よりも楽しそうに喋る雅博の顔を見るのが楽しかった。映画の撮影は一年近くかかった。公開はまだまだ先になるようだった。
雅博の元へ来るオファーは日毎に増えていった。テレビの連続ドラマに出演したことから巷での認知度も上がった。雑誌の取材やトーク番組の出演なども入るようになってきた。
テレビや雑誌を目にする度、牧子は誇らしい思いがした。世間が気付く前ずっと前から彼の魅力を知っていたのだ。そして私はその傍らにいるのだ。ちょっとした優越感だった。それと同時に何か心の中に違和感を感じるようになってきた。
一緒に過ごす時間はどんどん少なくなってきていた。オフの日には今までは家にいることが多かった雅博だが、最近はよく外出するようになった。仕事を通じて仲良くなった同世代の俳優達と飲みに行くことが増えた。お互いの舞台を観に行くことも多い。友人と称する人物が結構名の通った俳優であることも少なくなかった。
牧子は相変わらず、朝出勤し、終日事務仕事をこなし、くだらない昼休みを過ごし、買い物をして帰宅する、そんなかわり映えのしない一日を繰り返していた。家に帰っても雅博の「おかえり」という明るい声を聞くこともほとんどなかった。
どんどん雅博が遠くへ行ってしまうような、そんな気がした。
「そう。で、置いてけぼりを食って寂しいわけだ。」
遊びにきた翔子がテーブルの上に無造作に置いてあった雑誌をパラパラとめくりながら言った。牧子はそれには答えず、コーヒーカップに湯を注いだ。
「昔言ったでしょ?『浪花恋しぐれ』みたいになるで~って。いいじゃん、糟糠の妻ってヤツでさ。結構多いよ、この業界の奥さん方って。・・・まぁ、売れてきた頃に離婚するパターンも少なくないけど。」
翔子のずけずけとした物言いは昔からだが、何故か腹が立たない。牧子は苦笑いした。
「縁起でもないからやめてよ。第一、私は妻ではありませんから。離婚もないっつうの。」
「アホだね~。あんたみたいなのを世間では内縁の妻っていうのよ。ベタベタの演歌の世界だよ。あぁ、やだやだ。」
翔子はコーヒーカップを手にとった。
「牧、なんで籍入れないのよ。あんた達もうだいぶ長いでしょう?そろそろ籍くらいいれれば?あの子も・・・って、歳でもないか。雅もいい大人だし、そこそこ稼ぐようになったし、いいんじゃないの?子供出来てから・・・とか思ってんの?」
牧子は首を振った。
「そういうんじゃないのよ。・・・籍を入れるとか結婚するとか、あんまり意味ないかなって気もするし。それよりも、無理やり縛り付けるような気がして。・・・自分でもよくわからない。」
牧子の脳裏に何年か前の光景が甦った。あの頃と状況は随分変わっていた。確実に立場は逆転していた。
置いて行かれないように結婚という鎖をつけるのも、確かに一つの手段だろう。そうしたからといって、周りは牧子を責める事はない。当の雅博も恐らく甘んじて鎖に繋がれるだろう。年齢的な事を考えれば世間的には正当な手段だ。
だが、そうすることで失うものがあるのではないか。それが何かはわからない。法律というつながりを持つ事で、精神的なつながりが希薄にならないか、雅博の可能性を束縛するのではないか。そんな事を考え出したらきりがなかった。
それに、籍を入れたからと言って今の自分のもやもやした気持ちが吹っ切れる訳ではない事は確かだった。取り残されているという事実は、どうあがいたところで変わらないのだから。
答えは出そうになかった。
「ねぇ、牧、下手の考え休むに似たりっていうんだよ。雅に気を使いすぎてるんじゃない?もっとぶつければいいんだよ、色々と。大丈夫だよ。あの子はあれで包容力あるから。ものわかりが良すぎるのも問題だと思うよ。」
翔子の口調はだんだん説教じみてきた。牧子は顔をしかめて翔子の口を手で押さえる真似をした。
「わかったって。もういいよ、その話は。」
翔子は肩をすくめた。
翔子との会話はそれから長く心の中に残っていた。いつまでも直らないさかむけのように、いつもわずかな痛みを感じさせる。そんな残り方だった。
生活の方は相変わらずの日々だった。雅博の姿を見る機会は家の中よりも、テレビや雑誌の中の方が多いくらいだ。
何年かぶりの一人暮らしが復活したような気すらした。
そして今夜も雅博はいない。打ち上げに出かけている。きっと朝になってから、寝不足でぼーっとした顔で帰ってきて、そのままベッドに倒れこむ。そして芝居の稽古の時間ぎりぎりまで死んだように眠り込むのだろう。
シャワーを浴びながら、同居人のことを考えた。涙はでなかったが、無性に寂しく、虚しかった。
自分の肩を抱きしめながら、シャワーの下で立ち尽くした。
(③に続く)
「なんでも屋だね。」
雅博はそういって笑っていたが、決して満足している訳ではないのはわかっていた。舞台が好きなのだ。牧子にもそれが痛いほど伝わってきた。しかしなかなかチャンスはめぐってこなかった。
「舞台、どうよ。」
久々に翔子から電話が入った。知り合いの脚本家から翔子に問い合わせがあったらしい。翔子は劇団を辞めた後、フリーの脚本家として活躍していた。
「前の舞台をたまたま観に来てたんだって。それで今度の新作に雅博を起用したいんだけど連絡とってよ・・・って、頼まれた。雅、する?」
「勿論!!」
雅博は受話器を持ちながら小躍りせんばかりに喜んだ。
その脚本家が率いる劇団の公演に客演という形で雅博は出演した。久しぶりの舞台という事もあり、雅博のここしばらくの欲求不満を全部爆発させて昇華させたような舞台だった。
牧子は公演の間中、毎日のように劇場に足を運び、千秋楽には涙を浮かべる雅博をみて貰い泣きをした。観客の拍手が心地よかった。
舞台は客の入りもまずまずで、新聞や演劇雑誌には好意的な記事が載った。その記事の中には「山本雅博の若手ながらもベテランに引けをとらぬ演技が、物語の展開を引き締めていた。今後の活躍に期待したい。」というような短いけれど絶賛するようなものもあった。牧子は思わずその記事をスクラップした。
この舞台が転機となり、事務所から持ち込まれる仕事は徐々に質が上がっていった。テレビの仕事も、最後のタイトルロールに役名と名前が載るようになってきた。全てが軌道に乗った。牧子はそう思った。
「映画?」
雅博からその話を聞いたのはそれから半年ほどしてからだった。
「そう。映画。それもかなりデカイ話なんだけど・・・。」
雅博はスタッフと主なキャストの名を挙げていく。牧子でも知っているような著名な面々だった。
「台本をもらったんだけど、凄く目立つ役なんだよね・・・。」
「すごいじゃない!良かったね!」
思わず歓声を上げる。しかし雅博の表情は冴えなかった。窓のカーテンを開け、暗くなった外に目をやる。
「なんで?素直に喜べない?」
「そういう訳じゃないよ。嬉しいんだけど。」
わざと少しおどけた調子で牧子は雅博の顔を覗き込んだ。雅博は遠くを見つめていた。
「どうしたの?ちょっとビビってますかぁ?」
雅博は不意に牧子を抱きしめた。思った以上に強い力に牧子は戸惑う。
「茶化すなよ。・・・本当にビビってるんだから。」
耳元で溜息まじりのかすれた声が響いた。力のない声だった。
「順調すぎて怖いんだよ。凄い勢いで、知らない世界へ踏み込んでいくようで。」
「・・・大丈夫だよ。」
牧子はそっと背中に手を回した。軽くポンポンと叩く。
「時々、夢を見る。山を登っているんだ。一人で延々と。道は険しくて、先は霧がかかっていて見えない。でも昇らなきゃ・・・そう思って歩き続ける。そしたら急に崖から落っこちて、目が醒める。」
雅博は牧子の身体を離すと、その場にゆっくりと座り込んだ。膝を抱えて腕の中に顔をうずめた。
「自分でも情けないんだけどね。不安だけが膨らんでいく・・・。」
牧子もその傍らに座り込み、肩に手を回した。
「大丈夫。大丈夫だよ。雅博はきっと成功する。保証するよ。」
再び牧子を抱き寄せ、その場に覆いかぶさるように押し倒す。
「前、僕に投資する、みたいな事言ったろ?」
牧子の首筋に顔を埋めてきた。吐息を感じ牧子は首をすくめる。本当に不安でしょうがないのだ。確かなものにすがりつきたい、そんな勢いで牧子を愛撫する。
「・・・そんなくだらない事、忘れてよ。」
「僕に投資して失敗だったとか、思ってる?」
「思ってないわよ。そんな事。絶対思ってないから。」
雅博を抱きしめながら大丈夫、大丈夫とおまじないのように牧子は言葉を口にする。何があってもあなたは大丈夫。
そしてゆっくりと甘美な刺激の波間に引きずり込まれていった。
クランクインしてから雅博は家を空けがちになった。ロケで地方に出かける事が多くなったからだ。最初の頃はメールが日に何度か届いたが、だんだん回数も減っていき日に一度あるか無いかの状態になった。
寂しくは思ったが、牧子は心配はしていなかった。彼の事だ。現場の雰囲気にも馴染み、芝居に没頭しているのだろう。便りのないのは元気な証拠だった。
牧子の推測通り、ロケを終えて帰ってきた雅博は活き活きした表情で現場での色々な話をしてくれた。牧子は話の内容よりも楽しそうに喋る雅博の顔を見るのが楽しかった。映画の撮影は一年近くかかった。公開はまだまだ先になるようだった。
雅博の元へ来るオファーは日毎に増えていった。テレビの連続ドラマに出演したことから巷での認知度も上がった。雑誌の取材やトーク番組の出演なども入るようになってきた。
テレビや雑誌を目にする度、牧子は誇らしい思いがした。世間が気付く前ずっと前から彼の魅力を知っていたのだ。そして私はその傍らにいるのだ。ちょっとした優越感だった。それと同時に何か心の中に違和感を感じるようになってきた。
一緒に過ごす時間はどんどん少なくなってきていた。オフの日には今までは家にいることが多かった雅博だが、最近はよく外出するようになった。仕事を通じて仲良くなった同世代の俳優達と飲みに行くことが増えた。お互いの舞台を観に行くことも多い。友人と称する人物が結構名の通った俳優であることも少なくなかった。
牧子は相変わらず、朝出勤し、終日事務仕事をこなし、くだらない昼休みを過ごし、買い物をして帰宅する、そんなかわり映えのしない一日を繰り返していた。家に帰っても雅博の「おかえり」という明るい声を聞くこともほとんどなかった。
どんどん雅博が遠くへ行ってしまうような、そんな気がした。
「そう。で、置いてけぼりを食って寂しいわけだ。」
遊びにきた翔子がテーブルの上に無造作に置いてあった雑誌をパラパラとめくりながら言った。牧子はそれには答えず、コーヒーカップに湯を注いだ。
「昔言ったでしょ?『浪花恋しぐれ』みたいになるで~って。いいじゃん、糟糠の妻ってヤツでさ。結構多いよ、この業界の奥さん方って。・・・まぁ、売れてきた頃に離婚するパターンも少なくないけど。」
翔子のずけずけとした物言いは昔からだが、何故か腹が立たない。牧子は苦笑いした。
「縁起でもないからやめてよ。第一、私は妻ではありませんから。離婚もないっつうの。」
「アホだね~。あんたみたいなのを世間では内縁の妻っていうのよ。ベタベタの演歌の世界だよ。あぁ、やだやだ。」
翔子はコーヒーカップを手にとった。
「牧、なんで籍入れないのよ。あんた達もうだいぶ長いでしょう?そろそろ籍くらいいれれば?あの子も・・・って、歳でもないか。雅もいい大人だし、そこそこ稼ぐようになったし、いいんじゃないの?子供出来てから・・・とか思ってんの?」
牧子は首を振った。
「そういうんじゃないのよ。・・・籍を入れるとか結婚するとか、あんまり意味ないかなって気もするし。それよりも、無理やり縛り付けるような気がして。・・・自分でもよくわからない。」
牧子の脳裏に何年か前の光景が甦った。あの頃と状況は随分変わっていた。確実に立場は逆転していた。
置いて行かれないように結婚という鎖をつけるのも、確かに一つの手段だろう。そうしたからといって、周りは牧子を責める事はない。当の雅博も恐らく甘んじて鎖に繋がれるだろう。年齢的な事を考えれば世間的には正当な手段だ。
だが、そうすることで失うものがあるのではないか。それが何かはわからない。法律というつながりを持つ事で、精神的なつながりが希薄にならないか、雅博の可能性を束縛するのではないか。そんな事を考え出したらきりがなかった。
それに、籍を入れたからと言って今の自分のもやもやした気持ちが吹っ切れる訳ではない事は確かだった。取り残されているという事実は、どうあがいたところで変わらないのだから。
答えは出そうになかった。
「ねぇ、牧、下手の考え休むに似たりっていうんだよ。雅に気を使いすぎてるんじゃない?もっとぶつければいいんだよ、色々と。大丈夫だよ。あの子はあれで包容力あるから。ものわかりが良すぎるのも問題だと思うよ。」
翔子の口調はだんだん説教じみてきた。牧子は顔をしかめて翔子の口を手で押さえる真似をした。
「わかったって。もういいよ、その話は。」
翔子は肩をすくめた。
翔子との会話はそれから長く心の中に残っていた。いつまでも直らないさかむけのように、いつもわずかな痛みを感じさせる。そんな残り方だった。
生活の方は相変わらずの日々だった。雅博の姿を見る機会は家の中よりも、テレビや雑誌の中の方が多いくらいだ。
何年かぶりの一人暮らしが復活したような気すらした。
そして今夜も雅博はいない。打ち上げに出かけている。きっと朝になってから、寝不足でぼーっとした顔で帰ってきて、そのままベッドに倒れこむ。そして芝居の稽古の時間ぎりぎりまで死んだように眠り込むのだろう。
シャワーを浴びながら、同居人のことを考えた。涙はでなかったが、無性に寂しく、虚しかった。
自分の肩を抱きしめながら、シャワーの下で立ち尽くした。
(③に続く)
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