丘を越えて~高遠響と申します~

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正義の味方

2011年01月09日 | 四方山話
 年末から「伊達直人」さんがあちこちの施設にランドセルを配って歩いている。どうやら複数の方が、それぞれニュースを見て、「イイ話だな~。じゃあ私も」と、動いていらっしゃるようだ。犯罪の模倣は困るけど、善意の模倣は大いに喜ばしいかと……。

 が、ちょっと思うところもないではない。最初の「伊達直人」さんがいなければ、おそらく後の数件の「伊達直人」さんも出てこなかったという事だ。最初の伊達さんのランドセルは本当に素晴らしいと思う。でも、どうしてその後の伊達さん達は皆ランドセルなのだ? 「伊達直人」じゃなくてもいいじゃないか。「匿名」でも「月光仮面」でもいいんじゃないのか? そう言えば、昔、年末に必ずお金をポストに入れて歩く「月光仮面」がいたが、最近は話を聞かない。お年で引退されたのかなぁ……。善意の話題としては確かに素晴らしいけれど、ニュースとして取り上げられるたび、少し白けた気分にもなる。
「施しをするとき、右の手のしていることを左の手にしられないようにしなさい」「人に見せるために人前で善行をしないように気をつけなさい」……そう、本当の善意というのはそうそう目につかないものだ。

 誤解があっては困るので一言添えるならば、決して善意を否定しているのではない。実際、子供たちや関連の方々にとってランドセルのプレゼントは嬉しいに違いない。だが、子供を取り巻く厳しい現状の中で、ランドセルだけが必要とされているのではない。本当に子供達にとって必要なのはなにか……。

 たまたま今回はランドセルに話が集中しているが、例えば奨学金制度であったり、育英基金であったり、里親支援のシステムであったり、そういうところにも目を向けてくれる人が増えれば嬉しい。奨学金でいくつかの学校を出ている私としては、奨学金制度が成り立たなくなりつつある現状はとても悲しい。育英会であったり、その他の支援の団体への資金的な援助に興味を持ってくれる人が増えて欲しいし、ユニセフや赤十字への寄付が増えれば海外の子供達への支援にもつながる。今回「伊達直人」さんによって触発された善意が、今後も継続されることこそが子供達にとって本当に意味のある行動なのではないかと思うのだ。

 今年送られたランドセルが、来年は別の形で子供達にプレゼントされる。また次の年にもなんらかの支援がなされる。細々でもいい。水面下でいい。しっかりしたゆるぎない支援へとつながっていきますように……。


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