姫先生のおめめ

25年間の養護教諭の経験と脳科学、波動理論から引き出すレジリエンス向上について書いています。

あなたの携帯電話の使い方は、大切な人を傷つけていませんか?

2007年12月03日 | メディアリテラシー

 


 学校保健委員会が終わりました。


 今回のテーマは、このブログでも 何度も告知しておりました「携帯電話・インターネットと中学生のコミュニケーション」

 10月に実施した全校生徒対象の携帯電話・インターネットに関するアンケート結果の発表(生徒保健委員) 

ネットトラブルに関する寸劇 

 パネルディスカッションの3部構成。



 アンケートから浮き彫りになった実態には、生徒たちも驚いていた様子でした。
 
 パネルディスカッションでは、これらの結果の感想も含めて、それぞれの立場の方から、いろいろなご意見やお話を伺いました。

 愛知北FM放送局長 大藪さんは、生徒たちにいろいろな投げかけをしながら、実にわかりやすく、携帯電話に関する思いやご意見をいただきました。
 その中で、何年か前に 中学生がナイフで担任を指してしまうという事件があり、一時「ナイフ」「刃物」が「凶器」であるとして、マスコミにもいろいろ取り上げられたことがあるというお話をされました。

そのため、世間に「刃物は悪いもの」というイメージが広がり、店頭からナイフや刃物がなくなった時期があったそうです。

そして、ある中小企業の刃物業者の方が、それを苦に自ら命を絶たれたという話を出し、こういわれました。

 「悪いのは、刃物だろうか?刃物は悪いものだろうか?
   いいえ、ちがいます。悪いのは刃物ではなく、刃物の使い方です」
そして、
 「みなさんが使っている携帯電話は悪いものでしょうか?
   いいえ、悪いものではありません。その使い方が悪いだけです。」

 道具をどう使うかによって、その道具のイメージとかその道具の価値まで決めてしまうことがあるんですね。それだけならまだしも、その道具にかかわっている人の生活まで、脅かすことになるのかもしれません。

 
 また、生徒とこんなやり取りをして、理解を深めてくださいました。
 
 「夜、9時過ぎ。携帯電話がない時代。彼女の家に電話をする。お父さんが出た。さぁ、なんといって話をする?」

 「もしもし」
 「はい。大藪です」
 「・・・・・・・・」
 「だれかね!」
 「あの○○です。△△さんいますか」
 「おいおい、最初にこんばんはの挨拶だろう!!?」

 昔、家の電話しかなかった時代、誰かの家に電話をするということは、大きな壁でした。必ず、大人を通じて、自分の友達を呼んでもらわなければなりませんでした。だから、マナーとか礼儀とか相手の都合とか、そういうものを学んだのです。でも、今は、携帯電話で直接、話したい相手に話をします。
 それゆえに、こうしたことを学ぶ機会がなくなってしまったのです。」

 便利さが、子どもたちからコミュニケーションのマナーを学ぶ機会を奪ってしまった・・・これは、いろいろな場面において感じることでもあります。

 そして、東京から駆けつけてくださったメディアジャーナリストの渡辺真由子さん。いじめ自殺を長年取材してこられた方で、昨年までメディアリテラシーの本場 カナダで学んでいらっしゃったメディアリテラシーの専門的知識のある方です。

 アンケート結果を見て、「ネット上でいやな思いをしている人がこんなにもいることに驚きました」と感想を述べられました。

 そして、「カナダでは、電車の中の通話はOK.みんなあちこちで電話をしています。日本に帰ったら、電車の中は通話タブー。新と静まり返った電車内の中で、みんながひたすらメールを打っている。その姿は異様でした。」と話をされました。

また、「いじめ事件を取材していて、いじめの問題には、必ずといっていいほど、携帯電話が関与しています。いじめによって自殺した高校生も、何度も電話で脅されていました」というお話には、会場全体が新となっていました。

 本校の図書館司書さんは、22歳の若い方で、生徒たちに一番近い存在としてパネラー参加してくださいました。
 図書館で聞く生徒の悩み 司書賛同氏の会話 自分の体験談などを交えて、とても親近感のあるお話をしてくださいました。

 小学校の図書館にある携帯小説が、すごくよく貸し出されるのだそうです。
 しかも小学校3年生くらいの子が借りていく。
 いろいろ調べると、どうも本人より保護者がそれを読むために子どもたちに借りてきてと頼んでいることがわかったそうです。
 はぁぁぁ。なるほどぉぉ。という感じでした。

 さて、少し時間を多めにとって、愛知県警サイバー対策室の堀川さんにお話を聞きました。ネット上の中傷誹謗、名誉毀損、肖像権の侵害など、何気なくやっていることが犯罪になっている場合があるということをご説明くださいました。
 痕跡が残らない 匿名性があるということで、いろいろな危険がネット上にはあるのですが。、最終的にはそのほとんどがどこからのアクセスだったのか、など個人の特定が可能だそうです。
 出会い系サイト、ワンクリック詐欺など、ネット社会にあるさまざまな危険について説明してくださいました。

 いろいろなお話を通して、生徒たちは、どんなことを学んだのでしょうか?

 大藪さんが「今の時代の子どもたち、そんなに暇なのか。自分の中学時代ってもっともっとやることがたくさんあった。もっといろんなことに時間を使ってほしい」というメッセージを子どもたちに送ってくださいました。

 たかが携帯。道具です。その道具に振り回され、人権を傷つけ傷つけられ、人を信頼できなくなるとしたら、そんな馬鹿な話はないのです。

 顔が見える。表情も息遣いも聞こえる。そんなコミュニケーションを大切にできる血の通った人間関係を育ててほしいと感じました。
 
 パネラーのみなさん。
 準備を手伝ってくれた1年1組の生徒たち。
 先生方。
 片づけをしてくれた2年生の生徒たち。
 参加してくださった保護者の方

 ありがとうございました。

 1年生の感想はここ  2年生の感想はここ  3年生の感想はここ 


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1 コメント

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ありがとうございました (すずめ@おばちゃん教師)
2008-01-04 19:54:19
トラックバックありがとうございました。
なおいっそう刺激的かもしれませんが
すずめの経験談もお聞きください。

まとまりが悪くてすみません。

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