クズ(マメ科)
9月に入るとクズの花が一斉に咲きだしました。大きな立派な花が咲く割に、葉の陰に隠れて見落としがちなものです。
よく見るとなかなかきれい。もっとよく見るとクドイというかシツコイというか、日本人の好みからいえばちょっとあくどい。そのせいかあんまり古歌に詠まれたりはしてないようです。
日本ではむしろ葉と蔓の姿が絵にも描かれ、歌にも詠まれ。秋風に白い葉裏を見せてひるがえる姿は風情のあるものです。
アメリカではこのクズを荒れ地の緑化用に導入し、大成功。牛馬の飼料にもなるし、と喜んだのもつかの間、はびこりすぎて電線を切り、建物を覆い尽くし、今ではすっかり嫌われ者のようです。
でも荒れ地が緑になり、つるはロープ代り、根からはでんぷん(クズ粉)がとれ、漢方薬(葛根湯)にもなり、繊維は布や紙になる・・・と、ご先祖様はじょうずにつきあってきました。でも、じゃあつるを手繰ってごっつい根っこを掘ってみましょう、という気にはとてもなれません。だからクズ粉が高くなり、安いクズ粉は他のでんぷんでできた代用品、ということになっちゃったんですね。タフな植物とうまく付き合うには人間もタフでないと。
作品公開HPへどうぞ