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メガソーラー暗雲、売電申請7割“門前払い”か 事業者側「商売敵の排除だ」

2013年05月31日 07時07分08秒 | 太陽光発電
 太陽光など再生可能エネルギーで作った電力を電力会社が固定価格で買い取る制度がスタートして約11カ月。異業種の参入が相次いだ大規模太陽光発電所(メガソーラー)事業が曲がり角を迎えている。

 建設計画が集中する北海道では、ソフトバンクなど事業者による売電申請の7割以上が門前払いされる可能性が出てきた。北海道電力の送電網に接続できる容量に限界があるためだが、高めの買い取り価格の設定で売電申請の殺到を招いた制度上の問題を指摘する声もある。

 ソフトバンクは北海道安平町と八雲町の計3カ所で計画するメガソーラーの建設について、中止も含む見直しを決めた。合計18万キロワット以上の発電を予定していたが「北海道電から『(送電網に)接続できないものが出る』と通告された」(ソフトバンク関係者)という。苫小牧市と釧路市の計3カ所で計4万4千キロワットのメガソーラーを計画する神戸物産も「計画を断念する可能性がある」と困惑を隠せない。
 北海道電は4月、固定価格買い取り制度導入に伴う大規模な太陽光発電の受け入れは、出力2千キロワット以上で40万キロワット程度が限度と発表。国から設備の認定を受けた事業者から87件、計156・8万キロワットの購入申し込みがあり、受け入れは申し込み順で判断する方針だ。

 太陽光発電は天候次第で出力が変わる。電力の需要と供給の均衡が崩れると停電が発生する恐れもあるため、電力会社は火力発電の出力を増減させて需給バランスをとっている。北海道電は容量の限度を「技術的に制御できる限界」とし、理解を求める。

 資源エネルギー庁によると、昨年12月末現在のメガソーラーの認定状況を都道府県別でみると北海道がトップで、全体の25・9%を占める。広い土地が安く手に入りやすいためだ。

 経済産業省は約200億円を投じ、北海道電の変電所に世界最大級となる容量6万キロワット時程度の大型蓄電池を設置する対策を決定。蓄電池で受け入れ容量の拡大を狙うが、事業者の計画が再考を迫られる状況に変わりはない。
 送電網への接続が障害になる問題は北海道に限らない。再生可能エネを推進する財団法人自然エネルギー財団(東京都港区)が国内の太陽光発電事業者252社を対象に実施したアンケートでは、79社が回答を寄せ、2割に当たる15社が送電網の容量オーバーなどを理由に電力会社に接続を拒否されたと答えた。

 買い取り制度の根拠法では、再生エネ事業者からの申し出があれば、送電網に接続するよう電力会社に義務づけたが、一方で「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずる恐れがあるとき」は例外を認めている。

 事業者側には、例外規定を盾に電力会社が商売敵になりかねない事業者の排除に動いていると映り、ソフトバンクの孫正義社長も「北海道電だけでなく、他の電力会社も同様に上限を設けて拒否する構えだ」と批判する。
 買い取り制度が始まったのは昨年7月。再生エネの普及に向けて大型投資を呼び込もうと、事業者がもうかる仕組みにした。

 中でも割高の価格設定となった太陽光では、用地が確保できれば、建設期間が比較的短くて済むため、メガソーラーへの参入が急増した。

 エネルギー政策に詳しい21世紀政策研究所の沢昭裕研究主幹は「北海道の問題は買い取り価格を決めて、量をコントロールしない制度の限界を露呈した。まずは各地域で必要な量を決めて、安く発電する事業者から電力を買う仕組みに見直すべきだ」と指摘している。

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