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新時代の光、産業創出 青色LEDが生活変える

2014年10月08日 08時08分01秒 | ニュース
 電気を流すと青色に光る半導体が究極の照明になる――。ノーベル物理学賞の受賞が決まった赤崎勇名城大学教授と天野浩名古屋大学教授、中村修二米カリフォルニア大学教授が開発に貢献した青色発光ダイオード(LED)は従来の概念を覆す「光の新世界」を開き、省エネで長寿命の照明やディスプレーなどの新産業を生み出した。

 「輝くような青さだった。感動で手が震えた」。赤崎氏は初めて青色LEDが光った約25年前の実験光景をこう振り返る。

 当時、LEDには赤色と緑色があった。実用化は早かったが、そろえば白色光ができる光の3原色のうち、残る青色はできなかった。世界の研究者が開発競争を繰り広げていた。

 当時、研究者から青色の光を出す物質と注目されていたのが、窒化ガリウムと炭化ケイ素、セレン化亜鉛の3つだった。このうち、青色LEDを実現した窒化ガリウムは極めて硬いうえ、溶け始める温度がセ氏2500度以上と扱いが難しい。きれいな青色LEDを得るには半導体の結晶を高い品質で作る必要があり、当時は技術的には非常に難しく「20世紀中の開発は不可能」とさえいわれていた。「窒化ガリウムには未来はない」とされ、世界中の研究者が次々と手を引いていった。

 これに対し、当時、松下電器産業(現・パナソニック)にいた赤崎氏は周囲から反対されながらも、この窒化ガリウムの難しさこそが青色LEDを実現できる可能性があるとみて開発にこだわった。赤崎氏は会社を辞めて名古屋大学の教授に就任し、大学にいた天野氏とともにきれいな結晶を作ることに挑戦した。

 「窒化ガリウムによる青色LED」という研究を国際学会で発表したものの、反響は薄い。それでも研究室に泊まり込み、実験を重ねた。きれいな結晶作りには低温のアルミニウムを吹き付け、その上に窒化ガリウムを重ねる方法があることを思いついたが、最適な条件が見つからず、試行錯誤を続けた。

 ある日たまたま電気炉の調子が悪く、温度が上がらない状態で使ってみると偶然、品質のよい結晶ができた。最適な条件を突き詰め、1985年にきれいな結晶を安定的に作れるようになった。

 その4年後、マグネシウムを加え、世界で初めてLEDに欠かせない窒化ガリウムの結晶を完成させた。努力型の赤崎氏と実験の腕で優れた天野氏が「二人三脚」で開いた成果だった。

 一方、窒化ガリウムによる青色LEDの量産に道を開いたのが中村氏だ。

 高品質な結晶を作るのが難しい中、学会で見た他の結晶の装置をもとに考えた「ツーフロー方式」という技術に注目し、きれいな結晶が量産できるようになった。1991年に成果を発表した。反応しないガスを上からふき込み、横方向から流す原料ガスが基板に定着するように押さえつけ、欠陥の少ない結晶を作れるようになった。量産技術が確立した産業応用につながる道が広がった。


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