今年も花粉の量が多いようです。アレルギー体質であるかそうでないかに関わらず、誰でもなる可能性があるのが花粉症の怖いところ。花粉症の症状が出たときに、控えたり注意したほうがよい食べ物について、ご紹介しましょう。
■花粉症は誰もがなるリスクを持っている
花粉症は、スギだけでなくマツ、ブタクサなど、人によりアレルゲンはさまざまです。花粉を鼻や喉、目から体内に取り込むと、カラダの免疫機能が反応して「抗体」をつくり、再び花粉が吸い込まれると異物として「抗体」が反応し、ヒスタミンなどの物質を放出します。ヒスタミンによって、神経や粘膜の血管が刺激されて、くしゃみ、鼻水、かゆみ、結膜炎などの症状が現れます。
アレルギー体質の人は、花粉症になる可能性が高いのですが、アレルギー体質でない人も長年花粉を取り込んで、カラダの一定の許容量を超えると、突然花粉症が発症する可能性はあります。
花粉症の人が増えている原因は、戦後スギを植林してスギの花粉飛散量が増えたこともあるのですが、食生活の問題、大気汚染、ストレスの増大なども影響していると言われています。
■免疫機能がうまく働かないと発症しやすい
「食生活の問題とは何か」についてご説明しましょう。花粉症のアレルゲンは、花粉ですから、何か食べ物の原因で発症することはありません。しかし、仕事が忙しくて、睡眠不足、ストレスがたまっている、食事がきちんと摂れないなど、生活リズムが崩れたり、食生活が乱れて栄養が偏ったりすると、自律神経が乱れて免疫機能がスムーズに働かず、そんなときに花粉症の症状が出たり、ひどくなったりすることがあります。
もちろんこれは花粉症に限らず、睡眠不足や食事が不規則がちなときに、風邪をひいたり、喘息が出たり、疲れ目がひどくなるなど、自分の弱い部分に出てしまうのです。ですからひどくなる前に、生活を見直し、自分のカラダをケアすることが大切です。
■高タンパク・高脂質の食事との関係
昭和40年代以降、日本人の食生活は欧米化が進み、肉類の摂取量が増えて高タンパク・高カロリーの傾向になってきました。そのような食生活の変化と花粉症の増加の関連性が指摘されています。
もちろん脂肪の多い肉類はアレルゲンではないので、食べてすぐに花粉症が発症するというのではなく、長い期間にわたって、高タンパク・高カロリーな食生活を続けていると、花粉症になりやすいと言われています。
花粉症の症状が出たら、できるだけ高カロリーになりがちな食事などは控えめに、そして幅広い食べ物からさまざまな栄養素や成分が摂れるようにバランスを心がけてください。
■タンパク質は摂ってはいけないの?
栄養をバランスよくと言っても、なかなかわかりにくいものです。もう少し具体的にご説明しましょう。
タンパク質は、免疫機能を高めるためにも必要な栄養素なのですが、摂りすぎると免疫機能が過剰に働いて、症状がひどく出てしまうようです。花粉症が気になる季節、また症状が出たときなどは、高カロリー食にならないように、脂肪の多い肉類は避けて、赤身肉やささみ、魚などを適量食べましょう。青魚などに多く含まれている不飽和脂肪酸のEPAやDHAは、アレルギー症状を抑える働きがあることも知られています。
■ビタミン、ミネラルをしっかり摂ろう
ビタミンやミネラルなどはカラダの機能をスムーズに働かせるのに欠かせません。特にビタミンB6は、免疫機能を正常に維持するのに必要で、不足するとアレルギーが出やすくなると言われます。また花粉症の症状である鼻や眼の粘膜の炎症、かゆみは、活性酸素が増えるとひどくなります。ビタミンCやビタミンA、ビタミンEなどは抗酸化作用のある栄養素です。
ミネラルの亜鉛は、不足すると、免疫機能が低下します。加工食品の中に使われる添加物の中には、亜鉛の吸収を邪魔するものもあります。また添加物を多く摂取するほど、体内で活性酸素を増やし、活性酸素は花粉症にも影響すると言われます。
どうしても加工品ばかりに頼ると、生鮮食品を食べるのと違って、栄養素が不足したり、偏りがちですから、気をつけたほうがよいということです。
もし外食や市販の総菜を買うにしても、洋食と比べて、脂質が少ない和食の定食(ごはんを主食に、主菜、副菜とさまざまな料理の組み合わせ)がおすすめです。鶏からあげのような、主菜のカロリーが多いものより、サバの煮付けの定食などに、さらにもう1品、青菜のおひたしや海草の酢の物などを追加するくらい、野菜や海草などを意識して摂ったほうがよいでしょう。
■甘い物も控えめに
ケーキやアイスクリームなどの甘い食べ物は食べ過ぎると、炎症を起こしやすくなると言います。食養生でも、甘い物や冷たい食べ物は「陰性」と言って、カラダを冷やすので、血行を悪くし症状を悪化させると言われます。確かに、カラダを冷えると、免疫力が低下することにもつながります。
お菓子のほかにも、コーヒーや南国の果物、アイスクリーム、牛乳などもカラダを冷やす傾向があるので、症状がひどいときは注意してみてください。
■アルコール、香辛料は控えめに
唐辛子などの辛みの強い香辛料をたっぷり使った食品やアルコールなどは、そのもので花粉症を引き起こすものではありませんが、粘膜の毛細血管を刺激して、鼻水がひどくなることもあります。最近は、花粉症に有効だというアルコールも売れているようですが、やはりアルコールですから、ほどほどに、というのが現実的だと思います。
また、タバコの煙に含まれる有害物質も鼻の粘膜を刺激し、体内の活性酸素を増やし、花粉症の症状を悪化させてしまうとされています。自分だけではなく、周りにいる人のためにもぜひタバコは控えましょう。
■果物には、ひどく反応することが……
野菜や果物にはビタミンやミネラル、また活性酸素を除去する抗酸化作用のあるポリフェノールなどが含まれているとはいえ、花粉症の人は、果物アレルギー(口腔アレルギー症候群)になりやすいことが指摘されています。花粉を吸い込んでいなくても、特定の果物を食べると、咽や唇、舌のかゆみ、痛みなどの症状が出ることもあるようです。
■リノール酸のとり過ぎにも注意
植物油に含まれているリノール酸は、コレステロールを下げる作用があると言われ、注目されていた脂肪酸ですが、摂り過ぎると、アレルギー症状を促進するということがわかっています。
リノール酸は、必須脂肪酸といい、カラダにはなくてはならない栄養素ですが、現代人は摂りすぎる傾向がありますので、揚げ物やマヨネーズ、ドレッシング類など植物油を多く使った料理を食べ過ぎないように気をつけましょう。
アレルギー予防に役立つ脂肪酸としてはα-リノレン酸で、体内でEPAやDHAに代謝されます。α-リノレン酸は、しそやフラックスシードの油に含まれていますが、たいへん酸化しやすいので、加熱しないでサラダなどのドレッシングで使うほうが向いています。
【食と健康ガイド:南 恵子】
■花粉症は誰もがなるリスクを持っている
花粉症は、スギだけでなくマツ、ブタクサなど、人によりアレルゲンはさまざまです。花粉を鼻や喉、目から体内に取り込むと、カラダの免疫機能が反応して「抗体」をつくり、再び花粉が吸い込まれると異物として「抗体」が反応し、ヒスタミンなどの物質を放出します。ヒスタミンによって、神経や粘膜の血管が刺激されて、くしゃみ、鼻水、かゆみ、結膜炎などの症状が現れます。
アレルギー体質の人は、花粉症になる可能性が高いのですが、アレルギー体質でない人も長年花粉を取り込んで、カラダの一定の許容量を超えると、突然花粉症が発症する可能性はあります。
花粉症の人が増えている原因は、戦後スギを植林してスギの花粉飛散量が増えたこともあるのですが、食生活の問題、大気汚染、ストレスの増大なども影響していると言われています。
■免疫機能がうまく働かないと発症しやすい
「食生活の問題とは何か」についてご説明しましょう。花粉症のアレルゲンは、花粉ですから、何か食べ物の原因で発症することはありません。しかし、仕事が忙しくて、睡眠不足、ストレスがたまっている、食事がきちんと摂れないなど、生活リズムが崩れたり、食生活が乱れて栄養が偏ったりすると、自律神経が乱れて免疫機能がスムーズに働かず、そんなときに花粉症の症状が出たり、ひどくなったりすることがあります。
もちろんこれは花粉症に限らず、睡眠不足や食事が不規則がちなときに、風邪をひいたり、喘息が出たり、疲れ目がひどくなるなど、自分の弱い部分に出てしまうのです。ですからひどくなる前に、生活を見直し、自分のカラダをケアすることが大切です。
■高タンパク・高脂質の食事との関係
昭和40年代以降、日本人の食生活は欧米化が進み、肉類の摂取量が増えて高タンパク・高カロリーの傾向になってきました。そのような食生活の変化と花粉症の増加の関連性が指摘されています。
もちろん脂肪の多い肉類はアレルゲンではないので、食べてすぐに花粉症が発症するというのではなく、長い期間にわたって、高タンパク・高カロリーな食生活を続けていると、花粉症になりやすいと言われています。
花粉症の症状が出たら、できるだけ高カロリーになりがちな食事などは控えめに、そして幅広い食べ物からさまざまな栄養素や成分が摂れるようにバランスを心がけてください。
■タンパク質は摂ってはいけないの?
栄養をバランスよくと言っても、なかなかわかりにくいものです。もう少し具体的にご説明しましょう。
タンパク質は、免疫機能を高めるためにも必要な栄養素なのですが、摂りすぎると免疫機能が過剰に働いて、症状がひどく出てしまうようです。花粉症が気になる季節、また症状が出たときなどは、高カロリー食にならないように、脂肪の多い肉類は避けて、赤身肉やささみ、魚などを適量食べましょう。青魚などに多く含まれている不飽和脂肪酸のEPAやDHAは、アレルギー症状を抑える働きがあることも知られています。
■ビタミン、ミネラルをしっかり摂ろう
ビタミンやミネラルなどはカラダの機能をスムーズに働かせるのに欠かせません。特にビタミンB6は、免疫機能を正常に維持するのに必要で、不足するとアレルギーが出やすくなると言われます。また花粉症の症状である鼻や眼の粘膜の炎症、かゆみは、活性酸素が増えるとひどくなります。ビタミンCやビタミンA、ビタミンEなどは抗酸化作用のある栄養素です。
ミネラルの亜鉛は、不足すると、免疫機能が低下します。加工食品の中に使われる添加物の中には、亜鉛の吸収を邪魔するものもあります。また添加物を多く摂取するほど、体内で活性酸素を増やし、活性酸素は花粉症にも影響すると言われます。
どうしても加工品ばかりに頼ると、生鮮食品を食べるのと違って、栄養素が不足したり、偏りがちですから、気をつけたほうがよいということです。
もし外食や市販の総菜を買うにしても、洋食と比べて、脂質が少ない和食の定食(ごはんを主食に、主菜、副菜とさまざまな料理の組み合わせ)がおすすめです。鶏からあげのような、主菜のカロリーが多いものより、サバの煮付けの定食などに、さらにもう1品、青菜のおひたしや海草の酢の物などを追加するくらい、野菜や海草などを意識して摂ったほうがよいでしょう。
■甘い物も控えめに
ケーキやアイスクリームなどの甘い食べ物は食べ過ぎると、炎症を起こしやすくなると言います。食養生でも、甘い物や冷たい食べ物は「陰性」と言って、カラダを冷やすので、血行を悪くし症状を悪化させると言われます。確かに、カラダを冷えると、免疫力が低下することにもつながります。
お菓子のほかにも、コーヒーや南国の果物、アイスクリーム、牛乳などもカラダを冷やす傾向があるので、症状がひどいときは注意してみてください。
■アルコール、香辛料は控えめに
唐辛子などの辛みの強い香辛料をたっぷり使った食品やアルコールなどは、そのもので花粉症を引き起こすものではありませんが、粘膜の毛細血管を刺激して、鼻水がひどくなることもあります。最近は、花粉症に有効だというアルコールも売れているようですが、やはりアルコールですから、ほどほどに、というのが現実的だと思います。
また、タバコの煙に含まれる有害物質も鼻の粘膜を刺激し、体内の活性酸素を増やし、花粉症の症状を悪化させてしまうとされています。自分だけではなく、周りにいる人のためにもぜひタバコは控えましょう。
■果物には、ひどく反応することが……
野菜や果物にはビタミンやミネラル、また活性酸素を除去する抗酸化作用のあるポリフェノールなどが含まれているとはいえ、花粉症の人は、果物アレルギー(口腔アレルギー症候群)になりやすいことが指摘されています。花粉を吸い込んでいなくても、特定の果物を食べると、咽や唇、舌のかゆみ、痛みなどの症状が出ることもあるようです。
■リノール酸のとり過ぎにも注意
植物油に含まれているリノール酸は、コレステロールを下げる作用があると言われ、注目されていた脂肪酸ですが、摂り過ぎると、アレルギー症状を促進するということがわかっています。
リノール酸は、必須脂肪酸といい、カラダにはなくてはならない栄養素ですが、現代人は摂りすぎる傾向がありますので、揚げ物やマヨネーズ、ドレッシング類など植物油を多く使った料理を食べ過ぎないように気をつけましょう。
アレルギー予防に役立つ脂肪酸としてはα-リノレン酸で、体内でEPAやDHAに代謝されます。α-リノレン酸は、しそやフラックスシードの油に含まれていますが、たいへん酸化しやすいので、加熱しないでサラダなどのドレッシングで使うほうが向いています。
【食と健康ガイド:南 恵子】
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