髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

「口の周りに毛が生える」という呪いを受けたオッサンがファミコンレビューやら小説やら好きな事をほざくしょ―――もないブログ

「自転車旅行」 まとめ by 髭人

2015-08-30 21:00:12 | 自転車旅行日記
現状最後の自転車旅行であるもう「新潟旅行」を終えてから10年ぐらいが経過したのだろうか。
今の所、自転車旅行に行く予定はない。
理由は簡単。

「行きたい場所がないから」だ。

現状でもし自転車旅行に行くのであれば

「ブログのネタのため」

という極めて不純な動機となりそうだ(笑)

そこまで需要があるとは思えんし、金や労力も費やすのでやる価値はない。
というか、個人的に自転車旅行というのは「冒険」の1つだと考えているので道中でトラブルやアクシデントが起こる可能性は非常に高い。
今までが特に大したこともなかっただけにしか過ぎない。

「近づいてくる人が全員、善人であるとも言えないから襲われる」とか
「峠越えをして急坂をスピード出して走っている最中にマンホールで滑って転倒し骨折。身動きが取れなくなる。人なんて誰も通らないような場所で途方に暮れる」
なんて事態も想定できる。

結構前だが自転車で日本一周をしていた人が家の手前40~50kmの地点でダンプに轢かれて亡くなったなんて事故を聞いたことがある。
髭人の今までの自転車旅行はただ幸運だったに過ぎないのだと認識している。

ただ、そんな苦労があった分、感動も多かったというのは事実ではある。

九十九里編の2日目の昼食。「吉野家での豚汁」で泣きそうになった。
新潟編の1日目の夕食前「水」で旨すぎて3度見する事になることは今後ないだろう。
(食い物ばっかだな)

景色で感動したのは九十九里編2日目早朝の朝日。
野宿をして疲れ切った体に照らす眩しいぐらいの太陽。
別に絶景という場所ではない。ただの町中での朝日にしか過ぎない。
朝日なんてのは晴れの日に起こる現象である。それに深く感動し、未だに心に残っているぐらいだ。


そう考えると感じる事の面白さ、素晴らしさを実感できる。
普段、何気ない事でも極限状態であれば人に大きく感じらせる事もあると…
それは髭人にとって財産となったとこれは胸を張って言える。


記事にした以上、少しは読まれていると信じたいが…
それで今までの髭人の文章を読んでどういう感想を持たれるのか分からないが…

「私も感動を味わいたい」
「髭人、ここでもドジってアホだな~」

など色々思う事はあるだろう。
自転車に限らず1つの事に何か懸命になる事は人にとって1度ぐらいは必要だろうと思う。
精神的に豊かな人間となる為にはね。
じゃ、髭人は精神的に豊かと言えるか?

自信ねぇな…(笑)

豊かになる為に必要であると言っているのであって、必ず豊かになるって訳じゃないからそこら辺は誤解なきように!!

もし、この記事を読んで何か1つの事に懸命になるようなチャレンジしようと思われている方がいるのなら…
トラブルや苦労はあるかもしれない…

が、その人の無事を祈ろう。

さて、そんな風に髭人も達観しているだけではなく、何か新しい事にチャレンジしてみましょうか?
自分が感動するような事をね。出来ればそれをもとに誰かを感動させられれば最高であるが(苦笑)


最後に…このシリーズを追ってきてくれた全ての皆様…本当にありがとう!!


自転車旅行リスト

「自転車旅行日記 by 髭人」 リスト

2015-08-30 21:00:00 | 自転車旅行日記
カテゴリ欄から飛んでくると更新した順になるため、一番上に表示されるのは最新。
つまり、帰る時の日記が表示されてしまう。
それでは、もし読もうという気になった方が読みにくかろうと思いましたのでリストを作ることにしました。
ま、このリストを利用してくれる人がどれだけいるのかは不明ですが(笑)

※この日記は髭人の自転車旅行で起こった出来事を記した物にしか過ぎません。
 そのため、自転車旅行を行うに当たって
 所持品や行動など間違いが含まれている可能性があります。
 この日記だけを参考にして自転車旅行を行うのは絶対におやめください。
 髭人は責任を負えません。

【九十九里編】

九十九里編 1日目 前編

九十九里編 1日目 後編

九十九里編 2日目 前編

九十九里編 2日目 後編

九十九里編 3日目 (最終回)


九十九里編 今だから言える事


【房総半島一周編】

房総半島一周編 1日目 前編

房総半島一周編 1日目 前編

房総半島一周編 2日目 前編

房総半島一周編 2日目 後編

房総半島一周編 3日目 前編

房総半島一周編 3日目 後編

房総半島一周編 4日目 (最終回)


房総半島一周編 今だから言える事

【新潟編】

新潟編 1日目

新潟編 2日目

新潟編 3日目

新潟編 4日目

新潟編 5日目

新潟編 6日目

新潟編 7日目

「自転車旅行」 まとめ

「自転車旅行日記 by 髭人」 ~新潟編 7日目(最終日)~

2015-08-23 21:00:51 | 自転車旅行日記
朝5時過ぎぐらいに起きて、出発です。天候は晴れでしたね。
ようやくここでまともな天気になって一安心です。相変わらずコンビニで食事です。
近場に「吉野家」「松屋」「すき屋」みたいな牛丼屋があればなぁ…

そう言えばここでバイクの集団を見たな~とても楽しげだった。
バイクで旅をするのも大変なんだろうが自転車に比べたら間違いなく楽だ。バイクや車は動力があるからな。
エンジンが動きさえすれば、ガソリンを入れるだけで後は、ハンドル等を操作するだけで自転車の何倍もの速度で移動できる。
そんな光景を見ていながら、そこを敢えて自転車にするから意味があるのだと思ってコンビニで食事を終えてから走り出した。
橋を渡っていると埼玉県という標識…


埼玉県入国!!

それはいいのだが、裏側を見ると群馬県という標識はやはりない。
俺が見落としたと言う訳ではなかったようだ。何故だ?群馬県の標識を作る金がなかったのか?
それとも、埼玉県側は群馬県に対して境目は無いという感覚であるが群馬県側としては埼玉県と明確に線を引きたかったのか?
その逆も考えられるが不明である。しかし、初日と比べたらスピードが極端に落ちたという実感がある。
疲労もあるだろうし行きは追い風だったのか帰りは向かい風なのか良く分からないが…
行きにも来た道だから思い出しながら走っていた。

「こんな店あったな…」
「次はここを曲がる」

という感覚である。逆方向って事で景色は多少違ったが…
休みながら順調に進む。今日中に帰るには余裕が十分にある。
途中、眠くなってきたので、眠気を低下させる飲料を飲み。
スニッカーズを食べる事にしたらいろいろな振動等でぺしゃんこになったスニッカーズがあった。

別にこんな潰れるような動きはしてないはずなのだが…

味は変わらんと思って、中身を開けて見ると驚いた。

「毛?」

スニッカーズに毛がめり込んでいたのだ。開けてすぐに目に付いたので間違いなく俺の毛ではないだろう。
俺は、毛を取り除いて気にすることなくスニッカーズを口にした。

「そんな事ぐらいで一々、激怒してお客様センターに電話したってしょうがねぇ…」

という所だ。別に髪の毛が付着していたのを食べたぐらいで腹痛にはならないだろうし食品を取り扱う以上、
全身を消毒してから職員を工場に入れるだろうと思ったので無害だと思ったからだ。
それに仮に電話して新しい物が届くにしてもそれは家だろうし、俺は今、食べたかったのだ。
改めて食べる気などならん。で、新しいのを買う気もなかったから食べた訳だ。
今、ゴキブリだったらTwitterに更新かな?
炎上間違いなし!!アカウント削除の可能性もあり!!
と、バカな事はさておき…話を戻そう。

多少お腹を満たされ、睡魔も取り敢えず遠くに去り、さて行くかというところで走り出した。そして快調に飛ばしていた時であった。

「あ。おしっこしてぇ…」

そう思ったときは周りにトイレは見当たらなかった。

「しょうがねぇ…立小便だな」

男はここらが簡単でいいですわな。さてどこでするかと探して、道路のすぐ脇に良い所を見つけた。
道路から急に下った所だったので車からその位置を見ることは出来ない。そう思って、降りようとしたときであった。

「うおおおお!」

コンクリートの地面が滑った。傾斜が急だったと言うのもあるが、つるつるであると言う事もなかったから
滑る事は無いだろうと思って手すりがあったがつかまる事なく歩いていたのだ。
迂闊に立小便をしようという罰が当たったのだろう。そのまま手をついて、尻餅をついた。
それでもかなりの勢いで滑ったのでかなり痛かった。手を見てみると滑った時の痛さにしては小さい擦り傷が出来ていた。

「良かった良かった」

降りた所で思いっきり立小便をして今度は、手すりにつかまって登った。

「コレを使わずに済むと思ったんだけど…持ってきたんだから使うべきか?」

放置しておいても何ら問題もない小さく浅い傷であったが折角持ってきたのだからとマキロンをつけた。
傷が浅過ぎる為か染みもしなかった。
これで大怪我していたらお笑い者だわな。
自業自得だし(立小便は立派な犯罪です!!トイレでしましょう!!)

そして気を取り直して再び走り出した。
11時ぐらいになって、コンビニで休んでいた訳だ。ジベタリアンである。
それで地図でも見ていれば絵になるが、携帯で画像を弄くっていたりしていたから自分でも

「駄目だな。これは…これじゃ疲れてないのに座っているみっともない連中と何ら変わらん。
これでは世間の人から軽蔑の眼差しを受ける」

と、思えてきた。結構、格好って重要な物です。
休んで走り始めるがあまり力が入らない実感がある。昼食を取ることにした。


これが今回の旅、最後の食事となりました…

そこで、定食屋に入ってメンチカツ定職の大盛りを頼んだ。
結構待たされたけど、それはそれで休めたから良かった。

「初日は、飯なしで家から藤岡まで行っていたんだけどな・・・」

今は、東京にすら入っていない位置であった。疲れているというのが実感として湧いてくる。
それでメンチカツ定食を食べて、出発した。
地図は見ているのだが基本的に道路の標識を頼りに走っているので東京の町の名前を頼りに走っていたのだが

「ここは行きに来てないな」

と気付いた。坂が物凄く急なのである。行きは、緩めの中だったのだが帰りはきつい。
そして、そのまま標識に従って進んでいると、「東京都」と書かれた標識が見えた。
この標識を待っていたぜ!!

「後少しだ!」

と、走っていると行きにはトンネルなど通ってなかったのにトンネルを見つけた。

「まぁ、どこかで道を間違えたんだろう…でも、帰れればいいや」

結果オーライ的考えた方でトンネルを抜けた。坂を下り、地図を確認してみるが良く分からない。
線路があったのでその周辺を走っていると位置を思い出した。

「ここだ!覚えているぞ!」

と、思い出して走り出した。それからの帰りは行きの始めの方であったので大体覚えており、そのまま帰っていくと、
何度か訪れた事がある道に出た。ここで一安心という所だが気は抜けない。
狭い道があったりするのでそこで事故ったら元も子も無い。遠足と同じ理屈である。帰るまでが遠足であると…
そうやって坂を越えて走ると、昔通っていた中学校や小学校の通学路に出た。

「昔、悪ふざけをしていたな」

なんて思い出しつつ走った。
ここまで来てしまえば目と鼻の先という状態だったので、歌なんか歌いながら帰った。
そんなテンションが上がっているなかうちに辿り着きました。

帰ったら汗まみれで疲れているのでシャワーを浴びて寝る!!




PS)これにて「自転車旅行日記 完」って所だが…

まだもうちっとだけ続くんじゃ…(笑)


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自転車旅行リスト



「自転車旅行日記 by 髭人」 ~新潟編 6日目~

2015-08-16 21:00:22 | 自転車旅行日記
前日10時半といういまどきの小学生ですらもっと後に寝ていると思われる時間帯に就寝したにもかかわらず
早朝4時半ぐらいに携帯のアラームをかけて起きた物の眠さは半端ではなかった。
しかも雨がざ~っと降り、俺の起きる気力を減退させた。
5時過ぎると音から察するに雨が弱くなったので体を起こして、出している生乾きで少々匂いがする服をリュックに詰めて出発した。

朝食という事でコンビニに寄る。
レジに自分よりも先に客がいて作業がトロイオッサンに少々イラッとしながらも、大した事はないと思って、
心を落ち着かせているとそのオッサンが声をかけてきた。

オッサン「自転車で山越えですか?」
髭人「はい」
オッサン「大変でしょうが頑張ってください」

なんて言われたので少し気分をよくしていた。(さっきはイラついたのに…調子がいいヤツ)
朝食を済ませてから山越えの開始だ。ちょっと登っていると
頭上高くに標高400mの標識を見つけた。

髭人「海は標高0mだろうから、既に1日の間に400m登ってきたのか…
しかしこれから600mは登らないとあかん…」

体のだるさを感じたが文句を言っても入られないのだから山越えの為に歩き出した。
坂が緩い所は自転車に乗るがそれでも7割ぐらいは歩きだったような気がする。時折雨が止んだり降ったりを繰り返していた。

髭人「この状態はこの旅ではずっと続くんだなぁ…」

諦めて、歩いていた。
カッパは特殊加工で雨を良く弾き通気性もいいという話であるが、どんなに通気性が良くても服を1枚着込む訳だから蒸れる。
暑い。だからと言って脱いでびしょ濡れになっては風邪を引く事だって考えられる。
暑くて体調不良になる事も考えられるがそこは難しい所だ。行きの時、新潟側で登りがあったのだから当然、帰りでは下りもある。
ここまで登ってきたのに何で途中に下りがあるんだよ…

電池式の発光灯があったのでそれをケツの所に付けてトンネル内を走る。
まだ朝と言う事もあり車の量は少なく、
工事も始まってないので片側一車線という事ではない。
工事の人が着いてきた方が安全なのかもしれないが…
幾つ物トンネルを越えたのだが一つ気になる事があった。

髭人「やべぇ…水がねぇ…」

登り始めたときは2本の500mlのペットボトルに合計して700mlの水があったのだが今は100~200mlに減少している。
飲もうと思えば一気飲みなど簡単に出来る量だ。どうしようと迷う。
行きは丁度いいところに水場があって補充する事が出来たが今回は水場などないし、自販機など近くに見当たらない。

髭人「行きはエネルギー不足で帰りは水不足か?」

最悪雨の水とか沢の水を飲むことも不可能ではなかったが出来れば避けたい所であった。
幾ら綺麗のように見えても中には病原菌があるかもしれない。
本では山での湧き水は飲まないほうが良いと書かれているがうちの父親は登山の時、
山の上に山小屋などのように人がいられる建物がなければ大丈夫と言って普通に湧き水を飲んでいた。
俺も飲んだけど異常なしだった。まぁ、湧き水は上に人が住んでいなければ良いって訳じゃないけどね。
上には道があって他人がそこで、誰もいないから野糞や立小便をするのは不思議ではない。
だから、正露丸を持っていった方がいいです。そんな正露丸を持っていない俺は

『ギリギリまで水は飲まずに行こう』

と思って、そのまま歩きつづけた。そしてどうにか苗場にやってきたときはホッとした。
これでようやく水を飲めるという所で…時間として10時半ぐらいだったかな?下から4時間ぐらいはかかったんじゃないだろうか?
昨日、無理して3時に出発していたら7時に着いていた所だ。
疲れていたからもっと後かもしれない。
それを考えると昨日は山越え判断をしなくて正解だったと言える。
バスで来ていたと思われる学生を少し恨めしく思い、ジュースを買って飲み、苗場を後にした。

三国峠側にはなかった1000mの標識である。良くここまで登ったよ髭人!

後少しでトンネルである。10時ぐらいだったので工事も始まっており、片側一車線で交互通行になっていた。

「やべぇな…」

と、思っていると工事の人は反射板の服を貸してくれたりする事も無く、そのまま進めと言う事であった。

しかし、4日前とは違って、道路はあまりガタガタしてなかったし、
工事も限定的に行われていたので急いでトンネルを出る必要もなかった。
だからこそ、トンネル内に県境の表示があった。そこをのんびりと越える。

にしてもそのトンネルに入る直前に、高校生らしい人が逆側から三国越えをしたようだった。
思わず会釈したね。やはり同じような事をやっている人を見かけると年齢とか関係無しに同志って気がして他人のようには思えなくなる。
そして、そのままトンネルを出ると、そこは真っ白。

「トンネルを抜けると…川端康成の『雪国』ならぬ『霧国』か?」

景色なんか全然見えませ~ん。

と言う所だった。真っ白で遠くが見えない。電池式の発光機をつけていたので轢かれる事はないだろうと思っていた。
そして、下りばかりである。
鼻歌交じりで走る。ただ、雨の後だったから、泥はねして気分良くと言う訳にはいかなかったが…
そんな時である。何とリヤカーを引いている人を見たのだ。

髭人「嘘ぉぉぉん!」

リヤカーで三国越え。とんでもない事をする人もいるんだなぁ…と、すぐに駆け寄った。
話を聞くとなんだかボランティアの活動で全国に10人ほどいてリヤカーで日本縦断するという企画をやっているらしい。
その人は北海道から3ヶ月もかけて実家があると言う新潟に来たのだと言う。
リヤカーと自転車と言う全く違う乗り物であるが、苦労して何かやっているという連帯意識からすぐに意気投合って感じだったなぁ…
写真まで撮ったし、だけどお互い行かなければならない所があるのでずっと話している訳にもいかず

髭人「お互い頑張りましょう!」

と、声をかけてその人と別れた。そうそう。その人から1枚の紙を貰ったのだが
なんだかアルミ缶やプルタブを集める事によって車椅子をミャンマーに届けると言う活動をしているらしく、
リヤカーを引きながら缶集めをしているようだ。

リヤカーの人と別れたら、後は一気に駆け下りて沼田と言う町で昼食を取ろうと考えたのだが次の国道沿いの店で食べようと思った時には
既に越えてしまったらしくて周辺には何もなくなっていた。

髭人『ああ~失敗した~』

仕方ないのでそのまま進んでいると、棚田を見つけて写真を撮っていた。
田んぼの写真は何枚も撮ってきたけど棚田は棚田でまた美しい。

それから走りつづけて、丁度見つけた国道沿いの定食屋でミックスフライ定食を食べた。
チキンカツとアジフライだったかなぁ?お味噌汁が旨い。旨い…
塩分大事!!

で、出る時に三毛猫がいた。うちの方が可愛いいなと思いながら(親バカか?)

その猫はその猫でちょっとふっくらとしている分、おっとりとしていて、
客が来ても逃げたりせず丸まっている姿が何となく可愛げであった。
店を出て再び出発。この頃になるとケツの痛みもピークとなっていた。
自転車は歩道がないから気を付けて通行しろとの事…

歩道がないから気をつけて通行しろだと!?
その道にはガードレールがあったけど、ガードレールの向こう側は崖なんだよ!
じゃぁ、反対車線に行けって事なのか?だけど反対車線はガードレール無し歩道無しの道の上に壁になっているから避けようがないんだよ。
にもかかわらず歩道が無いから気をつけろってどう気をつけたらいいんだよ!
一番気をつけるべきなのは走る凶器にもなる車の方じゃないのかこの野郎!

6日間毎日自転車に乗っていたわけだ。合計で40~50時間は越えるんじゃなかろうか?
(山で降りていた時間も含むけど)風呂に入っているときに自分の尻を見てみたが、
サドルに当たっていた部分が擦れて真っ赤になっていて、ブツブツみたいのが出来ている。

髭人「こりゃいてぇ筈だよ」

と、言っていた。それでもどうにか痛くないように尻をずらしてサドルに座って自転車を漕いでいた。
汚い尻だったので写真には撮ろうとも思わなかった。自分の尻に携帯を向けている姿を想像すると惨めだし(笑)
痛くなったら尻をずらし、信号待ちになったら自転車を降りて待ち、痛さに耐え切れなくなったら休憩を取る。
こんな調子だから、あまり進まないのは当然である。
しかし、1日目に辿り着いた渋川も越えたので自分の中でOKである。

髭人「ここを越えれば取り敢えず明日一日で帰れるだろう」

と言う所だ。後はできるだけ距離を稼ぐだけ…それで、今日の宿泊地をどこにするか迷った。
折角だから結構大きめの都市、埼玉の熊谷にしようかなんて思っていたのだが、標識を見る限りまだ30km以上もある。
信号などに捕まらずスムーズに行けば時速20kmは出せるのだが、
ケツの痛さで休憩がちになっており、時速は10km程度かもしれない。
その状況で3時間、走りつづけるのは大変である。
それよりも、行きに来た方向を走るかどうかで迷った。
しかし行きに来た方向に入ってしまうと宿を見つけるのが一苦労かもしれない。
色々と迷う要素があったのだが、体の状態を考えれば無理はしない方がいいという結論に至り、
群馬県と埼玉県の県境に位置する藤岡市で泊まる事に決めた。
「市」なら宿を探すのも何とかなるだろうと…
「町」や「村」だと、観光スポットなどがないと難しいだろうと思った。
そして藤岡市街に向かうのだが、突如、眠気に襲われた。

「ヤバイ…休むか?」

ケツは痛いのもあるが更に来ている睡魔には勝てなかった。
頭と尻とでは離れすぎているからか?
雨もぱらつき、丁度いいところに一階部分がない建物があってそこで休む事にした。
一階部分には犬が一匹寂しそうにしていたので

髭人「休ませてくれ~」

なんて言いつつ、そこで座っていた。睡魔が押し寄せてきて数分間だが眠ってしまった。
俺が近くにいても吠えたりせず心優しい良い犬でしたぜ。

国道から丸見えの位置にあるから、目を瞑って座っている男に国道を走っている人は驚いたかもしれない。
それから藤岡駅前に行くが、交番がない。駅員らしき人に交番の位置を聞くと

警官「どうしたんだい?」
髭人「ビジネスホテルを探しているんですが・・・」
警官「ビジネスホテル?そこに行った所にあるんだけど、料金はちと高いなぁ~」

ビジネスホテルの事を聞きつつ、交番に言った方がいいということで交番の場所を聞いて行ってみたのだが、残念ながら不在。

髭人「どうすっか?別の交番でも探すか?」

なんて飛び出すと、地図があって近くに警察署がある事を知りそこに行ってみた。

警官「どうしたんだい?」
髭人「ビジネスホテルを探していまして・・・この辺にありますか?」
警官「あんたどこに行くつもりなんだ?」
髭人「東京なんですが・・・」
警官「東京?東京行くのにこっちに来るとは珍しいね」
髭人「こっちからの方が家に近いんですよ」
警官「へぇ・・・」

都心部に行くという事を考えているのだろうな、
そう言いつつ、タウンページで探してくれる警官のおっちゃん。しかし・・・

警官「この辺には数軒しかないなぁ…高崎に行けばあるんだが…」

高崎というのは新幹線も止まる群馬県の大きな都市である。
しかし既に通過した都市であったから出来れば戻る事になるのは勘弁して欲しい所である。

宿を教えてもらい電話をかけてみた。客室はあるという話だから次は金だ。

髭人「「1泊の料金は?」
お店の人「4500円です」

5000円を切っていれば取り敢えずOKなので、そこに決めた。
高崎に行けばもっと安い所もあったのだが、10kmも戻ってまで安い宿にする気力は無かった。
3日目は数百円の差で戻ったのになぁ…
まぁ、3日目は、次の日、進まなければならないと言う予定がなかったからこそ安い所にしたんだが…
で、宿に行くとそこからうなぎのいい香りして、めちゃくちゃ誘惑されていたが体を奮い立たせた。
その店はうなぎ蒲焼の販売を行っているらしい。宿帳に書いたりして、部屋に案内された。
そこで食えばよかったかなぁ?


部屋の中はいたって普通だった。

お店の人「今、お風呂にお湯を入れてますので入ってください」
髭人「夕方と言うお忙しい中、急に来てしまってすみません」

と、言っておいた。確かにその店はうなぎ料理の為かドタバタしているように思えたから一応言っておいた訳だ。
すぐには入れないだろうから、宿についてから少しくつろいで風呂に入る事にした。
すると、風呂からはお湯が溢れていた。

髭人「うおおお!止めないのかよ!
まぁ、お湯を止めないからすぐに入ってくれって頼まれた訳じゃないし、お店の人が忘れたんだろう」

そう思って、浴槽のお湯を使って、体を洗い出来るだけ無駄にならないように徹した。
でも、そのまま俺が風呂に入ったお湯を残す訳には行かないから浴槽の栓を抜く事になったんだけど・・・
1人で入る風呂だったから、お湯を残しておく訳にはいかない。
風呂に入ったら今度は夕食である。近くに初日の昼食で食べたもつ煮の店があるから行って見ることにした。

髭人『お店のオバちゃんがいたら驚くかなぁ?』

なんて心を膨らませていた。(多分、覚えてないだろう)
その時、上からゴロゴロという音と共に、雨が降ってきた。

髭人「ああ~また雨か・・・」

自転車には乗っていたが、風呂上りでカッパは着てこなかったので少し濡れた。
そして、そのお店を見かけたのだが、真っ暗・・・
どうやら営業時間は過ぎているのかその日は休日だったのか良く分からないがやっていないようだ。

髭人「まだ8時だぞ」

雨にぬれながら、他に定食屋を探すのだが見つからなかった。雨も強くなる一方で、

髭人「飯どうすんだよ…」

と、思って目に入ったのが弁当屋。

髭人「最後の夜の飯が弁当かよ…」

少しがっかりしながらも、雨の状況や周囲の様子を見て、これ以上探すのは無謀だと思って、弁当屋で済ますことにした。
しかし量的に少し不満がある。近くにコンビニがあったのでそこで追加で色々と買うことに決めて、
買って、多少、週刊誌を立ち読みし、宿に戻ろうとしたのだが、週刊誌など読まなければ良かった。

ザァァァ!ピカァァァ!ゴロゴロゴロ…

髭人「やべぇ・・・出れねぇ・・・」

雨の地面への跳ね具合を見るととても濡れながら帰るような状態ではなかった。

髭人「飯も食えないどうしよう・・・」

コンビニの外で飯を食う事は何度もやってきたのだが、コンビニの屋根が小さい。
その状況で飯を食べ始めたらびしょびしょになるどころか弁当まで濡れる。

髭人「ああ・・・どうすっかなぁ?」

コンビニ内で本を読んで立ち読みする物の、このまま待っている訳にもいかないから、
コンビニの外を見回したら丁度いい駐車場があった。
下は土であったが、屋根もあり食事をするには丁度いいところであった。

「よし!そこに移動だ!」
髭人
と言って、コンビニのビニール袋を頭に翳して、そのまま駐車場下へ・・・
何故か、コンビニやスーパーの籠が捨ててあり、それを裏返して椅子として使って食事をしていた。

髭人「雨やまねぇ…」

食事を終えたものの、帰れない。友人にメールなんかして待つがなかなか止まない。
結局コンビニで立ち読みしていた時間や食事の時間含めて1時間半ぐらい食ってしまった。9時も過ぎた。
そろそろ寝たい所だ。雨は土砂降りから本降りになっていた。

髭人「ああ!帰る!宿は近い!」

さすがにこれ以上滞在しているのも問題があるだろうと言う事で、雨に濡れてでも帰る事にした。
近い事もあって、びしょ濡れになる事はなかったが濡れた。部屋に戻ったら歯を磨いて寝るだけである。
見たいテレビも無かったし、あっても見る気力などなかっただろう。
そして最終日の7日目になっていくわけです…


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自転車旅行リスト

「自転車旅行日記 by 髭人」 ~新潟編 5日目~

2015-08-09 21:00:29 | 自転車旅行日記
早朝5時前ぐらいに起床しただろうか?
天気は昨日とは打って変わって晴れ!
と思いたいところだったが雲がどんより広がっている。
今にも泣き出しそうな状態である。文句を言ってもしょうがないので準備をして出発する。
フロントには誰もいないが鍵さえ置いておいてくれれば良いと言う話だったのでフロントに鍵をおきそのまま出発した。]

まずは朝食。
新潟時代、アパートの近くにあり最も利用していたコンビニで朝食を取ろうと思って進んでいたのだが、
頭の中でぐるぐると渦巻く事があった。

『昨日、もう振り返らないって心に決めたじゃないか…それをやめて戻るような事をしていいのか?』

それでも、恐らく最後の最後だからという気持ちもあった。
この先、何かの機会でよっぽど近くに来ない限りここには来ないだろうと思っていたので
最後に寄っても良いんじゃないかとも思えてきた。しかし、

『それではいかん…そんな事では同じ事の繰り返しになる…』

そう思って、途中のコンビニで朝食を取り、アパート等に戻る事なく出発した。

一面の緑、稲。いずれなる日本人の主食。
この緑こそ日本人の原動力なのだろうとひっそりと思う。

その日の目標は最高で三国峠を越えて少し山を下った所にある新潟県の苗場というスキーで有名な場所である。
最悪で苗場の手前の町、越後湯沢だ。苗場の手前と言っても越後湯沢とはその場所にはかなりの差がある。
なんと言っても苗場が山頂付近だとするのなら越後湯沢は山の麓である。この山の差は後日の差を考えれば非常に大きい。
さて、それで進み始めたわけだが泣き出しそうと思っていた雨が降ってきた。
歩道橋の真下でカッパを着て走り出すがすぐに止む。
昨日と言い、雨に踊らせながらも大して気にせず走る。
すると、髭人の体に異常が…尻が痛いというのではない。
既に尻は痛かったのだから…膝なども軽く痛くなっていた。
ジーパンが膝に擦れてブツブツみたいのが出来ていたし、足の裏も靴に擦れたのかブツブツが出来ていた。

まぁそれらは自転車を漕ぐのに支障がない程度だったから問題は無い。
ただ、今回はまた別の異変だった。
それは…

「ヤバイ!眠い!」

その時俺は、車道の脇を走っていた。
歩道を走る事も可能だが、歩道って車道から車が進入しやすいようにと
段差がつけられているのでそれによって尻に負担がかかるしスピードも落ちる。
だから、少し危険でも車道を走ろうと言う事になっていた。
その状況で眠いなんて自体は非常に危ない。
車だって危ないのだから丸腰の自転車なんて死を意味するだろう。
すぐにコンビニに寄って、「眠眠打破」という眠気を除去するドリンクを飲んだ。
味は若干コーヒー味だったかな?だからこそ飲みやすかった。
他にも色々な成分が入っているんだろうけども飲んでから5分ぐらいするとじわじわと効いて来た。

「あ!眠くねぇ!確かに打破しているわ!!」

そう喜んで自転車に跨って進む。
ただ、「眠眠打破」の効果がどれくらい持つかわからないし、1日1本しか飲んではいけないらしい。
パックのお茶系飲料のカフェインでは弱すぎるらしく、その日も飲んでいたが眠くなってきてのだから効果は薄いと考えて良いだろう。
それから快調に飛ばし、1~2時間ぐらいで長岡に着いた。
まぁ、寄る所もないからそのまま通過なんだが、国道を通っている時に、結構驚く事があったね。
車道のアスファルトと、U字溝が離れていた。普段であればくっついていたはずだ。
最高で10cmぐらいはあったんじゃないだろうか?
自分の自転車はタイヤが厚いマウンテンバイクだったのだがそのタイヤでもはまると思えるぐらいの溝が出来ていた。
俺の握り拳が大体入ると言う大きさなのでかなりの物だ。
自転車のタイヤは楽々ハマる。チャリに乗っている最中に落ちれば転倒は免れられない。
地震であると断定は出来ないが、地震だと思って間違いないだろう。
標識には山古志村方向、通行止めのマーク。
開放されたって話は聞かないから未だに、孤立したままなのだろう。
やっぱテレビ画面を通じて、見ている世界と現実ってのは差がありますよ・・・

「油断していけねぇな」

と言う所であった。そして路面の様子に気を遣いながら長岡を通過。
長岡から小千谷に行く国道はトンネルがあって、そこは自転車の通行が出来ないようだったので再び、
小千谷市内を通り元の国道へ…その周辺が行きにボトルキャップを落とした辺りである。
普通のスピードを維持しながら路面を見ていくが既に小さいボトルキャップであるし
既に3日も経っていたから見つかる事は無かった。
そのまま走っていくが、遂に眠眠打破の効果が切れたらしく睡魔が襲ってきた。
頭がクラクラする。肉体の疲れもあったので、酒屋の駐車場に座り込んで携帯のアラームをセットし、腕組みをした。

5分ぐらいの仮眠である。アラームが鳴って止めたのだが、それだけも十分に効果があった。
多少、睡魔が抑えられたお陰でそのまま走る事が出来た。
友人とあったと言う事も会ってしょっちゅう友人からメールがあった。
とはいっても彼はその日、仕事をしているから休み時間にメールをしているのだが・・・

「今、どこ?」

疲れているのであまりに返すのが面倒だと放っておいたが、一応返した。
それで正午前になってそろそろ昼食を取ろうと言う事でお店に入ろうとしたのだが定食の価格が1000円を超えていたのでやめた。
やはり食事は1度に1000円以下にしたい。

疲れているのだからそんな事を気にする必要なんてないのだけど、
髭人は貧乏性なもので(苦笑)その店には入れないと先に進む事にした。
山ではないからちょっと行けばすぐに見つかるだろうと言う所だ。
そして、見つけたのが浦佐という新幹線も泊まる駅のお店で、「ロースカツおろしポン酢定食」の大盛りを食べる。チェーン店っぽい所だったからコレと言って特別なおいしさもなかったけども…疲れをいやすには十分だ。


かなり体力を使っていると言う事で脂系が欲しくなる。食べてから近くのコンビニでスニッカーズを購入した。

「山越えをするとなりゃ必要だろう。『お腹が空いたらスニッカーズ』だ!!」

と言う所だ。行きの三国峠でパワーダウンした事を教訓にした訳だ。
やはり、チョコ系はカロリーも高く、甘く体力もつく。気を取り直して出発する。
海に行って山越えをしなければならないわけだから坂も結構多くなる。
その為、休みも多くなり、休憩中メールを打っているときに、いきなり携帯が震えた。電話のようだ。
電話の主は母親。
チャリ旅行をしている事は知っているからな。

髭人「何?」
母「大丈夫?連絡くれないから・・・」

昨日の大雨の事で心配になったらしい。まぁ、かなり凄かったからな・・・

髭人「連絡しないから大丈夫なんだろ?」

と、返した。連絡できないような状態にならないともいえないが・・・

母「無理はしないでよ」
髭人『無理しないと帰れる訳ねぇだろ?現時点で結構、無理してんだよ・・・』

と言いたかったが、あまり不安にさせるような事を言う訳にも行かないから分かった分かったなんて返していた。うちの母親は異様なほど心配性だからな。
無用は不安は抱かせる必要はない。
まぁ無理と言っても我慢できるぐらいの無理だから、まだまだいけるというところであったが…
そのまま、走っていくと15:00ごろに越後湯沢に到着した。
14:00時前だったら苗場に行こうと思っていたからかなり迷った。
「14:00時を過ぎたが時間は15:00…
まだ時間としては行けるよなぁ…暗くなるまで3~4時間はあるし…
今日、苗場まで言ってしまえば明日、明後日が非常に楽になる。行くべきか行かざるべきか?」

悩みどころであった。ここは、自分一人で考えていても仕方ないと思ったので、交番を探した。
地元の人なら良いアドバイスしてくれるかもしれないし、泊まるとするならビジネスホテルを聞くも良しと言う所だ。
ガソリンスタンドで交番の場所を聞いて、交番に辿り着いた。警官もいてそのおっちゃんに聞いた。

髭人「苗場まで行こうかどうか迷っているんですが、自転車で2~3時間がつけますかね?」
警官「3時間もあれば着けるよ。トンネルがあるから、排ガスを吸う事になるだろうけどな」
髭人「苗場の方でビジネスホテルってありますかね?」
警官「あると思うけどな。でもこの時期だと学生の合宿が多いからな…う~ん…でも大丈夫だと思うが…」
髭人「そうですか?じゃぁ行ってみます」

と、走り出した物の数分経たないうちに交番に戻った。
体力的に持つか分からんし、苗場の方のホテルがどれくらいあるか分からなかったし、
越後湯沢ならば宿は沢山あるだろうと思って、結局、断念した訳だ。

警官「やっぱり戻ってきたのか?」
髭人「そうですね。あまり無理するのもよくないですから…」

それで、ビジネスホテルを聞いて、行ってみた。電話番号を聞こうと思ったが、そんなまどろっこしい事をしてないで
自分の足で行けというような事を言ってきたので、自分で行く事にしました。

店主「自転車と言う事は明日早いですよね?ちょっと私、明日は用事がありまして…
お隣に行ってみては如何でしょう?」

勘のいい方であった。

髭人「隣?料金は幾らぐらいでしょうかね?」
店主「4000円前後だと思いますが・・・」

そう思って、隣に行くと1泊4000円だそうだ。

髭人「じゃぁ1泊お願いします」

と言う事になり、部屋に案内された。話によるとどうやら、客は俺一人らしい。
まぁ、越後湯沢つったらスキー客が沢山来る土地である。
夏場、お祭りがあるらしいが、その時期以外の客は少ない事は間違いないだろう。
(初日の宿はスキー場という訳でもない。大丈夫なのか経営…まぁあのばあちゃんなら何とかしそうだけど…)
部屋に入ったら部屋中に乾ききっていない服をかけて寝た。
体はベタベタしていたが風呂に入れる時間帯でもなかったし、疲れていたのと睡魔にやられたからだ。
2時間ぐらい寝ただろうか?6時過ぎになり、風呂に入った。

「俺一人の風呂だ~」

と、大きな浴槽を大の字になってみたりできるだけ体を伸ばしたりしてみた。
汚くなるから泳ぐって事はしなかったけど一人の風呂と言う事で満喫しましたよ。
1日目の宿は一人だったけど、風呂は近所の銭湯だったから何人も客がいたから、あまり羽目を外した行動は出来なかった。
それにしても、体重計は自宅のと同じ物だったからビビった。
まぁあり得ない事ではないけどね…風呂が済んだら夕食って事で店のオバちゃんに

「近くに美味しい店ないですかね?」

なんて聞くと、パンフレットを貰ったのでそこに行こうと思った。
しかし、そのパンフレット、ちょっと当てにならない。
そのパンフレットが古いからなのか夏場だからなのか良く分からないがやってない店が多数見られた。
近くにあるだろうと言う事で歩いていったのだが、結構遠かったりした。一通り見に行ったりして一つのお店に落ち着いた。

さば味噌に定食。少々ご飯は少なめ。
まぁ、安めだったのであまり文句を言ってはいけません。
ご飯の大盛りを頼んだのだが少々、量的に物足りず、近くのコンビニで饅頭でも買おうと思った。
お店の人とは自転車の事で多少話しました。
普段ならレジの横にある100円ぐらいの饅頭でも1つ買おうと思ったが残念ながらない。
他に旨そうなお菓子を探すが、スナック菓子とかスカスカな物が多く。団子があったりしたが、量が多い。

「丁度いいぐらいのものがないな・・・」

コンビニ内をウロウロ歩き回り、サクッと食べられるアイス最中でも食べようと1つ手にとってレジに行った。

店員「180円です」
髭人「!?」

驚いたね。何の気なしに、レジにおいたらアイス最中が180円。
そのアイスの近くにチョコモナカジャンボという100円のアイスが売っていると言うのに、180円のアイス最中とは…
にしてもたかが80円の差に驚愕した俺ってのもなんとも貧乏臭い。
レジに出した以上、80円の差で「替えます」というのも恥ずかしいのでそのまま涼しげな顔をして180円を支払った。
そして

髭人「ようし!180円の味を確かめてみるか!」

と、思って食べてみる。最中の触感が普通の最中アイスとは違ったが、中身はカフェオレだったのだが普通であった。

髭人「う~ん…最中が80円増しなのか?」

と、ちょっと不満に残りつつ、最中を食べた。そして、宿に戻って、折角俺一人のための風呂なんだからと、もう1度風呂に軽く入った。
それから毎週見ているドラマを見ていたのだが睡魔には勝てず22:00前に就寝したのでした。


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自転車旅行リスト

「自転車旅行日記 by 髭人」 ~新潟編 4日目~

2015-08-02 21:00:12 | 自転車旅行日記
ここ2日間と同じけだるい朝。
ボンヤリとしながら取りあえずテレビをつけて天気予報でも見てみようとチャンネルを動かす。

「アアン!アン!アァン!」

髭人「○ね…」

朝だから昂っているという点はあったが全身からあふれるだるさから来る苛立ちは肉体の状態とは別の反応を示した。

気を取り直してニュース番組にチャンネルを合わせ、天気予報を見る。
前日に天気予報では雨であった。降水確率70%…
当日、天気予報は見事に当たった。空気を読まない70%…

その日の予定は1日周辺を過ごす事だった。
昔、住んでいた地域を1日で再体験という訳だ。
夜はまた友人と話すと言うつもりだった。

進まなければならないと言う目的が無い以上、雨が降ってもあまり支障はないというところなのだが…
1日中ホテルでじっとしているというのは時間の無駄と思えた。
朝が午前6:30ぐらいに起きてゆっくり準備する。
一応、8時過ぎに友人がアパートに出るから、そこに合わせて行けばいいというところであった。
別に行かなくてもいいんだけど何となく面白そうだからね。8時前にカッパを着て出発する。
ちなみに追加料金は無かった。アダルト専用チャンネル見放題?

時間から言って朝食を買う時間があったのでコンビニで弁当を買って友人宅前で待つ。
なかなか出てこなかったので

「雨が凄いから早めに出た方が良いよ」

なんて電話を入れる。
それから少しして出てきたときに、自分の姿を見て驚いていた。
俺がくるとは思わなかったと言うより、カッパは青いから上下青い姿の男に驚いたのだろう。(完全に不審者)
写真をパチリと取って、俺は近くの無人駅で買った弁当を食べる事にした。

にしてもその無人駅で驚いた事がある。券売機がついていたのだ。
電車には住んでいた時にお世話になったのだが俺が利用していた時期は「乗車利用証明書(合っている?)」の発行機だけがあった。
「乗車利用証明書」なんて漢字ばかりで物々しいが簡単に言えばこうだ。

その機械にはボタンがついているのでそのボタンを押すと、1枚の紙切れが出てくる。
それにはその駅名とボタンを押した日付と時間が書かれている。

これを持って降りる駅で駅員に見せる事でその区間の料金を支払うのだ。
だから下車する駅が無人駅だとそこにあるポストのようなものに運賃を入れるわけだ。
電気制御されたものではない。ただの箱にしか過ぎない。金を払わずとも咎められる事は無い。(犯罪だからやっちゃダメ!絶対!!)

むろん電車の乗車中に乗務員が確認にくることがのでそこでは料金を支払わなければならない。
客が車両に入ったことは確認しただろうしな。

券売機がついたからと言って100%料金が取られるって訳じゃない。
いくら券売機が置いてあっても、駅員が入るようになったわけではない。
乗る駅も降りる駅も共に無人駅ならば確認される事も無いから、料金も取られないで済む。
但し、乗務員に切符の提示を求められた場合、バレる。
すると、周辺の1日乗り放題の券を購入させられるそうだ。
いろいろと犯罪めいたことを言ったが券売機があるのだから無賃乗車せずちゃんと買えって話である。

券売機を見て時代の移り変わりを少し感じつつ…
と、そんな雨が物凄く降り、雷も時折鳴っている。
俺はびしょびしょになった靴下を脱いでそこで朝食を取った。
雨をぼ~っと見ていると午前9:30ぐらいに少し雨が緩んだ気がしたので出発した。
燕三条のネット喫茶である。走っている途中で猛烈な雨に降られて、橋の下に避難。
中を確認してみるとリュックの中はびしょびしょ…カッパは持っていたがリュック用カバーは持っていなかったからだ。
コピーした地図なんかボロボロになった。

「ああ~なんで今日が雨なんだよ!」

まぁ、旅行期間中なら何時の日であっても文句を言うんだろうが…
で、休んでいる時に

「あ、今日のホテルに電話をかけておくか?」

と、電話をかけた。まず、5000円以下の2軒である。しかし、午前中にも拘らず既に満室だという。
仕方なく、同じ所で泊まる事にして、連絡すると部屋は空いているのだそうだ。少し雨宿りをしている最中、
仕事中の友人にメールで

「雨が酷いから、ホテルのアダルトチャンネルでも見てよっかな?」

なんてメールを入れた。まぁ、雨だからって新潟に来て、エロ番組見て1日を潰しましたなんてなったら、
笑うに笑えない思い出になりますがね…
雨が少し弱まった所で再び移動し、ネット喫茶に着いた。時間は10:30。
11:00から平日ランチサービスタイムがあるそうで、ネット1時間と昼食1品をあわせて610円になるのだそうだ。
通常、ネット1時間は480円であるから、1品が230円って事でお得なのだ。
ネット喫茶の下のお店で30分ほど1時間を潰して、それからネット喫茶へ…
昔、更新していた自分のHPに行ってみたものの、掲示板などに反応は無いのでちょっと寂しかった。(自意識過剰なだけです)

だが、当たり前だわな。誰にも何も言わなかったんだから…とりあえず1週間消えるとしか書いてなかった。
常連さんに対してのサプライズのつもりだった。帰ってきてから

「髭人さん、自転車旅行に行っていたの?」

みたいなリアクションを欲していたから

そんな所で、焼肉ピラフを食べる。
所詮、ネット喫茶で出すようないかにも冷凍用を温めましたってだけの代物なので別段書くこともない。

漫画を読んで、1時間が経過したので店を出て、近くのゲーセンでちょっと時間を潰そうと思った。
この判断が後々まずったね。高々1年後でゲーセンの様子など変わりようも無く、
中のゲームが変わっているぐらいで配置などは殆ど同じであった。
そこでウロウロしているとドバァァァァ!!と、中まで聞こえる大雨。
外まで行くと、足首まで水に漬かるような状態で、一部深いところでは膝の所まで水位が上がっていた。

自転車のタイヤがかなり水に入っているような状態です。これでは足首は間違いなく水に漬かる。

「やべぇ…うごけねぇ…」

そこで1~2時間ぐらい足止めを食う羽目になった。
ネット喫茶で漫画でも読んでいたほうがマシだったのかもしれない。

ゲームを1度やってぼんやり雨が収まるのを待っているとピカッと光り一瞬停電した。
ゲームやっている人はこれで1回分損した訳である。店員は1回分復活させてあげたのかな?知らんけど…
それから雨は収まってきたのだが後少しで、ゲーセンが床上浸水する所であった。
しかし、水が引くには時間が掛かる。

「雨が殆ど降ってないのにこのまま待っていられるか!」

と言う事で、靴や靴下を脱ぎ、裸足で水の中に突入した。(水は不衛生なのであまりおすすめしない)
足首まで水に漬かりそれから、水を出て、靴を履く。何時もの休日を再現すると言う事で本屋に寄ってみたりした。
すると、少し空腹を感じる。やはりネット喫茶のピラフ1杯程度で俺の腹を満足させる事は出来なかった。
他に何か食べようと思って、比較的価格が安い燕三条駅、構内の立ち食いそば屋で冷やしうどんを食べた。
にしても、雨の降った量はかなりの物で、

その所為で、波が発生し、歩道を走る。俺は少し被害を受けた。
(自動車って泥はねを歩行者にかけたら罰金とかが発生するらしいよなぁ)
2004年夏に三条の川が決壊して大騒ぎになったことを思い出した。

まだ夕方前、寺泊の海に行こうと思った。
前の新潟にいた最終日、弥彦山にロープウェーで登り、寺泊の海に行っていた事もあったので…
弥彦山は曇りで景色はあまり良くないだろうということで見ようとは思わなかった。
今回、雨で時間を取られさえしなければその弥彦山にロープウェーで上がろうと思っていたが…
時間的に無理…

それから寺泊の海に向かった。雨はしなくなっていたが向かい風が結構激しく、力を込めてペダルを漕いだ。

「ああ~結局、今日1日で体を休める訳にはいかなかったなぁ…」

海に行った次は、職場にちょっと寄ってみようと思っていたのであまり時間は無かった。
時間は既に4時ぐらいだったしな…雨の所為で予定が大分、狂った。
俺が本屋なんかに行かなければ良かったというのもあるけどね。

どうにか海に着くと、かなり雨が降ったというのに、結構、海水浴客がいる。
写真を何枚か取って、防波堤の所に行き、座り込んでコンビニで買ったお茶をしみじみと飲む。

「海は何も変わってねぇな…」

と、思いながら…(髭人の脳味噌は今も変わってないかね~ )

豪雨が降った後なので結構荒れてます。その割に客も沢山いたな。
すると突如ブォーブォォーと音がする。

「何だ?」

と、思って周囲を見るが何も異常はない。
音の発生源はペットボトルであった。海風によってペットボトルの口が笛のようになっているのだろう。

「泣いているのか?笑っているのか?励ましてくれているのか?」

ただ、音が鳴っているだけなのに詩的気分に浸る。それから海を振り返る事無く立ち去った。
ちょっと自己陶酔モードに入っていたね。

『もしかして自分の後姿、カッコいいんじゃねぇ?誰か写真撮ったら渋いんだろうな~』

なんて事を一人思いながら海を後にする事にした。水着を持っていったが、海には入らなかった。
そういう気分でもなかったしな。
自己陶酔に入ってから、水着に着替えてバチャバチャと海を泳ぐというのは何となくね。
そのまま帰ろうとしていると駐車場にリュックが落ちていた。

「誰かが忘れたんだろう」

と、思いつつ、拾うとガシャガシャと何か音がする。

「しょうがねぇ・・・届けるか?」

中身を見ようとはせずに、近くの交番を探し、見つけて寄ってみた。

髭人「海の駐車場でコレが落ちていました」
警官「へぇ・・・」

そう言って、リュックの中身を空けると、残念ながら(やましいぞ)貴重品は無かった。
携帯の充電器やTシャツや目薬などが入っていた。

警官「どうします?持ち主が現れなかったらこれを貰える権利がありますが」

警官が言ったが

髭人「結構です」

と、答えた。持ち物から見るに年齢からしては若い世代。それでお礼などがあるかと考えたら、まずない。
一応、規則と言う事らしいので、自分の所の住所を書き込んだ。そして、寺泊を去った。
次に来る事はあるのだろうか?多分無いと思いつつ…それから、戻る。
めちゃくちゃ急いでいたね。既に6時過ぎという事もあって、チンタラやっていると、友人と話をする時間がなくなると…
それから当時よく来ていた道にでて走っていた。

髭人「今までここを通っていたなぁ・・・」

懐かしさに浸る。写真を数枚撮って立ち去った。
再び戻り始めたのだが、雨がざーっと降ってきて参ったね。

髭人「どうせ、すぐ止むんだろうがよ」

とかボヤきながらカッパを着ると、その声が届いたのか、雨が弱まってきた。
怒ったりする気力も無くそのまま走りつづけた。ホテルに行くまでの途中で、結構利用していた酒屋に行った。
2リットルのジュースが160円ぐらいで買えたからお得だと思って買っていた訳だ。
だからと言って今回2リットルのジュースを買う事はせずそこで純米酒を買って実家に送った。
酒屋のそばにホームセンターがあるのでそこで錆止めにと、CRCクレ5-56を買って、チェーンに吹きかけた。
自転車がかなり、雨に濡れたしな。ホテルに戻り、風呂に入った。
体を洗っておけば、その時間、話をしたり、早めに寝られると言う事を考えてだ。
そんな時に友人からメールがあって、帰ってきたらしい。
自転車で行きました。友人宅に行って、近くの定食屋に行った。

カツ御膳を食べた。ゆっくりするつもりが結構、自転車を漕いだりして疲れもあまり取れなかったので
がっつりした物を食べたくなってカツを食べました。ここのお店は、大盛りにしても価格が変わりません。素晴らしい!
と言っても、この日は、ご飯が殆ど残ってないと言う事で、大盛りに出来ませんでした(残念)。
って、大盛りの事よりも味の事を紹介するべきか?
うう~ん…舌に自信がない髭人はこれと言ってコメントはない。

お店に入ったのだが、別の客が宴会を開いているようで騒がしく店のおっちゃんも急がしそうである。
そんな状況だからゆっくりと友人と話している訳にもいかず、飯を食べたら早々に店を出ることにした。
このおっちゃんとのコミュニケーションをとろうかと思ったんだけどなぁ…残念。
やはり髭人の思惑通りには事は運ばないようで…そのまま会計をしようとすると、おっちゃんがこう言った。

「久しぶり!」

感動ですわな。それで東京から自転車で来たなんて話をすると驚いていましたわ。
当然か?俺だって友人が新潟から自転車で来たっつったら驚くだろうし・・・最後に

「また来てくれよ」

と言われた。流石に頷くということはしなかった。
自転車で来る事は無いだろうが、車であれ、新幹線であれ、新潟に来るのか?
どこでもドアぐらい金もかからずお手軽に行って帰れる代物があればいいけど、ないからねぇ
迂闊にハイって答えられないよ…(気持ちで答えておけばいいのに…当時の俺よ。)
で、友人宅で再び色々と話をしていた。お互いのこの10ヶ月間の事とか今後の事とか…
人生の事とか結構熱く語り合いましたよ。

「また来れば?」

友人が冗談で言っていたのだけど

「ないないないない!それはない!」

激しく否定しました。そんな話している物だから時間などあっという間に過ぎて11時ぐらいである。
次の日、早朝に移動しなければならないから長く話している訳にもいかない。
それで、アパートの前まで名残惜しそうに付いて来る友人。写真を一枚撮り、別れの時が迫る。
俺も出来れば、まだいたかったけどね。そう言う訳にもいかないから

「おお――――う!いいえええ――――――いい!!」

奇声を発しつつ自分の心を奮い立たせて、地を蹴り、ペダルを踏んだ。動いていく景色

「もう振り返らん!」

と、そのまま力強くペダルを漕ぎつづけた。振り返ったらまた戻ってしまいそうになったから…
辛いですわな~。
そして、ホテルに戻って、小雨に体をぬらしたし、汗も掻いたので風呂に入って寝た。
その時になって無性に空しさを感じ始めてきた。
やはり目的も達成されて後は帰るだけということがそのように感じさせる原因なのかもしれない。
しかし、もう11時と言う時間に奇声を発したのはマズかったかなぁ?
間違いなく迷惑だったよなぁ、と後になって思う。
まぁ1度だけだから許してください。車のクラクションみたいな所で~


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自転車旅行リスト

「自転車旅行日記 by 髭人」 ~新潟編 3日目~

2015-07-26 21:00:05 | 自転車旅行日記
携帯の目覚し時計を午前4時半ぐらいにセットするが、疲れている体である。
そう簡単に動いてくれる訳もない。だるい体を起こし、取り敢えず座っている。
結局起きたのは4:45。出した荷物を仕舞い始めた。
すると5時になってとあるテレビ番組が始まった。中越地震の特別番組だ。
思わず見入ってしまった。
地震の直後、東京でも連日のように映像を流していたがやはり見た事がない映像が多数見られた。
そこで特に印象的だったのが家族が家に押しつぶされた父親の映像だ。
どうやって救出するか、作業員の話を聞いているのだが頷いているが、頷いているだけで間違いなく話が頭に入ってはいないだろう。
そんな呆然と立ち尽くす様が流れていた。番組は30分ぐらいらしくそのまま見ていた。
番組が終わってから移動を開始する。朝食をコンビニで買って食べて、自転車を走らせ始める。
草がボーボーに生えている道や歩行者の為なのか殆ど階段となっていて自転車は降りて登れというような
狭い坂のスペースがある所を越え走る。

向かうは新潟…と、三条に近付いた時にサングラスをかけた。
日が出てきたと言う事もあったが、自分が数年前住んでいた町である。
知っている人に見られると言う事も十分に考えられるから顔を隠す為にサングラスをしたのだ。
自転車で新潟に来たのは友人に会うためという目的もあった。ここでもし

「髭人に似た人を見かけたよ」

なんて、友人の耳に入ったら、黙ってここまで来たのが水の泡である。だから顔を隠すと言う意味もこめてサングラスをかけたのだ。
まぁ、そんな話題になるほど髭人なんてヤツに存在感はないのだが。
まずありえないことだわな。ただの自意識過剰と言えるが念の為です。念のため。

2時間ほどペダルをこいでると

「もしかして…この橋を超えたら!まさか!」

何となく見覚えがあるような町並みになってきた。当時はその橋を見た事はあったが渡った事は無かった。
その為か、何となくこの橋を越えたら知っている所に出るのではないかと胸を高鳴らせていた。
橋を越えると、思ったとおりの景色が広がっていた。

「何でこんなクソ遠くに知っている所があるんだろ?」

そんな感覚がした。
今までは新幹線で移動していたからな。
かつて住んでいた場所が地続きであるなんて認識がなかった。

時間は8時前…ひとっ走りすれば友人がいるアパートに着くことが出来るだろう。
友人が会社に行く時間も大体把握している。
しかしそれは帰りまで取っておいた方が良いのではないかと思って、俺は新潟へ向かった。
休みながら進む。


新潟市は広い。新潟市に入ってもまだ市街に行くまで20kmぐらいはあるだろう。

尻の痛さもピークだったからなぁ…サドルに着く尻の位置を何度もずらしていた。後方から見たら異様な光景だろう(苦笑)
晴れてきて暑くなり、お茶系をガバガバ飲む。地図を確認しながら走る。だが新潟に近付いていくのが嬉しくなってきた。

10:00前に新潟まで後10kmぐらいの所で栄養補給ということでパンとおにぎりとお茶系飲料をコンビニで買って座り、地図を見ながら食べていると・・・

「ご苦労さんねぇ。あなたどこから来たの?」

おばちゃんが声をかけてきた。

髭人「東京です」
おばちゃん「東京?凄いねぇ…新潟のお祭りを見に来たの?」
髭人「そう言う訳ではないんですが・・・」

少し話してオバちゃんが離れた。地図を見ながら何時までここにいて、何時に戻ろうかとかを考える。
すると・・・自分の脇に置かれるビニール袋

おばちゃん「はい。差し入れ」
髭人「ええ?いただけないですよ!」
おばちゃん「いいの。いいの。もらっといて」

中にはペットボトルが2本。それ以上断るのも失礼だと思ったのでありがとうございますといって受け取った。
既に、お茶系飲料1リットルを買っておいたのでどうしようかと思ったがまぁ、すぐに飲む干すだろうと思ったのでリュックの中に入れた。

初めてだったなぁ…
声を掛けられる事は今までの旅でもあったが、特に何もしてないのに差し入れを頂いたなんてのはなかった。
だから感動だった。気持ちを振り立たせたわ。
おばちゃんはそのまま車に乗って去っていたのだが、数分後再び戻ってきた。
何かあったのかと思ったのだが

おばちゃん「今日、屋形船で新潟の花火を見るんだけど一緒に見ようと思って友達に電話をかけたんだけど出ないのよねぇ…どうする?見る?」
髭人「いやいやいや・・・流石にそこまでは・・・」

俺としては、元々新潟祭りを見るつもりは無かったし、夜は三条に戻り、
友人と劇的な再会を果たしたかったので花火を見るつもりはなかった。
それに仮に花火を見るようなことになったら間違いなく質問攻めに遭う。
一人孤立して質問攻めというのは辛い物だ。
そこでサクッと打ち解けられる性格ならいいんだが、残念ながら髭人は人見知りが激しいものな。
一応「東京から自転車で来た人~」って主役みたいに祭り上げられたものの、キョドってしまうだけでただ浮いてしまう扱いになってしまうのが目に見える。
別にヒーローでも芸人でもないただのつまらん男一人である。
そんな状況で屋形船なんて所で一人になるのは辛いし、誘ったおばちゃんにも申し訳ない。

『使えねぇ…自転車で新潟まで来るようなはっちゃけた事をする奴がこんなに内気だとは…』

ってな事では嫌だわ。
おばちゃんが友人に電話をしていた。ちょっと興奮気味…

「ちょっと出てくれる?」

みたいな事すら言われたが断った。最後におばちゃんは

おばちゃん「それじゃ、また会いましょう」
髭人「そうですね」

そんな事を言いながら『ほぼ間違いなく次は無いよ』と思いつつ別れた。
寂しいかもしれないが人の縁ってそういうもんだし…栄養補給を終えた所で走り出した。
工事をやっていたりして警備員に

警備員「待って」

と、言われて待つ。待っている間にそこで自分の様子を見てどこへ行くのかとかいろいろと聞いてくる。
普通に受け答えをしていると、行って良しという事になる。

警備員「頑張って!」

と、言われるので

髭人「そちらさんも暑い中、頑張ってください」

と、声をかけた。頑張っているのは俺一人じゃないからね。暑い中、工事に携わっている人だって頑張っているのだ。
街中に入ると国道も入り組んできてどこへいったらいいのか良く分からなくなってくる。

髭人「新潟市街に行けば何とかなるだろ?」

とか、適当に走っていると、新潟県庁を発見した。

「おお!すげぇ!」

と、思って、写真を取った。
新潟県で一番偉い施設という認識だった。
そこを歩いていたサラリーマンらしき人に、声をかけて写真を取ってもらったりした。
変な奴だろうと思ったに違いないな~。

県庁についてこれからどこに行くのか考える。
新潟市街に来たからといって個人的に見るべきところはあまりない。
こういうと新潟の方に失礼だな。
見るべきものはあるだろうが、髭人としては思い入れがある物しか関心を示さないというだけだ。
あるとするなら、友人が連れてきてくれた「朱鷺メッセ」とその土地で行われた「安全地帯」のコンサート会場である「新潟県民会館」ぐらいだったというだけだ。

一応、そこに行こうと思いつつ走ると、近くに浜があるというので言ってみた。沢山の人が来ていた。
始めてきた所なのであまり見るようなことは無い。
一人黄昏ている訳にもいかないので、浜辺を少し歩いて立ち去った。

滞在時間10分なり…まぁ、一人だし、思い出もないし、やる事も無い。
水着の女性を見ているぐらいなものだが…心躍らせる肉体的余裕がねぇ…

それから適当に走っていると、「新潟県民会館」に着いた。

「ここで安全地帯の曲を聞いたな~。あの曲で号泣したんだっけな~。懐かしい!!」

なんて思い出しつつ、近くの神社で手を合わせ、その場を立ち去った。
それから「朱鷺メッセ」に向かった。
何階建てだったっけ?忘れた。とりあえず展望台が31Fにあるからそれ以上です。

その時の1年前に友人の車で訪れた事がある土地であるから、場所に着きさえすれば後は大体分かる。
31階の展望台だったかな?そこに行き、風景を見る。
1年間で早々変わる訳はないが、その日は晴れ渡っていたので自分が住んでいた近くにある弥彦山が前回は
見えなかったのに今回は良く見えた。後は、「新潟祭り」という事もあって信濃川に沢山の漁船が旗を付けて列を連ねて移動していた。

それから、日陰で休憩していた。時間は午後1時前後だったかな?
あまり暑い時間帯に移動する事もないですからね。携帯で撮った写真の整理を行っていました。
帰ってからすれば良いじゃんって思ったりするんですが、帰ったら帰ったで
今みたいに日記を書いたりしなければならない事があるので、余裕があるうちにやっておこうという事で…
友達にメールなんかを返しつつ…
ちなみにこの時の友人はこれから会う人ではありません。地元の友人です。

髭人「今、新潟…」
友人「ハ?何でそんな所いるの?」

という返信は当たり前ですな。
それで午後2時ぐらいになってから昼食を取ろうと移動を開始した訳ですが、
新潟駅周辺、旨そうな定食屋を見つける事が出来なかったので「吉野屋」で「豚生姜焼き定食」を食べた。
それから、三条に戻る訳だ。
にしても、ここで体に異変が…

「糞してぇ・・・」

別に誰にでもある生理現象です。でも、そんな事が何故、異変なのか?
自転車旅行を開始してからウ○コをしてなかったからです。別に髭人は便秘という事でもないです。
自転車旅行を開始してからウ○コが出なくなったのですよ。2日間!
コンビニに寄って、トイレを借りて、排便した訳なのですが

「何じゃこりゃ―――――!!」

と思ったのですよ。
やはり、2日間ウンコせず、しかも自転車に乗っていたからというのもあって
通常のウ○コよりも一味も二味も違う。って味わってはいないが…(わしゃバカか…)

あまりリアルに書くのはやめておきますが、物凄く凝縮されていて、不思議と艶があるんですよ。
普段のモノとはあまりの違いに思わず携帯を向けようかと思ったほどです。(苦笑)

自分だけでこっそり楽しむウ○コの写真。
冷静に考えたら頭おかしいと思ったので撮影する事はありませんでした。
ちょっと残念に思ったり(嘘)
そのウ○コ…例えるのなら…
いや…例えようと思ったのが食品だからその食品を見るたびに…

「これが髭人の3日目のウ○コとそっくりだったらしいんだよな」

と、イメージが悪くなって食べられなくなったなんて言われても困るので伏せます。

それから、三条に向かいます。
同じ国道をずっと走っていても能が無いので、標識に従って別の道に行くと、見知らぬ裏道に入って辺りは一面、緑色。
去年見た景色に思わず体が震え、ちょっと泣きそうになった。

「俺はまたここにいるのだ。こいつらと共に…」

自転車に乗って追い風で気持ちいい気分でそう感じていた。
車が殆ど走らない道路であったから、道路のど真ん中で大きく両腕を広げ、ゆっくりと拳を握りグッと体に染み込ませていった。
(手放し運転なのであまり真似をしない方がいいかと思います)
そんな郷愁に浸りつつ、見覚えのある建物を見つけ走り出した。
ようやく、何度も通った道に辿り着いたのだ。それから、宿探しである。
まず、駅前に行こうとしたが線路があって向こう側に行く手立ては歩道橋しかない。
自転車を担ぎ、歩道橋を行き、駅前の交番を探すのだが、駅前に交番は無い。
駅周辺の地図を見てみるとどうやら反対側にあるようなので再び歩道橋を自転車を担いで渡る。
交番に行って、ビジネスホテルを探していると言うと、周辺には1軒しかないという。
そこに電話をかけると6000円弱…
貧乏髭人にはかなり高い額。
というか前日が4000円ぐらいで泊まれたのだからその差は大きい。

髭人「じゃ、他に行って見ます」

そう言って、燕三条の方向に向かった。新幹線も停車する大きな駅である。
その周辺ならば安いビジネスホテルの一つや二つあるだろうと思って行ってみると、駅内に交番を見つけたのだが不在…
燕三条周辺の案内板があったのでそれでホテルの電話番号が書かれていたので電話をしたが、満室らしい。
2軒目もかけてみたが満室…
他に看板にかかれていないホテルが周辺に何軒かあったので行ってみる事にした。
電話番号が分からないのは仕方ないだろう。直接尋ねてみようと…
3軒目、部屋は空いていたが「6000円」高い!
4軒目、部屋は空いていたが「6000円強」ここも高い!

髭人「泊まる所どうすっかなぁ?」

軽く途方に暮れる。
と、近くに旅行代理店があったのでそこに行ってみた。駅周辺に泊まるってのも一つの旅行だろう。
と、思って、入ってみて
「今日、安めで泊まれるようなビジネスホテルを探しているんですがありませんか?」
店員は、タウンページを取り出した。

髭人『駅周辺の事は知らんのか…』

ちょっと残念に思ったが、店員さんは熱心に探してくれていたので文句は言わない。(当時の心境だとしても相当失礼な奴だな。こんな旅人は外で野宿しろボケが!)

何軒か電話をしてくれたが満室とか料金が高かったり結局、決めかねていた。

髭人『仕方ない!これはもう、一番料金がマシな6000円弱の交番で電話したホテルにしよう!』

と、思って電話をかけた。部屋は満室になっていた…
という事は無く、そのまま予約をして、快く応じてくれた店員さんに御礼を言って、そのホテルに向かった。
(お礼を言うだけじゃなくてジュースぐらいおごってやれ。このボケ野郎)

逆戻りである。

髭人「たった数百円の差で往復で40分の道を行くのか・・・」

なんてぼやきながらホテルに向かった。そのホテルは結構高く看板が出ているので遠くまで良く見えた。


そのお陰で迷う事はなく着く事が出来た。料金を支払って、これからの事を聞いた。

髭人「外出は何時までOKなんですか?」
店員「外出は24時間構いませんが・・・」
髭人「そうなんですか・・・」

ありがたいことである。これから友人宅に押しかけようという所である。夜遅くまで話すこともあると思ったから好都合だった。
さすが6000円弱!!
そして、部屋に入って、ふぅと、ベッドに腰掛けながらおもむろにテレビのスイッチをつけた。すると…

「アアァン!!アアン!!」

という女性の艶めかしい喘ぎ声が響いてきた。
ブラウン管のテレビが徐々に明るくなってくるとその声の通り、裸の男女が体を重なっていますわな。
どうやらアダルト専用チャンネルが付いているようだった。
アダルト専用チャンネルが着いているからこそ6000円弱なのか?

そんな事を考えつつ、テレビを消し友人と会うためじっくり見ている暇などなかったのでやるべき事をしようと思った。
(疲れていたから見る気もねぇし)まず着ていたものを個室の風呂場で洗った。
服は3着しか持っていかなかったので、洗わなければならない。それで洗って、風呂場に干した。
そして近くのお店で夕食を食べた。そこで食べたのは前住んでいた時を含めて3度目かな?(我ながらよく覚えているな~)
そして、向かう。

海鮮丼だったかな?そばなんかもついております。量的にはちと不満だった。
でも、美味しく頂きました。(ああ…食べた物でどこで食べたか今思い出したよ…)

昔住んでいたアパートに…10ヶ月ぶりである殆ど変わっていない。
周囲に何軒かお店が出来ていたぐらいで大差は無い。そして、アパートに辿り着いたが、友人の車は無く、明かりもついていない。

髭人「まだ帰ってないのか…待ってみるか?」

近くの公園のシーソーに座って待つ。
夜、薄暗い所で一人座って様子を窺っている姿は間違いなく不審者であろう。
警察に通報されないでよかったと思う。で、俺の中で劇的な再会のシナリオを考えていた。
こんな感じである。

友人が帰ってきて、俺も移動して、友人宅の前に立つ。それから電話をかける訳だ。

髭人「久しぶり~。ちょっと声が聞きたくなってよ。電話をかけたんだよ」

なんて会話をしていて、それからノックをする。

髭人「ノックがするぜ。誰かが来たんじゃねぇ?」
友人「じゃ、切るよ。全くなんでこうタイミングが悪い時に誰か来るんだよ…」
髭人「電話はそのままで良いよ。どうせ大した奴じゃないだろうからやって来た奴に重要な話をしているから後にしてくれって言えば帰ってくれるって~」

と言って、友人が出ると、そこには

髭人「よ!久しぶり!」
友人「ええ―――――!?」

電話片手の髭人の姿があり大いに驚くと…
計画としては我ながら素晴らしいと思う。

髭人『ふっふっふ…これで成功すれば最高だと…』

一人妄想。時間は9時前…じっと隠れて待ち続けた。

髭人『俺自身の疲労の具合から考えて9時を過ぎても帰ってこなかったら別の事情が発生して帰れないのだろう。9時になったらホテルに戻るか?』

なんて思っていると近くのコンビニで友人の姿を認めた。
暗くてちょっと遠かったので顔までは良く分からなかったが間違いなく友人だと確信していた。
すると、部屋の明かりが付いた。
車が無かったのがおかしいと思ったが車検に出しているとか何かの事情で車が無いのだろうと思いそして。

髭人『突撃だ――――!!』

思い切って友人宅に行く事にしました。
友人宅の前に立ち、電話をかける。着信音は部屋の中からしない。恐らくバイブレータにしてあるのだろうと思う俺。電話に出る友人

髭人「おお!久しぶり~」
友人「どうしたの?何かあった?」
髭人「いやさ~前、花火に行った日がこの日だから(作り話)」

なんて言っていると、車が自分の脇に止まりそこから見た事がある人の姿が…

友人「え?何で来ているの?」

と、運転席で携帯片手の友人。逆に驚かそうとしている俺も驚いた。

髭人「え?何で電気ついているのに外にいるの?」(それもあるけど、運転中の携帯電話は非常に危険です。やめましょう)

部屋に誰かいるのか?彼女か?などと思っていると、友人はそこにある自転車を見て驚いた。

友人「ええ?自転車で?東京から?」
髭人「そうだよ…」

どうも話がかみ合わない髭人と友人。驚きのあまりって所なんだろうか?
友人は当然驚いていたが、髭人としては練りに練った計画が外れた事がちょっとショックだった。(どこが練りに練られてんねん!!)

まぁ驚かせる事には成功という意味では結果オーライと言えるかな?
後で話を聞いたのだが真相はこうらしい。

そのアパートから歩いて1~2分ぐらいの所にコンビニがある。
友人はそこで夕食を買おうと駐車場に車を止めて弁当を買おうとした。しかし、小銭が無かった。
札を崩すのは面倒だから、部屋にある小銭を取って来ようと、車は駐車場に置いたままで歩いて部屋に戻って小銭を取った。
明かりはつけっぱなしでコンビニに戻った。それで電気がついたから髭人が部屋の前にスタンバイ。
そして、友人は買い物を済ませて車でアパートの駐車場に移動させる所で髭人を発見。

思惑というのは必ずしもうまくいかないようです。ハイ…
友人宅は汚いらしいので外で5分間ぐらい待たされた。それで部屋に入れてもらった。
待たされた間、友人はシャワーを浴び、多少部屋の中を片付けたようだ。それから友人と話をする訳ですわ。
何で新潟の来たのか?どういうルートなどで新潟に来たのか?新潟に来るまでにあった事なんかを話していた。
が、2~3時間話していたうちで一番長い時間話していたのはコレだ。

『友人の仕事上での愚痴』

彼は、やめた俺の仕事を引き継ぐ立場にあるので
その仕事の大変さを誰よりも知っているのは仕事場の同僚ではなく俺だけである。
わざわざ自転車で新潟に行って仕事の愚痴を聞かされるのも辛い所だけど(笑)
一つの思い出話だし、下ネタを絡めたり、馬鹿な事を言ったりとかで、うんざりすると言う事もなかった。
それで時間などアッという間に過ぎて戻る事にした。明日も色々とやる事はあるし…
友人が見送ってくれたので何度か振り返ったりしながら走り去った。何と楽しい時間であっただろうか?

ホテルに戻って、露天風呂があるというので行ってみたのだが、何故か非常口を出た一角にある。
石鹸などは無かったので、軽く、湯船に入っておしまいである。部屋に戻って部屋の風呂で体を洗って寝た。
アダルト専用チャンネルを見ようとは思わなかった。
もしかしたら別料金と言う事も考えられたから…
って、既に料金支払ったから追加料金なんて事はないと思っていたけど…
無料であってもそんなんじっくり鑑賞する余裕はねぇわ。
とっとと寝ましたよ。



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自転車旅行リスト

「自転車旅行日記 by 髭人」 ~新潟編 2日目~

2015-07-19 21:00:45 | 自転車旅行日記
2日目起床したのは午前4:30ぐらいだったと思う。
けだるい体を起こし少し時間を置く。
調子がいくらか上がって来てから部屋に盛大に広げていた荷物をしまった。

部屋を出るとばあさんがいた。何となく物腰が柔らかくなっているような気がした。

「それじゃ、行くのかい?頑張っていきな」

そんな感じである。1日目の感じも好きであるが2日目の感じも良いな。
しかし、ギャップが大きすぎる。

「寝起きだから元気がないのか?それとも実は双子か?」

色々と考えながら(失礼な事なども頭をめぐらす)走り出した。
まず、腹が減っては戦は出来ぬというところで腹ごしらえ。
ある意味、自転車旅行は戦である。サドルに跨ると尻は痛いが、ペダル漕ぐ足に異常は無い。

やはり、コールドスプレーの効果はあったようだ。
走り始めて国道を少し間違えたが、すぐに戻る事が出来た。
それから丁度、その日に閉店になると言うコンビニで弁当を購入して、食べてから出発。
奇妙な偶然である。だからと言って別に店員に話しかけたりはしなかった。
そんな事をしたからと言ってお店側に得はないものな。
所詮、髭人などチャリバカの一般人である。

渋川を越えるとやはり山らしくなってくる。三国峠は近い。
順調に沼田を過ぎて走りだしたわけだがそれからアホみたいに坂がきつくなってきた。
遂に三国越えである。ずっと坂ばかりで本当に嫌になった。
きつかったり緩かったりするのだが、長い時間そんな調子だと今は知っているのが
平坦な道なのかさえも判断がつかなくなってくる。
自転車はずっと押していく。ロード用ではなくマウンテンバイクだしな…
って、今さまさにマウンテンなんだけど(笑)
しかし、長時間、自転車に乗れず自転車を押しているばかりだと頭がおかしくなってくる。
道路の整備が非常に悪いと言う事も手伝って…
歩道が進行方向に対して左側にあったりなかったり、下水道の凸凹が酷く、乗ったらこけるというような段差があったり、
道がひび割れていたり、無意味と思えるような所にガードレールがあるせいで、
歩道で自転車を押す自分がめちゃくちゃ窮屈な思いをしたりなどなど…
沢山の自転車利用者に苦を強いるような要素が多い。だからこそ・・・

「ふざけてんのか!国土交通省!自転車利用者や歩行者を舐めんなよ!天下りなんかやっている場合じゃねぇぞ!!馬鹿ぁぁぁぁ!」

と、勝手にキレ始めました。
坂道がキツイという事もあってそのキレ方もどんどんエスカレートしていきます。

「山が悪い!」
「坂が悪い!」
「天候が悪い!」
「自然が悪い!」

自分の悪い所が一気に噴出しました。多少、昨日の疲れが残っていると言う事もその状態に拍車をかけたのでしょう。

でも、ここまで読んでいただければ分かるとおり、では、一体誰が一番悪いのか?

「自転車旅行を敢行したお前が悪い」

である。そんな見苦しい状態でも自転車を押しつづける自分、悲しい所です。
他人がいたら引くよなぁ…
一人だからこそ許される怒りだね。
誰か友人など一緒にいたら押し殺しますよ。

で、そんな悪い膿を全て出し切ったところで髭人の感覚が変わってきました。

「こうなりゃ!髭人の底力見せてやる!」

文句を垂れた所でしょうがないので、色んな障害が待ち受けようとそれを乗り越えようと言う感覚になりました。

例えるのなら体内にある毒を吐ききって清い体になったって所でしょうかね。

そんな事になって、汗がボタボタ垂れようとも、目の前の坂が延々と続いていても歯を食いしばって歩いていきました。


工事の人がいて色々と迷惑をかけたねぇ…
片側通行で

作業員「ハイ!今、行って!」

反対車線の車を通して自分を呼びかける。

髭人「分かりました!」

そう言って、一気に道を駆け上がっていく。

作業員「自転車行くよぉ!」

向こう側で車を誘導している現場の同僚に声をかけていた。本当、申し訳ないところです。
それから、じっくり歩いていると、一つの標識にぶち当たった。「1/55」


1/55始め見た時は何とも思わなかったが…この数字はやがて絶望となる…

髭人「何だ?」

と、思いつつ、道を曲がっていくと今度は「2/55」どうやらカーブの数らしい。

髭人「うへぇ・・・結構登ってきたのにこれから55個もカーブを越えないといけないのかよ!」

既に2時間以上、坂を登ってきたのだ。にもかかわらずこれから55個もあるのか?想像を絶する事態である。
しかし先ほど自分の中で見につけた境地

髭人「髭人の底力見せてやる!」

で、気合で登り始めた。はぁはぁと荒い息を吐きながら登って行く。どんどんと数が増えていく数「17/55」

髭人「ようし!後10個!やってやるぜ!」

後少しで半分である。そうすれば下りになるとそれだけを頭に思い浮かべ頑張っていた。
つまり、峠全体に55個のカーブがある。だから残りは反対側にあるのだろうと…

しかしである。「27/55」を越えたが次の坂がある。

髭人「まぁ、四捨五入すれば半分は28だもんな」

なんて事を考えていたが28。29と越えるが坂は延々と続いている。

髭人「まぁ。カーブの数が素直に坂の半分にあるなんて訳はないわな」

しかし既に30を越えたが未だ、くだりは訪れず…そして俺は一つの考えに至った。

髭人「まさか!55個全部こちら側にとか?いや!そんなまさか!?」

否定したい気持ちはあったがこの状況である。そのまさかもありうる事態であった。ガックリと肩を落として歩きつづけていた。
それにしても山というだけあってコンビニなどのお店は殆ど無い。それどころか自販機さえもない。

髭人「ヤバイ。水が尽きる」

500mlのペットボトル2本のお茶系飲料が尽きようと言う時であった。
そんな所にタイミングよく、水場があった。湧き水を汲み上げているようでドバドバドバと、パイプを絶える事無く流れていた。

髭人「ようし!水の補充だ!」

と、水を汲み、自分も飲む、冷たくて旨い。頭に被ったりして暑くなった体温も下げる。
それから再び、出発である。水って結構良いんですよ。Tシャツにぶっ掛けるだけで打ち水効果を得られるようでかなり体温を下げてくれる。
これがお茶系だと勿体無いし、Tシャツにお茶の色が移る。これは避けたい所だ。
持ってきたボトルキャップから出る水は決して多くなく丁度いいぐらいだ。
にしてもとある標識を見かけた。そこには標高800mの文字

髭人「何時の間にそんなに登ったの?」

という気にさせてくれます。

髭人「うわ!俺、実家の近くの山で一番高い山よりも登っているし!」

その山は結構、人が訪れる山で、高校の時に自分は学校行事として登らされた事があった。
現在地点はその山の頂上よりも高いと言う事になる。自分自身に感動する。
そして、そのまま歩く事1時間ぐらい。時間としては11時を回っていただろうか?
900mの標識も超えた。900mと言うと、ハイキングというよりは軽い登山の部類に入るんじゃないでしょうか?
そんな時、体の異変に気付いた。

髭人「やべぇ!パワーダウンだ!」

以前の自転車旅行でも経験したパワーダウン。簡単に言えばエネルギー切れである。
全く同じことをやらかしてしまった。

○んざい監督「まるで成長していない」
シャ○「同じか…」
○ムロ「人は同じ過ちを繰り返す…全く」

と言われても仕方ない状況である。

その日に摂取したエネルギーは朝食べたコンビニ弁当と9時ごろに飲んだカロリーオフのポカリスエット。
後は、水ぐらいである。ずっと坂を登っていればエネルギーを使い果たすだろう…
1つ断っておくがこれは空腹ではない。水をがぶ飲みしている為に、空腹感はしないのだ。気力もある。
疲労感も無い。しかし、前に踏み出す一歩が容易ではないのである。
足が前に出ない。引きずるようにずるずると一歩前踏み出す。
ぜぇぜぇと荒い息を吐きながらちょっとしたスペースの場所で呼吸を整える。
髭人は登る前にこう考えていた。

髭人「パワーダウンを起こしてもコンビニでパンでも買えばいいや」

と、高をくくっていたのがその判断はあまりにも甘すぎた。
山の中でコンビニが無ェ!!

ついでにコールドスプレーも使用する。ジーパンだったからパンツ姿になってシューシューと足に吹き掛ける。
車どおりも多いとはいえないから別に気にすることもないだろうというところだ。
そして、再び歩き出す。「47/55」ぐらい。

髭人「これが55になったら終わりだ…」

その気力だけで歩く。とは言っても、これはカーブの数を表示した物だけなので坂の終着点が「55」という訳ではないのだが…
パワーダウン。最悪、進めなくなったら登ってきた道を降りて、コンビニやドライブインかなんかで何か食べる必要がある。
それだけは絶対に考えたくない事である。ここで降りたら1~2時間は水の泡だ。
水を飲みながら誤魔化しつつ歩く。すると、後ろから自転車に乗った人が・・・

オッサン「がんばってくださ~い」

と言う40代ぐらいのオッサン。指の第一関節ぐらいの長さしかない幅の細いタイヤを持つ相当高そうな自転車で走っている。
普通にスゲェと思う。俺も言われているだけでは嫌だったので

髭人「そちらも頑張ってくださ~い」

とか言っておいた。ただの負け惜しみである(笑)。
明らかに頑張るべきなのは俺なのだが、
しかし、そのオッサン半ズボンだったんだが、その半ズボンから見える脹脛(ふくらはぎ)や太ももの締まり具合。
自転車に限らず相当、運動をしているのだろうと思った。
オッサンに追い抜かれ、俺は必死こいて歩く。本当、精神的には本当必死。
「クララ」といい勝負かもしれない。

すると…「54」に辿り着いた時点で道がいきなり平坦になる。
「遂に来たのか!?」
その先を少し進むと、「55」という標識と共にトンネルを発見。

ようやく来ました55/55。目にはうっすらと涙が(嘘)

坂を越えたのだ。
ホント、この時点で肉体的限界が近かった。
この時点で

「頂上まで後30分」

と言われたら髭人は迷うことなく2~3時間、再び坂を上がって来なければならなくても坂を下っていただろう。
それぐらいに肉体的にも精神的にも追いつめられているというギリッギリの状態だった。
まぁ人の手を借りるというのなら、道路で親指立てて車を止めて

「すみません!食べ物ありませんか!お金は払います!」

と、行き倒れみたいな事をしなければならなかっただろう。




さて、トンネル前、そこは工事中であり、片側通行らしい。

髭人「やべぇ…自転車通れるのか?」

そんな事を思ってトンネルの方に行こうとすると、工事の人がやってきて

作業員「ちょっと待って!」

と、呼び止められた。自分が行く方向の車をまず行かせてから、走れと言う事らしい。トランシーバーで

作業員「今から自転車行くよ」

というような会話を向こう側と連絡しあっているようだ。物凄く申し訳ないと思う。
まぁ仕事だわな。
それで、行ってという合図で走り出した。
トンネル内は長く排ガスが充満しているので口にタオルを巻く。
頭をタオルで巻き、サングラスもしている様はまるで昔のマンガに出てくるような強盗のようになっていた。
(にしても今、盗賊が出てきても強盗をするマンガってのも見ないがな)

なんと標高1000mを超えていた。すげぇ…

それから走り出したわけだが、
トンネル内は微妙な下り坂である。嬉しかったねぇ…
気持ち的には手放しして両腕を挙げたかったが(「アタッ○25」のコロンビアのポーズ)
トンネル内には微妙な段差がありガタガタと揺れるので調子に乗って
そんな事をしたら盛大に転倒するなんて無様な事になるので気持ちを抑えた。
というか、そんなトンネル内でこけたら後続の車に轢かれかねない。
かなり暗かったし…

ようやく待ち侘びた下り坂だと思うがそこで同時に怖い事も考える。

髭人『帰りはここを登ってこなければならないのか…まぁ、でも今は下りだから帰りの事を考えるのはやめよう。今を楽しめ!この下りの時を!!』

と、下り坂を楽しんでいた。トンネルを出ると、「新潟県」の文字

髭人「遂に来たぁぁぁぁぁ!新潟入国!!」

気合を入れつつ、下りを駆け下りる。

肉体的に足は上がらないがテンションだけは上がりまくるという良くわからん状態である。

そのまま行くと、お店が並んでいる。
そこは苗場という場所で、冬場はスキーヤーでにぎわう所である。
定食屋を見つけて一安心。マジ安心。
これで坂の途中にちょっとした坂があるとかいう特殊な地形だったら俺はきっと泣いていた。

「周替わり定食」を頼みました。特に、何か言われる事はなかった。
心の中で、店員に何か言われるのを期待していたね。

(今考えればただの自意識過剰。というか、さっきのロードバイクに乗っていた人など
峠越えしている自転車乗りは日に数人は通るだろう。
髭人が別段珍しいという訳ではなかろう)

既にペットボトルの水も飲み干していたような状態だった。本当危なかったね…
ドラクエで言えば序盤、次の町に行く時とか洞窟越えをしなければならないときに、
「ルーラ」や「リレミト」を覚えてない時に、「キメラの翼」は無く、「薬草」とMPが尽きたような状態か?
ようやくエネルギー回復が出来ると昼食を取る。勿論、ご飯は大盛りである。コップ1杯の水をすぐに飲み干す。
冷たい水はやはり旨い。もっと飲みたいがあまり水だけを頼むと言う訳にもいかないので店員には黙っていた。
水差しを置いといてくれれば最高なんだが…
(遠慮しすぎだな。当時の俺)

昼食を食べ終えて、帰り際

店員「頑張ってください」

なんていわれたな。やっぱり俺が自転車野郎って事は分かるようだ。
(そりゃわかるわな。)

髭人「これからALL下りか!やった!」

なんて喜びながら自転車に乗っていたら、しかしそれは甘かった。何故か新潟側では坂がある。

髭人「ええ~登ったり降りたりせにゃならんのかよ!」

まぁ、昼食ってからで良かった。飯抜きで出くわしていたら前門の坂、後門の坂。
差かに囲まれ途方に暮れていたことだろう。間違いなく

「食べ物を恵んでくだせ―――」

と、言うような状態に陥っていた…
坂だから再び自転車押す羽目となる。
それからトンネルを幾つか超えていくのだが、また工事で片側通行のトンネルに出くわした。

髭人「ああ~だりぃなぁ・・・」

工事の人の指示に従う事になるのだが、何か片手に持っている。

作業員「コレ付けていって」

工事の人から受け取ったそれは反射板が着いた上着みたいなものだ。

髭人「でも、後ろから見えないですよねぇ?」

そうである。背中はリュックで隠れてしまうので、前方からしか意味が無い。
まぁ、規則らしいので身に付けることとなる。
それで事故ってもいいのかと思いつつ・・・(リュックに付ければ問題ないのだが…)
トンネルの中に入ると、後ろから何やら気配が・・・

髭人「うお!何か着いてきている!」

自分の背後を工事の安全を確認する為の車両が走ってきていたのだ。

髭人「俺の為に走ってくれているのか!」

そんな事がプレシャーになり、ガタガタ道をしっかり行く。こける事など許されない。
ま、こけたらその安全の車に轢かれる羽目になるんだけど(どこが安全なんじゃい)
下りということもあってトンネルを何とか抜けると上着を返す事になる。

髭人「これ、帰り辛いですよね」
作業員「そうなんだよね・・・」
髭人「じゃ、お仕事頑張ってください」

と、声をかけて走る。
下りばかりでたまに登りがある。登りがあるたびに少し舌打ちしながら走る。
下りなら全てOKかっていったらそう言う訳でもなかった。少し前に雨が降っていたので路面が少しぬれている。
下り坂を猛スピードで駆け下りると泥はねするのだ。一応自転車に泥除けは付いているがそれだけでは不十分らしく髭人の顔に襲い掛かる。

髭人「プップップ!汚ねぇなぁ!」

と、唾を吐きながら激走する。
登りは死ぬほど辛かったのに下りはアッと言う間に駆け下り遂に新潟の町に入っていった。
コンビニでお茶などを補充し、地図を見ながら今日はどこまでいけるか検討する。

髭人「長岡までいければ上々だが…無理だが…手前の町にするか?」

午前中は山越えで費やした。その時の時間は午後2時過ぎと言った所だったか?
宿を予約している旅ではないので行ける所まで行こうという事で進んでいた。天気は晴れ。
2時間毎に日焼け止めを塗るがピリピリとした感覚があった。風は追い風だったな。
ビュンビュン飛ばせたから走っていて気持ちが良かった。ただ、じわじわと尻に痛みがある。
タオルだけではやはり限界があると言う所か?それで疲れてきたので座って
お茶でも飲むかとウエストバッグにくっつけられているお茶を飲もうとすると…

髭人「あれ?蓋がねぇ・・・」

ペットボトルはあるのだが、ちゃぷちゃぷとお茶が揺れているだけで蓋が無い。
昨日、取り付けた食器用洗剤の蓋の機能を持つボトルキャップだ。

髭人「嘘ぉぉぉぉぉ!!」

周囲を探してみるが自転車を降りた瞬間に落としたなんてことはないようだ。

髭人「ええ~!!」

ガックリ来た。

髭人「ええい!ちょっと戻って探してみるか!」

と、1kmぐらい戻ってまで、地面の上にボトルキャップがないか自転車でゆっくり走行しながら探していたが、
小さなボトルキャップである見つける事は容易ではなく、結局その範囲内では見つける事が出来なかった。
再び、落とした所に気付いた地点に戻りため息をついていた。
無論、そのボトルキャップには大した価値はない。
稀少な素材で出来ている友人がくれたとかアイドルの使用後とかという物ではない。
極普通のボトルキャップだ(そんな物を買う奴はいないだろうからあまり売っては無いだろうけど)。
価格としては10円20円も行かないかもしれない。
しかし、この2日間お世話になったというのもあるし、前の旅行前に買ったが使われる事無く眠っていた物である。
そこでようやく目覚めたというのになくなったというのはあまりにも辛い事であった。
ある意味、戦友と言っても差し支えないかもしれない。
貧乏性髭人としてはちょっと使っているとすぐに愛着を持ってしまう。
あまりにもつまらないものであったとしても…

そのまま落ち込んでいると、近くで工事をやっていたので電光掲示板がピカピカと輝いていた。

「頑張っていこう中越!」

俺に言っているようでちょっと、元気を貰いました。
そうだ。言うのを忘れていたがこの時は2005年の8月。
ちなみに中越大地震があったのは前年の2004年10月23日である。

「元気出していこ~中越」

近くは小千谷市がある地点であった。復興の為の道路工事をしているのだろう。

髭人「元気出して行こう?俺に言っているみたいだな・・・蓋が仕向けた事か?」

と、勝手に都合のいいように考えて、自転車に跨った。
走り出した。時間は6時半ぐらいで徐々に暗くなり始めてきた。

髭人「しょうがない。今日は小千谷止まりだな」

そう思って、小千谷市街の標識を見つけてそちらに向かった。駅の交番に入った。

髭人「すみません。ビジネスホテルを探しているんですが・・・」

警官に言うと、周辺の宿泊施設が書かれた紙を見せてくれたのでそれで電話してみた。

髭人「すみません。生憎今日は、満室なんです」

2軒目、電話に出ない。どういうことか?3軒目、電話に出ない。どうなってんの?
4軒目

髭人「すみません。今日は、満室です」

他にも数軒あったが、警官はこう言った。

警官「地震があったからねぇ…長岡に行けばビジネスホテルは沢山あると思うが…」
髭人「分かりました。長岡に行きます」

昨年の地震の影響はまだ出ていた。
その頃、地元のテレビでは地震のニュースなどやってないから殆ど忘れていたのだが…

もう7時前になっていたのでもうそろそろ真っ暗になると言う所であったが宿が無いから仕方ない。
長岡に行く事にした。そうやって小千谷の町を通ると中越地震からまだ1年経ってないということもあって地震の爪あとは深く残っていた。
瓦が崩れている家。陥没している歩道。ブルーシートがかけられたまま手付かずの家…
まだ10km以上あったのでじっくり見ている暇など無く、疲れた体に鞭打って進む。
すると、極め付きのものを見た。

髭人「あれが…それ…か?」

土砂崩れがあって、車に乗っていた親子が生き埋めになり、母親、姉、弟の中で弟だけが救出された現場である。見た目に広がるのはテレビの時とまるっきり同じだ。
思わず鳥肌が立った。
救出している所をリアルタイムで見ていたのでそれは感慨深い物であった。
全くと言って良いほど現場はそのままであった。
標識には山古志村の文字があり、心が痛くなった。
じっくり見ている訳にもいかず、そのまま走り去った。
それから長岡市に入ったようであったが、長岡市は広いらしくなかなか市街に辿り着けない。

髭人「まだか!まだか!まだか!」

線路はあるのだが新幹線の線路が見当たらない。
長岡は新幹線の停車駅なので新幹線の線路が合流しなければ市街に到達した事にはならない。
ライトはついていたものの雨にぬれたせいか転倒しないようになっていた。
段差に気をつけながらそのまま走りつづけ、小千谷を出て1時間後ようやくアーケードが見えてきた。

髭人「ようやく来たか!」

前に2~3週間ぐらい、長岡の宿にいた事があったので、その宿に行こうと思っていってみるが昔という事もあったし、
真っ暗だと言う事もあって、場所がわからない。近くの酒屋で聞いてみてどうにか辿り着いたのだが看板が無かった。
どうやら、店はやってないようだ。がっかりしながら別の所を探そうと長岡駅の交番に行く。警官に尋ねた。

警官「ビジネスホテル?色々あるけど行ってみるか?」
髭人「ここで電話させて欲しいんですが…」
警官「おかしな事を言うんだねぇ…」

良く分かってない警官だと思った。人が良さそうなおじさんであるが、
ビジネスホテルに直接聞きに行って部屋が空いてなかったら戻ってこなければならないし、
部屋に空きがあっても料金が高かった場合、変えにくいというのもある。
移動している間に満室になったらどうすんだよ…
まぁ、一刻も早く立ち去ってほしかったのだろう。

それで警官に周辺の宿泊施設の地図を見せてもらい何軒か電話をかける。
2軒目まで満室。3軒目、空いているしかも4000円以下。
安い!素晴らしい。そこに決めた。

警官「行き方は分かるか?今、ここにいるだろ?それからここを曲がってだな・・・その裏に右に曲がってだな…」
髭人「『わ、わかんねぇ…説明下手だぞ。このおっさん』地図書いても良いですか?」
警官「今ので分からなかったのか?だからここを道に曲がってだな…」

地図を書こうとしているのだが何となく俺をすぐに追い払いたいような意思が見えた。
だからと言ってこのオッサンの説明は自分が長岡の町を知っている前提で語っているので
知らない人間に対しては下手としか言いようがない。

説明していたおっさんには悪いが、面倒くさいから見切りをつけて近くについてから、通行人に聞こうという事にして、分かった顔をしてありがとうございましたと
ちゃんとお礼を言って交番を出た。

髭人「取り敢えず、そこの裏に行ってみるか?」

大きなデパートの裏に行き、通行人に聞く。
一人目は分からず、二人目のオバちゃんは知っていたようで

オバちゃん「そこの十字路を3ついった右」

というので、言ってみるとようやく目的の宿を見つけた。
ホテルに入り、料金を払い、明日早いからどうするかなんて事を言うと、
自動ドアは開けておくおから気にしないでいいと言ってくれた。部屋に入る。
もう午後の9時前である。

まぁ特に変わったものもありません。ただ洗った服をどこに干そうか悩んだ。
壁に出っ張りがあるんですがそれでは濡れた服が壁に当たる。それはまずかろうと悪戦苦闘。
結局、椅子にかけたりしてました。

次の日もある。のんびりしている訳にも行かない。
夕飯はまだ食べていない。食べて寝て体力を回復させなければ!!
サッサと夕食を食べに出て行く事にしたのだが鍵が閉まらない。
鍵を幾ら右に回しても左に回しても鍵が閉まらないのだ。

髭人「どうなってんねんボケェ!」

一人悪戦苦闘する。あまり強く回しすぎると鍵が曲がったり折れたりする事も考えられる。
強く押し込みながらとか軽く入れて回したりするが結局、鍵は閉まらない。

髭人「飯を食いに行きたいんだよ俺は!」

店員に聞きに行こうと思ったが一つ考えた。鍵は開けることは出来てもしまらないのではないのかと・・・
それで、中から鍵を閉めてドアを閉めた。閉まった・・・開けてみると鍵は開く。どうやらこれが正しい鍵の閉め方らしい。

髭人「ややこし!」


髭人が世間知らずで頭が悪いだけである。鍵を閉めて外に出て定食屋に行った。
豚汁定食を食べました。昔の自転車旅行では吉野家の豚汁が旨すぎて泣きそうになった事がある。
ただ、その事が頭に合って意識しすぎた為かあの時ほど旨く感じなかった。
邪な気持ちがあると感動ってのは味わえない物ですわ。

昔、1度だけ行った定食屋である。
それで入ると常連と思われる人が1人いて店の人が陽気に話していた。俺は、一気に水を飲み干した。
リュックは置いてきたがそんな自分の水のいい飲みっぷりの良さなどから気になったのか声をかけてきた。

店員「どこから来たんだい?」
髭人「東京からですが…」
店員「新潟祭りにでも行くのか?」

丁度、新潟祭りが次の日、開かれると言う話である。

髭人「いえ…昔、新潟に住んでいた事があったので自転車で来てみようかなと思いまして」
店員「ええ!?自転車で来たのかい?何時から?」
髭人「昨日からですが・・・」

物凄く盛り上がっていたね。自分を差し置いて周りと話し合っていた。
絡まれなかったおかげで料理をじっくり食べられたからそれでよかったんだけどね。

店員「何の目的で?女でもいるのか?」
髭人「ハハハ…そんな事は無いですよ」

そこそこ楽しい一時でしたわ。

店員「帰りは寄ってくれよ」
髭人「残念ですが、帰りここに来るのは早朝だと思いますので寄る事はないですねぇ…」
店員「そうか・・・」

常連の客はFM新潟だかFM長岡だかどちらか忘れたがラジオに携わっているらしく、
紹介してやろうとかやらんとか言っていたような気がした。その真偽は定かではないが俺は分からない話だ。
帰りコンビニでアイスを買って、宿に戻って風呂に入った。鏡を見ると尻にボツボツが出来ていて赤くなっていた。普段も汚いがより汚い!!

髭人「こりゃ痛いはずだ」

それから部屋に戻ってアイスを食べたのだがこれが旨い事旨い事…

髭人「染み入る旨さだ…」

レモンのカキ氷アイスだったか?久しぶりに食べたアイスという事もあって旨さは凄い・・・
それからやる事も無かったので歯磨きをして寝た。


つづく…


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自転車旅行リスト

自転車旅行日記 by 髭人 ~新潟編 1日目~

2015-07-12 21:00:04 | 自転車旅行日記
目覚し時計をセットしておいたので4時半頃に起床。
冷蔵庫を開けて昨日の残り物を食べて、準備をする。
前日、やるのを忘れていた自転車のライトを付け直し、持っていくものを再度確認する。

「リュック、地図、着替え、コールドスプレー、筋肉痛用の塗り薬、ウエストバッグ、etc」

「良し!」という事で玄関のドアを開け家を出る。
物置から自転車を出し携帯電話等で自転車を撮影した。
行ってくる前と行って来る後の違いを調べる為でもあった。
一応、旅行する数日前に新車を買ったのである。
今思えば、そんな傷だらけになるほどの壮絶な自転車旅行になるとは思えんがな(笑)  

自転車は「マウンテンバイク」サドルには「ひも付きのスポンジ」を結び付ける。

何故そんな不格好な事をするのかというと
マウンテンバイクのサドルというのは固すぎるだよね。
それに半日以上ケツを乗せていると…あまりきれいな話ではないが
肛門がケツの奥深くに潜り込んでしまうのだ。
そうすると、用を足す時に激痛が走る。
だからスポンジを置くことで少しでも軽減しようというやり方だ。

で、気合を入れて出発。今回は、始めから過去3度行った自転車旅行とは別ルートで行く事になる。
簡単に説明しておくと、最初は友人達と九十九里に行くつもりだったが、疲労等で途中から電車で行く事で九十九里に行った。
次の年、リベンジを果たそうと友達なしの一人でその時行った海に見事、行って来る事が出来た。
その2年後、やはり一人で房総半島1周を果たした。
つまり、過去3回は同じような道を通っていったと言う訳だ。
だから、今回はかなり新鮮味があるというのと、不安もある。これが冒険心って奴なのだろう。
早朝、涼しく、元気であるし、車も少なく、人通りもないから知らずとテンションも上がる。
そんな状況だから歌を歌ったり、ちょっと雄叫びを発したくなった。
早朝だし、アホだからやらんけどね。にしても、自転車乗ってテンション上がる…

でも、たまに犬の散歩で歩いている人がいたりして歌声を聞かれてこちらに視線を向けられる事もあるが
走っていると、トンネルを発見するのだが、自転車と歩行者が入る事は禁止だと標識に書いてあり

「はぁ?自転車や歩行者は別の道を行けってのか!」

と、怒りつつ、他に行ける道がないかと探してみると、別の道を発見した。
ただ、そこの至るような表示は一切無い。不親切だなと思いながら行くと、自転車と歩行者用のトンネルがあった。
そういう試みは本当に好感を受ける。
ただ、これから先、そのように安全対策の為にトンネルが分けられていると言う事はなかった。
狭く暗くそして、ガードレールなどもないので危なくてもトンネルは車道共通だったものな。
トンネルを超えると、オバちゃんが地面で横になって体操をしていた。
それはいいが髪を巻くロットをつけたままやっているから面白かったなぁ…
早朝一人爆笑していた。
と、そんな所に気になる落書きを発見したので撮影した。
ルパン三世だった。

「どんだけ力入れとんねん…」

と、思いながら…もはやアートだった。

それから進んで10分後ぐらいにある場所にこのような落書きがあった

「昨日家族が車によって殺されました。
車は最も身近な殺傷道具です。
死は簡単に愛する者を奪います。
どうか安全運転を」

本当に昨日、家族が死んで落書きしたんだろうか?
そんな心境に立ってられないって思ってしまうのだが…

そんな落書きを見つつ、そして1時間ぐらいしてからかコンビニに入った。
ジュースを買う為だ。ペットボトルをまず本、購入した。
自分のウエストバッグにはペットボトルや缶ジュースを入れる所が2つ着いているため、そこに差し込んだ。
そのペットボトルの蓋を1つゴミ箱に入れた。何故か?自分はペットボトルの蓋を持ってきたのだ。
その蓋は特殊な物で、簡単に言えば、食器用洗剤の蓋のように押したり引くことで開閉を行う物で回したりすること無く、
すぐに中身を飲む事が出来る優れ物である。4年前の房総1周の時に、
自転車のボトルジャック(自転車にジュースをつけることが出来る金具)を買った時に着いて来た者で、
前回、忘れてしまったので今回、使用することを思い出したわけだ(そんな事、良く覚えていたし、良く残しておいたなぁ…俺)。
ただ、その蓋が後々、悲劇があると言う事を髭人は知る由も無かった!!

にしても、早朝である為、普段目にする事が出来ない色々な人間模様を見た。
犬の散歩をしている人、道路の端に生えている草を刈っている人。
自分のうちの草むしりをしている人、当たり前の事だけど、実際目にすると違う物だ。
それから、家を出て1時間半ぐらいか?埼玉県に入国した(自分としては国越えをしているに近い感覚があるからそれで行く)。

急な坂道は歩く。体力の消耗を極力抑えるためだ。
8時を過ぎると太陽も上がってきたので、日焼け止めを早速、体に塗りこむ。腕、顔、首、特に、首は重要なので念入りに塗る。
再び、走行開始、9時半頃、もう一つウエストバッグの空きの為にペットボトルのお茶とおにぎりを買う。
その後はペットボトルは買わなかったっけか?その後はコンビニで売られている1リットル100円の紙パックジュースである。
安くて、量も多いという非常にお得な品である。既に、500mlのペットボトル2本を飲み尽くしていたので補充する為に買うわけだ。
水分はどれだけ摂るか分かりませんからね。
おにぎりは栄養補給。食べてから走り出す。山に近い所を走行していると言う事で、人間模様のほかに自然の営みを見る事がある。
せみがひっくり返って足をジタバタさせている姿を見たり、
蟻に解体されている虫を見たりという車やバイクでは見られないものを走りながら見ることがある(勿論、周囲には気をつけている)。
後、こんなのがあったな。坂道で自転車を降りて歩いていたら、コオロギが道路に向かってジャンプしていた。

『そっちに行ったら死ぬぜ~』

なんて思って見ていると、コオロギがジャンプした瞬間に、車が走った。
コオロギはその後、地に着く事はなかった…痛い瞬間である。
合掌しておいたよ。コオロギの運の悪さを想いつつ…

それから、何度も休み、何度も地図で確認しながら行く。
変な所を走って時間をロスするって訳にもいかんからな。
そして…走っていると、何となく、違和感があるように思えた。
ちょっと下を見ると、スポンジが無くなっていた。
サドルの上にスポンジを乗せてタオルを巻きつけて固定しておいただけだから
タオルがずれたりすればスポンジはいとも簡単に吹っ飛んでしまう訳だ。

「やっちまったか・・・」

自分の浅はかさを痛感しながら、更にスポンジを買おうとは思わなかった。
また同じような事になればゴミになるだけなのだから…今、思えば紐なりでタオルともども固定しておけばよかったと思う。
って事でスポンジはなく厚手のタオルをサドルに巻いた。

暑い中走るものだから汗は滝のように流れる。口で呼吸していたので、喉もすぐ乾く。
1リットルの紙パックは本当に重宝した。ちなみに買うのはお茶類限定である。
他にもレモン水などがあったが、ペットボトルに入れているだけだから否が応でも温度が上がる。生ぬるい甘い物を飲む気はしないからだ。
それに甘い物はお茶系よりも喉を渇きが早いというのもある。
そして、11時半頃になってきたので昼食を取る事にした。
近くに定食屋を見つけたのでそこに入った。
もつ煮のお店であったか?そこに入ってもつ煮定食を頼む。
勿論、大盛り!!
体力を使うので、定食は大盛りに限る。地図を見ているとちょっと気付いた。
現在地から考えるといつのまにか群馬県に入国しているではないかと。
大体、県境には○○県などという標識があるものだがそんな実感として湧かないまま群馬県に入っていた。
そして、来た時驚いた。どんぶりに山盛りのご飯。お店によってご飯の入れ方が違うもんな~。
小さな茶碗に山盛りという事もあれば、今回のようにどんぶりで山盛りと言う事もある。

ご飯大盛りです。自転車で腹が減っていたとは言え、かなりの量。

「辛い…辛い…辛い…でも、食べなきゃ!勿体無いから!」

心に言い聞かせてご飯を口に運ぶ。
確か定食を買うと特製味噌をほんの少しいただけるらしいです。
ただ俺は、持っていてもしょうがないので残しました。パックなのでお持ち帰り。

ちなみにそれだけ食べるのに苦しんだのは水分の取りすぎで、めちゃくちゃ空腹という訳でもなかったからだ。
喉の渇きを感じたらお茶、渇きを感じたらお茶って事を繰り返していた為にめちゃくちゃ腹が減っていたということではなかった。
折角大盛りにして出してもらったのだから残す訳にはいかん。
苦しみながらも水や味噌汁で何とか流し込みご飯を制覇した!!
個人的にはここで1つ目的を達成したかのような満足感を得ていた(笑)

代金を支払う時に店員に聞かれた。

店員「自転車が好きなんですか?」

自分の姿格好を見れば、自転車などで遠出していると言う事はすぐに分かるだろう。

髭人「はい」
店員「それでどちらまで行かれるんですか?」
髭人「新潟まで行こうと思っているんですが、今日は行って沼田まで」
店員「へぇ。私の出身地なんですよ」
髭人「そうなんですか・・・」

話はそれほど広がる事は無かった。悲しいが髭人自身、人との話が上手いって訳ではないからな。
(あんまり長話をしていても時間の無駄だからそれで丁度よかったのかもしれないがな。)
後々、思えば、自転車が好きかって聞かれた時に

髭人「恋人みたいなモンですよ」

なんて言えたらカッコよかったかもしれない。
さて、群馬に入り、地図を確認しながら進んでいた。そこで、高崎と言う都市に入ったのだがそこでお祭りをやっていた。
どこの祭りでも町内会より大きい規模だと山車(だしって言うんだっけ?)ってのは出るものですな。うちに地元でも出る。
参加する事もせず近くに寄る事もせずそのまま進む。

ここで体に異変が発生した。時刻は午後1時前後。
暑さのピークに差し掛かる時である。容赦なく照りつける太陽。
アスファルトに照らされて、気温もぐんぐん上がる。そして、食いすぎた飯に摂取しすぎの水…
これらの要素かこれら全ての要素かどちらか分からないが、体が突如としてだるくなった。
缶ジュースを飲んだり、冷房の効いている本屋に少し避難して少し回復してから進むのだがまただるくなった。
近くには休めるようなお店は無かったが、そこはバイパスで電車を避ける為に陸橋となっていて、
丁度、そのバイパスの下の一部が公園となっていたおかげでそこで休む事が出来た。
水道で水を被ったりする。ここで20~30分くらいの休憩をして若干持ち直したので走り出した。
真っ直ぐ新潟に向けて走り出したが、やはり体力は戻らない。しかも、高崎という大きな駅前であった為に、
道が良く分からない。どこで曲がればいいのか、目印がない所だったからな。
そんな二重の苦しみを味わいつつ、まず、栄養ドリンクを飲んだ。
それで店員に道を聞いて走り出した。
しかし、意識は少し飛んでいるので、分かっているのかいないのか…
ちょっと進んでから交番で再び聞いた。(店員さんごめん)
それでようやく道が分かり、走り出した。走り出して1時間ほどでこれで3度目か4度目のダルさを感じる。
公園で休憩。サングラスをかけていたのだがそこで鼻当ての片方が取れている事に気付く。
地味にショックだったが嘆いていてもしょうがないので多少体調がよくなってから走り出した。
すると栄養ドリンクの効き目が出てきたのかダルさは消えて何とか走れるようになって行った。
調子よく進めると思っていたら今度は肉体ではなく遙か上のほうで異変が…
ゴロゴロと音がするのだ。やべぇと思いながら走る。

雨はまだ降ってなく雷はまだ遠いと思っていたが次の標識に書かれている大きな町はこの先20kmと言う。
間違いなく1時間以上はかかるだろう。坂ばかりであったし、信号待ちという事もある。
それでも、肉体的には元気になってきたと走り出したのだが、雷はピカッと光り直後に激烈な音!!
間違いなくどこかで落ちた。

「こりゃやべぇ!」

次の町の半分ぐらいまで行った所で泊まれるような場所を探そうと小さな町に入っていった。
そこでお店に入ってみて店員のオバちゃんに聞いてみた。

髭人「近くに安く泊まれるような所はないですか?」
おばちゃん「ここら辺だと、あそこしかないねぇ・・・それか、先に行くか・・・」

そう言って、オバちゃんは電話をかけてみるが、そこは満室らしい。
後1つあるがかなり料金はお高めらしい。

髭人「ありがとうございました。戻ります」

結局、10km近く戻る事にした。雷が強いのはこれから行く方向である。
安全を考えるのならば戻るしかない。当然、ブツブツ言いますわな。

髭人「ああ!自転車旅行に行くと何かしら問題が生じるが今回は雷かよ!」

1度目は体力的断念。2度目は右足股関節に足がちぎれると思わせるぐらいの激痛。
3度目はタイヤが磨耗していた事によるパンク。しかし文句を言っていても仕方ないので

「双六(すごろく)で言えば、振り出しから20マスぐらい来て、3マス戻るってぐらいだ。
振り出しに戻された訳ではない」

と、割り切るしかなかった。一々文句言っていてもしょうがない。
戻ってから解決しなければならない問題がある。宿を探す事だ。
自転車旅行をしている人の多くはテントを持っているような本格的な人もいるが自分はそこまでしない。
キャンプ場とか知らんしそこまでのパワーはない。
で、大きな町の駅前で交番を探す。宿を探すには交番を利用するのが一番である。
ただ、その渋川という駅は交番が近くにない。大体、駅前に交番の一つはあるものだが…
歩いている人に聞いてみるかなと思っていると駅に1枚の看板が張ってあった。
宿の位置と電話番号が書かれた地図である。物凄くありがたい。交番だとたまに不在の時もあるからな。
一応、警察署に連絡できるように直通電話が取り付けられているが宿を探してもらうのに電話で聞き出したりするのは非常に大変だ。
こういうことは他の駅でも見習って欲しい所である。
それでまず1軒目

髭人「今日1日お部屋は空いていますでしょうか?」
店員「はい」
髭人「素泊まりで一泊一人の場合、料金はお幾らでしょう?」
店員「5500円」

5500円。極力、5000円未満にしたいところであった。
今まで、ビジネスホテル等で一番安い所は3000円だったしなぁ・・・

髭人「申し訳ありませんがちょっと金銭的に難がありますね・・・他に当たってみます」

そう言って切る。そして2軒目、同じように聞くと

店員「4000円だよ」
髭人「じゃぁ!お願いします!」

他に何軒もあったが一々探していくのも大変だし、近いのでそこに決めた。
地図で確認し、宿の場所に行ってみると看板を見つけた。そして、玄関に入った。しかし・・・

髭人「真っ暗」

玄関はおろか奥の部屋も真っ暗なのだ。本当にやっているのか?と疑問に思いつつ

髭人「ごめんくださ~い!」

と、何度か呼ぶと

ばあさん「はいはい」

と、ばあさん登場。宿帳を書きながらいろいろと話を聞く。

ばあさん「風呂は、うちにはないから、銭湯に行ってくれ」
髭人『そんな話聞いてねぇよ!だから4000円って低価格だったのか?』

と、思っていると、タダ券をくれたのでそれで行けということらしい。
部屋の窓は街灯で明るくて寝る時は、衣服で目隠しする事にした。
それから部屋を案内されるんだが、ばあさん良いね。好きだよ。

髭人「自転車なので早く発ちたいんですが・・・そのまま出て行けば良いですかね?」
ばあさん「別に、玄関から出て行けば良いじゃないか?」

まぁ、解答としては間違っていないんだがそう言う事を聞きたいんじゃないんだが・・・
それで、鍵を渡してもらえなかったので鍵に着いて聞くと

髭人「ああ?別に他の客はいないんだからそんなもん必要じゃないだろ?」

いやいや、物を盗まれる盗まれないという問題ではなくて、客の安心感を考えれば鍵を出すのは当然かと…
まぁ、そんな事を説明するとうるさがられると思ったので黙っていましたが…
そんな事を気にする事もないほど平和な町なのだろう。
その日に着ていたTシャツに白い染みが出来ていた。

髭人「塩か…我ながらキメェ…」

それで、部屋に入って早速、銭湯に行く事にした。
しかし、扉が2つあるのに男湯か女湯か書かれていない。
どっちに入れば良いのかちょっと迷っていたが銭湯の前でオバちゃんが椅子に座ってまったりしていたので、
恐らく店員だろうと聞いてみると

おっさん「右側だよ」

そういわれたので入ってみると、番頭はおっさん

髭人『ええ!普通ばあさんかおばちゃんじゃないの?』

女湯の様子は定かではないが、風呂屋の古さから考えて、
女湯の脱衣所は番頭から見えないように設計されていたりする事はないだろう。
そんな事をしたら、脱衣所でスリ行為を見つけることも出来ないだろう。
まぁその銭湯を主に利用するにはお年寄りばかりだし若い女性がそこを利用するとは思わんし、
もしかしたらさっきのばあさんが若い女性が来た時に番頭を交代するのかもしれないと思って一人納得した。
なんだか良いね。こういう空気は…
一々細かい事を気にしている俺の方がバカバカしいとさえ思える。
こういう人たちの感覚は『雑』というよりは『下町的』なんだろう。
銭湯には貴重品入れなどという物は存在してない割に、貴重品は持ってこないで下さいという張り紙は見える。
仕方ないので、木製の鍵付きの下駄箱に靴と財布と携帯を入れた。
まず体を念入りに洗う。だけど湯船は染みたね~。
風呂を出て夕食を食べに行こうとばあちゃんに近くに美味しい店は無いかと尋ねると

店員「近くにSATYがあるからそこで食ってきな」
髭人『ええ!普通、地元の人なら近くの顔見知りの定食屋なんかを紹介するんじゃないの?』

と、思っていたので、その予想外の反応に驚くと同時に面白かった。やっぱいいね。
この周辺の人たち。
で、SATYに行って店頭の料理の一覧を見てみるがデパートの一角を借りてやっている店なのでお高い…
他を探してみたが居酒屋ばかりで定食屋は見つからない。雷と同時に雨も降ってきたので仕方なくファミレスである「すかいらーく」で食べる事にした。

その「すかいらーく」でこの旅で最も衝撃的な事があった。
それとは何か?

①店員が知り合いで衝撃
②客に知り合いがいて衝撃
③出て来た水は旨すぎて衝撃
④出て来たハンバーグが旨すぎて衝撃
⑤昔、旅行で立ち寄ったお店だと思い出して衝撃

その答えは…
まぁすぐに出て来るので読んでいってください。

お店に入る。
何の変哲もないファミレス、初めて来る。
客も疎らで特に特筆する点もない。
店員が来て水とメニューを渡してくるがこれと言って気にする事はない。
というか店員あんまり見てないし…
メニューを考えながら水を口に流し込む。

髭人「!?」

コップを見る。

髭人「あ?これ水か!?」

コップを置き、再び空のコップを手に取る。

髭人「うん。水だよな…」

ゆっくりとコップを下ろそうとして…

髭人「本当にこれはただの水だったのかぁ!?」

ただのコップの水を3度見したのは今までの生涯の中でこの時だけだ。
今までの文に書かれている通り、水分はしっかり取って来た。
だが、それはコンビニでのやっす~いお茶ややす~いウーロン茶であり、ただの水は一度もなかた。

ジョジョ第3部でトニオの店の「水」に感動していた「虹村 億泰」を思い出した。
もしくは物が違うが、地下で「ビール」に涙を流す「伊藤 カイジ」とかね。

最終的に3杯もらったけど、物足りなかったな。
店員も

『2度も水を頼むコイツ、キメェ…』

と思ったに違いない(笑)
だが、髭人の当時の心境としては水差しをドンと置いて行ってもらいたかったぐらいだ。
置いておいてもらえばよかっただろうか?

そんなに水に感動していたのなら食べたハンバーグにも感動したのかと思いきや…
ハンバーグは普通だったよ(笑)

って事で

答え③。現実は非情である。(何でやねん!ってただ言いたかっただけなんだがな…)


飯を食べながら外の雷の様子を見ていた。
ピカッと鋭い光を放つ。雨が止むのを待ったが近いからいけるだろうということでそのまま突っ切っていった。
部屋に戻ると、やる事もないので、コールドスプレーを早速使った。
それはただのコールドスプレーではなく筋肉疲労や筋肉痛にも効く医薬品なので使うと物凄くスースーした。
ふくらはぎ、太もも、股関節…
ちなみに股関節に使ったら微妙にチ○コにかかったらしく、めちゃくちゃスースーした。(笑)
別に問題は無いだろう(多分)
テレビは100円を入れるタイプだったのだが、100円玉がなかった。(懐かしい)
一々お金を崩しに外に出たりするのもだるいので寝る事にした。しかし、トイレに行くと廊下は物凄く暗く、
ギィギィと軋む為ちょっと不気味だった。
ここで、下でばあちゃんが

「ヒッヒッヒ…」

と笑いながら包丁を研いでいたらビビるなと思った。(ドラクエ5かッッ!!)
ちなみにやる事もないので寝たのだが、寝た時刻は8:30である。
今では幼稚園児もそんな時間では寝ないんではないのか?
午後10:56頃にやる「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで」を見られなかった…
毎週欠かさず見ているのに…ううう…
当時はフリートークとかやっていたから面白かったんだよな~。
今はたまに見ると面白い回もある…

ま、そんな事はさておき、寝ましたよ。ハイ。


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自転車旅行リスト

自転車旅行日記 ~房総半島一周編~ 今だから言えること

2014-09-22 21:00:57 | 自転車旅行日記
房総半島旅行に関してはミスとかちと目立ったな。

1日目
タイヤチューブを持っていくぐらい準備はしていったのに
タイヤがバーストしている(仕掛けていた?)ことに気が付かないという確認ミス
おかげで、そのタイヤチューブを次の日含めて半日でダメにするという金をドブに捨てる行為。

2日目
自動車修理工場でタイヤを買ってきてもらい、それで5000円で済ませてもらう。
ホント涙して感謝の意を表さなければならないレベルだったのにな…
世間知らずというアホ過ぎる当時の俺に蹴りを入れたい。

クソ旅館に泊められ主人に嫌味の一つ二つ言うべきだったなぁ…

3日目
コンビニであった人ともう少し会話がはずめばな~。
戦争に行ったというビジネスホテルの主人にも他に貴重な話を聞けたかもしれない。
ただ息子に俺の爪を煎じて飲ませたいとかいうオバちゃん。絶対にやめとけ(笑)

4日目
この日は特にはないか。



未熟だったとはいえちと酷いかねぇ~。
ただアクシデントがあった方がここで話題が増えて面白い事にはなるんだがね(笑)
過去を振り返るたびをしようって事でまた房総半島一周は…
するほどの事はないな。
ガキの冒険心から来たもので、九十九里編に比べたら印象は下がるのが実情。
九十九里編は野宿したり、ただの夜明けに泣きそうになったり、豚汁で感動したり、色々とあったもの。この時はそれほどはないんだよなぁ…

旅をしたら前よりいい事が必ずあるなんて都合がいい事はないわな。
色んな人に出会えたって事良かったって事で…
基本的に良い人ばかりで良かった。
それを確認できたのは旅の意味があったと言えるだろうな。

ここまで付き合ってくださった方は本当に感謝感謝~

PS)来年夏は新潟編の予定。楽しみしてくださいね~!!

つまらなければ押すんじゃない。

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