髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

「口の周りに毛が生える」という呪いを受けたオッサンがファミコンレビューやら小説やら好きな事をほざくしょ―――もないブログ

自転車旅行日記 ~房総半島一周編 3日目夜間~

2014-09-08 21:00:50 | 自転車旅行日記
前回のあらすじ
クソな主人がいる宿を後にして
前に九十九里に来た場所を経て、コンビニで休んでいると通行人のオバちゃんが声をかけて来たのでした。


その通行人のオバさんは、俺を見るとやはり

オバちゃん「どこから来たの?」

と聞いてきた。もう慣れたというか、普通に受け答える。
聞かれた事と言えば何時、どこから、どこへ、そんな所である。
しかしこのオバちゃんは前例がなかった。どんな所が前に無かったかと言うと…めっちゃべた褒めなんだよね。

オバちゃん「すごいねぇ…最近の若者は家の中でインターネットとかやって何事もやる気なくて…」
髭人「は、はぁ…」

と照れるしか有るまい、俺的に言わせれば

髭人『誉められるような事はやっちゃいない』

って気持ちでいる。ただ遠くに目的地を決めて自転車をこいでいる二しか過ぎないのだから…
オバちゃんのべた褒めは続く。

オバちゃん「うちにも息子がいるんだけど、あなたの爪の垢煎じて飲ませたいよ」と…
髭人『おいおい、オバちゃん…俺の爪の垢なんか煎じて飲んだらどうなるかわからんよ…』

腹を壊すとかって訳ではないというのは分かるだろうけど、
俺の爪の垢を飲んで俺みたいな人が出来たらどうなるんだろう?きっと死にたくなるな…(苦笑)
と、数分間のべた褒めに

髭人『ハハハ』

と、内心は乾いた笑いをしつつ聞いていて、おばちゃんは去っていった。

髭人「よし…行くか?」

と、立ち上がって相棒に跨る。それだけ誉められたから気力は出た。
その時通っている道は今回で3度目となる帰りである。大きな道、ちゃんと自転車が走行するには十分な道がある。
歩行者にもそれ程気にする必要はない。気楽に走った。すると、一昨年、二日目に野宿した大きな公園が姿を現す。

髭人「懐かしい…やっぱりここなら野宿は可能だな」

と思った…
かなり広く、目に付きにくい所は沢山ある。変な輩に襲われる事も相当運が悪くなければ無いと思った。
その代わり、襲われた場合、助けられる可能性も殆ど無くなるって事だけどね…
時間はあるのでもちっと進んでみようと思った。そうすれば次の日の帰りも多少は楽になるからだ。
しかし、幕張って所に着いたんだが、そこが俺をかなり不愉快にさせた。
何でか?横断歩道が無いのだ。だから道路交通法上ではここは歩行者並びに自転車は渡ってはいけませんというのだ。
じゃぁ反対側に渡る場合はどうするのかと言うと、自転車も行ける。歩道橋があるのでそこを渡れと…
そんな道路交通法を律儀に守っている奴もあまりない気がするけど…
って俺は何でか知らんけど守ったけど…(疲れていたのかもしれない)
そういう所ってのは車の運転手は大丈夫だろうと奢るからな。

「ここは横断歩道が無い。だから飛ばして大丈夫だ」

髭人「幕張は歩行者を蔑ろにしている!!」

とかって罵声を言いながら、進んだ。(やっぱり疲れているんだろうな)
そして、幕張の次にある大き目の町、船橋に着いた。その時時間は17:00ぐらい。

髭人「そろそろ宿探しかな」

と、船橋での寝床探しを決定する。
と、通りを走っていると「本日、花火大会あり」の看板立っていた。

髭人「へぇ…タイミングいいな行って見るか?」

一応今回の旅で花火を見るチャンスは有ったのだ。
2日目、白浜のひとつ前の町、館山って所でやはり「花火大会あり」の看板があって、屋台なども沢山出ていたから。
でも先を急がなければならないと思って断念せざるを得なかった。その時点で昼過ぎだからな。
夕方までの時間が勿体ないし、1人で花火を見るのにそこまでする必要があるのかと…

だが今回は「今日はここにするか」って所で花火大会である、見る機会はあるって事だ。
じゃぁサッサと寝床を交番に行って聞かなければと思った所、

髭人「あ、もしかしたらヤバイ!」

と思った。
その理由は花火大会となれば、警官は花火会場での警備に追われるんじゃないかと…
その時間はまだやってないにせよ、警備の打ち合わせを綿密にやっているはずだと思った。
ある花火会場の帰りの道の歩道橋で将棋倒しが起きて、子供や老人、十人弱が死亡したって事件があったから
普段より増して警備の打ち合わせなどはしっかりやっているだろうと…
そうなると交番は使えないだろうと思ったわけだ…

髭人『ここら辺の地元の人に聞いてみるか?』

と、思うが、俺は地元のホテルなどあまり知らない。

髭人「俺が知らんのだから、期待出来ないかなぁ?そうなると、次の町に行かないといけないのか?」

花火はいいと思ったが花火が俺が泊まる事の足を引っ張る事になろうとは…花火見ようかと心を躍らせていた時には想像も付かない事だった。
それでどうにか泊まれる場所を警官や人に聞いて探し出すか、先の町に行くか迷う。
ちょっと止まって考えていたらふと、目の前に「ビジネスホテル」の看板があってその受付に入ってみた。
自動ドアが開くが誰もいない。

髭人「おいおい…やっているのか?」

と、思っているとドアが入った時に人が来たら感知するようなセンサーがあるのか、ピンポンと奥の方で音がしてそこから老人が現れた。

爺さん「はい?」
髭人「ここって素泊まりできますか?」
爺さん「出来ますよ」

そして一番聞きたいことを聞いた。

髭人「一晩いくらでしょう?」
爺さん「4000円」
髭人『安い!!』

3日間で最も安いではないか!俺は即OKを出した。手続き中に

爺さん「あんたどこから来たんだい?」
髭人「○○って所からです」

と返して何でそうするのかとあまり聞かれた事が無い事を聞かれ

髭人「こういう事って若いうちにしか出来ませんからね…」
爺さん「ワシが若いときは戦争で7年もいた…」

と、しみじみと呟いた。
想像を絶する事なので俺は特に何とも返せなかった。まぁ、返して良い事もないしな。
ただ生きる時代ってのもあるもんだなって痛感させられた。
それで4000円+消費税を支払って部屋に案内される。
とてもいい部屋であった。エアコンも良く効いてたし、結構広め、文句無しである。

爺さん「ええ、盗難が多発しているからちょっと出る時も鍵は閉めてください」

と言って、老人は出て行った。
『ドアにも施錠してください』って張り紙があったし、恐らく最低1度は盗難に遭っているのだろうと思った。
老人が去ってから寛ぐ。テレビもあってちゃんと映る。2日目の宿、料金で敗北しているのだからもう完敗である。
ちょっとテレビを見て明日の天気予報を確認して風呂に入った。風呂場に鍵は持ち込んだ。(神経質になり過ぎな気もするが)

髭人「お風呂に入るんで鍵を預けた方がいいですかね?」
爺さん「風呂場に持っていけばいい」

と言われたからね。しかし、足も痛かったけどお尻が異様に痛い。
シャワーをちょっと掛けたらそれだけでかなり来たからね…
にしてもシャンプー、リンスの種類が沢山あった。老人が買ったとするなきっとどんな物かわからないから適当に買っておこう。と思ったに違いないだろう。
お風呂を出て、足を揉む。暫くしてから夕食を食べに出発である。爺さんに鍵を預け、道を歩く。

ペダルを漕ぐ筋肉と歩く筋肉は違うようでそれほど痛くはならなかった。
花火大会開始は7:30、現在時間は7:20、通行人は花火大会に行くような人が多かった。
俺は佳境に入ってから見ればいいと思ったので適当に歩いて夕食を食べられる店を探してそこに入った。
そこはラーメン屋で、ギョーザとのセットを食べました。
結構美味しかったけど、昼のけんちん汁と比べればやはり劣る…食べていたら20:00…
花火の音がして食うのにあまり集中できなかった。
外に出て、音は聞こえるのだが花火が見えない。
『遠いのか?』と思って通行人に声を掛けた。

髭人「花火大会は何処でやっているんです?」
通行人A「私は花火大会には行かないからね~」
髭人『やべぇな…ここまで来て見れないのは痛い…』

また通行人が来てその人に聞くと

通行人B「花火大会?前の通りの信号を左に曲がって直進だよ」

と、教えてくれたので行って見る事にした。少しすると花火が見えて思わず

観覧客「おおお!」

と言うんだけど、前の大きいマンションが邪魔で全体が見えない。

髭人「もっと前に行くか」

前に進む。花火も大きくなって、人も多くなってくる。するとやっと花火の全体を見渡せる所まで来る事が出来た。

ヒュー!バッバーン!

と大きな大音響と共に空に咲く色とりどりの花…
暫く、その光の舞台に魅せられた。暫し疲れを忘れた。
と、チリチリとちょっと散るのを見ていると何かいいようのない寂しさにとらわれた。

髭人「だが、一人で花火大会か…」

と、自嘲気味に思った。
花火大会を一人で見に来る奴なんてよほどの花火好きじゃなければ来ないだろう。
それが、何か空しかった。誰か隣にいて欲しかった。この感動を共有、出来る仲間がね…
でも花火は自体は楽しかった。今まで色々と苦労してきた甲斐があったように思えたから…
きっと神様がその苦労を見て善処してくれたのだろう。ありがたい事である。

心の中で『たまや~』とか『かぎや~』って叫んだ。
誰も言ってないのに一人、そういう行動に走ると奇異の目で見られるから、それに静かにしろとか言われそうだし。(気合で言ってやれッッ!)
花火大会も終盤、小さい子を連れて家族連れもいた。やはり将棋倒し事故を考慮してだろう。
俺は最後まで見た。客も帰り始めて、俺も帰り始める。すると俺は沢山の人の間を歩いていると、ある物を失った。
ある物?物じゃねーな。ってここでクイズをしていても仕方ないので明かしてしまうと

髭人が失ったのは方向感覚です。

髭人「あれ?俺、こっちから来たんだよな?いや、違ったっけ?」

と、焦る。周囲の人に

髭人「国道○○号ってどこにあります?」
通行人C「すみません…私、地元じゃないんで…」

と返される。2~3人に聞くが反応は同じであった。

髭人「やべぇ…こんな所で迷うのかよ…」

で、近くの居酒屋の人に聞いてみることにした。

髭人「駅ってどこにあります?」
店員「人が歩いている方」

と、言うので歩いていくと見つけました。(すげーわかりやすい)
駅…一安心して宿の方に向かう。いくら方向感覚を失っているとはいえ1本の道であれば左右の違いしか間違いはない。
駅の前の道が国道だからそこを歩いていけば着けるという物である。
宿に着いて、うちに電話したりして老人に聞く。

髭人「明日5時に出たいんですが…」
爺さん「そうだね…じゃぁ、ここに鍵を置いてって下さい」

と、古くなって使えなくなったあアーケードゲーム台の下に指定されて

髭人「わかりました」

と答えた。
部屋に戻って歯磨きしたり、コールドスプレーを吹きかけたり、足を揉んだり、テレビ見て眠った。

時間は23:00。




今だから感想~

もう少し社交的であればね~。
折角声をかけてくれたのに簡単な受け答えしかしていないもんな。
戦場に出たという宿の店主には

「本当に感謝の言葉もありません!
昔の若かった皆さんが勇敢に戦ってくださってくれたおかげで
私がこうして自転車旅行を出来る訳です」

ぐらいの事が言えれば…
まぁ、それは今も言えるか?
多少マシになったという程度で本質はあまり変わらない。

人見知り悲し~~~~!!


次回、最終回!!


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