髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

「口の周りに毛が生える」という呪いを受けたオッサンがファミコンレビューやら小説やら好きな事をほざくしょ―――もないブログ

自転車旅行日記 ~九十九里編~1日目 後編

2013-07-22 19:31:45 | 自転車旅行日記
前回のあらすじ
東京多摩地方に住む高校3年生の髭人、
前年にチャリで九十九里に行けなかった無念を晴らすべく1人自転車で挑む。
千葉県に入り午後に力が出なくなるというトラブルに見舞われたもののパンを食べて復活。
再度走り出し、日も暮れてきたという状況…




「茂原」という所に入った所で自分は先に行くのをやめた。
前回、友だちと電車で海に行った場所まで後10kmぐらいであった。自転車で30分もかからないぐらいであったものの、周囲はもう真っ暗で宿探しをする必要もある。

髭人「今日はここで野宿だ!」

と決めた。
なぜ野宿かと言うと、当時やっていたヒッチハイクで大陸横断とかをやっているコンビとかがお金を無駄遣いさせない為という理由で野宿とかしまくっていたからである。

髭人「俺もそういう体験やってみるか?」

という理由で野宿を決定させたのだ。親からお金を援助してもらったからあまり使うのは良くないかな~と思っての判断でもある。
ちなみに、前回も野宿すると共にいた友人たちに申し出たのだが、友人たちは野宿に否定的で

前回の髭人「お前らが宿で泊まるなら一人でも野宿する」

などと異様に野宿にこだわっていたのだが一人で野宿なんかして何かあっては困るということで却下された。
ただ、結果的にはそのほうが良かった。

→→→→友人たちの判断が正しい!ここで髭人のワガママを認めて本当に何かあったら後で責められるのは友人たちだし。

というわけで今回は一人である。止める人間もいない。俺がまず「茂原」に入ってした事はそれは寝床探しである。
1つ目
小さい公園を見つけて「ここにしようかな~」と公園に入っていくと先客がいた。
ベンチで横になっている人達。ホームレスの方々だろう。

髭人「ここにいたら襲われるかな?」

と、思った俺はそこをサッサと出てほかを探すことにした。

髭人「でも俺はこの人達と同類か...」

と、少し悲しくなった。

→→→→発想が失礼だわな。自らで野宿しようとする人間と理由は定かではないがホームレスをやるしかないって人もいるはずだ。その人と同じって考えるのはなぁ…


橋の下とか色々と回っていながら何か道路標識に「茂原公園」という所を見つけた。
しかもそこはトイレ、水場付き。

→→→→不動産屋でのお部屋さがしみたいだな(笑)

髭人「おお!設備がいいじゃないか」

とその道路標識にしたがって道を行く。商店街のアーケードをくぐり橋を渡る。
でその茂原公園に行こうと思ったら茂原市役所ってあって広めの場所で見えづらい場所もある。

髭人「ここもいいなぁ~」

と思ったが

髭人「流石にそういう土地だと人にばれやすいか?」

と断念した。標識と地図を見ながら「茂原公園」を探すのだが見つからない。

「う~む目立たない所にあるのか~?」

他にも大きな駐車場のような所なども候補として残しつつ
やっとの事で茂原公園を発見!

髭人「おお!書いてあった通りトイレ、水場付きじゃないか!!」

と、喜んでいてその公園の中に入り水場で水を飲もうとした矢先、水場で見つけてしまった。

髭人「歯ブラシ…ここには主がいるな…」

周囲を見回したがそれらしき人はいなかったが新参者がノコノコ行って、そういった人が帰ってきて鉢合わせになったら好ましくないと思って場所を変える事にした。
すぐ見つかるだろうと思っていた寝床探しもままならず、途方に暮れていたが

「まぁ、まずコンビニで飯でも食うか?」

気を取り直して、コンビニに寄りジュースを飲む。そして公衆電話があったので友達に電話した。
その友達からこの人を友人Aとしよう。昼間に電話した相手である。

友人A「髭人か…どうした?」
髭人「友人Bの電話番号を教えてくれない?」

友人Bとは友人Aと同じく去年、九十九里に一緒に行こうとした友達のうちの一人である。
で、なぜ友人の電話番号を知りたいのかと言うと九十九里に行く前にみんなで集まって九十九里の話をした事があった。

友人B「またお前九十九里、今度は一人で行くんだよな?」と
髭人「ああ!決めたからね」
友人B「それじゃ行く時に電話してくれよ」

で友人Aから友人Bの携帯を聞き出し早速電話をした。すると電波をつなげようとしれいるのか受話器からなんの音もしない。(トゥルルル~も聞こえない)
そしてしばらくその沈黙が続いた後に「ツ~ツ~」と…

髭人「はぁ?どうなっとんねん」ともう1度掛け直すが結果は同じ

通常携帯なら繋がらない場合機械音声で

「電波の届かない所にいるか電源を切っています」

などという声が入るはずなのにそれすらない。

髭人「どういう事だ?」

と疑問を抱きながらもそのコンビニで夕食を取る事にした。さっきジュースを飲んだせいかあんまり腹も減ってなかったからジュースとパンの1つだけ。

→→→→明らかにカロリー不足だろう。

一人寂しく食べているとそのコンビニの裏が草が広がっていた。

髭人「ん?ここは…」

とコンビニの裏に入ると草が一面に生い茂っていて回りに家もなく人には見つかりにくい。

髭人「ここはベストだ!!」

と確信してシートを広げた。そして横になった空を見ると星が一面に広がっていて

髭人「おお~地元じゃこの時間こんなに多くの星は見れないよな」

と、感動していたら耳元でぷ~んという耳障りな音。そう蚊であった。うるさい!と手で蚊を払うがそんな事で蚊が寄ってこなくなるなら蚊取り線香などいらない。

髭人「俺は1日チャリで走り続けて疲れてるんだ!体力回復のために寝なければならないんだ!」

意地になって、目を閉じてみるが…
ぷ~ん。ぷ~ん。ぷ~ん。ぷ~ん。ぷ~ん。ぷ~ん。

髭人「あ~も~!うるせぇぇぇ!!血は君らに献血って事でいくらでも提供してやるから耳元で飛ぶのは勘弁してくれ!」

タオルで耳を隠したのだが俺の耳がいいのか蚊の羽ばたきがうるさいのかほとんど変わらずぷ~んが聞こえる。

髭人「ああ!!もうこんな所で寝れるか!!」

蚊の羽音>疲労
という状態になってしまった。
それにしても奇妙なのが既に8時を回っていたが眠気が無かったのだ。
朝6時ぐらいからチャリを漕ぎまくってきたというのに不思議と眠気はない。疲れてはいたが。
やはり屋外にいるという事はやっぱ外という感覚がして外は活動する場所というような本能のようなものが俺に染み付いてしまっているのだろう。
もしこれが屋根のある宿なら心が安心して眠気が襲ってきたのではないだろうか?


眠る場所を探しにさまよい再び「茂原公園」に行くと何人かの俺と同じような年代の人達が花火をやっていた。

髭人「花火か。持ってきたな。一人でやるか?」

寝床探しに飽きて気分転換になるかと思って花火をやろうかと思い立つがライターは持ってなかったのでコンビニでライターを買い花火を持ってそこに行こうとまた歩く。
んでもう終わっているだろうと茂原公園に着くとまだ花火をやっていた。

髭人「長いな。終わるまで待つか?」

ベンチに横になって終わるのを待つ。一人でやるのはあまりにも寒いし、対抗意識を持っているとは思われたくないし

髭人「一人じゃつまらなくない?一緒にやらね~か?」

などという誘いが来るかもなどと勝手に都合のいい事を考えていたりしたが結局それからその人達の花火は終わり静かになった。
でまだそれでもベンチで横になっていたのだがふと気付いた。

髭人「ここには蚊がいない!」

いないとは断言できないが少なくともコンビニの裏の草むらよりは遥かにいなかったことは確かだ。

髭人「もう主がいようと関係ない!蚊がいないんだったら!!」

という事で荷物と相棒を取りに帰る事にした。

→→→→パクられる可能性はあまり考えていなかったのだろう。ここで荷物パクられていたら絶望だよな…うん。

そしてシートなどをバッグに入れ出発。すぐに着いてベンチに横になって「寝るか?」って考えていると2台車が駐車場に入ってくる。
茂原公園の近くには美術館があるらしく結構車が駐車場に停めてあった。

→→→→美術館って言うよりは駐車スペースとして利用される場所なのだろう。

そんでその2台の車から複数の男女の声がして一人の男がベンチに横になっている俺を見ているのに気付いた。
まぁ夜美術館に入ってくるわけじゃないだろうからたぶん、カップルが車中で愛し合ってるんじゃ無いかと思った。

→→→→その可能性は十分にある。

「何か邪魔だどっかいけよ」みたいな感じがその立ち方からわかった。

髭人「このままここに滞在してはなにされるかわかったもんじゃないな」

そそくさと俺は茂原公園から退散した。そしてまた寝床探しを再開した。
んでさっき「いいな」と思った地面が土の駐車場に行った。それでシートを広げて寝ていると車の音がするものの蚊は少なくめちゃくちゃいい場所だ
しかし道路から近い事もあってか道路から丸見えだということに気付いた。現在は真っ暗で近くにライトもないので車側から見つかる可能性は低い。

髭人「夜はいいかもしれないけど朝見られて襲われるかな~」

ともう「人に見れる=襲われる」という強迫観念みたいなものに捕らわれてしまってそこも不安で駄目という事になった。

→→→→その判断は間違いではないだろう。

髭人「あ~!!もうここにはいられね~!!こうなったら今日中に九十九里に着いてやる!」

と相棒を走らせた矢先「ウォ~!」と音がした。

髭人「何だ?パトカーか?パトカーにばれると無灯火だからまずいな」

すぐに相棒を降りた。自転車に乗りさえしなければ自転車とは扱いは受けないと思った俺は相棒を降りるとパトカーは「ウォーン」と通り過ぎって行ったのはそう。消防車であった。
何か拍子抜けというか何と言うか。そのせいでテンションも下がりそれで「コンビニの所に戻ろう」と相棒を走らせようと思ったのだが…

寝る場所をさんざん探したが見つからず、海に行こうと思ってもよくわからん所で足止めを食らう。
思い通りにならず良くないことが立て続けに起こると、いろいろなことを一気に考えてしまうものだ。

『何でこんな事になってんだよ…』
『俺が日々の行いが悪かったからか?』
『一体なにが悪かったんだ?いつどこで?』
『オレの人生が悪いのか?』
『こんな感じじゃ今後どうなるんだよ』

今日一日中走り続けた疲労感。夜、一人で見知らぬ土地の道をさまよい歩くという孤独感。これからちゃんと海について帰れるのかという不安感。
それらが少年の心をより深く悩ませるきっかけとなった。

『将来かぁ…いずれ大したことのない大人になるんだろうなぁ…』
『例えば、この相棒(自転車)に世話になったことを忘れ、パッと捨てちまうような心の腐った大人に…』
『なりたくないと思ってもなっちまうんだろうなぁ…』

心から突き動かされるようなものがあり、体が震え、目から涙が溢れた。

→→→→当時は、純粋な少年だったからな。

ひとしきりに涙を流したあと、心が少し晴れたようでつまらないことを考えるのをやめ、コンビニ裏に戻った。
また元の場所にシートを広げた。しかしやはり蚊がうるさい。そこでようやく閃いた。

髭人「蚊対策に蚊取り線香でもあるかな?」

今更という感じである。

髭人「コンビニに蚊取り線香なんてあるかな~?」

心配になりながら店内を探すとあった。蚊取り線香と虫除けスプレーがあった!!
この時、何か輝いて見えた気がした。ゲームの重要アイテムみたいな感じで。


髭人「どっちにしようかな?」

迷ったが蚊取り線香が体全体をカバーができないだろうというのとホントに蚊が取れるのか?と心配になって虫除けスプレーを購入した。
風にも影響するだろうし
そして草むらに戻って体全体に吹きかけた。
頭にかけると何か髪に悪そうなのでタオルにスプレーを吹きかけそれを頭に被った。
そして横になるとさっきとは嘘のように蚊が来ない。効果てきめん。

髭人「よし!これなら寝られる!」

と目を瞑った。

まず外にいるということで寝た気がしなかった。
ずっと目を閉じているだけって感覚がして起き上がるとさっき見た時間より1時間経っていたというだけ。

「1時か…」
「2時か…」
「3時か…」

って風にそして夜が明けていった。


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