ローマ人の物語ⅩⅤ『ローマ世界の終焉』を読みました。
テオドシウス帝の死後から西ローマ帝国の滅亡後ぐらいまでを中心に描かれています。
思わず、
「おぉ!ローマよ」
なんて言いたくもなるような散々たる状況です。
テオドシウスから軍事面を任されたスティリコ将軍が奮闘するも、帝国を守るという意識のない皇帝や官僚から不遇な扱いをうけ処刑されてしまってからは、帝国は蛮族のなすがまま。最後には組織だった防衛の力もなく、帝位を継ぐものがいないため西ローマは「消滅」してしまいます。
てっきり、ローマに攻め込んだ蛮族に破壊されたりして終わるものだと思っていたので意外な感じです。 何度も略奪はされますが、ローマの司教が蛮族との交渉役になるのも時代の変革なのか。
蛮族がイタリアを支配するようになると、生産・行政と軍事という役割分担で一応の平和がなりたちます。蛮族といっても奪うでけでなく、平和的に共存(支配)できる部族もありました。ローマ帝国が消滅しても、都市ローマも元老院も存在していましたが、東ローマのイタリア進攻により再度戦場になると荒廃し、最終的には違う蛮族に侵略され、低迷の時代となっていきます。
ローマの滅亡にいたる要因や減少などじっくり思い出して、もう少しまとめてもいいかも。
属州民のローマ市民化
・ローマ市民権というインセンティブの消失により、社会システムのバランスが崩れる
・属州からの税収減 → 広く浅くという税制の崩壊
・属州民による補助兵というしくみの消失
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リメス(防衛線)の綻び拡大
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社会不安の増加、経済力の低下経済の疲弊により、地域自治を担う力の減少
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キリスト教の勢力拡大→ 公認 → ローマ・ギリシャ文明圏の崩壊
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蛮族の跋扈 → 西ローマ帝国の滅亡 → イスラムの勢力拡大による地中海の役割変化 → つなぐ海から隔てる海 → 地中海を「内なる海」と呼んだローマ世界の滅亡
15巻を1年半以上かけて読んできて、一番印象に残っているのは、やはりユリウス・カエサルの巻ですね。もう一度読んでもいいな。