第4回 「ヤツガシラ」
ヤツガシラはコウノトリやフラミンゴと比べ目立たない鳥ですが、頭の冠のような飾りや、ひらひらと優雅に舞う姿は魅力的です。
チュニジアでは、ローマ時代の遺跡(チュニス市郊外のカルタゴ遺跡(かつてローマと地中海の覇権を争ったカルタゴ)など)で見かけました。
朽ち果てて2千年以上も経つ遺跡(といっても石の文化だけにかなりしっかりと都市の遺構が残っている)、人間の繁栄や滅亡に関係なく、ヤツガシラはそれ以前から、同じ場所で、静かにひらひらと舞っていたのでしょう。
昨年チュニス市内で野外演劇がありました。スペインのアルハンブラを舞台にしたもので、キリスト教徒がスペインを奪還し、イスラム教徒を追い出すまでの間を描いていました。
イスラムが支配していた当時、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が争わず共存していたとのことです。キリスト教の武力によりそれが壊されるわけですが、それまでの平和な間の宗教が鳥で表されていて、ヤツガシラは「ユダヤ教」のシンボルとなっていました(キリスト教がナイチンゲール、イスラム教がフラミンゴ)。
いずれも平和の象徴ということなのでしょう。
(写真はスベイトラ遺跡で撮ったもの。鮮明でなくて申し訳ありません。)