アルト・ハイデルベルク(123)
————————————【123】—————————————————
............Käthie: Aber teuer ist er dieses Jahr. Für einen Prinzen macht
........................ das freilich nicht* viel aus.
Karl Heinrich: Wie meinen Sie ?
............Käthie: Ich sag, für einen Prinzen macht das freilich nicht*¹ viel aus
........................ ob der Wein teuer ist.
Karl Heinrich: Ach so.
............Käthie: Haben sie*² noch andere Brüder ?
Karl Heinrich: Ob ich was ?
............Käthie: (etwas ungeduldig). Ob sie noch andere Brüder haben,
......................... die auch Prinzen sind ?
Karl Heinrich: Nein.
............Käthie: Aber Schwestern ?
Karl Heinrich: Auch nicht.
............Käthie: (rasch). Aberzwei Eltern ?
Karl Heinrich: Die sind tot.
............Käthie: Oh, wie schrecklich, wie schrecklich ! Ich habe nämlich
........................ auch keine Eltern mehr.
Karl Heinrich: Oh.
............Käthie: Also der Herr Fürst in Karlsburg, das ist nicht der Herr
........................ Papa ?
Karl Heinrich: Das ist mein Onkel.
............Käthie: Der Herr Onkel (Pause.) Ich komme nämlich von weit
........................ her, aus Österreich. Aber ich habe vor, in Heidelberg zu bleiben.
........................ Es ist zu* schön hier. (Schenkt ein.) Trinken Sie doch*.
————————————— (訳) ————————————————
....ケティー: でも今年はワインが高いんですのよ.
もっとも王子さまにはたいしたことのない話でしょう
けど.
カール・ハインリヒ: どういうことをおっしゃっているのでしょうか?
....ケティー: ワインの値段が高いかどうかなんて一国の王子さまには
まず関係のないことだと申し上げているのですわ.
カール・ハインリヒ: ああ、なるほど.
....ケティー: まだ他にご兄弟はおありですか?
カール・ハインリヒ: 僕に何があるか、ないかって?
....ケティー: (もどかしく) まだ他の王子さまのご兄弟が
いらっしゃるかどうかと.
カール・ハインリヒ: いません.
....ケティー: じゃあお姉さまや妹さまは?
カール・ハインリヒ: やはりいません.
....ケティー: (即座に) でもご両親は?
カール・ハインリヒ: 2人とも他界しました.
....ケティー: まあ、なんてお気の毒に、ほんとお気の毒ですわ.
でも私も両親を失くしていますのよ.
カール・ハインリヒ: ああ、それはそれは.
....ケティー: それじゃカールスブルクの君主さまはお父さまでは
いらっしゃらないのですか?
カール・ハインリヒ: あの人は私のおじです.
....ケティー: おじさんなんだ.(間) 私ね、遠くから来ていますのよ.
オーストリアです.でもハイデルベルクにいるのが好き
なんです.ここはとても美しいところですから.
(ワインをつぐ) お飲みくださいな.
—————————————《語彙》————————————————
本日の使用辞書: 「郁文社独和辞典」、「アポロン独和辞典」
「小学館独和大辞典」「研究社独和中辞典」
aus/machen:≪etwas, nichts, viel などとともに≫
(何らかの意味をもつ:)
das macht nichts aus. / そんなことはなんでもない.
die neuen Möbel machen viel aus.
この新しい家具で部屋の感じが随分変わる.
es macht viel aus, ob... …か否かは大違いだ.
würde es Ihnen etwas ausmachen, wenn ... ?
…したらご迷惑でしょうか?
freilich:(副) もちろん、確かに
ungeduldig:(形) いらいらした
rasch:(形) ❶速い、すばやい、
❷即座の、手早い、てきぱきした、
schrecklich:(形)気の毒な
nämlich:「つまり」という意味ですが、ここでは単に語調に添えた
だけで、「言い換え」の言葉ではないようです.しいて
訳せば「だって」
also:(副) それでは、では、じゃあ
der Onkel:(同尾) ❶おじ、叔父、伯父
❷(子供が大人の男性をさして) おじさん
schenkt ... ein:<ein/schenken (他) [飲み物⁴を]つぐ
Sie hat Kaffee eingeschenkt. / 彼女はコーヒーをついだ.
[A格目的語なしも可]
Darf ich Ihnen noch einmal einschenken?
もう一杯いかがですか?
—————————————≪註釈≫—————————————————
*1) nicht:フラクトゥール版、電子版ともnetと書かれています.
南ドイツ訛りだと思いますがnicht に書き換えました.
(私たちの主目的は標準ドイツ語学習であって地方方言は
二の次、事のついでにほんの少しだけ学習しましょう.)
*2) sie:フラクトゥール版が s 、電子版が 's ですが、紙版の「Heinz-
Peter Heilmann 版は小文字でsie (通常はSie) になっています.
今後私たちの学習ではこのHeinz-Peter Heilmann 版で進めて
参ります.この本は訛り言葉のスペルを標準語スペルに書き
換えている箇所が比較的多いようなので学習しやすいと思い
ます.
*3) zu + 形容詞:あまりにも~だ
zu schön = あまりにも美しい;
本文では「ここは美しすぎて帰る気になれない」と言っています.
*4) doch:ここでは「命令文」に添えられて「軽いお願い」の気持ちが
込められます.「~ってば」「~、お願いするわ」
「ねえ~してちょうだい」