ハルナツアキフユ 

転移性悪性黒色腫(メラノーマ)と診断された夫のことや
巡る季節の中で思うことを綴っていきます。

久しぶりの検査 / 新薬について思うこと

2013年09月11日 | 悪性黒色腫(メラノーマ)


9月9日は脳のMRI検査でした。
しばらく病院から遠ざかっていたので久しぶりの受診で緊張しました。

検査は思ったより長くかかり
何かあったのかな・・・と心配に。
でも無事に終わってK先生に結果を聞きました。

結果は・・・
サイズは変わりなく1.2cmほど。
ただ中心部は少し空洞化?しているような。
浮腫は腫瘍の周りで少し大きくなっていました。
脳内での転移はまったくみられず、ほっとひと安心しました。
「メラノーマは縮小までに時間がかかりますね。」
「でも症状が何もでていないので大丈夫。また11月にMRIを撮りましょう。」と。

その後I先生に受診し、検査結果の所見に始まって、夏のアメリカ行きの報告やら
アメリカと日本の医療の比較、今後の方向やらいろいろとお話できました。
メラノーマ患者会設立にあたって
「患者会は新薬承認ではとても大きい力になるからね。」と励ましてくださり
「そうか、じゃあ頑張らないと・・・。」と改めて思いました。
私たち夫婦にとって先生と話す時間は“免疫療法”のようなもので
検査結果はともあれ気持は晴れやかになるから不思議です。
下手な抗がん剤よりずっと効果があるようで・・・。

新薬と言えば
アメリカの話ですが・・・
メラノーマのステージ4で余命数ヶ月の男性が
脳転移があるからという理由で抗PD-1 抗体薬の治験が受けられず
この新薬を開発中のMerck社とBristol-Myers社にコンパッショネート・ユースで治療を受けたいと
電子署名を募って嘆願しています。(Save Locky's Dad | Nick Auden
製薬会社は開発中で承認前の薬を治療薬として患者に売ることはできません。
でも時に「コンパッショネート・ユース」(生命に関わる疾患を持つ患者の救済を目的として、
限定的状況において未承認薬の使用を認める制度)で、特例として使用を許可することもできます。
彼はすでにFDAの許可をもらい、Dr.も治療に同意しています。
あとはMerckとBristol-Myersのどちらかの返事を待つだけです。
署名は、すでに188,5454人に達していて
SNSのネットワークやメディアを上手く使った方法には驚くばかりですが
最終的に2社のどちらかが彼の嘆願に応じるでしょうか。

夫もステージ4で脳転移があるため
ほとんどの治験からは対象外として外されてしまいます。
(脳転移にターゲットを絞った治験もなくはありませんが・・・)
患者としては「なぜ!?」「一番必要としているではないか!」と思うのですが
脳転移がある時点で、予後が悪く実験中に亡くなることも考えられ
莫大な費用をかけて薬の効果をみるのには不適合でしょうし、
また脳は blood-brain barrier(BBB)の働きで薬が効きにくいということもあるのでしょうか。

この二つの製薬会社は慈善団体でもなんでもなく利益を求める巨大企業であり
1人の願いを聞き入れれば後に続く同様の立場の患者があまりにも多いでしょう。
夫だって、今は肝臓や腎臓に転移がないので
治験で治療を受ける必要はありませんが
転移があれば抗PD-1 抗体薬の治験はもっとも期待できるため
彼と同じ立場になるでしょう。

ところでこの抗PD-1 抗体薬「ONO-4538/BMS-936558」は
実は日本の小野薬品が2005年に開発したものですが
共同研究契約を結んでいたメダレックス社が、2009 年にBristol-Myers 社に買収され
北米における開発・商業化権をBristol-Myers 社に供与することになり
2011年に小野薬品とBristol-Myers 社が結んだライセンス契約で、
小野薬品が開発、商業化の権利を留保する日本、韓国、台湾以外の全世界において
独占的に開発および商業化する権利をBristol-Myers 社に供与したという経緯があります。
現在まるでBristol-Myers社(商品名:nivolumab)とMerck社(商品名:lambrolizumab (MK-3475))の
業績のように期待されていることは小野薬品の研究者にとっては悔しいことだろうなあと思います。

でも、逆に言えば日本では小野薬品が開発、商業化できるということですから
ひょっとしたら案外早く承認され治療薬として使えるようになる可能性も高いのかなと思います。
この薬はメラノーマだけでなく非小細胞肺がん、腎細胞がんにもとてもよく効くようで
薬を待つ患者の需要が高ければそれだけ商品化も早く、薬価もそれなりに・・・と願うところです。

それまでは
どうか転移がなく平穏な日々を過ごせますように・・・。






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6 コメント

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Unknown (リリー)
2013-09-13 12:40:06
なかなか難しい問題だと思いますが、すべてがよい方向に向かうことを陰ながら祈るとともに、できることは協力したいと思います。

遠慮なくお声をかけてくださいね。
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Unknown (ハル)
2013-09-14 23:34:02
リリーさん
そのときが来ないことを祈るばかりですが、ありがとう。薬もきっとどんどんいいものがでてくると思うし早く「どれにしよかうかな・・・。」と選べる日が来るといいです。
返信する
治験 (moshio)
2013-09-15 22:38:13
ブログ、フェイスブック、読ませていただきました。肺転移でいきなりメラノーマステージ4との診断だったとのこと。私の夫も6年前にステージ1の背中のメラノーマ切除手術、リンパ転移なしとのことで、抗がん剤などの治療は一切受けず6ヶ月ごとの定期検査で5年経過しました。たまたまそれで終わりでも良かったのですがPET検査が保険適用になるからとのこと、では検査していただこうと1回目は異常なし、2回目の検査を今年4月に受け、5月の連休明けに結果を聞きにいったところ、肺転移と言われました。すぐに切除、そのあとの検査で今度は肝臓と骨転移。もう従来の治療では体力が失われるだけなので好きなことを出来るだけしたいと本人がいうので、そうしようと思っていましたが、治験が受けられるかもしれないことがわかり今申請しています。よくはわかりませんが、脳転移でも受けられる治験もあるかと思っておりましたが。おそらく色々お調べになっていらっしゃるので余計なおせっかいかでしたらごめんなさい。ただ、同じような状況でしたので思わずコメントさせていただきました。長々とふみません。
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治験 (ハル)
2013-09-17 00:53:31
moshioさん
先日、moshioさんの投稿をアメーバの方で見てから、年代も同じで似た状況だったのでメッセージをずっと送ろうと思っていました。コメントいただいて、ほんとにとても嬉しいです。治験の申請されたということで、できるといいですね!夫は今のところは腫瘍は脳だけで一応コントロールできているので何もしない方がいいというのが両アメリカ、日本の医師の見解でした。どんな抗がん剤治療も免疫力を低下させるからと言われました。今後脳の腫瘍が小さくならなければもう一度サイバーナイフを照射するか、外科手術で切除するか・・・という考えのようです。
今度のCTは10月21日ですが、その時点で多臓器に見つかり、脳の方がコントロールできていればたぶん何らかの治験は受けられると思います。
夫は、もし受けるなら一番期待できる抗PD-1 抗体薬のnivolumab「ONO-4538/BMS-936558」と考えていますが、日本では今のところ新しい治験は未定のようです。アメリカではまだやっていますがこれもその時のタイミングがあるので何ともいえないですよね。新薬の治験が脳転移に使えない理由のひとつに「脳に腫瘍があると新薬が逆に脳の腫瘍に悪影響を及ぼすおそれがあるから。」ということも聞きました。
ちょうどいくつか治験の募集があったので、きっとご主人はそのうちのひとつに申請されたのですね。どんな治験でも今のステージ4の標準治療より絶対希望が持てると思います。どうか早く治験を始められて、うまくいくことを何よりも願っています。
希望を捨てずに頑張りましょう。いつでもコメントくださいね。
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新薬について (みひろ)
2013-09-29 19:55:59
はじめて投稿させていただきます。

「 みひろ 」 と申します。

ご主人の一刻も早い回復をお祈り申し上げます。

新薬が早く治験になり承認され一般処方(治療)されるといいですね。

また投稿出来たらしたいと思います。
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Unknown (ハル)
2013-10-01 01:04:34
みひろさん
こんにちは!
みひろさんのブログ、いつも感心しながら読ませていただいてます。とてもためになります!
そうですね、新薬、早く承認されるように
頑張らねば!と非力ながらも思っています。
また、ぜひコメントしてください。
なんせわからないことばかりなのでいろいろ教えてくださいね。
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