ハルナツアキフユ 

転移性悪性黒色腫(メラノーマ)と診断された夫のことや
巡る季節の中で思うことを綴っていきます。

退院

2014年01月11日 | 悪性黒色腫(メラノーマ)


1月9日、無事退院しました。
足の動きもだいぶ良くなり、ほんの少し引きずりながらも自力で歩けるようになりました。
夫曰く「まるで刑期を終えて出所した気分!」と
外の空気が吸えることが嬉しくてたまらないようでした。
足の不調で思うように動き回ることができない中での
年末年始で静かな病院での生活は退屈なものだったようです。

今回の入院は
主に点滴による浮腫と痙攣のコントロールでした。
入院中はCTやMRI、PET検査をしながら
腫瘍や浮腫の状態を確認していきました。

結果的には、浮腫はやや改善されましたが大きく縮小されることはありませんでした。
腫瘍はMRIでははっきりと拡大が見られましたが
それが壊死した腫瘍の残骸なのか、再燃した腫瘍なのか判断は難しいようです。
血流の流れがみられるので再燃の可能性も少なくないとのこと。
検査前から「脳の腫瘍確定にはあまり精度がよくないですが・・・。」と言われていたグルコースを使ったF-FDG PET検査では
案の定、腫瘍部分は全く赤くならずそれだけ見ると腫瘍はないかのように見えます。

メチニオンPET検査の方が精度は期待できますが、17日まで待たなければなりません。
どうするかの判断はそれまで保留ということを前提でA先生が説明してくれた内容は以下のとおりです。

「もし腫瘍が再燃しているならば再度サイバーナイフの照射を行うのでなく開頭手術をするのがよいでしょう。
しかし非常に微妙な部位(感覚野)に腫瘍があるため、取り除くことができても右足(あるいは右上半身にも!?)に麻痺が残る可能性があります。
車いすやクラッチが必要になる可能性がないとは言えません。
また、すでにサイバーナイフで照射された腫瘍はとても固くなっており、刮げとるというか掻き出していくようになります。
感覚野には運動野が隣接していて、影響を及ぼす可能性もあります。
手術中は電極を用いてモニタリングするので、脳の個別の機能が障害されているかの判断はできます。
覚醒下での摘出術(目が覚めている状態で、会話をして機能を確認しながら手術すること)も考えましたがこの部位にはあまり有効ではないでしょう。
現在、大きな障害が出ているわけではないので緊急に手術をする必要はないと思います。
今後歩行や運動に大きな障害がでるかもしれないことも考えて慎重に検討していきましょう。」

と、こんなお話でした。
あまり嬉しい話ではありませんが、そうなったらなったで考えていくしかありません。
17日まで悩むのは保留にしようと夫とも話しました。

入院中は年末年始だったこともあって
あまり医師とじっくり話すことができなかった夫でした。
脳脊髄腫瘍科のN先生もA先生もアメリカでの研究経験もおありで英語もお話できるのでしょうが
日本語で話すことも多かったので夫にとっては少し不安もあったようです。
でも呼吸器外科のI先生が、ほとんど毎日のように顔を出してくれたことが夫にはとても嬉しかったようで
面会に行くと「今日もI先生が来てくれた。」と報告してくれました。
また、退院時に放射線腫瘍科のK先生が「本当にとても心配でした。」とおっしゃってくれ
心からそう思っていてくださったことがとても嬉しく、涙がでそうになりました。
気にかけてくれている、支えられているという安心感は大きな力になります。

新年の抱負を夫に尋ねたら
「まず、脳の腫瘍をやっつける。
右足の不調は自力で取り戻す。
夏には大きくなった肺の腫瘍をやっつける。
冬には待望の抗PD-1抗体薬が日本で使えるようになるから
その後は腫瘍ができても安心!」と。

全くそうなるといいなと思います。

今年も希望を持っていきたいです。
まだまだ一緒にやりたいこといっぱいあるので
私も頑張って応援していかなくちゃ!