手のひらには秋がいた
そっと訪れる冷気のなかで秋はいつも
季節の香りをさまざまに撒いて行くのだった
押し寄せるように力強い稲穂の匂い
草むらの匂い土手の乾草の匂い
菊の花たちの匂いまた何処かから
漂ってくる植物の煙の匂い
色ずく柿の葉にさえ香りがあり
埋もれた病葉が重なりあうその下には
湿った豊かな土の匂いそして
澄んだ眼の動物たちのいのち満ちる匂い いのち果てる匂い
霞のような匂いをその大気の中に漂わせ
秋は遠い記憶を鮮やかに浮かび上がらせる
移りゆく光の中に鼓動し
広げた手のひらに毎年訪れる秋
しかし同じ顔をしてはいない
一度限りのことしの秋
そっと訪れる冷気のなかで秋はいつも
季節の香りをさまざまに撒いて行くのだった
押し寄せるように力強い稲穂の匂い
草むらの匂い土手の乾草の匂い
菊の花たちの匂いまた何処かから
漂ってくる植物の煙の匂い
色ずく柿の葉にさえ香りがあり
埋もれた病葉が重なりあうその下には
湿った豊かな土の匂いそして
澄んだ眼の動物たちのいのち満ちる匂い いのち果てる匂い
霞のような匂いをその大気の中に漂わせ
秋は遠い記憶を鮮やかに浮かび上がらせる
移りゆく光の中に鼓動し
広げた手のひらに毎年訪れる秋
しかし同じ顔をしてはいない
一度限りのことしの秋