母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

元旦のゆめ -ナターシャのワルツ-

2016年01月02日 | 
元旦の朝早聴いた雅楽の音を忘れ
バッハのカンタータを流した
逢えなくなった猫の思い出の旋律を
懐かしんだことし

映画音楽の中の「ナターシャのワルツ」
猫の両手を取り一緒に踊ったワルツを
ことしは一人で踊った
チャーミングなオードリーと可愛いはなこ・ナターシャが
くるくると回り舞ったような気がした

彼女が好んだミルクとチーズの匂う
白菜とホタテのクリーム煮の鍋をそっとかきまぜ
ソーセージも茹で
元旦の日のつましい食事とした

仔猫時代に聴いていたバッハと映画音楽 そして
いつも好きだった食べ物らを思い出に供え
手のひらに残る灰色の毛の感触を想うとき
元旦の空は無情に青く透きとおり
不思議な新しい音を奏でて応えてくる

甕に蝋梅と水仙と千両
赤黄桃色の三色の金魚草を活けると
漂う春の匂いがあったが
慣れ過ぎた美しい動物の姿はない

部屋深く冬陽は差し込み
猫柳になった猫の脚は光と消え去り
新しい年の空は何事もなく
物語のなかでのんきに明るく広がっていた






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