海印寺(ヘインサ)見学でこの日の観光は終了。一路今夜の宿泊先大田市儒城温泉地区(テジョン市ユソンオンチョン地区)へと向った。
韓国有数の温泉地・儒城を抱える大田市は韓国のほぼ中心に位置し、以前から交通の要衝として知られ、韓国を南北に走る幹線はここを基点に半島の西南や東南に分かれて行く。古くは「ハンバッ(大きい田んぼ)」と呼ばれた田園地帯であったらしいが、地の利のおかげで近年は韓国の科学技術の中核都市として発展し、93年には科学万博も開催された。現在ではソウル-釜山間を結ぶ新超特急線(KTX)や地下鉄が開通し、ソウルにあった政府機関の一部も市西北部に移転するなど、人口150万人を擁する韓国有数の大都市となっている。2002年の日韓共催サッカー・ワールド・カップで熱戦が繰り広げられた公式スタジアムで、その名を知っている人も多いのではないだろうか?
大田サッカー・スタジアム 儒城地区 (何れも移動中の車窓より)
市街地の西に儒城温泉、鶏龍山(ケリヨンサン)、南部に高麗人参の名産地・錦山(クムサン)大田市に向かう途中、車窓から高麗人参の畑を数多く見かけた。) 、北東側に清州、俗離山(ソンニサン)と言った観光スポットが控えている。
その大田(テジョン)市の奥座敷として栄えているのが儒城温泉(ユソンオンチョン)である。ここには、百済の末期、翼に傷を負った鶴が温泉の水溜りに翼を浸して傷を治したのに倣い、ある母親が新羅との戦争で傷を負った自分の息子を温泉に入れたところ傷が全快したという伝説が残っている。泉質はカリウム、カルシウムなどを含む単純ラジウム泉で皮膚病に効果があるらしい。街は近年きちんとした都市計画の下に開発されただけあって道幅も広く整然として(後日行ったソウルとは対照的である。東京もヨソのことを言えた義理ではないが…)、かつ温泉地らしい華やぎが感じられる。この日の宿泊先は儒城温泉の中でも有数の観光ホテルのようだ。しかし、ホテルに向う前にまずはレストランで夕食。
食の日韓共催?サンチュしゃぶしゃぶ
ホテルにほど近い(車で5分程度)韓食レストラン・マンナ。こざっぱりとして清潔感溢れる店だ。この店オリジナルの料理サンチュしゃぶしゃぶを頂く。品書きによれば、韓国伝来のサンチュサム(韓国レタス?)と日本のしゃぶしゃぶを融合した料理らしい。”日本式の”かつおダシで牛肉をしゃぶしゃぶしてから、味噌、ピーナッツ、マヨネーズで作った特製ソースを付け、サンチュサムでくるんで食べる、というもの。牛肉を焼かずにしゃぶしゃぶというのが新しいのかな?盛りつけも美しく牛肉の桜色とサンチュサムの緑が鮮やかで目にも楽しい。定番のキムチやナムルなどの小皿料理も幾つか出ているが、”都会”に来たら途端に皿数も減ったような…?!ソースは甘口でゴマだれに近い。私や息子はおいしくいただいたが、夫は今ひとつお気に召さなかったらしい。残ったダシで韓国式そばを食べるというオプションもあったが、我が家はサンチュしゃぶしゃぶで満腹になってしまった。同行のS夫妻はそばも楽しまれたようだ。旺盛な食欲だなあと驚いた。ちなみに店名のマンナ(manna)は、旧約聖書の「出エジプト記」の中のエピソードに由来する。どうやら店主がクリスチャンらしい。そう言えば、韓国はアジアでもクリスチャンが多いことで知られている(一説には、仏教徒、クリスチャンがそれぞれ25%。残りは無宗教。数値は資料により違う)。
宿泊先のホテルはHOTEL SPAPIA。名前のスパピアとはスパ(温泉)のユートピアと言う意味らしい。目抜き通りに面した高層ホテルで、大田市でも最大の客室数を誇る。大浴場を備え、客室、スタッフのサービス共に、今回宿泊した中で最も快適なホテルだった。
ホテル外観と大浴場
1?階の客室からの眺め