ダイニングでの朝食風景
前回書いたように、今回は夕・朝食が付いていました。着いた日の夕食はカメラを部屋に置いて来てしまったので撮影せず。野菜サラダ・コンソメスープに始まって、メインはカレイのポワレとポーク・ジャンジャー、デザートはレモンのシャーベットと言うコース料理でした。もちろん、温かい飲み物も付いていました。
何よりボリュームたっぷりだし、カレイのポワレは口の中で蕩けるように柔らかく、甘みがありました。ポーク・ジャンジャーは少し厚め(とんかつ大)の豚ロースを濃いめの味付けでソテー。これもまた美味でした。そして、しつこいようですが、野菜がおいしい。スーパーで買う野菜とは鮮度が違うのか?或いは清里の自然の美しさに私が酔ってしまっているのか(笑)、出される野菜すべてがそれぞれの存在感を主張しているようで、心から「おいしい!」と思えるのです。盛りつけも丁寧で、そういった細やかさもおいしさに一役買っているのかもしれません
。
出発日の朝食は、コーンスープ、りんごジュースと、一皿の上に野菜サラダ、きのこと野菜のオムレツ、ウィンナーソーセージ等が乗っていました。写真には出ていませんが、食パンのトーストが半斤はあろうかという厚切りで、それをバターとイチゴジャムで食べました。朝からまたお腹いっぱいです
。給仕は何れも、現オーナーの奥様らしき女性がされていました。笑顔で、テキパキとこなされ、好感度大。
名残惜しいですが、ペンションも10時にはチェックアウトです。オーナーのご家族が大事に手入れされて来た部屋を粗末には扱えません。素敵な部屋で一晩を過ごせた御礼の意味も込めて、「立つ鳥跡を濁さず」の心がけで(その点は特に夫が厳しい。今回、息子は洗面台の使い方が汚い~使用後の始末が疎か~と怒られました)、できるだけきれいな状態に部屋を整え、ペンションを発ちました。
大きな手荷物は駅のコインロッカーに預け、さて、これからどうしよう…とにかく今回はあくせく観光地巡りはしたくない。できればどこか一カ所でのんびりと過ごしたい。
と言うことで、選んだ場所はサンメドウズ 清里ハイランドパーク 。山頂の標高1900mと、清里で一番高い場所にあるリゾート施設です。駅から歩いていける距離ではないので、清里の観光施設をふたつのルートで循環する清里ピクニックバスを利用することにしました。1回乗車大人300円、1日周遊券が600円なので、1日周遊券を購入し、駅前から乗車しました。ピクニックバスは観光地によくあるタイプの、木材を基調としたレトロな外観の小型バス。すぐに乗客でいっぱいになってしまいます。満員の乗客を乗せた小さなバスは、山間の起伏に富んだ舗装路を蛇行しながら進んで行きます。20分ほどで清里ハイランドパークへ到着。そこから山頂を目指し、リフトに乗りました。
天気が良ければ、「富士山や南アルプス、秩父連邦等の山々を一望できる絶景ポイント」らしいのですが、西日本に接近中の台風の影響もあって清里の天気は不安定でした。地上はともかく、山頂はうっすらと雲に覆われています。「パノラマリフト」と呼ばれる4人乗り?のリフトは、全長1200mでゆっくりと山頂を目指しました。長いリフトなので、乗り応えがありますね。時折振り返ると、下界には全面緑の牧歌的風景が広がっていました。しかし、徐々に山頂に近づくにつれ、雲行きが怪しくなりました。
頂上では右写真の通り、視界不良
。到着直後はまだ下界の風景が見えたのですが、みるみるうちに霧がかかり、終いには視界1mほどになってしまいました。肌をなでる霧はヒンヤリと冷たく、冷蔵室の中に入ったような感覚でした。晴れていたなら一望できたであろう遠くの山並みに思いを馳せながら、暫く家族3人でベンチに腰掛けました。これまで、富士山、立山、スイス・グリンデルワルトと山の景色を楽しみに出かけたのですが、毎回天候に恵まれず、伝説の絶景を拝めた試しがありません
。今回は台風の影響が大きかったと思いますが、そうでなくても山の天気は変わりやすい。たとえ下界で青空が見えていたとしても、山の頂上では厚い雲に覆われていることも珍しくありません。天気が良ければ、もう少しゆっくり頂上で過ごしたかったのですが、そうこうしているうちに雨も降って来たので、リフトで下山しました。
実はこのハイランドパークには、もうひとつ、「フラワーリフト」と呼ばれるリフトもあるんですね。山の中腹まで伸びたリフトで、それほどの距離ではありませんが、乗りながら眼下に高山植物の群生を見ることができます。
高山植物は生花店で買える花々のような派手さ、ボリューム感はありませんが、短い山の夏に彩りを添える楚々とした美しさがありますね。山頂では雨が降っていたのに、下界に降りると雲間に青空も見えます。リフトはセット券を購入していたので、フラワーリフトにも乗り、眼下に草花を見下ろしながら、しばしの空中散歩を楽しみました。
今回はあいにくの天気で頂上から早々と切り上げてしまいました。ピクニックバスの本数が少なく、今度のバスを逃すと2時間はハイランドパークに留まらなければなりません。下界に降りてしまったので、特に何か見物があるわけでもないここで、2時間を過ごすのは辛いものがあります。そこで、駅前の観光案内所で入手した情報誌で目に止まった黒井健絵本ハウス に行ってみることにしました。こういう時に、1日周遊券は助かりますね。予想外の出費(まあ、たいしたことのない金額ですが)を気にすることなくバスを利用できます。
↓清里の道を30分以上テクテク歩く。歩いているのは私達家族だけでした(笑)。我が家は旅先ではとにかく歩きます。国内外を問わず。地元民の視点で旅先を眺めてみたいからです。その大地を自らの足でしっかり踏みしめてみたいからです。イスタンブールでは新市街と旧市街を6時間歩き通し、ヨルダンのペトラ遺跡では、通常観光客は馬車やラクダを利用するところを、入り口から40分かけて奥の遺跡まで歩きました。なかなか大変な面もありますが、それだけ印象も強烈に残ります。
バス停に行くと、既にに沢山の人が待っていました。そしてバスが到着。到着したバスは満員状態です。ここで問題なのは、ハイランドパークが終点ではないので、バスの乗客が全員ここで降りるわけではないこと。事実、この時も降りたのは半分で、私達家族はギリギリセーフでバスに乗れたのでした。
次のバス停では5人の人が待っていました。その中に杖をついた80代以上とおぼしき年配のご夫婦も。ここで何人か降りたので、バス亭で待っていた人はどうにか全員乗れたと思うのですが、一緒に待っていた女性に乗車を勧められても、老夫婦は「立っては乗れない」と言われて、結局乗られませんでした。しかし、次のバス停が有名な観光地の青泉寮だったようで、ここで多くの人が降りたので、老夫婦も少し我慢をすれば座れたのにと残念に思いました。
こうした時に機転をきかせて「バス停ひとつ分我慢すれば良いですよ」と乗車を促すことができたら良かったのでしょうが、利用者は殆どが観光客でバスルートに精通しているわけではないし、バスに乗車していた人々全員がことの経緯を見ていたわけではないので、こういう事態になってしまったのかもしれません。
ここで考えたいのは、年配者の旅行についてです。心構えと言ったらおこがましいかもしれませんが、身体の一部が不自由であったり、体調が万全でない(つい最近も観光地に架かる橋が大雨で崩落して、観光地に孤立した人工透析患者がヘリコプターで救助されたケースがありました)場合、自分が訪れる観光地について十分なリサーチが必要なのではないでしょうか?自分で調べられないのなら、他の誰かに調べて貰うなどして、実際に自分が訪れた場合に不便や危険なことはないのか予め知ることが大切なのではないか?そして対処方法を考えておく。お金で済む問題なら、その為の出費も惜しまない覚悟で。これからますます高齢化社会が進展し、老齢の旅行者も増える一方でしょう。先日も北海道の山で遭難事故が発生したことから明白なように、老齢者自身もリスク管理に自ら気を配る必要があるのかもしれません。往時の体力が失われた分、無理は禁物なのです。
黒井健絵本ハウスへ到着。黒井健氏は日本を代表する絵本作家、イラストレーターの一人です。私も黒井氏の挿絵が美しい『ごんぎつね』を独身時代から持っています。絵本ハウスと言う名の通り、こぢんまりとした作りの美術館です。しかし、黒井氏の作品世界を引き立てるような意匠になっており、そのセンスの良さが光ります。例えば、2階の天井近くに据えられたステンドグラス、1階トイレ入り口脇の家具。さりげなく配置されていながらも目を引くものが、そこかしこに見られます。

左写真が黒井氏の代表作『ごんぎつね』(新美南吉作)の表紙です。黒井氏の名前は知らなくても、この絵をご覧になったことのある人は多いのではないでしょうか?私は『ごんぎつね』と言う物語そのものが大好きで、小学校1年生の頃に繰り返し読んで、泣いたのを覚えています。母親に「なんで同じ読み物を何回も読んで泣いているの?よく飽きないものだわ」と笑われました。それぐらい、好きだったんですね。後にも先にも、これだけ嵌った童話はありません。
さて、絵本ハウスの近くにある飲食店で昼食をとろうと思ったのですが、いかんせん値段が我が家にとってはベラボーに高い(←あくまでも我が家基準)。我が家は、よほどのことがない限り、昼食にひとり2000円は使いません。ここで食べるのは諦めて、元来た道を歩いて戻ることにしました。絵本ハウスへと向かう車中からおいしそうな「ほうとう」の店の看板を見かけたからです。しかし、雲間から青空も見える下界を、気温の高い昼過ぎに歩くのは大変でした。
30分以上は歩いたでしょうか?左手に、「ほうとう」ならぬ「手打ちそば」の店を見つけました。山だから「そば」もおいしいだろう、と言う腹づもりで、その店に入ることにしました。私が食べたのは「天ざる」。1150円也。値段は高くもなく安くもなく、味もまずまず…しかし、やっぱり私的には、青梅市の吉野梅郷の「梅の内」で食べた「天ざる」が最高だなあ…そばほど、美味い、不味いがハッキリした食べ物はありませんね。不味いそばは食べられたものじゃありません。
そばを食べた後は、最寄りのバス停でピクニックバスに乗り一路清里駅へ。3時少し前には駅に到着。東京駅行きの高速バス「清里号」は3時30分発なので、駅舎内のベンチに腰掛け時間を潰すことにしました。ベンチの正面にある駅舎内の売店をふと見ると、あの横川駅の駅弁で有名だったおぎのやの「峠の釜飯」が売られているではありませんか?!そうだ!この際だから、今日の晩ご飯は「峠の釜飯」にしようと思い立ち、夫の賛同も得たので釜飯を3つ買い求めました。自宅に持ち帰るまでかなり重かったのですが、かすかに記憶に残っていた昔ながらの味で、懐かしくいただきました。
1泊2日の短い旅程で、特にアクティブに動き回ったわけでもないのに、それなりに満足の行く旅行が出来たと思います。清里なら都心からも比較的近いですし、アクセスも便利なので、気軽に行けるのが良いですね。特に我が家は自家用車を持っていないので(夫は運転免許を持っていないし、私は運転が嫌いなペーパードライバー)、清里のようなこぢんまりとした規模だと、車なしでも十分楽しめます。ペンション宿泊も楽しく、のんびりできて良かったです。

前回書いたように、今回は夕・朝食が付いていました。着いた日の夕食はカメラを部屋に置いて来てしまったので撮影せず。野菜サラダ・コンソメスープに始まって、メインはカレイのポワレとポーク・ジャンジャー、デザートはレモンのシャーベットと言うコース料理でした。もちろん、温かい飲み物も付いていました。
何よりボリュームたっぷりだし、カレイのポワレは口の中で蕩けるように柔らかく、甘みがありました。ポーク・ジャンジャーは少し厚め(とんかつ大)の豚ロースを濃いめの味付けでソテー。これもまた美味でした。そして、しつこいようですが、野菜がおいしい。スーパーで買う野菜とは鮮度が違うのか?或いは清里の自然の美しさに私が酔ってしまっているのか(笑)、出される野菜すべてがそれぞれの存在感を主張しているようで、心から「おいしい!」と思えるのです。盛りつけも丁寧で、そういった細やかさもおいしさに一役買っているのかもしれません

出発日の朝食は、コーンスープ、りんごジュースと、一皿の上に野菜サラダ、きのこと野菜のオムレツ、ウィンナーソーセージ等が乗っていました。写真には出ていませんが、食パンのトーストが半斤はあろうかという厚切りで、それをバターとイチゴジャムで食べました。朝からまたお腹いっぱいです


大きな手荷物は駅のコインロッカーに預け、さて、これからどうしよう…とにかく今回はあくせく観光地巡りはしたくない。できればどこか一カ所でのんびりと過ごしたい。
と言うことで、選んだ場所はサンメドウズ 清里ハイランドパーク 。山頂の標高1900mと、清里で一番高い場所にあるリゾート施設です。駅から歩いていける距離ではないので、清里の観光施設をふたつのルートで循環する清里ピクニックバスを利用することにしました。1回乗車大人300円、1日周遊券が600円なので、1日周遊券を購入し、駅前から乗車しました。ピクニックバスは観光地によくあるタイプの、木材を基調としたレトロな外観の小型バス。すぐに乗客でいっぱいになってしまいます。満員の乗客を乗せた小さなバスは、山間の起伏に富んだ舗装路を蛇行しながら進んで行きます。20分ほどで清里ハイランドパークへ到着。そこから山頂を目指し、リフトに乗りました。





高山植物は生花店で買える花々のような派手さ、ボリューム感はありませんが、短い山の夏に彩りを添える楚々とした美しさがありますね。山頂では雨が降っていたのに、下界に降りると雲間に青空も見えます。リフトはセット券を購入していたので、フラワーリフトにも乗り、眼下に草花を見下ろしながら、しばしの空中散歩を楽しみました。
今回はあいにくの天気で頂上から早々と切り上げてしまいました。ピクニックバスの本数が少なく、今度のバスを逃すと2時間はハイランドパークに留まらなければなりません。下界に降りてしまったので、特に何か見物があるわけでもないここで、2時間を過ごすのは辛いものがあります。そこで、駅前の観光案内所で入手した情報誌で目に止まった黒井健絵本ハウス に行ってみることにしました。こういう時に、1日周遊券は助かりますね。予想外の出費(まあ、たいしたことのない金額ですが)を気にすることなくバスを利用できます。
↓清里の道を30分以上テクテク歩く。歩いているのは私達家族だけでした(笑)。我が家は旅先ではとにかく歩きます。国内外を問わず。地元民の視点で旅先を眺めてみたいからです。その大地を自らの足でしっかり踏みしめてみたいからです。イスタンブールでは新市街と旧市街を6時間歩き通し、ヨルダンのペトラ遺跡では、通常観光客は馬車やラクダを利用するところを、入り口から40分かけて奥の遺跡まで歩きました。なかなか大変な面もありますが、それだけ印象も強烈に残ります。

次のバス停では5人の人が待っていました。その中に杖をついた80代以上とおぼしき年配のご夫婦も。ここで何人か降りたので、バス亭で待っていた人はどうにか全員乗れたと思うのですが、一緒に待っていた女性に乗車を勧められても、老夫婦は「立っては乗れない」と言われて、結局乗られませんでした。しかし、次のバス停が有名な観光地の青泉寮だったようで、ここで多くの人が降りたので、老夫婦も少し我慢をすれば座れたのにと残念に思いました。
こうした時に機転をきかせて「バス停ひとつ分我慢すれば良いですよ」と乗車を促すことができたら良かったのでしょうが、利用者は殆どが観光客でバスルートに精通しているわけではないし、バスに乗車していた人々全員がことの経緯を見ていたわけではないので、こういう事態になってしまったのかもしれません。
ここで考えたいのは、年配者の旅行についてです。心構えと言ったらおこがましいかもしれませんが、身体の一部が不自由であったり、体調が万全でない(つい最近も観光地に架かる橋が大雨で崩落して、観光地に孤立した人工透析患者がヘリコプターで救助されたケースがありました)場合、自分が訪れる観光地について十分なリサーチが必要なのではないでしょうか?自分で調べられないのなら、他の誰かに調べて貰うなどして、実際に自分が訪れた場合に不便や危険なことはないのか予め知ることが大切なのではないか?そして対処方法を考えておく。お金で済む問題なら、その為の出費も惜しまない覚悟で。これからますます高齢化社会が進展し、老齢の旅行者も増える一方でしょう。先日も北海道の山で遭難事故が発生したことから明白なように、老齢者自身もリスク管理に自ら気を配る必要があるのかもしれません。往時の体力が失われた分、無理は禁物なのです。




さて、絵本ハウスの近くにある飲食店で昼食をとろうと思ったのですが、いかんせん値段が我が家にとってはベラボーに高い(←あくまでも我が家基準)。我が家は、よほどのことがない限り、昼食にひとり2000円は使いません。ここで食べるのは諦めて、元来た道を歩いて戻ることにしました。絵本ハウスへと向かう車中からおいしそうな「ほうとう」の店の看板を見かけたからです。しかし、雲間から青空も見える下界を、気温の高い昼過ぎに歩くのは大変でした。


1泊2日の短い旅程で、特にアクティブに動き回ったわけでもないのに、それなりに満足の行く旅行が出来たと思います。清里なら都心からも比較的近いですし、アクセスも便利なので、気軽に行けるのが良いですね。特に我が家は自家用車を持っていないので(夫は運転免許を持っていないし、私は運転が嫌いなペーパードライバー)、清里のようなこぢんまりとした規模だと、車なしでも十分楽しめます。ペンション宿泊も楽しく、のんびりできて良かったです。