はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

『Dear ダニー 君へのうた』(原題:DANNY COLLINS、米、2014)

2015年09月22日 | 映画(今年公開の映画を中心に)
 今日は溜まったポイントを使って、チネチッタで再び映画鑑賞。



 本作は、強欲な人間の手によって、本来受け取るべき主人公ダニー・コリンズのもとに届かなかった40年前のジョン・レノンからの手紙が、ダニーにもたらした人生の転機(奇跡?)を描く。

 実際にジョン・レノンからの手紙が30年数年ぶりにフォーク歌手のもとに届いたと言う実話から想を得て、ダニー・コリンズと言う架空の人物を主人公に創り上げた物語らしいが、実にハート・ウォーミングな仕上がりとなっている。


 何より主人公ダニーを演じるアル・パチーノが良い。老境に差し掛かった大スター、ダニー・コリンズを、老醜さえ魅力に変えて、時に軽妙に、時に哀愁を湛えて演じている。年齢を重ね、その顔に幾重にも皺を刻みながら、第一線で輝き続けるアル・パチーノ。彼自身が、その名を映画史に残すであろう大スターである。何歳になってもその類稀なる演技力と存在感で、映画ファンを楽しませて欲しい。



 ダニー・コリンズ。自らのエンブレム"DC"を刻んだ豪邸やプライベートジェットにメルセデス・ベンツ社製高級スポーツカー、そして彼に群がる有象無象の取り巻き連。その華やかなスターとしての地位を得た代償に、彼が失ったものは少なくない。

 そのことをスターとして甘んじて受け入れていたはずのダニーだが、40年の時を経て彼のもとに届いたレノンの手紙が、彼が長らくその心の奥底に封印していたはずの、ひとりの人間としての情を呼び覚ますのだ。

 ここからの展開が面白い(展開が甘いと言う意見もあるかもしれないが、あくまでもレノンの手紙がもたらした"ミラクル"だから。まあ、テレビドラマ「LAW & ORDER」とは違うからねwink」)

 ダニーは理由(わけ)あって住まいのあるLAから、ボストンバッグひとつだけを携え(でも、まあ、プライベート・ジェットで・笑)、東部のニュー・ジャージーへと旅立つ。そこでもダニーは相変わらずその型破りなスターとしての振る舞いで、スターの扱いには不慣れな地元の人々を振り回すのだが、彼の芯にある人としての優しさを知ると、誰もが彼のファンになってしまう。

 ダニーをニュー・ジャージーへと向かわせたのは果たして何なのか?彼はそこで何をしようとしているのか?これは映画を見てのお楽しみ。


 本作は、主人公ダニーの心情を言い当てたかのようなレノンの曲が、さまざまなシーンで効果的に使われており、レノンファンには堪らない作品だろう(実際レノンファンの私と夫が言うのだから間違いない・笑)

 また、台詞(日本語字幕と言うより英語)の一言一言がウィットとユーモアに富んでいて、印象的な言い回し、しゃれっ気たっぷりな会話のオチが楽しく、それに合わせての俳優陣の仕草もなんとも言えずチャーミングで、思わず真似したくなった。

 私が大好きな知的な演技派女優、アネット・ベニングも出演して、アル・パチーノと軽妙な掛け合いを見せているのが、これまた嬉しい!

 大人がしっぽり楽しめる映画です。

 監督・脚本:ダン・フォーゲルマン


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