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テレビドラマ『第一容疑者』が抜群に面白い!

2016年03月12日 | 映画(今年公開の映画を中心に)


 最近、BSイマジカで放映中の『第一容疑者(原題:Prime Suspect)』を見ていますが、これが抜群に面白い!個人的には、これまで数多見たサスペンスドラマの中で、ベスト3に入る作品でしょう。

 本作は、今や英国を代表する名女優として知られるヘレン・ミレンが46~61歳の頃に主演を務めた、警察が舞台のテレビドラマ・シリーズ。

 完全なる男社会・階級社会である警察組織の中で、様々な困難に立ち向かい、次々と難事件を解決してゆく女性警部(のちに警視に昇格)ジェーン・テニスンの活躍を描いています。

 女性でキャリア志向ゆえに、それを快く思わない勢力から何度も理不尽な圧力と妨害に遭うテニスン。それでも、他の追随を許さない鋭い洞察力と、周囲との軋轢を物ともしない鋼の意志で、事件を解決へと導くその姿は、何とも小気味よく魅力的。一方、プライベートでは艶めかしい女としての一面も見せ、キャリアと出産の二者択一に悩む等、テニスンの生身の人間としての姿も描かれ、人物像に厚みがあります。

 そのヒロイン、テニスンを中年期に入ったヘレン・ミレンが卓越した技量で演じて、本当に見応えがあります。本作を通じて私はヘレン・ミレンの真の実力を知り、熱烈なファンになりました(調べてみたら、昨年<2015年>は彼女にとって、kirakira2「女優業50周年」kirakira2の記念すべき年だったのですね。また、彼女がロシア系英国人<父親がロシアからの亡命貴族>と言うのにも驚きましたbikkuri。ご主人は、『愛と青春の旅立ち』や『ホワイト・ナイツ』を手掛けたテイラー・ハックフォード監督)

 さらに脚本の徹底してリアリズムに拘った描写(実際、警察学校の教材としても採用されたそうです)と緻密な物語の構成が素晴らしく、外部からは窺い知れない警察内部の実態に驚きつつ、全く先の読めない息詰まる展開に最後まで片時も目が離せません。まさに脚本の力技にぐいぐい引っ張られる感じ。ドラマの肝は脚本であると、改めて思わされる良質なドラマです。

 本作の内容の濃密さに比べたら、日本の2時間ドラマなんてスカスカで薄っぺらいですね。一体何が、ここまでのレベルの違いを生むのでしょう?

 ところで、捜査するにあたり、被害者についての特徴を述べる際に、いちいち「上流」「中流」と階級の属性にまで言及するところに、徹底した階級社会である英国の文化的特性を感じました。これこそが正に「異文化理解の入り口」としての海外ドラマの面白さですねwink

 もしBSイマジカをご覧になれる環境にあるならば、是非、本作をご覧になってみてください。その完成度の高さに驚かれることと思います。そして、後年、本作の影響を受けたであろう作品の名前が次々と目に浮かぶはずです(米ドラマ『クローサー』『L&O 犯罪心理捜査班』等)

 以下のリンクで、放映スケジュールが分かります。リンク先にジャンプした後、放送スケジュールの「全て」を選択すると、4月11日(月)以降の再放送スケジュールを確認することもできます。

chainBSイマジカ・チャンネル『第一容疑者』放送スケジュール

【2016.03.14 追記】

 「第一容疑者」に関する以下のブログ記事がとても面白かったです。凄く読みが深くて、文章も巧いなあと思ったら、英国在住のプロの日本人ライターさんなんですね。ブレイディみかこさんという方です。

 特に、記事が書かれたのがヘレン・ミレンが『クィーン』で主演女優賞を総なめにした時期で、実在の人物を演じた『クィーン』での演技よりも、ジェーン・テニスンと言う架空の人物に実在感を与えた『第一容疑者』での演技の方が、彼女の「北島マヤ」ばりの役作りの巧みさでその実力を如実に示している、彼女の代表作は『クィーン』ではなく『第一容疑者』である、と指摘している点が印象的でした。

chain「ヘレン・ミレンはPrime Suspect(邦題:第一容疑者)」(THE BRADY BLOG)


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