はなこのアンテナ@無知の知

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ロンドンからの日帰り旅~コッツウォルズ(5)旅の楽しみ

2006年04月12日 | 英国旅行(2010年春&2015初秋)



旅行の楽しみ

旅行の楽しみは景色を愛でたり、おいしい物を食べたり、
素敵なお土産を買うだけではないのは言うまでもありません。
旅先での人との出会いもまた、旅に彩りを添えてくれます。
旅の途中のほんのひととき、互いの時間が交差する。こんな
偶然は、そうあるものではありません。
だからこそ、その出会いは大切にしたいし、短い間でも
楽しく意味のある交わりを持ちたいものです。


学びたいと思った時が、学びの時

今回のバスツアーでも印象深い出会いがありました。

その日限りのツアーとあってか、ツアーが始まって、参加者
同士の自己紹介があるわけでもなく、バスの座席も自分の
好きなように適当に座ると、すぐに出発でした。
大型バスの座席が半分埋まるほどでしたでしょうか?
ツアー参加者はせいぜい25人前後だったと思います。
日英のバイリンガルツアーでしたが、日本人、非日本人の
割合は半々と言ったところ。前者は男女混合のシニアの
グループや夫婦連れ、私達のような親子連れ、一人旅の女性
とバラエティに富んだ構成だったのに対し、後者はシニアの
カップルの参加が多かったように思います。

3月上旬、ヨーロッパには大学卒業旅行の学生が大挙訪れ、
春休みに入ると私達のような母子連れの姿が目立つらしい。
というのも、春休みはツアー代金が夏の半額以下、
季節も厳しい寒さが一段落し、しかも夏ほどの混雑もなく、
ヨーロッパを訪れるにはちょうど良い時期とも言えるのです。
しかし日本の一般企業は年度末で、父親は仕事が休みづらい
時期。そのため、父親抜きの母子旅が多くなるわけです。
今回バスツアーでご一緒した、パリでの滞在を終えて
ロンドンに来たばかりだと言う母娘も、パリで多くの日本人
母子を見かけたと言っていました(と言っても、日本全体
から見れば、ごく一部というのは重々承知)。

たまたまバスで通路を挟んで隣り合った一人旅の女性と、
ツアーの後半から行動を共にすることになりました。
きっかけは例のパブランチで同じテーブルを囲んだことから。
そのテーブルは4人掛けだったので、私達の他にガイドの
シーラさんも。その時にシーラさんの日本駐在経験の話を
お聞きしたのでした。

そこで興味深かったのは、彼女が親しくなった日本人を自宅
に招いてローストビーフとヨークシャー・プティングを振る
舞った際、ヨークシャー・プディングに隠し味として、
醤油を加えたというエピソード。
「日本人には、この味が受けたのよ」といたずらっぽい笑み
を浮かべて語る姿に、彼女の賢さや適応能力の高さが窺い
知れました。こういう人は進取に富んだ気性と社交性で、
どこに行ってもうまくやって行けるものなのでしょう。
世界中から集まるツアー客を相手にするガイドの仕事も、
好奇心旺盛な彼女にはピッタリなのかもしれません。


イギリス名物ローストビーフと付け合わせのヨークシャー
プディング(参考写真)。私達に供されたのは見るも無惨な
焦げ焦げヨークシャー・プディングでしたが…シーラさんも
「これは失敗ね。本当のヨークシャー・プディングはこんな
ものではないわ」と眉をひそめていました。


さてひとり旅の女性。話を聞けば、やはり卒業旅行だそう。
この4月から都内の病院で看護師として働く予定と言って
おられたから、今頃忙しい日々をお過ごしのことでしょう。
その彼女、我が息子をまじまじと見て「この頃の私は勉強に
あまり身が入らなくて」と笑う。「楽しい高校生活を過ごし、
何となく大学に進んだの。それで就職したのだけど…」。
結局社会人になって初めて、自分の生き方について真剣に
考えたのだそう。そして一生働ける仕事として改めて看護師
の道を選び、受験勉強を経て看護学校に入学し、今春卒業を
果たしたと言うのです。

私自身、高校を卒業後1年のOL生活を経て大学に進学。
さらに美術史を学ぶべく、35才の時に美大へ社会人入学
した経験があります。最近は身近にも社会人生活を経て、
大学や大学院や専門学校で学び直す人が多くいて、
時代の変化を感じます。
人生80年の時代。18才で人生が決まるわけではない。
その後の長い人生を考えたら、何度でも学び直す機会が
あって当然ではないか?人それぞれ成長の速度が違うように
学ぶべき時も違うのではないか?それこそ本人が学ぶことの
必要性を自覚した時、心から学びたいと思った時が学び時
なのではないか?と一旦社会に出た後、学校で学び直した
人々の生き生きとした表情、社会での活躍を見るにつけ、
つくづく思うのです。

くだんの彼女、ツアーが終了して別れる際に、こんな言葉を
残してくれました。
「親切にしてくださいまして、ありがとうございました」
こちらこそ、楽しいひとときと貴重なお話をありがとう
ございました。


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