
(C)2006 BLACK DIAMONDS
この作品は、福島県いわき市にあるスパリゾート・
ハワイアンズ(元常磐ハワイアンセンター)の
誕生秘話を映画化したもの。
私は一度だけ、はとバスの日帰りツアーで
スパリゾート・ハワイアンズに行ったことはありますが、
その誕生の陰に、このような物語が存在していたとは
夢にも思いませんでした。
昨年も昭和30年代を舞台にした映画が、
多くの人々のノスタルジーをかきたて
大ヒットを飛ばしましたが、
今年もまたそれに続く、昭和の時代(庶民史?)を描いた
作品が続々と作られています。
『佐賀のがばいばあちゃん』『メトロに乗って』…
この作品もその系譜に連なるもの?
(とは言え、ズブの素人が努力と苦難の末にプロになる
成功物語、ひとりの人間の成長物語、と言えば、
これまでにも繰り返し映画で取り上げられて来た
普遍的なテーマではあります)
どうして、このような映画が作られるのか?
どうして、このような映画がウケるのか?
考えてみると、
今の時代に欠けているもの、
今の時代が、人々が、何を求めているのか、
(或いは、逆に常に人々が何を求めているのか?)
見えてくるのかもしれません。

劇中、最も印象に残った言葉は(正確な引用ではありませんが)
「娘達の夢を壊したくない」
目の前の困難を乗り越えようとするひたむきさが、
周囲の心を動かして行く。
昭和40年代、炭坑町にもリストラの嵐が吹き荒れていました。
かつては「黒いダイヤ」ともてはやされた石炭産業の斜陽。
産業構造の変化に伴い、花形産業の顔ぶれは常に変化します。
特に最近はその変化サイクルが早くなっているようにも見える。

前途が暗い産業(=今)にしがみつくしかない中高年者と

不安を内に抱えながらも勇気を持って
新たな未来への第一歩を踏み出す若者たち。
人間の歴史はその繰り返しだったのかもしれないなあ…
この「フラガール」とその周りの人々の物語は、
けっして他人事ではなくて、
私達の物語でもあるのでしょう。
この作品の製作に関わったすべての人々の努力を称え、
この作品を世に送り出してくれたことに感謝!
(それにしてもシネカノンはいい仕事をしているなあ)
参考リンク:ポリネシアンショーのルーツ
【追記】
映画の全編に渡って素晴らしい音楽を提供してくれている
日系米国人のジェイク・シマブクロ氏。
彼のルーツである沖縄移民一世のハワイにおける苦闘も
心に留めたい。
現在の私達の豊かな生活は、過去のあらゆる人々の
血の滲むような努力と犠牲の上に成り立っているのです。
炭坑町の描写を見て、つくづくとそのことを思いました。