
映画好き雑食系としてはインド映画も結構見ています。「スーパー30」と言うインド映画は、今年80本見た中で5指に入るほど気に入っています。
インドは貧富の差が激烈な大国で知られていますね。地方豪族マハラジャ(サンスクリット語で“偉大な領主”の意)の財力はつとに有名。
「道を挟んで片側には豪邸が、もう片側にはスラム街が広がっている」とインドを旅した時の衝撃を語った知人の言葉が忘れられません。
個人的にインドを訪ねたことはありませんが、新婚旅行の時に南周りでヨーロッパに向かう途中、乗務員の交代でインドのデリー空港にトランジットした経験はあります。
それからして、当時インドに関して無知だった私には衝撃的な体験でした。
まず、辺り一面にお香とスパイスの匂いが立ち込め、なぜか半裸の長髪に長い髭を蓄えた仙人のような人がベンチに横たわっていました。
さらに飛行機に戻る時に検査官の女性にポケットの中身を出せと言われ、言われるままに取り出したビスケットを取り上げられました。ニヤニヤしながら、私の目の前でビスケットを口にした女性検査官の顔が数十年経った今も忘れられません。
さらに驚いたのが、機内に戻ると枕と毛布がなくなっていました。しかも私の物だけでなく結構な数の枕と毛布が!私が交代したばかりの乗務員に枕と毛布がなくなっていると訴えると、乗務員(イタリア人)は慣れた手付きで、近くの座席にあった枕と毛布を私に手渡しました。そのテキトーな対応にまたビックリ!
推察するに、大量の枕と毛布は機内に清掃に入った現地のスタッフによってゴミと共に持ち去られたのでしょう。
そして、インド経由便ではそれは毎度のことなので乗務員も慣れていて、乗客に何か言われたら対応するだけなのかと。
とまれ、このエピソードだけで、私のインド人に対するイメージは最悪とは行かないまでも、“別次元の人々”だと言う認識を持つに至りました。
映画に話を戻すと、「スーパー30」は実話に基づく作品です。
主人公は数学でケンブリッジ大学への入学を許可されるほどの秀才ながら、貧しさ故に留学が叶わず、現地の富裕層の師弟に有名大学への進学指導を行う予備校講師となります。
しかし、後に予備校講師で得た私財を投じて無料の全寮制私塾を立ち上げ、自身と似た境遇の貧しい子ども達を熱血指導し、有名理系大学への進学を手助けすると言う話。
どこの世界にも既得権を守ろうと、新たな勢力を脅威に感じて叩き潰そうと画策する輩はいます。故に主人公の私塾も、自身も、執拗な攻撃を受けます。その辺りの描写は映画ならではの脚色もあるのでしょうが、見ていて憤りを感じるほどの悪辣さ。
主人公の勇気あるチャレンジが成功するか否かは、映画を見てのお楽しみ。映画館で見逃した方は、今後、機会があれば、是非ご覧になってみてください。
理不尽が蔓延る世界に一条の光が差すのを目撃して、胸が熱くなること間違いなしです。
そして冒頭タイトルの映画「RRR」は、英国からの独立の機運が高まりつつあった時代のインドの話。
当時の英国の統治は人権無視の傲慢さを極め、地元民の怒りは爆発寸前でした。そこで登場したのが2人のヒーロー。1人は文武に優れ、もう1人は俊敏で怪力。
偶然の出会いから2人は友情を育むのですが、そこから物語は二転三転(四転、五転?😅) して、2人の絆は何度となく危機を迎えます。果たして2人は危機を乗り越えられるのか?
インド映画史上最高の制作費7,200万$を掛けただけあって、息もつかせぬ見せ場の連続で3時間と言う長尺も忘れるほど。アクションもダンスも、そして物語の展開もいやはや凄すぎて、もう笑うしかありません🤣
インド映画の怒涛の勢いに圧倒されるばかりです。
劇中で、インド人の命は英国製弾丸ほどの価値もないと言い放つ英国人提督。インド人の尊厳を蹂躙する象徴的な台詞です。
ところが、今、その旧宗主国英国で、インド系英国人の首相が誕生しようとしています。インドの人々はその歴史的パラドックスをどのように見つめているのでしょうか?