
サンドラ(カラー)とキアヌ(モノクロ)の色の違いは、
違う時空に存在する二人を意味しているんですね。なるほど~
AOLの試写会抽選に当選したので見てきました。
女性限定の試写会だったのですが、
上演開始前のあの騒々しさにはびっくりですね。
おしゃべりが女性にとっては最高のストレス解消、
というのは言わずもがなですが…
さすがに映画が始まったら静かになりました(ホッ)。
本作は、韓国映画『イルマーレ(時越愛)』の
(日本では今から5年前の2001年9月に公開)
ハリウッド版リメイクですが、見どころとしてはやっぱり
『スピード』以来12年ぶりの共演となるキアヌ・リーブスと
サンドラ・ブロックが、どんな恋愛模様を描いてくれるか、
というところでしょうか?
(リメイクということで、どうしてもオリジナルを見た、
という前提でこの作品を見てしまう)
リメイクにあたって舞台は韓国の海辺からアメリカのシカゴへ、
主演二人の年齢もオリジナルよりは高め(35歳位か?)で、
ヒロインの職業も声優の卵から医師へと設定変更があり、
オリジナルよりシットリとした大人の恋を描いた印象です。
面白いなと思ったのは、主人公の男性が建築家である
というオリジナルの設定をそのまま生かしつつ
さらに広がりを持たせた点。

前面ガラス張りの家は外気の影響をまともに受けそうな気がするのですが…
強風で知られるシカゴですよ。外からの視線も気になります(笑)。
舞台となったシカゴは1885年に世界初の摩天楼が建った
場所であり、フランク・L・ライトら日本でも知られた
世界的建築家が活躍した建築の街でもあります。
この作品は”大人の男女の恋”もさることながら、
”父と子の確執”ももうひとつのテーマであり、
その和解の鍵となる水辺の家は重要なモチーフと言える。
高名な建築家の父とその父に反発する若手建築家の主人公の
会話の中にも、建築家に関するエピソードや、
シカゴの街に点在する建築物の名前が度々登場し、
リメイク化にあたって、シカゴという街を舞台に選んだ
ハリウッドの深い意図が見てとれます。
ハリウッドって説明上手なんですよね。
移民の多い自国民や世界をターゲットに作っているので、
誰にでも分かり易いように心がけている。
それがマイナスの方向に作用すると、
説明過多が興ざめの原因にもなり、
余韻の残る叙情的な作品への苦手意識にも繋がる。
ヒロインの設定が医師に変わったことも、
本作では重要なポイントとなっており、何の不自然さもない。
視覚的にも、近代的な高層ビル群と伝統建築の対照、
人工的な都市と自然豊かなミシガン湖畔の対照、
そして四季の移ろいなど、深めの色調の美しい映像が多く、
オリジナルより洗練された印象を覚えます。
そこがまあオリジナルとの差別化にあたっては
重要なポイントとなるわけで、ハリウッドの巧さを感じます。

相変わらず女性ファンのハートを鷲掴みのキアヌ・リーブス
自宅前の小さな郵便受け(ポスト)が、
2年の時空を隔てた二人の男女を結ぶ。
荒唐無稽な設定は、一種のファンタジーとも言えますが、
美しい舞台に魅力的なコンビを主演に据えて、
この作品は特に女性ファンに受けるんでしょうね。
”ただそれだけの作品”と言えなくもないのですが…
(最近、”作品が自分に何を残すか”というのが気になるもので)、
デート・ムービーには最適(無難?)な1本だと思います。
邦題に関しては、オリジナル版が国際映画祭に出品される際に、
海外向けにイタリア語の"Il Mare"
(イタリア語では「海」を意味する。Ilは定冠詞)
が当てられたのを、そのまま使用しているのでしょうか?
それからして、韓国のオリジナル版を見た観客の動員も
見込んでいる(期待している?)のかなと思いました。