昭和・私の記憶

途切れることのない吾想い 吾昭和の記憶を物語る
 

17才のこの胸に 「 友ガキ・舟木との別れ 」

2024年04月13日 18時39分09秒 | 4 力みちてり 1970年~

17才のこの胸に 「 二人で唄った刑事君 」
の、エピローグ である

因果

ツジ病院で見舞した時、彼の顔を見た。
それは、3年前の祖母と同じ顔をしていた。  (  ・・・リンク→「 おばあさん どうやった? 」  )
「 嗚呼、死相が出ている。 もう、助からないだろう 」
・・・・その時、そう想った。
病院は、学校の傍に在る。
にも拘わらず、私はその後 見舞に行かなかった
哀しい想いをするのが 堪らなかったのだ。

見舞から一週間、4月14日 ( 金 )
友ガキ・舟木は力尽きた。
『 金縛りの夢 』 ・・・から、二週間。 たった二週間である。
まさに、あっという間の出来事であった。
こんなことがあって 堪るものか。
けれど、 こんなことに為ってしまった。

お通夜の日
4月16日 ( 日 )
お通夜の日、昼間に一人訪ねた私。
元気な躰で戻る事 叶わなかった彼が眠っていた。
もう、目覚めることは無い。 永遠の眠りである。
顔に白い布・打ち覆いが掛っていた。
彼の枕元にはお母さんが坐っていた。
「  伸次は、『 帰って、ハナダと 囲碁 するんや 』 と、そう云ってました。
 『  そや伸次、元気になって家に帰ろうな。 帰って ハナダ君と 囲碁しような 』
そう・・・声を掛けて励ましていたんですよ 」 ・・・と、涙ながらに話した。
然し、彼の そんな願いは叶わなかった。
今こうして、冷たい躰になって私の前で眠っている。
私は、打ち覆いをとって彼の顔を見た。
小さくなった顔があった。
それは 別人の顔であった。
どれほど苦しい想いをしたのであらうや。
見なければよかった。・・・そう想った。
( 私は 茲から、生涯打ち覆いはとらないと 肝に銘じた )

告別式の日
17日 ( 月 )
午後、平野と共に教室を移動中、
運動場で担任の木全先生に呼び止められた。
「 オイ 花田、君のお母さんから電話があったぞ。
友達の舟木君の葬式が始まるから帰って来る様に・・と、そう云ってたぞ。
どうするか。帰るか 」
平野は、舟木を知っている。
小豆島の海で私共々過ごした仲である。   (  ・・・リンク→「 小豆島グリーンランド キャンプ場 」 )  ・・・
こん度の悲しい結末も知らせていた。
「 帰りません 」
私はそう、答えた。
ちょうどその頃、
葬儀に出た母は、私が現れるのを 「 今か 未だか 」 と 首を長くして待っていたのである。
然し 私は、葬儀 には出なかった

私は 悲しい場に身を置きたくなかった。
別れを告げたくなかったのである。
然しそれは、勝手な理由をつけて逃げたに過ぎない。
ちゃんと正面から向き合うべきであったのだ。 ・・・ちゃんと。
それが友ガキ ・舟木 に、私が取るべき 洵 だったのである。
然し、私は逃げた。 逃げてしまった。

四十九日
葬式が終わって数日経って、
私は線香をあげようと、仏壇前に坐った。
彼のお母さんが傍に坐って私を見ている。
仏壇には、額に入った顔写真があった。
こういった場合、テレビドラマなら写真の顔が微笑んだりするのであろうや ・・・。
そんなことを考えた。
すると どうだろう、写真の顔が笑いだしたのだ。
それだけではない。
写真の顔 が 姿に変わり、私に向かって歩いて来る。
その瞬間、冷たいものを感じた私。
声なき声をあげた。
「 ウワッー 」

そこで 覚醒したのである。

怖ろしい夢 を見た。・・・と、そう想った。

彼は夢の中に毎晩 現れた。
「 ハナダーッ !! 」
・・・そう言って 階段を上って来る。

夢は、一カ月半続いた。
眠れない・・・


『 逃げた 』 ・・・という 負い目、
彼に対して 『 すまない 』 との悔い、
そんな私の想いが、夢を 拵えるのであらう。

友ガキ・舟木との別れ
毛馬の洗堰に
二人居た。

病気になってしまう。
お前 たのむから、 もう 出んといてくれ。

俺も お前みたいに死んでしまうぞ。


私は、
夢の中で、
そう言った。

友ガキ・舟木が
頷いたか否かは判らない。
けれども、彼は
次の夜から
夢の中に現れなくなった。
ピタッ と。

如何 理解せん・・・

心霊的な所に逃げる気は無い。
自責の念があらばこそ、夢を見たのだ。
夢は、吾 心の現れ・・なのである。
然し、斯くも長期に亘って自責の念に苛まれようとは。
私は、猛烈に反省した。
私は、
此を教訓に
自責の念無きよう
「 洵を盡そう  」
そう、肝に銘じた。
しかし、
死んだ者に、
そんな反省の念・・・届くものか。


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