特に何も思っていなかった人に
何度となく優しくされたり、気遣ってもらったり、
「あなたのそう言う所が好きなんだよな。」
なんて好意を伝えられると、
その相手に対して好意を持ってしまう。
まあ、当たり前と言えば当たり前のことですが
心理学的に言うと返報性の法則とか言うようで、
仲が良いけれどもそれ以上でない相手から
仕事や恋愛の悩みを打ち明けられて
何度か相談に乗っている内に
その相手のことが気になる存在に
なってしまったと言う話も良く聞きます。
まあ、これも当然と言えば当然で、
相談を受けた人は、その後どうなったのかを知りたいと思うし
心配もしますし、
他人を助けてあげたいという気持ちや
自分が必要とされたいと言う気持ちが刺激され、
その刺激を得ようとして、その相手を求めてしまいます。
このようなことを心理学的に言うと、
アンダードッグ効果というそうです。
また、意見の違いでよく議論となる相手に対して
最初は、「あいつとはどうも気が合わない。」と思っていたのに
何かのきっかけ一つで
とても仲良くなることがあります。
これは、表面上の対立、対決が起きると
反目し合う状態は心地良いものでありません。
そのような状態を解消し安定したいと言う気持ちが
通常よりも強く働くことが原因です。
このような気持ちの動きは
心理的なホメオスタシスの働きで、
これは、
心の中にあるヤジロベエのようなもので
左に傾き過ぎると右に戻ろうとする力が働き、
右に傾き過ぎると左に戻ろうとする力が働きます。
以前記述した、人から期待されると
その期待に応えようとする気持ちが働くという
ピグマリオン効果もそうですが、
これらは、何かの心理的刺激を無視出来ず、
バランスを取ろうとする気持ちの動きと
言えるかもしれません。
だからと言って、
「ほら、こんなに親切にしているんだから、優しくしているのだから
もういい加減すきになれよ。」とか、
「まだ行為を持ってくれてなさそうなので
もっと頼ってみよう、もっと苦しみを打ち明けてみよう、
もっと助けさせてみよう。」的に
ぶんぶんと振り回してしまうと逆の結果となりかねません。
その相手の人と仲良くなりたい、
この人と仲良くなっても良いという気持ちの種を
踏みつぶしてしまわないように
程良い加減で行ってこそ効果があります。
ホメオスタシスの働きとはちょっと違うもので、
ストックホルム症候群と言われるものがあります。
これは、犯罪被害者が犯人と一定の期間、
時間や場所を共有することで
犯罪者に対して同情や好意等の
特別な依存的感情を持ってしまうことですが、
このような自分の命が危険にさらされるという
特異な状況に限らず、
立派なヒモは、そうではありませんが、
(立派なヒモと言う言い方もどうかと思いますが。)
程度の低いヒモは、飴と鞭で
女性を同じような精神状態に追い込みますし、
また、組織の中で立場が強い男性が、
拒否出来ない、逃げられない立場の弱い女性に対して
徹底的に否定し、叱りつけ、怒鳴り、攻撃を繰り返すことで
その女性の自己防衛を崩します。
崩れた女性は何かを掴もうとします。
その瞬間、それまで攻撃していた本人が
一転、その女性を認めたり、
君はやれると信じていたと言った感じで
褒めたり優しくしたりして救いの手を差し伸べると
その男性を掴んでしまいます。
その男性に認められ、褒められなければ
あの強烈に嫌な想いをしてしまう。
だから、その男性に認められたい、褒められたい思いが
強烈に働くことで好意に変わってしまいます。
その二人の関係は上手く行くことがあります。
そして、結果が全てだと言う人もいます。
しかし、このような嫌いの裏返しの好きではなく、
このような恐怖の裏返しの好意を
意図的に得ようとする行為は、結果がどうであれ
私は、どうしても好きになれません。
催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計