心の扉 神戸カウンセリング花時計

心理療法や催眠療法、ストレス解消や悩み等メンタルに関するもの、そして日常の出来事を自由気ままに掲載します。

⑱主客転倒

2018年10月10日 | 催眠誘導

脳に器質的な問題が無い限り、

誰しもが施療に役立つレベルの催眠状態に

至る能力を有しています。


なのですが、以前にも書かせて頂いた

催眠状態に至ることを妨げる三大要因によって

初回の催眠誘導において、

被験者が十分な催眠状態に

到達しないことがあります。


そのような場合に、次回以降の施療を

被験者を催眠に誘導することを優先するのも

一つの選択としてあります。


三大要因を

誘導者の戦略的な取り組みが功を奏したり、

幾度か誘導を受けることで

被験者の被暗示性が亢進したり、

被験者の内側で自然と変化が起きたりすると、

十分な催眠状態に到達します。

 

被験者からの依頼が、

催眠を一度体験してみたいであったなら

催眠に誘導することに主眼を置いた

取り組みを行うのは当然なのですが、

 

私の所に訪れて頂く多くの方は、

心の問題を改善、解決することが目的であり、

そのための手段として

催眠を希望される方が殆どです。


催眠は、施療において有効な手段なのですが、

催眠に入りさえすれば全てが解決する訳では無く、

カウンセリングや心理療法の効果を

より高めてくれる優れた道具でしかありません。


数回の施療機会で被験者が十分な催眠体験を

得られることが約束されていたとしたなら

毎回の施療の機会に催眠誘導に主眼をおいて

まずは催眠に入りましょうで良いとは思うのですが、

それは約束されていません。

 

誘導者に後2,3回の誘導でとの感触があっても

それは100%のものではないので、

二回目の誘導で到達するかもしれませんし、

10回以上の誘導を要するかもしれません。


誘導回数が5回以上ともなると、

手段だったはずの催眠が、

まるで目的になっているかのように見えてきます。


なので、私の場合、

被験者の反応の程度にもよるのですが、

催眠誘導は一旦、横に置いて、

本来の目的、心の問題、悩みの改善に

取り組むようにしています。


何故ならば、被験者が催眠状態に達するのに

3回、4回程度であるなら

まだ取り組むだけの価値はあるのですが、


それ以上になるとなると、

その分の施療の機会を

心の問題や悩みの改善にあてた方が

効率的だと考えています。

 

催眠療法&心理療法」神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


⑰あえて

2018年09月30日 | 催眠誘導

初回の催眠誘導時に、

施療に役立てることの出来る

催眠レベルまで被験者が到達したことを

確認できたら、

その日の催眠誘導を終えても良いのですが、


出来れば、誘導の最後に次の誘導のための

何らかのアプローチをして

その日の催眠誘導を終えたいものです。


例えば、

「あなたは、催眠から戻った後も

今の身体の素晴らしい感覚、

今の素晴らしい気分を

よく覚えておくことが出来ます。」

 

と言うような暗示をしておくことで、

次の催眠誘導がよりスムーズになります。

 

あるいは、

「あなたは、催眠から覚めた後も

あなたの無意識は活動し続けます。

そして、

あなたが、より穏やかな気分で過ごすために、

あなたが、より生き生きとした気分で過ごすために

役立つこと、大切なことを発見し、

次回の催眠体験の時に、

あなたに教えてくれます。」


のように、

間接的、包括的にアプローチをすることで、

被験者の問題解決や改善のための

地ならし的効果を狙えます。

 

これらのアプローチは、

被験者の無意識からのNOが出る危険性は

とても低くなるので、被験者の無意識に

受け入れてもらいやすいのが利点です。


また、別のアプローチとして、

被験者の無意識にNOを出してもらうために

あえて直接的なアプローチを行うことも有効です。


例えば、

「あなたは人前でリラックスして話すことが出来ます。」

のように直接的な言葉の暗示や

イメージでのアプローチをした場合には、


その直後は、なんかやれそうな気分に

なれたりするのですが、

被験者には、そうなるための準備が

まだ整っていないので

これらのアプローチが成就することは稀です。

 

多くの場合は、被験者に起きる良い変化は

次の面接日までには元に戻ります。


催眠暗示はメッキのようなものと考えて、

何度も塗り重ねることで本物になるとし、

繰り返し施療を受けることを

推奨するところもあります。


そして、同じ種の暗示やイメージを

幾度となく繰り返すことで効果が得られることも

有るには有るのですが、


繰り返せば、その岩戸が開くという確信がないまま

ノックし続ける強さが私にはありませんし、

被験者をギャンブルのようなアプローチに

参加してもらう責任を負う強さも

私にはないんですよね。

 

話を元に戻すと、

直接的なアプローチをするのは、

被験者にあえて挫折、失敗を経験してもらうことで

被験者を問題の状態に留めている要因を

施療者が知ることが出来ますし、

それ以上に重要なのことは、

被験者自身で感じ知ってもらうことを

狙って行います。


催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


⑯優秀な道具

2018年09月18日 | 催眠誘導

催眠を希望される方の中には、催眠に入り

「あなたは~となる。」「あなたは~出来る。」

のように暗示を入れてもらえさえすれば

今の自分の問題が解決すると

考えている方が少なくありません。


このような想いは、

心の問題を何とかしようと

それまで耐え忍び、自分に言い聞かせ、

長い間、自分なりに取り組んできたけれども、

どうにもならないでいる。

 

友達にも相談した。カウンセリングも受けた。

占い、霊能者にも相談した。

 

催眠療法は最後の頼みの綱で、

催眠にさえ入れば自分の問題が解決すると

信じ込みたいのかもしれません。


催眠にかける想いが強くなりすぎると、

催眠に入ろうと努力しすぎて(過剰協力)、

その想いとは逆に、

催眠体験を難しくすることがあります。


催眠状態に没入すると、

強力な心のパワーを被験者にもたらすので

私のカウンセリング・ルームでは

クライアントに催眠誘導を受けることを

お勧めしています。


なのですが、催眠は、

荒れ地をクワで耕していたところに、

耕運機を手に入れるようなものではありますが、

雑草が生え、木の根、雑木が立ち並び、

石や岩がゴロゴロしていては、

耕運機の能力を発揮させることが

出来ないのと同じで、


被験者の問題を維持させ続けている何かを

全く扱わないままに、

催眠暗示1本勝負で「あなたは~出来ます。」は、

石や岩がゴロゴロしているままに

耕運機を乗り入れてパワーに任せて

ゴリゴリとやるようなものとなります。


催眠を効果的に活用するためには、

カウンセリング等で、心の整地をある程度進めてから

心理療法でのアプローチ、あるいは催眠によるアプローチ、

そして、催眠状態下で心理療法を行うのが基本です。


催眠は優れた道具の一つではあるのですが、

心の問題を解決するために

必ずしも必要なものという訳ではなく、

カウンセリング、心理療法で

十分に解決を図ることが出来ます。


そのことを知っておくと、

被験者は、フラットな気持ちで

催眠誘導を受けることが出来るので、

催眠体験をしやすくなるように思います。

 

催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


⑮何とかしようとして

2018年09月14日 | 催眠誘導

アメリカの心理学者ロバート・ザイアンス氏が

1968年に提唱した単純接触効果(ザイアンスの法則)

と呼ばれるものがあります。


これは、同じ人や同じ或ることに

繰り返し会えば会うほど(接するほど)

好感度や評価が高まっていくというものです。


対象となる人や或ることと8時間、

接触するとするなら、

連続8時間接触するよりも、2時間づつ4回接触する方が

好感度や評価を高める効果があるのだそうです。

(長い時間接触することが駄目と言うことではありません。)

 

TVコマーシャルで同じ商品を何度も目にしていると、

最初、興味が無かった商品にも

次第に興味を持つようになるのもそうですし、


同じお店に繰り返し訪れている内に、

初出社から毎日出社する度に、

自然と馴染んでいったりするのも

そのような効果のあらわれです。


このような効果は、図形・文字(広告等)、

服、味、人、場所、香り等、

色々なものに対して起きます。


そして、ザイアンス効果は、

催眠誘導においても利用することが出来ます。

 

一定の誘導技術を有する誘導者が、

その日の誘導機会において、

被験者に催眠誘導を行い、

被験者に十分な催眠反応が見られなかった場合に、

 

催眠誘導を何とか成功させようとして、

あれこれと複数のリラックス誘導したり、

複数の催眠誘導の取り組んだり、

同じ誘導を繰り返したりすることは、


プールサイドの柱にしがみついて

抵抗する水恐怖症の人を何度も押して、

無理やりに入らせようとするような行為と

なりかねず、


被験者の催眠体験を邪魔している要因を、

逆に強くするだけでなく

誘導者に対する拒否感も生み出す危険性があります。

 

なので、その日の誘導を一旦終えて、

次の機会に誘導を継続した方が、

ザイアンス効果によって

催眠誘導を成功させやすくなります。


ザイエンス効果の注意点としては、

日常生活で、対象の人や或ることに

無視できないマイナスポイントがあると、

接触する度にマイナスポイントが鼻について、

嫌悪感を強めてしまうことがあります。

 

話をしたくない→顔を見たくない→

声(音)を聴きたくない→

その人の靴の中に小さな石ころを入れてやりたくなる→

口から手を入れて肛門から出してやりたくなる。


ザイエンス効果を効果的に働かせるためには、

マイナスポイントを増幅させてしまう

種となるようなものを取り除き、

一定の基盤を築いておくことが大切です。


催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


⑭催眠誘導の基本パターン

2018年05月12日 | 催眠誘導

催眠誘導で被験者に

十分な催眠体験をしてもらうために、

そして、

催眠誘導を成功させるための

基本パターンがあります。


このことは、

催眠誘導だけではなく心理療法、営業活動、

一般の会話においても

共通する基本のパターンです。


①注目 ②集中 ③同調 ④誘導 ⑤確認


①注目

被験者に良い催眠体験をしてもらうためには、

まずは催眠に興味を持ってもらうこと。


どんなに優れた商品であろうと、

どんなに優れた人物であろうと、

興味を持ってもらえないと

何も始めることが出来ません。


催眠体験に興味がない人を

催眠状態に導くことは

不可能なことではありませんが、

それには天才的な誘導技術(コミュニケーション能力)が

必要となります。


私の催眠誘導技術、能力もそのような域に

全く達していないことを自覚しているので

催眠誘導を行う前段階において、

催眠体験への興味と同意を得られるよう

勉めています。

 

②集中

誘導者の言葉や非言語、被験者が得る感覚、

被験者に起きる反応等に

被験者の興味、同意が維持されること。


これは、催眠誘導の初期段階だけでなく

被験者の催眠体験中にも

意識が散漫にならないように

絶えず働きかける必要があります。


③同調

誘導者と被験者との歩調を合わせます。

誘導者が働きかける言葉や非言語を

被験者がどの程度受け取ってくれているか、

 

背中に当てた私の手に気持ちを向けて下さい。』

そうです。そのように気持ちを向けた時、

背中で何を感じでいますか。』

(イエスかノーでは答えられない働きかけ)

「手の温度を感じます。」

手の温度を感じるんですね。』


『背中に気持ちを向けると、

私の手の温度を感じますよね。』

(イエスかノーで堪えられる働きかけ)

「はい。」


他には、

2つか3つ、気持ち良いと思える呼吸をして、

気持ち良いと感じたら、静かに目を閉じましょう。』

何て言う言葉がけ等もその一つです。


④誘導

被験者の催眠反応への準備が整ったら

躊躇なく誘導を行います。

これを怠りタイミングがずれてしまうと

上手くいくものも上手くいかなくなります。

 

お好み焼きを

ひっくり返すタイミングが遅くなると

焦げ焦げになって台無しになりますし、

逆に早すぎると柔らかすぎて

綺麗に返すことが出来なくなるのと

同じような感じでしょうか。

 

⑤確認

誘導の結果を確認します。


被験者の中には誘導者に恥をかかせたくないと

誘導者を気遣って反応をしたフリをしたり、

被験者が反応しようとし過ぎて、

自分の意思で反応動作を行うことがあります。


そのような気遣いや頑張りは、

催眠の疑似体験であって

真の催眠体験ではありませんし、

真の催眠体験の障害となります。


また、被験者が催眠体験をしているのにも関わらず、

被験者が催眠体験をしていることに

気が付かない場合もあります。


「起き上がろうとすれば、起き上がれた。」

だけど起き上がってしまうと。。。

「腕を曲げようとすれば曲げることが出来た。」

だけど腕を曲げてしまうと。。。


被験者が、3の力で起き上がろうとすると

被験者の無意識は、5の力で阻もうとします。

被験者が、6の力で起き上がろうとすれば、

被験者の無意識は、8の力で阻もうとします。


無意識は、誘導者の働きかけに同意した反応を

達成すれば良いのですから、

被験者が1の力で起き上がろうとする時には、

10の力で阻止する必要はありません。


誘導者が被験者の反応を把握することは

それ以降の誘導を上手く進めるために

大切なことになりますし、


被験者に催眠体験をしていることを

自覚してもらうことも

それ以降の誘導を上手く進めるために

大切なことになります。

 

催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


⑬催眠の優れた汎用性

2017年12月17日 | 催眠誘導

言うまでも無いと思いますが、

心の悩みや問題を解決するためには、

催眠に入ることが絶対条件ではありませんし、

催眠に入ることが出来たからといって

心の悩みや問題が解決するものでもありません。


ですが、催眠被験者が催眠状態に入ることで

どのような恩恵を得ることが出来るのか

簡単にご紹介させて頂きます。


①ストレスを軽減、解消することが出来る。


催眠状態に深くなるにつれて

心身の緊張がほぐれ、全身の力が抜け、

身体も精神も安らいでいきます。


血液の流れが良くなり、

自律神経のバランスが整えられ、

免疫力がアップし、

精神的、身体的に健康を保つ環境が整っていきます。


②気持ちをコントロールすることが出来る。


意欲を高めて行動を起こしやすくしたり、

平常心で物事に取り組みやすくすることが出来ます。


加速するような短期的な反応を起こすだけでなく

心理療法と組み合わせることで

恒常的な反応にすることも可能です。


③自分の本当の気持ちを確かめることが出来る。


苦しさ、辛さ、不安、怖れ、悲しみ、

圧迫感、閉塞感、疎外感、罪悪感等、

それらがどのような気持ちから起きているのかを知り、

改善のためのターゲットを明らかにすることが出来ます。


④古い記憶にコンタクトをしやすくする。


ただ催眠で引き出した古い記憶は、

必ずしも真実のものとは限りませんが、

心の悩みや問題を解決することにおいては、

その記憶が真実かどうかよりも

本人の心の問題と関係が強いかどうかが重要になります。


⑤潜在能力を引き出すことが出来る。


これは世にいる天才達のような

特別な能力を引き出すというよりも

何かの考えや価値観、イメージによって

能力や可能性を閉ざしているものを解除することで

その個人が元々持っている能力を引き出すものです。


⑥心の視野を広げることを助ける。


それまでの価値観や考えに縛られず

心を柔軟にし、新しいものの見方や考え方を

発見しやすくなります。


⑦身体の不快感を軽減、解消することが出来る。


ある程度の催眠状態にいる被験者の

五感をコントロールすることが可能になることで

身体の痛みや不快感を軽減、解消することや

食べ物の好き嫌いを改善することも可能になります。


上記の反応は、

被験者の心身の状態の違いであったり

催眠の没入度の違いによって

反応の強さに違いがあるのですが、


カウンセリングや心理療法の技法と

しかるべきタイミングでしかるべき用途として

催眠を役立てることで

施療の効果をパワーアップさせることが出来ます。

 

催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


⑫被験者は操り人形?

2017年12月15日 | 催眠誘導

最初に繰り返しになると思いますが

重要な点なので書かせて頂きます。


催眠状態は、普段の状態と比べて

無意識の活動が優位となる状態ですが、

だからと言って催眠状態にどんなに深く没入しても

意識を失うようなことはありません。


リラックス状態の被験者を見ると

被験者を観ると眠っているように見えることから

催眠(眠りを催す)と名付けられているだけで

実際は眠っているのでもなく、

意識も失ってはいません。

 

催眠を体験している被験者の意識は、

催眠状態にある被験者自身が気が付かない位に

普段の意識状態との大きな違いはありません。


催眠体験中の被験者が、

その時、自分が何を話しているのか、

何を体験しているのか認識することが出来ます。


そして、

テレビ等で行われている催眠を観ると

十分な催眠状態に入れた被験者を

誘導者の好きなように操っているように見えますが、


あのようなことは誘導者からの提案(暗示)に

被験者の無意識(心)がOKを出してもらって

はじめて成り立ちます。


例えば、十二分に催眠状態にある被験者が

マイケルジャクソンになって

音楽に合わせて踊ると暗示された場合等、


被験者の心がOKを出すと音楽に合わせて踊り始めますし、

本気でNOを出す被験者は、

全く踊りだすことはありませんし、

気に食わない暗示を提示されたことに反発して

催眠状態から一瞬で覚醒状態に戻る被験者もいます。


催眠の本質は、自己催眠であり、

の自己催眠を補助(援助)する

役割を果たすのが催眠誘導者となります。

 

だとすると催眠誘導者は必要なく

自己催眠で全てが事足りるじゃないかと言われれば、

確かにその通りではあるのですが、


催眠に深く入れば入るほど

催眠被験者は受動的(受け身)になり、

催眠誘導者と催眠被験者の一人二役をこなさなければならない

自己催眠の場合は、次第に催眠状態が深くなっていくと

誘導者(リード)の役割を担う心も受動的になり、

誘導者の役割を果たすことが難しくなります。


自己催眠で他者催眠と同じような

深い催眠状態の恩恵を得るには、

相当数の経験を積み重ねる必要があります。


催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


⑪誘導者と被験者の関係

2017年12月13日 | 催眠誘導

 

他者催眠の場合には、

催眠誘導者と催眠被験者とは二人三脚の関係で、

到達点に向かって進むためには、

両者がバランス良く機能する必要があります。

 

催眠誘導者がいくら優れた技能を有していても

被験者が催眠体験を邪魔する三大要因を強く働かしていれば、

目的地に到達することはありませんし、

 

被験者に三大要因の働きが皆無だったとしても

催眠誘導者の技術が稚拙な場合にも

目的地に到達することはありません。

 

催眠誘導者が誘導の際に最も大切な点は、

被験者の気持ちを無視しているかのような

マイペースの誘導を行わないということです。

 

それぞれの被験者には、

安心して気持ち良く催眠体験をするための

それぞれの速度があるので

マイペースの誘導は、

被験者の三大要因を働かせることに繋がります。

 

マニュアル通りにリラックス反応を

引き出す言葉を語り、マニュアル通りの順番で

眠反応を引き出そうとしても

 

被験者の心理状態が、マニュアルの想定通りに

そう都合良く変化してくれないものです。

 

誘導者は、その時その時の

被験者の反応や様子を観察して

被験者を置いてけぼりにしないように

しなければなりませんし、

 

被験者の準備が整っているのに関わらず

誘導をグズグズしていると被験者の気持ちが

誘導とは別の所に離れてしまいます。

 

催眠被験者の大切な点は、

三大要因を働かせないのは当然のこととして、

素直な気持ちで

催眠誘導者の当たり前のことを語る言葉を聞き、

当たり前のことを感じて、

当たり前でしかない反応を受け入れていけば、

その被験者の眠体験は容易になります。


催眠誘導者と催眠被験者との関係について

別の言い方をすると、

 

バスツアーに参加した人達が、

初めて訪れる観光地の名所に

小旗を持ったツアー添乗員の案内で

到達するのと似ていて、

 

添乗員を催眠誘導者、ツアー客を被験者とした場合、

添乗員がツアー客を無視してどんどん先に進めば、

ツアー客は名所に辿り着くことは出来ません。

 

ツアー客が花より団子と洒落込んで

バスの車内に留まり

酒や食事をしながら話に花を咲かせば

当然のことながら

ツアー客は名所に到達することはありませんし、


初めて訪れた地なのに、

ツアー客がはやる気持ちを抑えきれずに

我先にと添乗員を追い越して進んでも

名所に到達することはありません。

 

誘導者と被験者の関係は、

それと似ています。


催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


⑩催眠体験は誰でも

2017年12月10日 | 催眠誘導

「催眠を体験できる自信がない。」

私の所に施療に来られたクライアントが

上の様な気持ちを伝えてくれることもあります。

 

「怖いので催眠を体験したくない。」の拒否、防御の気持ちを

上のような言葉で表現していることもあるので

催眠誘導の前にクライアント(催眠被験者)の

その言葉の意味について確認しておく必要があるのですが、

 

クライアント(催眠被験者)の言葉が、

語られた言葉そのままの意味である場合には、

被験者の催眠体験には特に障壁とはなりません。


私も全く催眠の知識がない頃は、

催眠を誘導出来る人になるためには、

何か特殊な能力(霊的、超能力)を有する必要がある。


また、催眠を体験できる人(被験者)にも

特別な何かの能力が必要だと思っていました。


ですが、上の様な考えは、催眠を勉強し始めの最初の方で

全く間違っていることを理解することになります。


誰でも催眠誘導のコミュニケーションの技法を

身に付ければ催眠を誘導することが出来るようになりますし、

誰しもが催眠を体験する能力を有して生まれてきているので

何か特別の訓練をしなくとも

催眠を体験することが出来ます。

 

何か特別な事情(脳の機能、身体の問題等)が無いにも関わらず、

その被験者が催眠を体験することが難しい場合には、

催眠誘導者の技術不足か、

被験者に催眠体験を邪魔する三大要因が働いているかの

どちらかだと考えて良いかと思います。

 

催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


⑨威風堂々と

2017年10月10日 | 催眠誘導

以前に

催眠体験を難しくさせる三大要因、

被験者の抵抗(拒否)、無関心、過剰な協力について

書かせてもらいました。


今回は、被験者のスムーズな催眠体験を

誘導者自身が邪魔する存在にならないように

注意を払う点について書かせてもらいます。


注意する点として色々とあるのですが、

今回は、一つの点について書かせてもらいます。


誘導者は、被験者のスムーズな催眠体験のために

重要な道先案内人の役割を担うことになります。


この時、催眠誘導の経験が浅かろうと豊かであろうと、

上手く導けないことが何度か続いたとしても、

堂々と自信がある態度で誘導を行うことが求められます。


この堂々とした態度も誘導技術の重要な一つなのです。


誘導者の不安げな態度や言葉の調子を

被験者が感じ取ってしまうと

被験者に雑念が生まれて安心して

道先案内人を任せることが出来ません。


いくら知識が十分にあっても、

修練を十分に積んであっても

言葉のチョイスや構成が上手くとも

誘導者が話す言葉が弱々しかったり、恐る恐るであったら

誘導を成功させることは難しくなります。


催眠講座の講師を務めるのではなく

催眠誘導の実際となると、

十二分に催眠を勉強をして、修練を積んだ人が

弱弱しく、恐る恐るする誘導よりも

一日二日ほど勉強しトレーニングをしただけの人が

堂々と自信のある言葉や態度で行う誘導の方が

催眠を成功させたりするものです。


自信が無くても堂々と、失敗が続いていたとしても堂々と、

誘導者が自分に「僕って凄いんだぞ。」って

自己暗示をかけてでも、

誘導時は堂々と振舞うことが大切です。


それは誘導者のためでもあり、

それ以上に被験者に催眠体験を成功してもらうためです。


誤解なきよう願いたいのですが、

催眠誘導とはちょっとした学びと

堂々とした態度があれば十分と言っているのではありません。

 

十二分に知識を持ち、修練を積んだ人が

経験を重ねて自信と落ち着きが出てくると

一日二日の勉強とトレーニングを積んだ人とは

大きな差が出てくるのは説明するまでもありません。


催眠誘導の技術は、

言い換えれば高度なコミュニケーションの技術です。

催眠を学び催眠療法士を目指さなくとも

催眠トランスを外したコミュニケーション技術は、

相手を知り、理解することや、

営業に、人間関係に、人格形成にも

大いに役立つものとなります。

 

催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


投票ボタン

blogram投票ボタン