儀式

今日はアッ君の誕生日
ママがご馳走をつくり
パパがケーキを買ってきた

ケーキの上には
５本の蝋燭が立てられ
ママが火を点けた

「さぁ、アッ君、一息で吹き消すのよ」

♪Happy birthday to you
happy birthday dear アッ君
happy birthday to you♪

アッ君が息を吹きかけた
だが、３本の蝋燭しか消せなかった

「儀式を冒涜するような子は家の子じゃありません」

般若の面を被ったママが静かに言った

パパが背後からアッ君に近づき
その首を力いっぱい締めた
動かなくなったアッ君を
パパは庭のドラム缶に投げ入れ
ガソリンをかけ、火を点けた

「皆と同じことが出来ない子は社会学者の子ではない！」

パパは吐き捨てるように言い
立ち上る黒い煙を見つめていた