死のサイコロ

時は17世紀半ば、ドイツはフリードリッヒ・ウィルヘルム公時代の話である。

ある美少女が殺された。
容疑者が二人いた。
若き兵士、ラルフとアルフレッドである。
彼らは彼女の愛を得ようと躍起になっていたのだ。

だが、両人とも無罪を主張した。
昔のことで、拷問も行われたが、二人とも白状しない。

こういう場合キリスト教圏では、「神意裁判」が行われることになっていたという。
二人の容疑者に、それぞれ二つのサイコロを振らせて、出た目の数の多い方を無罪とし、少ない方を犯人とするのだ。

まずラルフがサイコロを振った。
６と６が出た。
アルフレッドにとっては絶体絶命のピンチである。
彼は「神よ！我に加護あらせたまえ！」と祈りつつサイコロを握った。
そして彼がサイコロを振ると、一つのサイコロは６の目を出し、もう一つは二つに割れて６と１の目が出た。
出た目の合計は13である。

ラルフは神意の恐ろしさに驚き、顔面蒼白となって、少女殺人の犯人は自分であると告白したという・・・。