反証可能性

数ヶ月前、素粒子ニュートリノは光よりも速いという実験結果がでたと報道された。
アインシュタインの相対性理論では、質量をもつものは光速未満の速さでしか移動しないとされており、相対性理論の根本的改鋳が必要か！？などと騒がれた。

しかしこのことは、相対性理論の科学的価値を担保するものでありこそすれ、その価値を減ずるものではないのである。

科学的価値をもつ命題は反証可能性をもっていなければならない。
それは間違いだと反証する可能性をもっている言明だけが科学的価値を有するのである。

たとえば、「神は存在する」という言明は反証可能性をもたない。
神が存在しないことを証明することはできない。
であるからこの命題は、宗教的価値はもつかもしれないが、科学的価値は有さないのだ。

ハイテクによる実験設備の高度化により、相対性理論を実際に反証する可能性が飛躍的に増大した。
しかし・・・本音を言うと、アインシュタインの相対性理論が反証されるのは、何というかショッキングなことではあった。
あの美しいハーモニーがかき消されるなんて・・・。

まっ、科学とは非情なものだからな、と自分を慰めていたのだが、つい先日再実験の結果やはりニュートリノは光より若干遅いと確認されたとの報道があり、なんだかホッとした。
最初の実験では、設備に不備があったらしい。

とにかく、ニュートリノは光よりも速いという言明も、それが反証可能性をもっていたからこそ再実験ができたのだ。
最初の実験も間違いであったにせよ「科学的価値」をもっていたということである。

僕は反証可能性をもたない言辞を弄する人々が鬱陶しい。
何か猥雑な感じがするのだ。

科学的価値をもつ言明はつねに反証可能性をもつと、頭の片隅にでも入れておいてくださいね（合掌）