ファイティングトップ

スクラッチ木造帆船製作日記と映画、スタトレなどあれこれです。

The Fully Framed Model, HMN Swan class sloops

2007年04月24日 | 海洋関係本紹介
 二巻セットのフル・フレームモデルの製作解説書ですが、実質的に、18世紀後半の軍艦の船体構造の解説書にもなっています。説明は非常に論理的で分かりやすい文章で書かれており、理解しやすい内容です。船体回りすべてについて詳細に解説されているのが特徴で、その分、艤装については取り扱っていません。
 扱っている題材は六等艦のスループ、スワン級ですが、解説されている技法は、何にでも応用できるものばかりです。
 今まで、何冊か、特定の艦の製作を追いながら制作技法を解説した書籍を読みましたが、本書は出色の内容でした。
 最大の特徴は、完全な模型を製作している点です。つまり、見える見えないにかかわらず、完全に、当時の船を模型上で再現する試みを行っている点です。今まで読んだ解説書では、このような試みのものはなく、大型の模型から、非常に小型の模型に至るまで、あくまで、見える部分、見せる部分の模型製作法の解説でしたが、本書は、その部分が、最も異なる点です。
 従って、模型制作という観点から離れても、帆装軍艦の構造解説としての読みごたえもあります。
 
 表題通り、スワン級スループを取り扱っており、本級のどの艦を制作するか、選択する所から始めねばなりません。スワン級の図面は、グリニッジの国立海事博物館から取り寄せて製作することを前提にしていますが、著者の書いた図面も購入することができます。(こちらは販売ルートには乗っておらず、個人に頼んで分けてもらう形式で、現在取り寄せ中です)
 この図面だけでも不十分で、グリニッジから取り寄せることは必須のようですが、まず、取り寄せた図面を見てからでないと、決め辛い部分があるので、まだ注文はしていません。
 ただ、グリニッジから取り寄せるということはすなわち、当時の図面を使用するということですから、ほぼ最高レベルの模型作りということになります。作業図を起こす必要もあるでしょう。作業図周りは、この本に問い合わせ先が記載されていて、頒布してもらうことができるようなので、格段に作業しやすいわけですが、これができるようになれば、実質的に、どんな船でも作ることができるという話になりますね^^;
  いわゆる模型制作技術解説書のカテゴリーでは括れない本で、総合的な解説書です。


 本書は、アマゾン等では取り扱っておらず、こちらの書店で購入できます。WEB注文できますし、日本にも問題なく送ってくれます。ただ、こちらのローチさんは、最近バイパス手術を受けたところで、現在リハビリ中ですので、レスポンスが数日遅れる場合があります。受注から概ね2週間程度で手元に届きます。
 ハロルド・ハーン氏の図面類や、絶版関係の書籍なども取り扱っておられるので、海洋関係本を探しているときなど、こちらに問い合わせてみることをお勧めします。また幾つか出版もされていて、こちらの書籍もその一つです。

ピア・ブックス

最新の画像もっと見る