こちらは、研ぎ台です。角度がしっかり決まるので、便利そうだと思って買ったら大失敗でした。システムが悪いのではなく、日本の鑿のスタイルと形が合わずに使えないのです。やっぱりちゃんと調べて買わないといけません。
このように固定するのですが、日本の鑿の軸は、欧米式と違って、結構先の方まで丸いので、刃先が砥石部分に届かないのです。しかも、向こうの鑿は、底面が完全に水平なのに対して、日本の鑿は、鑿の軸の中心線に対して、底面が僅かに角度を持っています。このあたり、形は似ていても、使い方にかなり違いがあるわけですね。良く言われることですが、カンナも缶切りも、似ている割には使い方が全く逆ですから、恐らく鑿も使い方に差があるのかもしれません。そういえば彫刻刀も、日本では鉛筆のように握る細身のグリップですが、ヨーロッパ型のものは、ボール状の丸いグリップで掌で包んで力をかけるようになっています。日本の場合、彫刻刀以上の力をかける場合は、鑿型のグリップのついたもので、掬うように彫り、更に力がいる場合は、箍の嵌った鑿の尻を木槌で叩くようです。欧米式は、丸いグリップから上は、どのように使うやり方なのか調べた事がないので良くわかりませんが、日本の鑿に見られる裏押しのような形状が、刃の裏側に認められないので、形は似ていても使い方には差があると思われます。
カンナに関しては、慣れとは関係なく、種類も多いし、その使い方からして、日本型の物の方が圧倒的に小物を含め工作に向いていると思います。最近は電動工具が主流で、複雑な面取り形状などルーターで作るものといった風情がありますが、こうした仕事には、専用のカンナの方が仕上がりも美しいし、何より静かで粉塵も出ませんので、ずっと向いていると思います。
鑿に関しては、ほとんど使わないので、良くわかりません。ある意味、一番形が似ていますから、それほどの差はないのかもしれませんね。
この写真でわかるように、結構幅広のものまで対応できるので、カンナの刃などには使えそうです。角度も、任意ではなく選択式なので、確実に毎回同じ角度に研げるのが長所でしょうか。
外側が、基本角度、右側が刃先の角度です。日本の鑿を詳しく見ても、刃の表側(上側)の角度が異なってはいないので、流儀が違う部分の一つでしょう。まあ、この種の刃物の最大の相違点は、日本の場合、必ずハガネと地金の二層構造になっているのに対し、欧米型は、どんな刃物でも、すべて同じ金属で全体を構成するところでしょう。こうした構造の違いも、刃の付け方の違いになって現れているのでしょう。
砥石の使い方も、研糞と呼ばれる砥石の粉のペーストで主に研ぎ出す日本式の水砥石に比べ、研糞の出ようもないほど堅い石に油を付けてハガネを削って行く欧米型と、ずいぶんなちがいがありますね。
このホーニングシステムは、油を使わず、水で湿らせて研ぐ仕掛けですが、なにぶん砥石側が薄いフィルムの一種のペーパーなので、砥糞を出して研ぐ仕掛けではありません。油と水とどちらが合理的かは一長一短でしょうが、私としては、刃物の温度が上がらない水砥石の方が、しっくりくる気がしています。
まあ、刃先が砥石に届けば、素晴らしいシステムなのですが、手持ちの刃物で使えそうなものと言えばかんなくらいなものですし、カンナは難しい上に、家ではそれほど多用しないので、事実上全く役に立ちませんでした。もったいない事をしたと腐っていたら、先日セールで、日本円にして6000円弱で、下のセットがでていました。
平鑿ばかりこんなにあっても仕方ないうえ、模型で使うとしたらせいぜい左から二本だけですが、8本セットで、この木箱入りでこの値段は安いので、買ってしまいました。なんとなく本末転倒ですが、これでようやくホーニングシステムが使えます^^;
なにしろ、この鑿は、ホーニングシステムを作っている会社の製品なので、これに使えなきゃ詐欺もいいところですしね。
この便利な刃先の角度を調べるゲージは、刃の角度と刃先の角度を測定しやすいうえ、色々な刃物に使えるだけでなく、小部品のベベル(斜めにカットした部分)角度の確認でも重宝します。
この鑿は角度30度ですから、システムの方も30度にセットします。
先にも触れましたが、このホーニングシステムの、もう一つの目玉は、砥石部分です。シール式のペーパーをアルミの台に貼る仕掛けですが、同じペーパーを刃がして別物に替えてまた戻すことができるので、余りもったいなくありません。だだ、結構張りなおしは面倒なので、この砥石部分を二つ買い足して、三種類用意しておく方が、ホーニング作業には便利です。次に機会があれば、買い足す予定です。
アルミ台の上にフィルムを貼っているので、砥石が研ぎ減りしないため、確実に角度が出せるのが、最大の利点です。
実は、今回購入したチゼルのセットは、ホーニングと呼ばれる作業がなされておらず、別に、本体と近い価格のホーニング料を払ってホーニングしてもらうか、自分でするかの選択式になっていました。まあ、ホーニング・システムを無駄にしないために買ったわけなので、無茶を承知で、ホーニング料を払いませんでした。従って、自分でホーニングしないと使えない(まあぱっと見には、刃がついていて切ったり削ったり出来そうなのですが、本体と匹敵する価格を払ってでもしないといけない作業ですから、重大な意味があるのでしょう^^;;;)ようなので、頑張ってホーニングしてみる事にします。
(続く)
最新の画像[もっと見る]
- ディスクサンダーの改良 17年前
- グラインダー・テーブル 17年前
- グラインダー・テーブル 17年前
- グラインダー・テーブル 17年前
- グラインダー・テーブル 17年前
- グラインダー・テーブル 17年前
- グラインダー・テーブル 17年前
- グラインダー・テーブル 17年前
- グラインダー・テーブル 17年前
- ホーニング・システム その1 17年前