ひなたぼっこ

「まだ見ぬ素晴らしい景色」を求めて自転車で。

ドラマチック伊豆半島 ~南伊豆・西伊豆

2016-04-22 | Bicycle ride
下田からR136にて西向きにすすみました。
補給食の調達に立ち寄ったコンビニの前に、黄色とピンクの光景が広がっていた。



コンビニのおばちゃん談では、いつもならもっと黄色が鮮やかなんだけど、今年は菜の花が先にピークを過ぎちゃったと。

でもいいんです、黄色とピンクのコラボには自然と心躍るんです。



ただ満開にはもうちょっとってとこだったかな。
ここ静岡は前日に満開宣言が出ましたけど、前日は残念な天気、そして明日は花散らしの荒れた天気予報だったので、
最も桜を楽しめるのはまさにこの日のみというドンピシャだったわけです。


桜と言えば先日から思ってましたけど、こちらは山桜が凄い。





正直こんなに山桜がたくさんあるの見たの初めてかも。
満開宣言のこのタイミングだからこその光景。


さて、冒頭の菜の花と桜の場所から、R136は少し内陸部に入ります。
分岐で海岸線を走る道があるし、そこは伊豆半島の最南端に行ける道。
南側に突き出た半島の先端なんて聞いたら普通なら行かないわけにはいかない。
でも遠回りになってしまうので、泣く泣く諦めたんです。
この日の最大の目的の為にはちょっと先を急ぎたかったから。


半島とかの海岸線はアップダウンがつきもので、この伊豆も例外ではありません。
特に波勝崎の辺りは相当なもんで、これはちょっと予想を超えてました。
海岸線のアップダウンってレベルを越えてて、もう峠って言ってもいいくらい。



まさか海抜270mまで登らされるなんて思ってもみませんでしたよ。
山陰海岸の竹野~城崎までの区間よりもこっちの方がガチだった気がする。






でも初めて走る道と初めて目にする光景に辛さよりも楽しさが勝る。
そしてこの後に待ち受けてるものへの期待感で頑張れる。


幾度となく10%超のアップダウンを乗り越え、そしてついに感動の対面となったわけです。

ずっと恋い焦がれてた・・・

あなたに会う為にいろんなものを乗り越えてやってきた・・・

心の底から会いたかったよ・・・



愛しい人、富士子



晴れたからと言ってその姿を拝めるとは限らない。
だから朝起きてから富士が見えるこの辺りまでずっと不安だった。
お世辞にも自分は今まで山の羨望運に恵まれてるとは言えなかったから。

雪を纏った姿が空に浮いてるかのようなこの光景を見た瞬間、マジで鳥肌たちました。

そして富士だけじゃなくてもう一つご褒美があった。



棚田と富士



手前に石部の棚田、そして向こう側には駿河湾越しの富士。
実はこの棚田は前情報は全く無かったので嬉しい驚き。
まさかこんなものが見えるとは・・・ここまでやってきて良かった。

約140万年前の噴火でできた蛇石火山の裾野にある370枚の棚田。



富士、棚田、茅葺屋根、そして満開の梅・・・役者が揃いすぎでしょ。







急斜面につくられた石積みの棚田は相当に見応えありました。
是非とも水が張られた時も見てみたい・・・


R136に復帰。
この道は彫刻ラインと名前が付けられてて、ところどころに彫刻が配置されてました。
だけど申し訳ないがこの時彫刻どころではなく、頭にあるのは桜、そして富士の二つである。






ポスターのような真っ青な空ではないけど、桜と富士のコンビをなんとか撮れた。
こうやって目標を一つ一つ達成していくのは楽しい!


ちょっと賑やかくなってきた松崎の町に入ったとこの信号待ちで、タイミングよく食事処が現れたのでIN。



ランチタイムメニューで豚重がコーヒー付いて850円と安い。
そしてそんな値段なのにとってもクオリティ高くて驚きました。
この店はアタリ。


さて、この日の予定は西伊豆の海岸線をずっと走って沼津に取り付く予定です。
西伊豆には黄金崎をはじめとする景勝地がたくさんあるし、何より常に富士を見ながら走れるってのが素晴らしい。
だけど富士を見ながらサイクリングするのは初めてだけど、色んなブログで富士の情報は常に仕入れてる脳内富士達人の自分は知ってます。

「富士を見るなら午前中」

この日もそうですが、春霞なのかPM2.5なのか、クリアな空気感とは言えない眺め。
これは時間の経過とともにもっと進み、富士は白い空気と同化してどんどん見難くなってくる。
だから午後からの富士は「見えたらラッキー」って事なのだ。
出来るだけ富士を見たいのは山々なんだけど、そんな見えたらラッキーな存在を求めてこのまま進むべきなのか?
確かに琴線に触れるような海岸線の景観には出会えるかもしれないけど、富士が見えないなら・・・

今回伊豆半島の旅を計画した大きな目的は、富士山の姿を拝む事、そして西伊豆スカイラインを走る事の二つだ。
前日西伊豆スカイラインは走ったのだけど、殆ど見えなかったのでは走った意味が全くない。

今日の天気では 「富士が見えない可能性が高い海岸線」 or 「おそらく霧が出てない西伊豆スカイライン」


選ぶならっていうか、自ずと答えは限られる。

幸い今いる松崎から仁科峠まで続くK59号に乗れる。
ヨシ! 終わった時に後悔しない為に昨日のリベンジだ!


と勢いで決めてしまったけど、前日2,300mも登って、この日もここまで結構登ってきたし、
さらに高度を900m以上も上げようとするなんて・・・・登り嫌いな癖に俺もどうかしてたw 


ってことで、仁科川に沿って登るK59号を進む。



そり立つ山がこれから先の険しい道を予想させる。







最初の頃こそ傾斜もそれほどでもなく快調に進めたが、途中からやっぱりねって具合に坂は急なとこばっかりになるし、
展望はほとんどないしで、正直この辺りの記憶があまり無い。
ただ早くこの坂が終われ、早く仁科峠の看板見えろってそれだけ考えてた気がする。
写真見て「ああ、こんなとこもあったな」って思い出すくらい。
あ、途中でパンクしたのだけはしっかり覚えてるなw





林の中を登る展望がない道を、長い時間耐えて耐えて登ってきて、こんな風に空が近くなってきた感じに自分の場合最もドーパミンが溢れ出す。



そして展望が完全に開けた瞬間に絶頂を迎える。
これが麻薬的刺激で中毒性が高いのだ!

しっかし山深い半島ですこと。
そして素晴らしい眺めですこと!
山々が躍動してるかのようだ。


ようやく尾根道らしきとこに出ました。



仁科峠は近い!そして霧など全くないクリアな視界!!










そこには前日と全く別な世界が広がっていた。


自転車に跨って初めて目にした駿河湾越しの富士山、石部の棚田と山桜を含む桜、そしてそれらを全部演出してくれた朝陽から始まった太陽。
前日の過酷な道中から全てがドラマチックだった。
だが、ドラマチック旅の最大のピークがこの後に待っているとは思いもしなかったのであった・・・


もう一回だけつづく。

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ドラマチック伊豆半島 ~下田~

2016-04-14 | Bicycle ride
下田温泉



南伊豆に位置する下田は日本開国の地である。

嘉永6年(1853年)、代将マシュー・ペリーが率いるアメリカ合衆国海軍東インド艦隊が浦賀沖に来航する。
いわゆる黒船来航である。
鎖国状態にあった日本だが、実際には中国オランダとの貿易は続いていたようだし、イギリスやロシアの海軍が寄港した事もあった。
だがいずれの船も帆船であり、真っ黒で煙突からモクモクと蒸気を噴きながらやってくる巨大な艦船の異様な姿に江戸の町は大混乱に陥いった。
そして翌年、日米和親条約が調印され、箱館(函館)は1年後に、そしてこの下田は即時開港された。
つまり、ペリー艦隊が日本に初めて接岸したのがこの下田港であり、ペリーが最初に踏んだ日本国の地が下田なのである。
そして日本最初の米国領事館ができたのもここ下田、初代領事館タウンゼント・ハリスが住んだのもこの地。

「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひく」とまで言われる今日の日米の関係の始まりがこの下田なんですね。

それを記念してか「ペリーロード」と名がつく場所がある。



ちょっと城崎に似ている。小さい城崎みたいな感じ。

アメリカとの開国の地に、アメリカ製のチタンバイクに乗ってやってきた。
今この自転車に乗って旅ができてるのも、全てはここが始まりなんだと思えばそこにロマンがある。





~旅館泊のススメ~

さて、今回の旅は全行程で3泊4日、だけどサンライズ出雲で二泊するので、実際の宿泊は一晩だけです。
その宿をこの下田温泉にとりました。

利用したのは下田大和館。












全国的に有名な波乗りスポットの多田戸浜ビーチを望む全室オーシャンビューの宿です。
分不相応な宿ですが、特に贅沢をしようと思ってここを選んだわけではありません。

年に数度くらいのペースですが、今ままで自転車で旅を重ねてきました。
適当に探して安いホテルに泊まった事もあるし、民宿を選んだ事もあります。
気を使わないでいいのでそういうのは結構好きだったりします。
施設内容より利便性等を優先する事が多いし、ただ寝るだけと考えればそんなにお金をかける必要もないとも思います。

でもね、最近少し考えが変わってきたんですよ。
例えばそこそこのビジネスホテルに泊まれば最低でも7~8千円はするし、そして居酒屋で一杯やりながら飯でも食えばそれだけで5千円くらいすぐいく。
それを併せた金額を払う事を考えたら、料理がついた旅館にも泊まれるんですよね。
旅館形式の宿を選ぶメリットは大きいです。
だってホテルのシングルルームだと、起きてる時の居場所が基本ベッドの上だけになるじゃないですか。
最近はリーズナブルなホテルでもいいベッドが置いてる事が多いので、寝る分には別に困りませんけど、
いっぱい走って多めに登った後はストレッチしたくなるし、やっぱ畳で広々と過ごせるメリットは大きい。

そしてもう一声追加すればもうワンランク上の宿も選べるんですよね。
ランクが上がれば部屋が広くなったり、温泉が豪華だったり、そして料理のグレードがアップする。
どうせ旅にきたら、その地の食べ物、旬の食べ物が食べたくなりますし、ていうか絶対食べるし。
料理を売りにしてるような旅館だと旬の物中心に食べきれないくらいの量を出してくれますから、それはかえってお得だったりする。
居酒屋で好きな物だけ選んで食べるのもいいですけど、懐石でたくさん出された物の中に知らなかったけどすごく美味しい発見があったりもする。
なにより懐石料理って、その地のいいとこを精一杯知って帰ってもらおうって気持ちがこもってるじゃないですか。









伊勢海老だ、鮑だ、そして伊豆と言ったら金目鯛だとお腹はちきれそうなくらい食べ散らかす事ができます。
しかも素晴らしい温泉にゆっくりつかった後で、部屋でゆっくりと堪能できる。

何日もに渡る日程で毎日こんな事したらお金いくらあっても足りませんから、そういう場合はホテルも上手に組み合わせますが、
一晩くらいは是非とも旅館でゆっくり過ごしたいなと最近特に思うようになりました。
そう思わせてくれたきっかけは、一昨年の九州旅でコルナゴ部長の蘇山郷を利用した事から。
旅の満足感は、宿も非常に大きな要素であると気付かせてくれました。

旅は自分へのご褒美であり、また自分への投資でもあります。
人それぞれのスタイルや重視するとこあると思いますが、自転車旅+温泉と料理旅館、是非おススメします。



快適な宿で快適な眠りにつければ、翌日の朝から元気に動けるってわけ。

朝陽が見たいって言ったら「ここからは見えないけど隣の海岸に行けば見えますよ」って教えてくれたので、
一つ隣の入田浜でその瞬間を待ってみました。






前日は予報外れて夕方前にやっと顔を出した太陽だったけど、この日はバッチリでございます。
日の出前も、日の出の瞬間もドラマチック。

昨日見れなかった富士を今日は是非とも見たい。
頼むぜ~太陽君!











下田の町を少し散策して、朝風呂浴びて、朝から豪華な朝食をお腹いっぱい頂く。
旅館泊って最高!!


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ドラマチック伊豆半島 ~試練の一日目~

2016-04-13 | Bicycle ride
サンライズ出雲を、静岡県は沼津で降りました。



古来から東海道の陸路と海路を繋ぐ交通拠点であり、また東海道の宿場町として発展した大きな町です。
とにかくここはロケーションというか、場所がいい!

左側には日本一の富士山、右には度々人気ランキングの上位にあげられる箱根と熱海の温泉地、そして下側に伸びるは伊豆半島。
熱海・箱根は今回はおいておくとして、富士山という存在は我ら西日本に住む人間にとってちょっと特別。
普段まず見る機会がありませんからね。
そして伊豆半島からはその富士山を拝めるポイントがたくさんあって、日本一美しい山の富士山を見ながら走れるなんて最高じゃん!
さらに、実は以前から是非とも一度走ってみたいと思ってた道がこの伊豆半島の中にあるわけでして、想像しただけでテンション上がる!
今回、その為の拠点として沼津を選んだ次第であります。


駿河湾越しの富士山が見えるスポットだけど、見えるのは雲だけ。



予報では午後から回復するようなのでそれに期待しましょう。


沼津港へ




朝5:30とか6:00からやってるお店が何件かあるって話だったのに、どこも開いてない。
なんで?早朝営業やめちゃったの??それとも定休日?
結局7:00開店の店が一軒あったので、それまでウロウロしながら待つ羽目になりました。
のっけから予定通りに行かない・・・



港のすぐ横なんで新鮮な魚介が食べれるんですが、朝一から刺身って気分にもならなかたったのでミックスフライ。
まあフライなんてどこで食べても大概一緒。


狩野川沿いを走ります。



いいですね~。
初めて見る場所、初めて見る光景。
次の瞬間には何が待っているのか、一体どんな景色が広がってるのか、ちょっとの不安と大部分の期待。
そんなのを味わいたくて、俺は色んなとこに出掛けるんですよ。



スカッと晴れてないのはちょっと残念だけど、旅の醍醐味ってこういう事なんだよね。



修善寺へ



「しゅうぜんじ」ではなく「しゅぜんじ」
正面に見えるのは修禅寺、そしてここは修善寺温泉。
ちょっとややこしいw

その名からわかるように元は禅寺です。
平安時代に弘法大使が開いたと言われるのが修禅寺という禅寺。
そして弘法大使が独鈷杖で岩を砕いて霊泉を噴出させたのが独鈷の湯をはじめとする修禅寺温泉。

うん、やっぱりややこしいw



そんなこんなで、温泉大国として知られる伊豆半島の中で最も古い温泉なようです。



さて、ここから長い長い登り区間の始まり。
現在のとこから800m以上高度を上げていく事になります。
どうせ登りはスローモーションで、たっぷり時間を掛けることになる。
その間に雲が晴れて、見晴しのいいとこで富士山を眺める。

うん、我ながら完璧な段取りだ(キリッ



だけど・・・あれ? おかしいな・・・

なんか目が霞んできたぞ・・・



いや、これは目が霞んでるのではなく、霧だ!


標高620m だるま山展望台 完 敗



富士山どころか・・・何一つ見えません(泣

貴重な休日と時間とお金使ってここまでやって来たというのに・・・この仕打ちか。
これじゃあ正直なんの為に来たのか分からない。

ずっと走りたかった西伊豆スカイラン。



でもこんな状態じゃあ全く意味がない。
ていうか何も見えないのでどこ走ってるのか分からないしw







若干晴れてきたりな瞬間もあったけど、やっぱりここの良さは全く持って体感できず。
想像してみて下さい。ほとんど何も見えない中をいつまで続くか分からない坂道をひたすら登っていくという苦難の状況。
正直1㎜も楽しいって思わなかったけど、とりあえず当初の目的の仁科峠まで行って記念撮影。

もしかしたら俺は霧の神様に愛されてるのかもしれない・・・
四国カルストでもそうだった。
屋久島宮之浦岳でもそうだった。
今回といい、大事なとこで霧に包まれてしまう。

霧に愛され過ぎな人・・・ もう「ぐりお」って名前を「きりお」に改めようかと真剣に考えました・・・
期待が大きかったからもあるんだけど、この時ばかりは己の運の無さを呪いましたよ、まじで。

でもね、一つ言っておきます。
今まで旅を続けて来れたのも、なんとかブログを続けてこれたのも(更新頻度はめっさ低いっすが)
色んな困難があっても、その後には必ず素晴らしい光景に出会えたから。
そう、旅の神様はよく俺に意地悪をするが、最後には必ずご褒美をくれるのだ。

仮面ライダーだって、ウルトラマンだって、最初はやられてピンチになるけど、最後に勝って大団円だ!
伊豆半島の旅だって同じ展開である。
今回久しぶりに「ドラマチック」というタイトルを付けたのは、この旅がほんとにドラマチックだったから。
絶景とかを期待してこのブログを見てくれてる人、大丈夫、期待してくれてもいいですよ。

だから早くそれを見せろよ!って声が聞こえてきますが・・・

やだね!せっかくなんでとりあえず順を追って書いて行きますよっと。

K59号にて湯ヶ島を目掛けて下る。



シングル車線のウネウネなこの道も、通常なら自分が大好きな表情の道なはずですが、
こんな状態じゃめっちゃ怖い道になってまう。
ウエットの下りはマジで苦手・・・


湯ヶ島まで下りてくると霧も晴れて視界がクリアに。
R414に乗り換えて天城峠に向かう。
演歌を聞かない人でも知ってる石川さゆりの名曲の「天城越え」である。



霧がないとまるで目が良くなったような錯覚をうけたけど、それでも美人は見つけられなかった。
きっとたくさんの美人は霧に包まれてたんだろう。


本格的な登りに入る前に、気分的にピリッとした刺激を入れとくと良い。
て事で、わさびソフトです。



ジェラートのようにわさびを練りこんであるのかと思ったら、バニラソフトに生わさびがトッピングされているではないか!
なんとエキセントリックな発想なんだと心底驚いたのである。
いや、正確には横の店では普通に練りこんだ緑色のソフトも売ってあったんだけど、どうせ逝くならこれだなと。
だってこんなエキセントリックなのはここでしか食べれないだろう・・・
と思ったけど、今考えたらここでしか食べれないのは練りこんだ奴であって、これは普通に生わさび乗っければいつでも食べれるじゃんと考えた。
いや、やはりそんな事は絶対にしない自信があるのでやはりここでしか食べれないのだ。

ちなみにお味の方はというと、最初に受けたインパクトとは違って、わさびの辛さとバニラミルクの甘さが絶妙にあわさって実に美味かったです。


天城旧道



R414は立派なトンネルができてるんですが、天城越えってのは本来この旧道の事。
旧道はご覧のとおりダート道で、石がゴロゴロ浮いてたり、前日の雨もあってかなりネチャイとこも多かったし、
結構な傾斜区間も多く展望もほとんど無いし、おまけにこんな道が5km以上続くしでとても過酷。
だけどこの地を訪れるならこの道を通らないわけにはいかない。


天城山隧道



川端康成の「伊豆の踊子」、松本清張の「天城越え」で有名な、まさにその場所。
完成したのは明治時代の1904年、しかも日本初の道路隧道=日本初のトンネルなのである。

壁面も天井もすべて石造りの大変に趣のあるトンネル。
ていうか、天井部分とかってどうやって作るんだ?
扇型に切り出した石をアーチ状に積んでいくのは分かります。
橋とかなら上から石をはめてやるの分かりますが、こんな場合は上からははめられないだろう。
トンネル外壁のアーチ部分を先に作ってから、周りを埋めていくんだろうか?
それなら実際のトンネル幅よりずっと大きな穴を開けないといけません。

1000年以上も前のまともな機械も無かった頃、これだけの仕事を成した先人。
しかも454メートルという途方もない距離を。
そこに畏敬の念とロマンがある。


ちなみに名曲天城越えのサビの部分。

『あなたと越えたい 天城越え』

天城越えを越えるって表現はちょっとおかしい。
頭痛が痛いみたいな。
天城越えってのは「天城峠を越える旅路」の事なんですね。

いつもなら何気なく聞き流してる真の意味も、実際にこの場にこなければ知らないままであっただろう。
これもまた旅の醍醐味。


過酷なダート路面を何事もなく無事に走り終え、R414に復帰した後に出会うもう一つの名所「河津七滝ループ橋」





なんと720度、つまり二週も回るループ橋だ。
これができるまでの道は九十九折れの連続だったようですし、天城トンネルと併せていかにここが下田街道の難所だったかってのが分かります。

まっすぐ下れば河津桜で知られる河津の町に出るのですが、R414は右折してちょっとした山岳区間へ。

天城峠を越えたこの南伊豆エリアは、日本の歴史に大きく関わっています。
それはまた後日に記しますが、江戸時代から海上交通の要所として独自に発展してきました。
だが東海道の発達によって次第に海上交通が衰退し、時には命懸けでもあった天城峠の存在で陸の孤島となっていくのです。
で、それを救ったのが天城トンネルの開通なのですね。

そんな視点で山間の辺りを見てみると、どこかうら淋し気な、ひっそりとした、そしてゆっくりとした時間が流れてるようにも見える。






歴史も、現状も、知ってる事の方が少ないので、勝手に自分が作り上げてるイメージが大きいのかもしれません。
でも率直に「いいとこだな」って思いました。
人々の生活の息吹が聞こえてきそうな田舎だとか、長い年月をかけて作り上げられた里山とか、
そういう場所に琴線が触れる自分がそう思った感覚はあながち間違いではないと思う。

そして伊豆半島は、まだまだ琴線に触れる場所の連続でした。

長くなったので今回はここまで。




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Sunrise Express

2016-04-08 | Travel
寝台特急 サンライズ出雲



前から一度乗ってみたかったし、これを利用した旅が出来ないかなって考えてました。


旅の移動手段を考える時に、”効率”ってやっぱ無視できません。
効率ってのは料金と時間のバランスの事。
誰だって出来るだけ安く行きたいし、目的地に早く着けるにこした事はない。
でも現実で考えてみると、鳥取から関東への区間では

料金の場合   バス<<<<<鉄道(新幹線)<<飛行機
かかる時間   飛行機<<<<鉄道(新幹線)<<<<<バス

ってのが一般的。
でも飛行機は早割料金を利用すれば鉄道よりも安くなるし、
さらに鉄道も寝台列車になると値段がぐんとアップする。
単純に効率で考えたら早割の飛行機が優秀です。
そして最も効率が悪いのが鉄道(とくに寝台列車)と言える。

でも自転車の旅って考えるとちょっと違ってくる。
「輪行」って要素が入ってくるから。
高速バスは基本的に輪行不可なので除外されるし、鉄道での輪行が最も手軽。
飛行機輪行は屋久島で実際にやってみて思ってたよりはずっと簡単だったけど、
でも飛行機は早割前提ですからね。
絶対の晴れ男って自信がある人は別ですが、やっぱある程度ギリギリまで天気予報見て走る日を選びたいし。
その意味でも直前に取っても値段が変わらない鉄道ってのは利用しやすいです。
確かに飛行機に比べると時間は何倍も掛かりますけどね、でも夜に出て翌朝目的地に着くって事は、
平日の仕事が終わってから出発して、翌日の朝から自転車で走れるってのは結構効率がいいんじゃね?と言える。

まあ効率の事を長々書きましたけど、そもそも効率云々いうなら自転車ってのがまず間違いですし、
単純な効率よりも、旅情だとか、醍醐味だとか、またあえてそれを選ぶって部分だとか、けっこう大事なとこだと思う。

そんなこんなでサンライズ出雲って選択肢はアリだなと。




寝台列車と言えば今は亡きブルートレインを思い出します。

高速バスよりちょっと高いくらいだと思ってチケット買いに行ったら、バスのほぼ倍、飛行機の通常料金に迫るくらいの金額を言われてびっくりしました。
しかも二等寝台って二段ベッドの安いやつで。
みどりの窓口で「なんでこんなに高いの?」って聞いたら、
「そりゃ高いですよ。ホテル付いてるのと同じですから!」ってムスッとした顔で言われましてね・・・

ホテルって・・・ドヤ宿みたいな寝床のくせによくそんな事言えるな・・・と若かった自分は腹を立てた思い出が(笑)


だけどサンライズ出雲の車内は腹を立てるような事はございません。



ミサワホームと共同制作した内装は木材がふんだんに使われ、1998年のグッドデザイン金賞を受賞。
このレベルなら「ホテル付」と言っても文句などありませんよ、JRさんw


輪行袋を持ち込むならシングル以上の部屋が必要になりますが、現実的なとこでシングル一択かなと。



シングル客車は二階建てになってまして、予約の時は絶対に「二階指定で」と伝えましょう。
上側まで窓がラウンドしてて眺めがいいですし、輪行袋の持ち込みにも断然二階席の方がやりやすいです。
部屋はけして広くはないけど、ベッド脇に輪行袋がちょうど置けたし、リュック等は足元に置けて、
ベッド部分を全く侵害しないで快適に眠れました。
必要な装備は揃ってるし、ちょっとした食事やアルコールの置き場にも困りませんw




サンライズ出雲の中でサンライズ出雲の殺意を読むw
ある意味たいそう贅沢な時間。

うーん、旅情を感じさせられますな~


さ、2016年の春旅が始まりました。


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カールゴッチ式

2016-03-30 | Bicycle ride


分かれ道 → 細い方の道

そんなのを繰り返してると道はこうなります。
でもこれはまだほんの入り口で、この後は完全な廃道に。

と言ってもそんなに奥深くに入ってったわけではない。



後ろに見えるガードレールの一段下に道らしきラインが登ってきた道。
その遥か向こうには白い稜線と青い日本海。

ペダルとかにトゲトゲの蔦が絡まるし、
アスファルトも全部埋まってて見えないような道だからパンクリスクも増えるし
ていうか走る為に自転車乗ってるのに乗れない区間が多いって意味不明。

でも道路に関係する仕事してますんんでね、
荒れ果てて全く見向きもされなくなった道を見つけると少しくらいは使ってあげようと思っちゃうの。



せっかくこしらえてくれた注意看板も通る人がいなきゃ偲びないってわけです。
マムシの絵がどう見ても孵化したばかりの稚魚にしか見えないけど。


最近ロングらしいロングを走ってなかったし、がっつり登った記憶もないくらいで否が応にも身体は退化してます。
でも是非とも走りたい場所がありましてね、そこは距離もだけどたいそう登らしてくれる道なのですよ。

じゃあトレーニングを・・・という話になるのですが、単純なトレーニングなんぞ自分には出来やしません。
ローラー漕ぐとか、高強度でうんたら、インターバルでどうのってのは身体が拒絶反応おこしてしまいます。
でも走らなきゃ話になんないし・・・


そこでプロレスの神様カールゴッチを思い出したのです。
氏曰く、ウエイトトレーニングするならスパーリングしろ!
実践で必要な筋肉は実践形式で身に着けるべし!
 (※かなり改変入ってます)

これを自転車に置き換えてみると、「走れるかどうか分からないならとりあえず走ってみろ」となるのではないかと。
リハビリとか、徐々にとかしゃらくせえじゃん。
そうだね、じゃあいっぱい登るようなコースを走ってみるよ。



廃道のとこからガツンと下って、また海が見えるとこまで登ってきた。
海の手前の尾根を走る道。
走ってきた道が見えるというのはとてもいい。




勝部谷にガツンと下って、また・・・



そしてここまで登ってきました。



鉢伏山展望台。
東郷湖と日本海をこの角度で拝める。

ここでの眺めは相当な達成感がありました。
嫌よ嫌よいいながら結局登ってる事多いですが、やはり自分は高いとこからの眺めが好きなんだなと。


だがここに至るまでの光景で何度も何度も与えてくれたのは「絶望」の二文字だ!
道中数えきれないくらい「なんで来たんだろう・・・」って後悔しまくりだったし!
ていうかえらすぎ!
しばらくは御免・・・いや、少なくとも今年はもう絶対来ねーよ!


登りきった時点で脚が完全売り切れで家まで無事に帰れるか本気で不安だったし、
補給もままならないルートだったのでハンガーノックくらって、やっとこさコンビニに辿り着いたら炭水化物全部売り切れ、
更に帰り道が寒くて寒くて、ホットコーヒーで暖まろうとしたら冷たいの押してまったとか、
そんな状態での洞谷と三山口坂に殺意を覚えたとか、
おまけに調子にのってノーパッドで走ったらケツ痛が二日ばかり納まらなかったとか、
カールゴッチ式ライドの結果は散々たるものでありました。

だけど風呂で解凍した瞬間と、その後のビールタイムの幸せ具合ときたら・・・筆舌に尽くし難い。


読んでくれてありがとう

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