ガイド日誌 - 北海道美瑛町「ガイドの山小屋」

北海道美瑛町美馬牛から、美瑛の四季、自転車、北国の生活
私自身の長距離自転車旅
冬は山岳ガイドの現場をお伝えします。

DAV39-40 小倉から中津、別府、大分へ 『日本列島縦断チャリの旅2020』

2020年12月07日 | 自転車の旅 国内



小倉で4泊5日。
この間に気になる箇所は湿布貼りまくり、
もりもり食って整えたつもり。

さあ、たくさん食って休んだのだから、国道10号を南へ出発たい!

この国道は鹿児島が終点でごわす。
とうとうタイムリミットが決まったのでどこまで行けるかはわからんが、行けるとこまで行こう。

小倉はコンパクトながら大都市さながら。
前回iPhoneのMAPに案内を乞うたが、
かえって道に迷い、時間をロスしたので今回は正攻法。
要するに、道路標識をちゃんと見ろよということ。
失敗がない。

すんなり脱出。
のどかな国道10号の旅はじまる。

2時間ほどで航空基地に至る。
いつもは戦闘機が飛びまくるのだけどこの日は静か。

道の駅「おこしかけ」。
お気に入りの店で腹ごしらえ。

やがて黒田如水が築城した中津城が見えてくる。
川を渡ると、もう大分県だ。

中津はビジネスホテル激安地帯。
1000円台で泊まれるし、2000円台で朝食がつく。3000円台なら至れり尽くせり。
要チェックだ。

翌朝は気が乗らないままダラダラと出発。
中津を過ぎ、宇佐神宮を右手に見ながら何も考えずにペダルを踏んでいる。

山香町に入ると徐々に山間部に入っていく。
このあたりは国東半島の付け根にあたる。

ゆるめの峠をふたつ越えたら別府湾のきらめく海が飛び込んでくる。

別府をすぎ、海沿いに気持ちよく走っているうちに大分市に着いた。



小倉の都心部を脱出する。
目が回りそうたい。


標識に従う。


中津、中津と…


都会怖い。


国道10号。
これでよし。


のどかな国道10号の旅が始まる。


お気に入りの店で貝汁を。


「ああ、うめえ!」


中津のお城が見えてきた。


翌朝、ぼんやり走っているうちに
USAに来ちゃった俺。


というお約束的な。


あれに乗りたいなあ。


ゆるく峠道になる。


九州では時々、明治期の石橋を見ることがある。


2個目の峠に向かう。山頂にあるサンリオのテーマパーク「ハーモニーランド」の観覧車が目印だ。


まるで市街地みたいな峠。
ハーモニー峠ともいう。


別府の、


通天閣やでえ!


「ビッグ ペイン シリ、ヒア」
などとFacebookに書き込んだりする。


なんやかやで気がついたらあっさり大分市。


「かんたん」に来てしまった感じだ。
大分市かんたん交差点。


現在地
北海道美瑛町美馬牛『ガイドの山小屋』から
約2150km


DAY34-36 北海道から九州に到達した! 岩国-熊毛峠-小郡-関門トンネル-小倉 『日本列島縦断チャリの旅2020』

2020年12月04日 | 自転車の旅 国内
齢50を過ぎて知る。
広島は三方を山で囲まれていたのか。

広島の東側は広島のマチュピチュ東広島市の空中都市があり、西側には熊毛峠という、身の毛もよだつ峠が居座っている。

熊毛だよ?怖くない?
知らなかったなあ。

岩国からは、またまた未経験ルートを行こうと内陸ルートを選択した。

よせばいいのに。

海沿いルートは、周防大島を眺めながら大島大橋をくぐり、柳井を経由する明るくあたたかく、健康的な海沿いルートである。それをわざわざ外すのはいかがなものか。

そうは思ったものの、一度は経験しておかなければ今後偉そうなことは言えない。

内陸ルートを走り出した。
俺はその先にある危険なトンネルのことも、熊毛峠のことも知らなかったのである。

岩国の町を出てすぐに山がちになる。
県道15号は欽明道路と言われるらしく、県道なれど主要道なみの交通量があり国道2号を外した意味がなかった。
さほど行かぬうちに峠になり、頂上部のトンネルは恐怖構造だった。あのトンネルは2度と御免だ。
あとは徳山まで下りかと思いきや、前述の熊毛峠が立ちはだかる。地味な峠だが名前がえげつない。

防府かどこかの市街地で出会ったお爺さんには、すれ違いざまに耳元でゲップされる始末。

あー、ついてない俺。

小郡に着いたときは冷や汗がすっかり乾いて塩を吹いていた。
岩国から小郡まで100km。荒れた道、荒れた交通、峠と向かい風。自転車には向かない環境だった。
極めてきつい。

さて。
小郡から先はもう障害らしい障害はない。海沿いに国道199号を65kmほど走れば関門海峡。関門トンネルを自転車を押して歩き、向こう側に出たら九州。

関門トンネル出口から、門司港を経由して国道198号で小倉までは1時間もあればいい。
右側に宮本武蔵の「巌流島」が見えているが、工場地帯のクレーンに押しつぶされそうだ。

九州の道は小倉に通ずる、という。

九州に入るとき、出るとき、
何をするにも小倉は便利な町だ。
鉄道でも道路でも、ここからならば、どの方面へもアクセスできる。悪天候にやられても、ここからならば仕切り直しが出来るし撤退も容易だ。

自分は小倉で何泊か旅の疲れを癒したら、
日本列島縦断チャリ旅のラスト、
九州チャリ旅を完遂したいと思うのだ。

小倉到着の翌日、
まずは太宰府天満宮にお詣りに行った。
日本であれ海外であれ、旅をしていても自分は、
父であり、
夫であり、
経営者であることを忘れたことはない。

娘の受験がうまくいきますように。
しっかりお願いをしてきた。

妻や子供たちが永遠に幸せであるならば、
俺の身体など粉々に千切ってサメに食われても全然構わないと半ば本気で思っている。

現在地
北海道美瑛町美馬牛『ガイドの山小屋』から
約2030km



国道から錦帯橋が見えるかも?
見えなかった。


すぐに峠道


チャリダー殺し、欽明路道路の峠トンネル


なんじゃこりゃあ?


小郡(現在の新山口)はもうすぐ


峠ふたつ、走行距離100km、向かい風、
ヘルメットの内側に被る帽子は塩を吹いた。


ワークマンで買ったシャツを着ているから、現場系で働く男たちで混雑する朝メシ食堂のなかで完全に馴染んでいる俺なのだ。


いや、宇部に行くから。


いや、もう騙されないから。
ちなみに190号線宇部経由では65km。
交通量は少ない。


きたきた。関門海峡!


自転車と歩行者はコチラへ


エレベーターでトンネルへ


関門海峡の海底トンネル。
自転車は押して歩く。


九州にキターーーーー!!!!


この写真を撮るのは結構恥ずかしい。


ご褒美に肉1ポンド食う。


小倉の街角に山本太郎。
師走の町は、せわしない。


JRと私鉄を3本乗り継いで、


太宰府天満宮にきた。


お百度踏んで願掛け、というが、
百度といわず何万回もペダル踏んでここまで来た。
だから神様、
どうか!
どうか!
お願いします!



DAY32-33 まさかの広島山地⁉︎を越える 尾道-東広島-広島-宮島-岩国 『日本列島縦断チャリの旅2020』

2020年12月04日 | 自転車の旅 国内
まさか、山越えだったとは⁉︎

尾道から広島方面へは、明るい海岸線を通る呉経由が良い。
呉の旧海軍博物館が楽しみだし、海軍カレーは美味しいし、空は明るく穏やかで、人はあたたかくお婆ちゃんニコニコ、チャリダーもニコニコ。みんな親切だから別のルートを選択する理由もない。

しかし今年の俺は強気だ。未経験の内陸ルート
「まともに国道2号線」を行ってみよう。
とイキったわけだ。

まあ、だいたい想像がつくので今まで避けてきたのだけど、行ってみないとわからないこともある。

そして予想通り、結果は散々で酷い目に遭ったのであるが。

交通量は半端なく、道はデンジャラス。
おまけにヘンテコな誘導まである。
しかも、まさかの峠越えであった。

尾道から三原までは市街地が続く。
三原から竹原へ、徐々に田園風景へと変わっていく。
竹原から先、東広島(旧西条)までは登り坂。峠道。国道2号は上下線がパラパラに分離して山中で絡み合う。自転車は反対車線の歩道に強引に集められて大変な苦行が待っている。逆走車線の細く僅かな歩道は雑草で埋まり、いまにも消えそうだ。消えたら終わりである。その道は上り線専用なので反対側に移ったとしても逆走なので逃げ場はなく、来た道を引き返すしかない。

はびこる雑草をシバき倒しながら怖々進みクリア。東広島の少し東、三永というあたりが山頂だったように感じたが、国道2号のインターチェンジのような地形でよくわからない。

そのあたりでようやく左車線に戻ることが出来た。死ぬかと思った。

東広島市は標高200〜300mの高原都市。広島のマチュピチュだ。

チャリで行くのはどうかしているが、空が広く空気も澄んでいて、住む、暮らす、学ぶには良さそうだった。

駅前のビジネスホテルに潜り込み一夜を明かす。

翌朝、東広島から広島市へはダウンヒル。
狭くて見通しが効かない、路側もほとんどないのに交通量の多い峠道を決死の思いで下っていく。

無事に広島に着いたら心底安堵するだろう。

広島は都会だけど意外と走りやすい。
国道2号を回避するルートもいくつも見つかる。
旧山陽道に沿って宮島へ、そのまま道なりに岩国に至る。岩国の手前で山口県になる。

ううむ。
悪いことは言わない。
尾道から広島へは、呉ルートを選択すべき。
東広島ルートは、
なにもいいことはないだろう。

広島から先はしばらく穏やかな海沿いの道となるから、岩国まで優しいサイクリングになるだろう。

夕方、
岩国のスーパーマーケットで買い物していたら白人さんを何人も見かけた。
そういえば、岩国には米軍海兵隊の航空基地があるな。

現在地
北海道美瑛町美馬牛『ガイドの山小屋』から
約1870km


国道2号を避けていたら、工場地帯に迷い込んだりする。


尾道から、三原、竹原と経由して道は徐々に内陸部に入っていく。


歩道を走っていたら、あーあ。またか。


変な誘導にハメられる。
この歩道を行けと?
二車線とも逆走なうえ、歩道は消えそうな雰囲気。消えたら終わり、向こう側の車線も逆走だから逃げ場はない。変な汗でる。
これを登り切ったら東広島市。


東広島の朝。


このあたりから決死のダウンヒル始まる。


広島市内は比較的走りやすい。
東広島から広島の区間は停車する余裕なく写真ない。


広島市内の西。国道から少し外したら、旧街道みたいな雰囲気だ。


宮島行きの電車に沿って。


完全に迷い込む。


ようやく脱出、安芸の宮島。


山口県に入る。


ずいぶん遠くまできた。

DAY30-31 温暖だけど、正直しんどい瀬戸内 津山-倉敷-尾道『日本列島縦断チャリの旅2020』

2020年12月03日 | 自転車の旅 国内
日本海側から瀬戸内側に来たとたん、
天気はガラリと変わった。

雨の心配はなくなったかわりに休みなし。

まずは津山から倉敷まで。
特に障害になるものはないが、どうしても県庁所在地の岡山市に吸い込まれそうになるので「岡山市」を避けながらルート選択するのが面倒くさい。

国道53号は国道2号に接続するはるか手前から高規格バイパス化してしまう。
歩道は消えたり側道化されて曖昧になったり、歩道を走ればあらぬ方向に引き離されて?な場所に放り出されたりするから、その都度停止しては現在地を確認しなければならないから非常に面倒だ。
だからといって車道を走ると無理矢理高速道路を走っている感になってしまうから、そもそもしんどい。

だから別の道を探すけど毎回うまくいくわけではない。iPhoneは万能ではなく、結局はチャリダーの勘と経験則でルートを探す。

人口の多い瀬戸内側は、これから先も九州までずっと似たような環境に苦しめられる。

倉敷に着いた。
市街地の、歓楽街の隙間みたいなビジネスホテルに潜り込んで眠り、
翌朝また走り出す。

流れていく風景。
町の名前は変わるけれど、ずっと市街地が続いていてどこまでも印象は変わらない。
クルマや歩行者や段差を気にしながらペダルを漕ぐ。

なるべく国道2号を走りたくないが、いつの間にか吸収されてしまう。

道路は狭い。クルマは多い。
車道も狭いが、歩道もひどい。
地元ナンバーのプリウスに激しいクラクションを浴びる。

クルマの流れが滞っているから、
そのプリウスには何度も追いつき嫌な雰囲気になる。見るからにきつそうな年配女性が運転席に。

私様が通るわよ!ちょっとアンタどきなさいよキキー!

おー怖い怖い。

尾道が近づくと平野が一気に狭くなる。
山が迫ってきて、並走する山陽本線が国道側に押し出されてくる。

左には海が迫り、
いや、
海が狭すぎて川みたいだ。対岸が近すぎる。

狭い海峡、頭上を「しまなみ海道」の橋が鎮座する。やがて観光客が歩き回る市街地に至る。

また安ビジネスホテルに潜り込む。
観光をするような気持ちの余裕はない。
人とクルマは疲れるのだ。

現在地
北海道美瑛町美馬牛『ガイドの山小屋』から
約1750km



津山盆地は霧の朝


盆地を過ぎると快晴だった。
美瑛もそうだけど、霧の日は晴れ。


水鳥たちが必死で逃げていく
嫌われているのか俺?


道の駅で、ゆずソフト!
チャリダー昼ごはん
快適なサイクリングはこの辺りまでだった。


山陽新幹線の高架下を走る。
国道から解放されて少し安堵。


山陽新幹線とともに倉敷市へ。
それにしても本数が多い。2〜3分ごとにゴー、シュッ、シュッと新幹線が行き交う。


ビジネスホテル夕方の陣。
数少ない乾燥機をめぐり熾烈な争いが繰り広げられる。


狭くてクルマ多い。


通学の高校生。
どうか3年間ご無事に!


頭上に「しまなみ海道」の橋。
対岸は瀬戸内海の向島。


狭い平野部に全てが集中している


尾道。
美しい町だ。


対岸、近すぎ。
平尾容疑者が泳いで渡ったというが、瀬戸内の子供なら平気で泳ぎ切るだろう。
イチローならバックホームで対岸に届くと思う。


これからも、ずっと晴れ。
さすがは瀬戸内だ。

DAY29 中国山地を越える。その名は苦労峠 鳥取-黒尾峠-津山(岡山県)『日本列島縦断チャリの旅2020』

2020年12月02日 | 自転車の旅 国内
日本列島を、北から南まで何度も何度も走ってきたけれど、
まだまだ未経験の道がたくさん残っている。

中国山地越えの「黒尾峠」もそのひとつ。
鳥取市から直で岡山県へと下っていく。

山陰地方の天気が冬型へと移り変わる晩秋、
今年も例外ではなく、この先お天気は期待できそうもないので、山を越えて瀬戸内側へ行く決心をした。

国道53号。中国山地越え。
初めての道だ。

鳥取市の市街地を抜けて、しばらくは綺麗な川に沿った道を優しく進む。
大した登りではない。

やがて智頭(ちづ)町に至る。

知らなかった。

勉強不足だった。
江戸時代の雰囲気を残す街並み、
古い商家、お屋敷。
宿泊して、じっくり歩くべき美しい宿場町だった。

自分はまだまだ知らないことだらけじゃないか。

智頭町を出るとやがて徐々に勾配が増してくる。
しかし、覚悟したほどではなく、2ー2くらいのギアで地味にシャリシャリ漕いでいたら素直に登れる程度。
交通も少なめだ。

標高580mほどで頂上部。
あとはひたすらダウンヒル。

岡山県側も割と穏やかな勾配。
ノーブレーキでも時速50には至らない。

里まで降ると空気感が変わった。
空も明るく、あたたかい。

黒尾峠。
くろお、くろう、苦労?

苦労峠⁉︎

名前にビビって覚悟して挑んだが、
心優しき、美しい峠であった。
また来たい。



「ラピュタ」にこんなロボットいなかった?


中国山地に向かう道


ローカル線に沿って


智頭町。そうだったのか!
勉強不足だった。


おおっ!
智頭の宿場、って感じだ。


おおおっ!


景観と生活のバランスに苦慮しながら、
街並みを残そうとしていることが窺えるじゃないか。


中国山地の雲。
豚バラ肉みたいだ。


「立ち往生多発」に
チャリダーびびる。
なにしろ苦労峠だものな。


側道にときめく。
古道「備前街道」
eMTBで行きたくないか!


黒尾峠はこんな感じの道だ。


頂上部はトンネル


割と明るめ

トンネル出たら、


岡山県だった。


峠からのんびり下ってそのままチャリチャリしてたら岡山県津山市へ至る。
昭和のままの町だった。