奈良)興福寺の重文「木造四天王立像」、国宝に
2018年3月10日
国の文化審議会の答申が9日にあり、興福寺(奈良市)の国重要文化財「木造四天王立像」が国宝に指定されることになった。唐古・鍵遺跡(国史跡、田原本町)の出土品などは重要文化財に指定される。
興福寺の四天王立像は仮金堂に安置されてきたが、近年の研究で1189年完成の南円堂にあったものと判明。昨年末、南円堂に移された。これで南円堂の3件11点の仏像がすべて国宝となった。
多川俊映貫首は「大変喜んでおりますが、大切にしていくことには何も変わりはありません」と話した。年内に参拝客が南円堂の中を見られるのは10月17日の法要の日だけだが、来年は特別公開を検討するという。
唐古・鍵遺跡は弥生時代を中心とした大規模な環濠(かんごう)集落跡だ。楼閣とみられる建物が描かれた土器の破片や銅鐸の鋳型外枠、勾玉(まがたま)などが出土しており、弥生時代の祭祀(さいし)文化などを知る上で、重要な資料とされる。
田原本町は遺跡周辺を整備し、来月には「唐古・鍵遺跡史跡公園」をオープンする。町内の唐古・鍵考古学ミュージアムは6月にリニューアルオープンの予定。重要文化財に指定される出土品を展示の中心に据えることにしている。
森章浩町長は「これからもっと唐古・鍵遺跡をPRしていきたい」としている。
ほかに、奈良市の薬師寺東院堂の「木造四天王立像」と、天理大所有の源氏物語の写本「源氏物語(池田本)」が重要文化財となる。