ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

ノー・カントリー(ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督)

2008-11-04 | Weblog
キャスト:トミー・リー・ジョーンズ、バビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、ケリー・マクドナルド、ロジャー・ボイス、ウッディ・ハレルソン

評価:☆☆☆

 コメント:第80回アカデミー賞で作品賞・監督賞・助演男優賞・脚本賞を受賞。コーエン兄弟独特のストーリー仕立てと画面の展開、そして俳優の演技が完成度を高めている。特に独特の「武器」を使用するバビエル・バルデムはゆっくり歩いているだけで怖いほど。コーマック・マッカーシーの小説「血と暴力の国」が原作。
 25歳で保安官となりもはや定年前となったトミー・リー・ジョーンズの独白から始まる。舞台設定は1980年となっており、携帯電話が存在しない世界だ。いわゆる激情型犯罪が続出してきたころの話で、「昔」と「1980年代」を比較するところから物語が始まる。
 普通のアクション映画と異なり細密な部分の演出にこだわって作成されており、たとえば死体を発見してもすぐには動かず時間を計測して望遠鏡で周囲を観察してからゆっくり「ハンター」は動き出す。家にもどっても床下に武器を隠すなど用意周到な面をみせるそれぞれの登場人物のキャラの描き方がうまい。
 77年型フォードが荒野に取り残されていたり、「1922-1980」と刻まれた墓碑銘などで観客はゆっくりと時代設定を理解していく仕組みになっているのがまた心憎い。
 荒野の中に木が二本生えていて、その下に死体が眠っているイメージが強烈で忘れがたい。強烈なバイオレンスシーンなのだが、「昔も今も変わらない」という台詞が映画の中にたびたびでてくる。ウッディ・ハレルソンも映画の中で「この国は人に厳しい」という台詞をもらす。「何も変えることはできない」とも。
 電話料金請求書などアナログだが確実性のある追跡方法がまた怖い…。

ストーリー:麻薬の売買取引がこじれて商品も金も置き去りにされた現場に元溶接工にしてベトナム出征歴2回のハンター、ルウェリン・モスは遭遇する。「いい予感」がするといってその金をもって逃げるが、独特の「武器」(エアガンのようなもの)と「哲学」をもつ殺し屋アントン・シガーに追跡されることに。そして独自の動きを示すアントン・シガーにも麻薬組織は殺し屋をさしむける…

エリザベス~ゴールデン・エイジ~(シェカール・カプール監督)

2008-11-04 | Weblog
キャスト:ケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ、クライブ・オーウェン、サマンサ・モートン、アビー・コーニッシュ、リス・エヴァンス、ジョルディ・モリャ

 評価:☆☆☆

 コメント:今から10年前の「エリザベス」の続編。キャストもスタッフもほぼ前作と同様だが、ケイト・ブランシェットが受賞は逃したものの、この映画でもアカデミー賞にノミネートされる。作品自体はアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞したが、やはりケイト・ブランシェットの着ているドレスはどれもただものの衣装とはやはり思えず衣装スタッフの苦労が報われた瞬間だろう。映画自体はもうケイト・ブランシェット抜きにしては語れないほどケイト頼みの展開で、数十秒間ケイト・ブランシェットを360度から撮影するだけでコメントも何もないシーンがあるが、こうした無言の撮影をこなしてしまうあたりがこの大女優の才能ゆえか。

 けっして絶世の美女というわけでもないのに、「ロード・オブ・ザ・リング」であれ「ギフト」であれ「コーヒー&シガレッツ」であれ、シーンにはまりこんだ自然体の演技を展開してくれる名優だが、今後の俳優人生もさらに長いだけにさらにとてつもない俳優へと進化していく様子がうかがえる。俳優頼みの映画という点ではフランシス・ウォルシンガムを演じたジェフリー・ラッシュも素晴らしいし、ウォルター・ローリーを演じたクライブ・オーウェン、メアリー・スチュワートを演じたサマンサ・モートン、エリザベスの侍女を演じたアビー・コーニッシュなどいずれも素晴らしく、キャスティングの素晴らしさだけでも映画は成立するということを証明した作品。俳優だのみの映画はあまり好きではないのだけれど、この映画に関しては別物だ。

 エンドタイトルには「エリザベス1世 1533年-1603年」とのみ表示される画面が圧巻。  カソリックと英国国教会の融和については映画の中でも苦慮する様子がうかがえるが、礼拝統一令などでどちらの面目も立つような形の英国国教会を確立。フェリペ2世のスペイン大使が求婚にあらわれる場面もあるが終始独身で通した理由も結果も映画の中で描写されているが、いわゆるオランダ(ネーデルランド)やフランスなどへの新教徒援助のシーンは徹底して省略されている。一方、フェリペ2世についてはスペイン海軍歴史上稀な敗北をきしてその10年後に財政赤字とともに死亡という見もフタもないコメントが画面に映し出される(英国作成の映画なのでやむをえないのかもしれない)。ただけっして無能な王ではなく、ハプスブルグ家カール5世の息子であり、レパントの海戦ではトルコに圧勝。スペインの世界大帝国を築いたという点ではやはり偉大な指導者だったが、ちょっと英国びいきが過ぎるかな…というのは映画からの印象。オランダ独立戦争の敗北と無敵艦隊の敗北が痛手だったが、いずれもエリザベス1世の策謀が影にみえる。リドルフィ事件やバビントン事件などもきめ細かく描写されておりエンターテイメント性も維持。ただ歴史的著述に相当「圧縮」した部分がでてくるのはやむをえないだろう。
 その中でサー・ウォルター・ローリーの存在感が強調されているのが興味深い。映画の中でもローリーが運んできたアメリカ大陸の「タバコ」をエリザベス女王が試しに吸う場面や「ヴァージニア州」(ローリーが命名したとされているが…)を紹介する場面がでてくるが、ダドリー卿の話はでてこない。是は一種の政治的バランスかもしれない。いずれにせよ英国ルネサンスが花開く時代の一断面を切り取るとともにケイト・ブランシェットの魅力を発揮したこの作品、さらに続編が実は楽しみだ。    

ストーリー:映画は1585年から始める。状況としては世界最強を誇るスペイン(カソリック教)が世界を制覇しつつあったが、それに唯一抵抗していたのがイングランド。フェリペ2世はイングランドに対する戦争の「大義名分」を探索しつつ、一種の「聖戦」としてイングランド侵攻のチャンスをうかがっていた。占星術では二人の女王の誕生を告げていたが、一人はイングランドのエリザベス1世。もう一人はスペインのイザベラ女王を指しているものと推定され、占星術師もまたどちらが覇権を握るのか決めかねていた。一方、ファザリング城に幽閉されているスコットランド女王メアリ・スチュワート(カソリック)についてはスペインが支持を表明。「英国」内には国民の半分に相当する人間がカソリック教を支持しており、「信念だけでは国民を罰することはない」とするエリザベス1世の政治基盤を揺るがす土壌ともなっていた。またドーバー海峡の壁の補修代もままならないほど財政が逼迫していたのもエリザベス1世の悩みの種だった。一方、フェリペ2世はきたるべき戦争に備えてスペインの森をつぶして大艦隊の製造に乗り出す。あとは「大義名分」と一つの「きっかけ」さえあれば一触即発の状況に入っていく…
(参考:「イギリス王室物語」(講談社現代新書 小林章夫著 1996年)、「世界史辞典」(平凡社 1983年)

ジャンパー(ダグ・リーマン監督)

2008-11-04 | Weblog
キャスト:ヘイデン・クリステンセン、サミュエル・L・ジャクソン、ジェイミー・ベル、ダイアン・レイン、レイチェル・ビルソン、マイケル・ルーカー、ジャシー・ジェイムス

評価:☆

コメント:高校生をおそらくターゲットにしたSF映画で上映時間は約1時間28分。1時間半に納まる映画なので軽くみるのにはちょうどいいが…大人が見ていると途中で眠くなるかも
 映画のロケーションに渋谷と新宿が使用されており、おそらく相当深夜にかなりのエキストラを駆り出して撮影したものと推定される(日本の映画と異なり雑踏に出演するエキストラにも配慮するのがハリウッドの俳優労働組合…)。高校生のときにローマ旅行などを夢見ていた少女を衝撃の再会をはたして実際にコロッセオなどにも行ってしまう…というあたりはほろにがい青春のその後…という感じだがいかんせん役者が全員「大根」なので、死んだはずの人間が突然復活してきてもあまり感動とか驚きが画面には反映しないままなんでもなく物語は進行していく。もうそのあたりでだいたいばかばかしくなってくるのだが…。まあこういう映画もたまには必要があるのかもしれない。マドンナ役のレイチェル・ビルソンがなかなかの魅力でこれからの注目株とみた。現在、この映画で知り合ったヘイデン・クリステンセンと交際中。
 母親役のダイアン・レインはほんの少し登場するだけだが本当に落ち着いた感じのladyに。「ストリート・オブ・ファイア」のあの美しさとはまた異なる美しさを画面に醸し出す。

(コロッセオ)
 外面部分はどうも実際にロケーションで撮影したらしいが、この「内部」は完全に合成画像でここでジャンパーとパラディンの死闘が繰り広げられる。映画「グラディエーター」のように闘士どうしの戦いということになるが、いまひとつ迫力に欠ける。外周半分しか現在は残っていないというが、映画の中にでてくるワンシーンだけとってもコロッセオの迫力は十分。人類の文化遺産であるという理由もうなづける。

ストーリー:デビッドの母親は5歳のときに家族を捨てて行方不明となる。その後、海外旅行を夢見るガールフレンドのために氷の上を歩くが川に落ち、なぜか知らないうちにアナーバー公立図書館の中に瞬間移動。父親に反発して、母親と同じように家を出て、地方銀行や移民貯蓄銀行の金庫室などにテレポートして資金をためて再びガールフレンドに再会しにいくが…。中世の魔女狩りから特殊能力者を抹殺するというパラディンとの闘争を続けながら、次第にデヴィッドは追い詰められていく…