映画でお喋り♪猫とひなたぼっこ

もと映画少女の”猫”のお喋りです♪

誰がために

2005年12月21日 | 映画感想(日本)
予告から・・今 巷で問題になっている 「少年犯罪」をテーマにした 作品だとわかる。
おなかに赤ちゃんがいる 奥さんを 殺された夫は・・・ 残された家族は・・・
どうやって その「哀しみ」を 克服していくのだろう・・・?
そして その犯人に対する 「思い」を どうやって消化していくんだろう・・??
『 美しい夏キリシマ 』 で助監督を務めた 日向寺太郎さんの 初監督作品です。


普通の役の 浅野忠信さんを観たのは ずいぶん久しぶりのような気がする。
いや ちょろっと役では
昨年 『 父と暮らせば 』に出ていた。
本の虫のような 好青年の役・・ ぴったりだった。
今回は 主演である。

彼は もともと 「哀しみ」 とか 「嬉しさ」 とか
そんな思いを 「表に出す」 ことを しない 「人」なのだろう・・
妻が殺されて 最初に 刑事と話をするシーンで
少し 違和感を覚える。
どうして そんなに 淡々と話せるの??もっと 感情的になってもいいんじゃないの???
ちょっと ひっかかる。
時を経て それが
あまりのことに あっけにとられ
何を どのように 感じ 処理していったらいいか 頭が空白だったからだとわかる・・・
「人を失う」 哀しみとは
すぐに 湧き出るものではなく
後から後から 心の中に 染み出てくるものなのだ・・・
ふとした 日常の風景から 姿を消した情景となって・・・・

映画は そんな風に ゆっくりと ゆっくりと
妻と 子供を失った 夫の心を 描いてゆく・・・
妻との思い出・・妻の撮った写真・・ 妻と話したことがら・・・
彼の 「哀しみ」 は 時とともに 増長されていく・・
まわりの人間が 「時間」 という 「力」を借りて
だんだん 失ったものを 回復していくのと 逆に・・・・

故に 彼のとった行動は 彼にとって 「必要」だったことなのだ・・とわかる。
「少年が 更生」 しているとか
「反省している」 とか 「していない」 とか
「少年が 不幸な生い立ちだった」 とか
そんなことは 一切 彼の心に ひっかかるものではない。

けれども私は 
彼が 「それ」をしているとき
「どうか・・どうか・・殺さないで・・」と祈っていた。
・・・・・・
命は 留まった。
そして この行為は 少年に
「自分のやったことの意味」を わからせたのではないか・・と 思った。

私は 彼のとった行為を正当化するつもりはない・・・けれど
批判するすべもない。
彼にとって
「それ」 が必要だったのだ・・・・

『 誰がために 』 この題名は そういうことなのだ。

これは 少年犯罪を取り入れた
ラブ・ストーリーであり かつ 「喪失と 再生」の話なのだ。

彼の 心情を あらわすのに
ピアノが用いられている・・・
とても うまい・・ ぴったりだ・・・
一体 誰が音楽を担当しているのだろう??と 思っていたら
エンディングロールに 矢野顕子 の名が・・・
やっぱり・・・・・・  
           納得して劇場を後にした。


     2005.12.20  「誰がために」  名演小劇場にて鑑賞  ★★★★


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4 コメント

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好きです (冴子)
2005-12-25 18:37:18
浅野君が淡々としているのはそういう意味があったのですかね~

ただあの奥さんが不幸な子供時代を経験している人のようには見えなくて逆に幸せな家族の下で育った人のように見えたので、ちょっと違和感がありました。



池脇千鶴はうまいですね~ホントにうまい。

さりげなく彼に恋している気持ちを抑えているところとか、ちょっとずつそれを表に出してき始めるところとか…

彼女は今若い女優さんの中ではピカイチだと思いました。



実際にあった事件をモデルにした映画では、来年スコーレで公開される「カミュなんて知らない」もそうですね。

例の豊川市で起こった受験校の受験生による老婆殺人事件。

これをどのように映画化されているか、とても楽しみです。
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淡々と・・ ()
2005-12-26 12:43:03
時間がなくて かなりはしょって 感想をUPしたので

私としては 珍しく

断定的な 書き方になっていますね この感想・・(笑)

冴子さんは どう思われました??浅野君については・・。

奥さんは 不幸・・・とは あまり思いませんでした。

親が離婚して 片親・・なんて

イマドキ そんなに珍しいことじゃないし

「結婚して 家庭を作る」 こと以外は 普通に思っていたんじゃないかしら??

それでなくても

今の20代~30代前半 くらいの人は

「結婚嗜好」が ないように 思えますし。

(「恋愛」はできるけど・・という 意味です)

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こんばんは! (猫姫少佐現品限り)
2007-08-05 03:30:00
echo&コメ、ありがとうございました!
ごめんなさい、あたしは「読ませていただきました」という意味で、TBさせていただいています。
浅野の側から見れば、「殺さないで・・」だと思いますが、個人的には、この犯人は消滅してほしいです。現代社会では犯罪ですが、過去においては、浅野は、こいつを殺しても良いという時代もあったはず。お言葉を借りれば、直接の被害者に一番近い間接的被害者なんだから、「殺せる」と思うんです。「復讐する」じゃなくて、、、殺せるという表現が悪ければ、淘汰する権利がある?とにかく、悪いやつを人類の未来のために抹殺することが出来る、、、大げさなんだケド、そんな風に思います。人類のために。だから、被害者となんの関係もなくても、許せないし、許さないし、抹殺したいと思うんです。
過激?ですか??
またよろしくおねがいしますね。
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返信遅くなりました。 ()
2007-08-06 12:41:28
猫姫少佐現品限りさん
コメントありがとうございました。
>過去においては・・
私も一時「あだ討ち」というのを肯定してもいいんじゃないか? と思ったことがあります。
が その話をしたら
友人達に「復讐は 復讐しか生まない」
といわれ
「ミュンヘン」で それが
悲しみの連鎖にしかならないかを 実感したのを思い出したのでした。

で お聞きしたいんですけど
ヒトを殺したヒトは
みな 死ぬべきだ・・というお考えなんですよね???
悪い奴 というのは
ダレが 決めるのでしょうか?
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