金魚日和

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チェーン・スモーキング/沢木耕太郎

2010年09月10日 | 本・作家
今でこそ「酒もタバコもやりません」と、健康志向な人間を装っている訳だが、
はじめて件の本を手に取った当時、10年以上も前の話だが、は、
日にタバコ50本分以上のニコチンを摂取するかなりのスモーカーであった。

…田舎のご老体な方々とこの手の話をしていると、
この後、お約束のように「女は?」と、ニヤついた顔で聞いてくる。
今では「モテ無い 金無い 度胸も無い」と短歌の下の句の様に答える癖がついてしまった。
無趣味で悪かったな。


30代の一時期、自分が理想とする“頭の良さ”を具現化した人物が沢木氏だった。
その時期、“誰かと脳を入れ替えられるとしたら誰が良い?”と聞かれでもしたら、
間違い無く“高村光太郎”と即答していたであろう。
違うし。   智恵子の面倒まで見れないし。


物事の考え方や対峙の仕方、思った事・感じた事を文章にする構成力、
自分の意思を他者に伝える、という行為において、パーフェクトだと感じた。
大人の男としてかくありたい、と。

…今にして思えばソレは、経験や心構えが伴わないまま
“社会的には大人”として扱われる年代に突入してしまった事への
あせりや憤りが向かわせた感情であったのであろう、と、自己分析できる訳だが。


この作品は、1990年頃に書かれた“タバコとは無関係の”エッセイ集である。
もともとがルポライターである氏が書くエッセイは独特で、小説以上に小説っぽい。
それはノンフィクションなのにフィクションっぽい、という意味での小説っぽさでは無く、
緻密に構成し練り上げていく過程で、必要であれば脚色し不必要な事実はバッサリと切り捨てる、
そのさじ加減がとても小説的に感じられる、という意味だ。  
…自分で書いてても意味が解らない訳だが。


氏の作品の中で最も知名度が高そうなものは、
後にドラマ化もされた『深夜特急』あたりなのであろうが、
旅行記、というジャンルそのものに興味が無く、読んだ事が無い(ぉい)。

今でこそお年を召した感はあるが、
若かりし頃は自信と野心に満ちた魅力的な外見であった氏の事である、
旅先でもさぞかし様々な経験をされた事と思う。


田舎のおっちゃんに「女は?」と聞かれても、↑なツマラナイ返答はしないだろうなぁ、この人は。


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